行旅病人及行旅死亡人取扱法《本則》

法番号:1899年法律第93号

略称: 行旅法

附則 >  

1条

1項 此の法律に於て行旅病人と称するは歩行に堪へさる行旅中の病人にして療養の途を有せす且救護者なき者を謂ひ行旅死亡人と称するは行旅中死亡し引取者なき者を謂ふ

2項 住所、居所若は氏名知れす且引取者なき死亡人は行旅死亡人と看做す

3項 前2項の外行旅病人及行旅死亡人に準すへき者は政令を以て之を定む

2条

1項 行旅病人は其の所在地市町村之を救護すべし

2項 必要の場合に於ては市町村は行旅病人の同伴者に対してまた相当の救護を為すべし

3条

1項 行旅病人又は其の同伴者を救護したるときは市町村は速に扶養義務者又は 第5条 《 行旅病人若は其の同伴者の引取を為す者な…》 きとき又は救護費用の弁償を得さる場合に於て其の引取並費用の弁償を為すへき公共団体に関しては勅令の定むる所に依る に掲けたる公共団体に通知し之を引取らしむるの手続を為すべし

4条

1項 救護に要したる費用は被救護者の負担とし被救護者より弁償を得さるときは其の扶養義務者の負担とす

5条

1項 行旅病人若は其の同伴者の引取を為す者なきとき又は救護費用の弁償を得さる場合に於て其の引取並費用の弁償を為すへき公共団体に関しては勅令の定むる所に依る

6条

1項 扶養義務者に対する被救護者引取の請求及救護費用弁償の請求は扶養義務者中の何人に対しても之を請求することを得但し費用の弁償を為したる者は 民法 第878条 《扶養の順位 扶養をする義務のある者が数…》 人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。 扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義 に依り扶養の義務を履行すへき者に対し求償を為すを妨げす

7条

1項 行旅死亡人あるときは其の所在地市町村は其の状況相貌遺留物件其の他本人の認識に必要なる事項を記録したる後其の死体の埋葬又は火葬を為すベし

2項 墓地若は火葬場の管理者は本条の埋葬又は火葬を拒むことを得す

8条

1項 必要の場合に於ては市町村は行旅死亡人の同伴者に対してまた相当の救護を為すべし

2項 行旅病人に関する規定は前項の場合に準用す

9条

1項 行旅死亡人の住所、居所又は氏名知れザるときは市町村は其の状況相貌遺留物件其の他本人の認識に必要なる事項に付て公署の掲示場に告示し官報に公告し及厚生労働省令の定むる所に依り電気通信回線に接続して行ふ自動公衆送信(公衆に依り直接受信せらるることを目的とし公衆の請求に依り自動的に送信を行ふことを謂ひ放送又は有線放送に該当するものを除く)に依り公衆の閲覧に供すベし

10条

1項 行旅死亡人の住所若は居所及氏名知れたるときは市町村は速に相続人に通知し相続人分明ならさるときは扶養義務者若は同居の親族に通知し又は 第13条 《 市町村は第9条の公告後60日を経過する…》 も仍行旅死亡人取扱費用の弁償を得さるときは行旅死亡人の遺留物品を売却して其の費用に充つることを得其の仍足らさる場合に於て費用の弁償を為すへき公共団体に関しては勅令の定むる所に依る 市町村は行旅死亡人取 に掲けたる公共団体に通知すべし

11条

1項 行旅死亡人取扱の費用は先つ其の遺留の金銭若は有価証券を以て之に充て仍足らさるときは相続人の負担とし相続人より弁償を得さるときは死亡人の扶養義務者の負担とす

12条

1項 行旅死亡人の遺留物件は市町村之を保管すべし但し其の保管の物件滅失若は毀損の虞あるとき又は其の保管に不相当の費用若は手数を要するときは之を売却し又は棄却することを得

13条

1項 市町村は 第9条 《 行旅死亡人の住所、居所又は氏名知れザる…》 ときは市町村は其の状況相貌遺留物件其の他本人の認識に必要なる事項に付て公署の掲示場に告示し官報に公告し及厚生労働省令の定むる所に依り電気通信回線に接続して行ふ自動公衆送信公衆に依り直接受信せらるること の公告後60日を経過するも仍行旅死亡人取扱費用の弁償を得さるときは行旅死亡人の遺留物品を売却して其の費用に充つることを得其の仍足らさる場合に於て費用の弁償を為すへき公共団体に関しては勅令の定むる所に依る

2項 市町村は行旅死亡人取扱費用に付遺留物件の上に他の債権者の先取特権に対し優先権を有す

14条

1項 市町村は行旅死亡人取扱費用の弁償を得たるときは相続人に其の保管する遺留物件を引渡すべし相続人なきときは正当なる請求者と認むる者に之を引渡すことを得

15条

1項 行旅病人行旅死亡人及其の同伴者の救護若は取扱に関する費用は所在地市町村費を以て1時之を繰替ふへし

2項 前項費用の弁償金徴収に付ては市町村税滞納処分の例に依る

3項 前項の徴収金の先取特権は国税及地方税に次グものとす

16条

1項 削除

17条

1項 外国人たる行旅病人行旅死亡人及其の同伴者並其の所持物件若は遺留物件の取扱に関し別段の規定を要するものは政令を以て之を定む

18条

1項 船車内に於ける行旅病人行旅死亡人及其の同伴者並其の所持物件若は遺留物件の取扱に関し別段の規定を要するものは政令を以て之を定む

19条及20条

1項 削除

21条

1項 此の法律は1899年7月1日より施行す

22条

1項 1882年第49号布告行旅死亡人取扱規則は此の法律施行の日より廃止す

《本則》 ここまで 附則 >  

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