裁判所法《本則》

法番号:1947年法律第59号

附則 >  

1編 総則

1条

1項 日本国憲法 に定める最高裁判所及び下級裁判所については、この法律の定めるところによる。

2条

1項 下級裁判所は、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所とする。

2項 下級裁判所の設立、廃止及び管轄区域は、別に法律でこれを定める。

3条

1項 裁判所は、 日本国憲法 に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

2項 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。

3項 この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

4条

1項 上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。

5条

1項 最高裁判所の裁判官は、その長たる裁判官を最高裁判所長官とし、その他の裁判官を最高裁判所判事とする。

2項 下級裁判所の裁判官は、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし、その他の裁判官を判事、判事補及び簡易裁判所判事とする。

3項 最高裁判所判事の員数は、14人とし、下級裁判所の裁判官の員数は、別に法律でこれを定める。

2編 最高裁判所

6条

1項 最高裁判所は、これを東京都に置く。

7条

1項 最高裁判所は、左の事項について裁判権を有する。

1号 上告

2号 訴訟法において特に定める抗告

8条

1項 最高裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。

9条

1項 最高裁判所は、大法廷又は小法廷で審理及び裁判をする。

2項 大法廷は、全員の裁判官の、小法廷は、最高裁判所の定める員数の裁判官の合議体とする。但し、小法廷の裁判官の員数は、3人以上でなければならない。

3項 各合議体の裁判官のうち1人を裁判長とする。

4項 各合議体では、最高裁判所の定める員数の裁判官が出席すれば、審理及び裁判をすることができる。

10条

1項 事件を大法廷又は小法廷のいずれで取り扱うかについては、最高裁判所の定めるところによる。但し、左の場合においては、小法廷では裁判をすることができない。

1号 当事者の主張に基いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを判断するとき。(意見が前に大法廷でした、その法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。

2号 前号の場合を除いて、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合しないと認めるとき。

3号 憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき。

11条

1項 裁判書又は電子裁判書(裁判所が他の法律の定めるところにより作成した裁判の内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。 第60条 《 裁判所書記官 各裁判所に裁判所書記官を…》 置く。 裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録その他の書類又は電磁的記録の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。 裁判所書記官は、前項の事務を掌るほか、裁判所の事件に関し、裁判官の命を において同じ。)をいう。)には、各裁判官の意見を表示しなければならない。

12条

1項 最高裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、最高裁判所長官が、これを総括する。

2項 裁判官会議は、全員の裁判官でこれを組織し、最高裁判所長官が、その議長となる。

13条

1項 最高裁判所の庶務を掌らせるため、最高裁判所に事務総局を置く。

14条

1項 裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に司法研修所を置く。

14条の2

1項 裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究及び修養に関する事務を取り扱わせるため、最高裁判所に裁判所職員総合研修所を置く。

14条の3

1項 最高裁判所に国立国会図書館の支部図書館として、最高裁判所図書館を置く。

3編 下級裁判所 > 1章 高等裁判所

15条

1項 各高等裁判所は、高等裁判所長官及び相応な員数の判事でこれを構成する。

16条

1項 高等裁判所は、左の事項について裁判権を有する。

1号 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴

2号 第7条第2号 《第7条 裁判権 最高裁判所は、左の事項に…》 ついて裁判権を有する。 1 上告 2 訴訟法において特に定める抗告 の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判所の刑事に関する決定及び命令に対する抗告

3号 刑事に関するものを除いて、地方裁判所の第二審判決及び簡易裁判所の判決に対する上告

4号 刑法 第77条 《内乱 国の統治機構を破壊し、又はその領…》 土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。 1 首謀者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。 2 ないし[から〜まで] 第79条 《内乱等幇助 兵器、資金若しくは食糧を供…》 給し、又はその他の行為により、前2条の罪を幇助した者は、7年以下の拘禁刑に処する。 の罪に係る訴訟の第一審

17条

1項 高等裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。

18条

1項 高等裁判所は、裁判官の合議体でその事件を取り扱う。但し、法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定があるときは、その定に従う。

2項 前項の合議体の裁判官の員数は、3人とし、そのうち1人を裁判長とする。但し、 第16条第4号 《第16条 裁判権 高等裁判所は、左の事項…》 について裁判権を有する。 1 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴 2 第7条第2号の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判 の訴訟については、裁判官の員数は、5人とする。

19条

1項 高等裁判所は、裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その管轄区域内の地方裁判所又は家庭裁判所の判事にその高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。

2項 前項の規定により当該高等裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、他の高等裁判所又はその管轄区域内の地方裁判所若しくは家庭裁判所の判事に当該高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。

20条

1項 各高等裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、各高等裁判所長官が、これを総括する。

2項 各高等裁判所の裁判官会議は、その全員の裁判官でこれを組織し、各高等裁判所長官が、その議長となる。

21条

1項 各高等裁判所の庶務を掌らせるため、各高等裁判所に事務局を置く。

22条

1項 最高裁判所は、高等裁判所の事務の一部を取り扱わせるため、その高等裁判所の管轄区域内に、高等裁判所の支部を設けることができる。

2項 最高裁判所は、高等裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。

2章 地方裁判所

23条

1項 各地方裁判所は、相応な員数の判事及び判事補でこれを構成する。

24条

1項 地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。

1号 第33条第1項第1号 《簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁…》 判権を有する。 1 訴訟の目的の価額が1,410,000円を超えない請求行政事件訴訟に係る請求を除く。 2 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条、第252条若し の請求以外の請求に係る訴訟( 第31条の3第1項第2号 《家庭裁判所は、次の権限を有する。 1 家…》 事事件手続法2011年法律第52号で定める家庭に関する事件の審判及び調停 2 人事訴訟法2003年法律第109号で定める人事訴訟の第一審の裁判 3 少年法1948年法律第168号で定める少年の保護事件 の人事訴訟を除く。及び 第33条第1項第1号 《簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁…》 判権を有する。 1 訴訟の目的の価額が1,410,000円を超えない請求行政事件訴訟に係る請求を除く。 2 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条、第252条若し の請求に係る訴訟のうち不動産に関する訴訟の第一審

2号 第16条第4号 《第16条 裁判権 高等裁判所は、左の事項…》 について裁判権を有する。 1 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴 2 第7条第2号の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判 の罪及び罰金以下の刑に当たる罪以外の罪に係る訴訟の第一審

3号 第16条第1号 《第16条 裁判権 高等裁判所は、左の事項…》 について裁判権を有する。 1 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴 2 第7条第2号の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判 の控訴を除いて、簡易裁判所の判決に対する控訴

4号 第7条第2号 《第7条 裁判権 最高裁判所は、左の事項に…》 ついて裁判権を有する。 1 上告 2 訴訟法において特に定める抗告 及び 第16条第2号 《第16条 裁判権 高等裁判所は、左の事項…》 について裁判権を有する。 1 地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴 2 第7条第2号の抗告を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判 の抗告を除いて、簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告

25条

1項 地方裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限及び他の法律において裁判所の権限に属するものと定められた事項の中で地方裁判所以外の裁判所の権限に属させていない事項についての権限を有する。

26条

1項 地方裁判所は、第2項に規定する場合を除いて、1人の裁判官でその事件を取り扱う。

2項 次に掲げる事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。ただし、法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは、その定めに従う。

1号 合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件

2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる罪(刑法第236条、第238条又は第239条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(1926年法律第60号)第1条ノ2第1項若しくは第2項又は 第1条 《 この法律の趣旨 日本国憲法に定める最高…》 裁判所及び下級裁判所については、この法律の定めるところによる。 ノ3第1項の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(1930年法律第9号)第2条又は 第3条 《 裁判所の権限 裁判所は、日本国憲法に特…》 別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。 この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪 の罪を除く。)に係る事件

3号 簡易裁判所の判決に対する控訴事件並びに簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告事件

4号 その他他の法律において合議体で審理及び裁判をすべきものと定められた事件

3項 前項の合議体の裁判官の員数は、3人とし、そのうち1人を裁判長とする。

27条

1項 判事補は、他の法律に特別の定のある場合を除いて、1人で裁判をすることができない。

2項 判事補は、同時に2人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。

28条

1項 地方裁判所において裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その所在地を管轄する高等裁判所は、その管轄区域内の他の地方裁判所、家庭裁判所又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。

2項 前項の規定により当該地方裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、その地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所以外の高等裁判所の管轄区域内の地方裁判所、家庭裁判所又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。

29条

1項 最高裁判所は、各地方裁判所の判事のうち1人に各地方裁判所長を命ずる。

2項 各地方裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、各地方裁判所長が、これを総括する。

3項 各地方裁判所の裁判官会議は、その全員の判事でこれを組織し、各地方裁判所長が、その議長となる。

30条

1項 各地方裁判所の庶務を掌らせるため、各地方裁判所に事務局を置く。

31条

1項 最高裁判所は、地方裁判所の事務の一部を取り扱わせるため、その地方裁判所の管轄区域内に、地方裁判所の支部又は出張所を設けることができる。

2項 最高裁判所は、地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。

3章 家庭裁判所

31条の2

1項 各家庭裁判所は、相応な員数の判事及び判事補でこれを構成する。

31条の3

1項 家庭裁判所は、次の権限を有する。

1号 家事事件手続法 2011年法律第52号)で定める家庭に関する事件の審判及び調停

2号 人事訴訟法 2003年法律第109号)で定める人事訴訟の第一審の裁判

3号 少年法 1948年法律第168号)で定める少年の保護事件の審判

2項 家庭裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。

31条の4

1項 家庭裁判所は、審判又は裁判を行うときは、次項に規定する場合を除いて、1人の裁判官でその事件を取り扱う。

2項 次に掲げる事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。ただし、審判を終局させる決定並びに法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは、その定めに従う。

1号 合議体で審判又は審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件

2号 他の法律において合議体で審判又は審理及び裁判をすべきものと定められた事件

3項 前項の合議体の裁判官の員数は、3人とし、そのうち1人を裁判長とする。

31条の5

1項 第27条 《 判事補の職権の制限 判事補は、他の法律…》 に特別の定のある場合を除いて、1人で裁判をすることができない。 判事補は、同時に2人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。 ないし[から〜まで] 第31条 《 支部・出張所 最高裁判所は、地方裁判所…》 の事務の一部を取り扱わせるため、その地方裁判所の管轄区域内に、地方裁判所の支部又は出張所を設けることができる。 最高裁判所は、地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。 の規定は、家庭裁判所にこれを準用する。

4章 簡易裁判所

32条

1項 各簡易裁判所に相応な員数の簡易裁判所判事を置く。

33条

1項 簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。

1号 訴訟の目的の価額が1,410,000円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。

2号 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は 刑法 第186条 《常習賭博及び賭博場開張等図利 常習とし…》 て賭博をした者は、3年以下の拘禁刑に処する。 2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。第252条 《横領 自己の占有する他人の物を横領した…》 者は、5年以下の拘禁刑に処する。 2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。 若しくは 第256条 《盗品譲受け等 盗品その他財産に対する罪…》 に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の拘禁刑に処する。 2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の拘 の罪に係る訴訟

2項 簡易裁判所は、拘禁刑以上の刑を科することができない。ただし、 刑法 第130条 《住居侵入等 正当な理由がないのに、人の…》 住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は110,000円以下の罰金に処する。 の罪若しくはその未遂罪、同法第186条の罪、同法第235条の罪若しくはその未遂罪、同法第252条、第254条若しくは第256条の罪、 古物営業法 1949年法律第108号第31条 《 次の各号のいずれかに該当する者は、3年…》 以下の拘禁刑又は1,010,000円以下の罰金に処する。 1 第3条の規定に違反して許可を受けないで第2条第2項第1号又は第2号に掲げる営業を営んだ者 2 偽りその他不正の手段により第3条の規定による から 第33条 《 次の各号のいずれかに該当する者は、6月…》 以下の拘禁刑又は310,000円以下の罰金に処する。 1 第14条第3項、第15条第1項、第18条第1項又は第19条第3項若しくは第4項の規定に違反した者 2 第16条又は第17条の規定に違反して必要 までの罪若しくは 質屋営業法 1950年法律第158号第30条 《罰則 第5条若しくは第6条の規定に違反…》 し、又は第25条の規定による処分に違反した者は、3年以下の拘禁刑若しくは110,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 から 第32条 《 第4条第1項、第12条前段、第13条、…》 第14条第1項又は第20条第2項若しくは第3項の規定に違反し、又は第23条の規定による処分に違反した者は、6月以下の拘禁刑若しくは30,000円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき 刑法 第54条第1項 《1個の行為が2個以上の罪名に触れ、又は犯…》 罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。 の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、3年以下の拘禁刑を科することができる。

3項 簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。

34条

1項 簡易裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。

35条

1項 簡易裁判所は、1人の裁判官でその事件を取り扱う。

36条

1項 簡易裁判所において裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所の裁判官又はその地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。

2項 前項の規定により当該簡易裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する高等裁判所は、同項に定める裁判官以外のその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官又は地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。

37条

1項 各簡易裁判所の司法行政事務は、簡易裁判所の裁判官が、1人のときは、その裁判官が、2人以上のときは、最高裁判所の指名する1人の裁判官がこれを掌理する。

38条

1項 簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部又は一部を取り扱わせることができる。

4編 裁判所の職員及び司法修習生 > 1章 裁判官

39条

1項 最高裁判所長官は、内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命する。

2項 最高裁判所判事は、内閣でこれを任命する。

3項 最高裁判所判事の任免は、天皇がこれを認証する。

4項 最高裁判所長官及び最高裁判所判事の任命は、国民の審査に関する法律の定めるところにより国民の審査に付される。

40条

1項 高等裁判所長官、判事、判事補及び簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。

2項 高等裁判所長官の任免は、天皇がこれを認証する。

3項 第1項の裁判官は、その官に任命された日から10年を経過したときは、その任期を終えるものとし、再任されることができる。

41条

1項 最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢40年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも10人は、10年以上第1号及び第2号に掲げる職の一若しくは2に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して20年以上になる者でなければならない。

1号 高等裁判所長官

2号 判事

3号 簡易裁判所判事

4号 検察官

5号 弁護士

6号 別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授

2項 5年以上前項第1号及び第2号に掲げる職の一若しくは2に在つた者又は10年以上同項第1号から第6号までに掲げる職の一若しくは二以上に在つた者が判事補、裁判所調査官、最高裁判所事務総長、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務省の事務次官、法務事務官又は法務教官の職に在つたときは、その在職は、同項の規定の適用については、これを同項第3号から第6号までに掲げる職の在職とみなす。

3項 前2項の規定の適用については、第1項第3号ないし[から〜まで]第5号及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

4項 3年以上第1項第6号の大学の法律学の教授又は准教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、検察官又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く。又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。

42条

1項 高等裁判所長官及び判事は、次の各号に掲げる職の一又は二以上に在つてその年数を通算して10年以上になる者の中からこれを任命する。

1号 判事補

2号 簡易裁判所判事

3号 検察官

4号 弁護士

5号 裁判所調査官、司法研修所教官又は裁判所職員総合研修所教官

6号 前条第1項第6号の大学の法律学の教授又は准教授

2項 前項の規定の適用については、3年以上同項各号に掲げる職の一又は二以上に在つた者が裁判所事務官、法務事務官又は法務教官の職に在つたときは、その在職は、これを同項各号に掲げる職の在職とみなす。

3項 前2項の規定の適用については、第1項第2号ないし[から〜まで]第5号及び前項に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

4項 3年以上前条第1項第6号の大学の法律学の教授又は准教授の職に在つた者が簡易裁判所判事、検察官又は弁護士の職に就いた場合においては、その簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く。又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。司法修習生の修習を終えないで簡易裁判所判事又は検察官に任命された者の 第66条 《 採用 司法修習生は、司法試験に合格した…》 者司法試験法1949年法律第140号第4条第2項の規定により司法試験を受け、これに合格した者にあつては、その合格の発表の日の属する年の4月1日以降に法科大学院学校教育法1947年法律第26号第99条第 の試験に合格した後の簡易裁判所判事、検察官(副検事を除く。又は弁護士の職に在つた年数についても、同様とする。

43条

1項 判事補は、司法修習生の修習を終えた者の中からこれを任命する。

44条

1項 簡易裁判所判事は、高等裁判所長官若しくは判事の職に在つた者又は次の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して3年以上になる者の中からこれを任命する。

1号 判事補

2号 検察官

3号 弁護士

4号 裁判所調査官、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務事務官又は法務教官

5号 第41条第1項第6号 《最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の…》 素養のある年齢40年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも10人は、10年以上第1号及び第2号に掲げる職の一若しくは2に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算し の大学の法律学の教授又は准教授

2項 前項の規定の適用については、同項第2号ないし[から〜まで]第4号に掲げる職に在つた年数は、司法修習生の修習を終えた後の年数に限り、これを当該職に在つた年数とする。

3項 司法修習生の修習を終えないで検察官に任命された者の 第66条 《 採用 司法修習生は、司法試験に合格した…》 者司法試験法1949年法律第140号第4条第2項の規定により司法試験を受け、これに合格した者にあつては、その合格の発表の日の属する年の4月1日以降に法科大学院学校教育法1947年法律第26号第99条第 の試験に合格した後の検察官(副検事を除く。又は弁護士の職に在つた年数については、前項の規定は、これを適用しない。

45条

1項 多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者は、前条第1項に掲げる者に該当しないときでも、簡易裁判所判事選考委員会の選考を経て、簡易裁判所判事に任命されることができる。

2項 簡易裁判所判事選考委員会に関する規程は、最高裁判所がこれを定める。

46条

1項 他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者のほか、次の各号のいずれかに該当する者は、これを裁判官に任命することができない。

1号 拘禁刑以上の刑に処せられた者

2号 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者

47条

1項 下級裁判所の裁判官の職は、最高裁判所がこれを補する。

48条

1項 裁判官は、公の弾劾又は国民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない。

49条

1項 裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

50条

1項 最高裁判所の裁判官は、年齢70年、高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、年齢65年、簡易裁判所の裁判官は、年齢70年に達した時に退官する。

51条

1項 裁判官の受ける報酬については、別に法律でこれを定める。

52条

1項 裁判官は、在任中、左の行為をすることができない。

1号 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。

2号 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。

3号 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。

2章 裁判官以外の裁判所の職員

53条

1項 最高裁判所に最高裁判所事務総長1人を置く。

2項 最高裁判所事務総長は、最高裁判所長官の監督を受けて、最高裁判所の事務総局の事務を掌理し、事務総局の職員を指揮監督する。

54条

1項 最高裁判所に最高裁判所長官秘書官1人及び最高裁判所判事秘書官14人を置く。

2項 最高裁判所長官秘書官は、最高裁判所長官の、最高裁判所判事秘書官は、最高裁判所判事の命を受けて、機密に関する事務を掌る。

55条

1項 最高裁判所に司法研修所教官を置く。

2項 司法研修所教官は、上司の指揮を受けて、司法研修所における裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習の指導をつかさどる。

56条

1項 最高裁判所に司法研修所長を置き、司法研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。

2項 司法研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、司法研修所の事務を掌理し、司法研修所の職員を指揮監督する。

56条の2

1項 最高裁判所に裁判所職員総合研修所教官を置く。

2項 裁判所職員総合研修所教官は、上司の指揮を受けて、裁判所職員総合研修所における裁判所書記官、家庭裁判所調査官その他の裁判官以外の裁判所の職員の研究及び修養の指導をつかさどる。

56条の3

1項 最高裁判所に裁判所職員総合研修所長を置き、裁判所職員総合研修所教官の中から、最高裁判所が、これを補する。

2項 裁判所職員総合研修所長は、最高裁判所長官の監督を受けて、裁判所職員総合研修所の事務を掌理し、裁判所職員総合研修所の職員を指揮監督する。

56条の4

1項 最高裁判所に最高裁判所図書館長1人を置き、裁判所の職員の中からこれを命ずる。

2項 最高裁判所図書館長は、最高裁判所長官の監督を受けて最高裁判所図書館の事務を掌理し、最高裁判所図書館の職員を指揮監督する。

3項 前2項の規定は、 国立国会図書館法 の規定の適用を妨げない。

56条の5

1項 各高等裁判所に高等裁判所長官秘書官各1人を置く。

2項 高等裁判所長官秘書官は、高等裁判所長官の命を受けて、機密に関する事務をつかさどる。

57条

1項 最高裁判所、各高等裁判所及び各地方裁判所に裁判所調査官を置く。

2項 裁判所調査官は、裁判官の命を受けて、事件(地方裁判所においては、知的財産又は租税に関する事件に限る。)の審理及び裁判に関して必要な調査その他他の法律において定める事務をつかさどる。

58条

1項 各裁判所に裁判所事務官を置く。

2項 裁判所事務官は、上司の命を受けて、裁判所の事務を掌る。

59条

1項 各高等裁判所、各地方裁判所及び各家庭裁判所に事務局長を置き、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを補する。

2項 各高等裁判所の事務局長は、各高等裁判所長官の、各地方裁判所の事務局長は、各地方裁判所長の、各家庭裁判所の事務局長は、各家庭裁判所長の監督を受けて、事務局の事務を掌理し、事務局の職員を指揮監督する。

60条

1項 各裁判所に裁判所書記官を置く。

2項 裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録その他の書類又は電磁的記録の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。

3項 裁判所書記官は、前項の事務を掌るほか、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行う法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する。

4項 裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

5項 裁判所書記官は、口述の書取その他書類又は電磁的記録の作成又は変更に関して裁判官の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添え、又は併せて記録することができる。

60条の2

1項 各裁判所に裁判所速記官を置く。

2項 裁判所速記官は、裁判所の事件に関する速記及びこれに関する事務を掌る。

3項 裁判所速記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

61条

1項 各裁判所に裁判所技官を置く。

2項 裁判所技官は、上司の命を受けて、技術を掌る。

61条の2

1項 各家庭裁判所及び各高等裁判所に家庭裁判所調査官を置く。

2項 家庭裁判所調査官は、各家庭裁判所においては、 第31条の3第1項第1号 《家庭裁判所は、次の権限を有する。 1 家…》 事事件手続法2011年法律第52号で定める家庭に関する事件の審判及び調停 2 人事訴訟法2003年法律第109号で定める人事訴訟の第一審の裁判 3 少年法1948年法律第168号で定める少年の保護事件 の審判及び調停、同項第2号の裁判( 人事訴訟法 第32条第1項 《裁判所は、申立てにより、夫婦の一方が他の…》 一方に対して提起した婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る請求を認容する判決において、子の監護者の指定その他の子の監護に関する処分、財産の分与に関する処分、親権行使者民法第824条の2第3項の規定により単独 の附帯処分についての裁判及び同条第3項の親権者の指定についての裁判(以下この項において「 附帯処分等の裁判 」という。)に限る。並びに 第31条の3第1項第3号 《家庭裁判所は、次の権限を有する。 1 家…》 事事件手続法2011年法律第52号で定める家庭に関する事件の審判及び調停 2 人事訴訟法2003年法律第109号で定める人事訴訟の第一審の裁判 3 少年法1948年法律第168号で定める少年の保護事件 の審判に必要な調査その他他の法律において定める事務を掌り、各高等裁判所においては、同項第1号の審判に係る抗告審の審理及び 附帯処分等の裁判 に係る控訴審の審理に必要な調査その他他の法律において定める事務を掌る。

3項 最高裁判所は、家庭裁判所調査官の中から、首席家庭裁判所調査官を命じ、調査事務の監督、関係行政機関その他の機関との連絡調整等の事務を掌らせることができる。

4項 家庭裁判所調査官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。

61条の3

1項 各家庭裁判所に家庭裁判所調査官補を置く。

2項 家庭裁判所調査官補は、上司の命を受けて、家庭裁判所調査官の事務を補助する。

62条

1項 各地方裁判所に執行官を置く。

2項 執行官に任命されるのに必要な資格に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。

3項 執行官は、他の法律の定めるところにより裁判の執行、裁判所の発する文書の送達その他の事務を行う。

4項 執行官は、手数料を受けるものとし、その手数料が一定の額に達しないときは、国庫から補助金を受ける。

63条

1項 各裁判所に廷吏を置く。

2項 廷吏は、法廷において裁判官の命ずる事務その他最高裁判所の定める事務を取り扱う。

3項 各裁判所は、執行官を用いることができないときは、その裁判所の所在地で書類を送達するために、廷吏を用いることができる。

64条

1項 裁判官以外の裁判所の職員の任免は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所又は各家庭裁判所がこれを行う。

65条

1項 裁判所調査官、裁判所事務官(事務局長たるものを除く。)、裁判所書記官、裁判所速記官、家庭裁判所調査官、家庭裁判所調査官補、執行官及び裁判所技官の勤務する裁判所は、最高裁判所の定めるところにより最高裁判所、各高等裁判所、各地方裁判所又は各家庭裁判所がこれを定める。

65条の2

1項 裁判官以外の裁判所の職員に関する事項については、この法律に定めるものの外、別に法律でこれを定める。

3章 司法修習生

66条

1項 司法修習生は、司法試験に合格した者( 司法試験法 1949年法律第140号第4条第2項 《2 前項の規定にかかわらず、司法試験は、…》 第1号に掲げる者が、第2号に掲げる期間において受けることができる。 1 法科大学院の課程に在学する者であつて、法務省令で定めるところにより、当該法科大学院を設置する大学の学長が、次のイ及びロに掲げる要 の規定により司法試験を受け、これに合格した者にあつては、その合格の発表の日の属する年の4月1日以降に法科大学院( 学校教育法 1947年法律第26号第99条第2項 《大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研…》 究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とする。 に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。)の課程を修了したものに限る。)の中から、最高裁判所がこれを命ずる。

2項 前項の試験に関する事項は、別に法律でこれを定める。

67条

1項 司法修習生は、少なくとも1年間修習をした後試験に合格したときは、司法修習生の修習を終える。

2項 司法修習生は、その修習期間中、最高裁判所の定めるところにより、その修習に専念しなければならない。

3項 前項に定めるもののほか、第1項の修習及び試験に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。

67条の2

1項 司法修習生には、その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、修習給付金を支給する。

2項 修習給付金の種類は、基本給付金、住居給付金及び移転給付金とする。

3項 基本給付金の額は、司法修習生がその修習期間中の生活を維持するために必要な費用であつて、その修習に専念しなければならないことその他の司法修習生の置かれている状況を勘案して最高裁判所が定める額とする。

4項 住居給付金は、司法修習生が自ら居住するため住宅(貸間を含む。以下この項において同じ。)を借り受け、家賃(使用料を含む。以下この項において同じ。)を支払つている場合(配偶者が当該住宅を所有する場合その他の最高裁判所が定める場合を除く。)に支給することとし、その額は、家賃として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額とする。

5項 移転給付金は、司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給することとし、その額は、路程に応じて最高裁判所が定める額とする。

6項 前各項に定めるもののほか、修習給付金の支給に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

67条の3

1項 最高裁判所は、司法修習生の修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間、司法修習生に対し、その申請により、無利息で、修習専念資金(司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金であつて、修習給付金の支給を受けてもなお必要なものをいう。以下この条において同じ。)を貸与するものとする。

2項 修習専念資金の額及び返還の期限は、最高裁判所の定めるところによる。

3項 最高裁判所は、修習専念資金の貸与を受けた者が災害、傷病その他やむを得ない理由により修習専念資金を返還することが困難となつたとき、又は修習専念資金の貸与を受けた者について修習専念資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは、その返還の期限を猶予することができる。この場合においては、 国の債権の管理等に関する法律 1956年法律第114号第26条 《履行延期の特約等に係る措置 歳入徴収官…》 等は、その所掌に属する債権について履行延期の特約等をする場合には、政令で定めるところにより、担保を提供させ、かつ、利息を附するものとする。 ただし、第24条第1項第1号に該当する場合、当該債権が第33 の規定は、適用しない。

4項 最高裁判所は、修習専念資金の貸与を受けた者が死亡又は精神若しくは身体の障害により修習専念資金を返還することができなくなつたときは、その修習専念資金の全部又は一部の返還を免除することができる。

5項 前各項に定めるもののほか、修習専念資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

68条

1項 最高裁判所は、司法修習生に成績不良、心身の故障その他のその修習を継続することが困難である事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、最高裁判所の定めるところにより、その司法修習生を罷免することができる。

2項 最高裁判所は、司法修習生に品位を辱める行状その他の司法修習生たるに適しない非行に当たる事由として最高裁判所の定める事由があると認めるときは、最高裁判所の定めるところにより、その司法修習生を罷免し、その修習の停止を命じ、又は戒告することができる。

5編 裁判事務の取扱 > 1章 法廷

69条

1項 法廷は、裁判所又は支部でこれを開く。

2項 最高裁判所は、必要と認めるときは、前項の規定にかかわらず、他の場所で法廷を開き、又はその指定する他の場所で下級裁判所に法廷を開かせることができる。

70条

1項 裁判所は、 日本国憲法 第82条第2項 《裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又…》 は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。 但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第3章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこ の規定により対審を公開しないで行うには、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。判決を言い渡すときは、再び公衆を入廷させなければならない。

71条

1項 法廷における秩序の維持は、裁判長又は開廷をした1人の裁判官がこれを行う。

2項 裁判長又は開廷をした1人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。

71条の2

1項 裁判長又は開廷をした1人の裁判官は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、警視総監又は道府県警察本部長に警察官の派出を要求することができる。法廷における秩序を維持するため特に必要があると認めるときは、開廷前においてもその要求をすることができる。

2項 前項の要求により派出された警察官は、法廷における秩序の維持につき、裁判長又は1人の裁判官の指揮を受ける。

72条

1項 裁判所が他の法律の定めるところにより法廷外の場所で職務を行う場合において、裁判長又は1人の裁判官は、裁判所の職務の執行を妨げる者に対し、退去を命じ、その他必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。

2項 前条の規定は、前項の場合にこれを準用する。

3項 前2項に規定する裁判長の権限は、裁判官が他の法律の定めるところにより法廷外の場所で職務を行う場合において、その裁判官もこれを有する。

73条

1項 第71条 《 法廷の秩序維持 法廷における秩序の維持…》 は、裁判長又は開廷をした1人の裁判官がこれを行う。 裁判長又は開廷をした1人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持する 又は前条の規定による命令に違反して裁判所又は裁判官の職務の執行を妨げた者は、1年以下の拘禁刑又は30,000円以下の罰金に処する。

2章 裁判所の用語

74条

1項 裁判所では、日本語を用いる。

3章 裁判の評議

75条

1項 合議体でする裁判の評議は、これを公行しない。但し、司法修習生の傍聴を許すことができる。

2項 評議は、裁判長が、これを開き、且つこれを整理する。その評議の経過並びに各裁判官の意見及びその多少の数については、この法律に特別の定がない限り、秘密を守らなければならない。

76条

1項 裁判官は、評議において、その意見を述べなければならない。

77条

1項 裁判は、最高裁判所の裁判について最高裁判所が特別の定をした場合を除いて、過半数の意見による。

2項 過半数の意見によつて裁判をする場合において、左の事項について意見が三説以上に分れ、その説が各々過半数にならないときは、裁判は、左の意見による。

1号 数額については、過半数になるまで最も多額の意見の数を順次少額の意見の数に加え、その中で最も少額の意見

2号 刑事については、過半数になるまで被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え、その中で最も利益な意見

78条

1項 合議体の審理が長時日にわたることの予見される場合においては、補充の裁判官が審理に立ち会い、その審理中に合議体の裁判官が審理に関与することができなくなつた場合において、あらかじめ定める順序に従い、これに代つて、その合議体に加わり審理及び裁判をすることができる。但し、補充の裁判官の員数は、合議体の裁判官の員数を越えることができない。

4章 裁判所の共助

79条

1項 裁判所は、裁判事務について、互に必要な補助をする。

6編 司法行政

80条

1項 司法行政の監督権は、左の各号の定めるところによりこれを行う。

1号 最高裁判所は、最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。

2号 各高等裁判所は、その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監督する。

3号 各地方裁判所は、その地方裁判所の職員並びに管轄区域内の簡易裁判所及びその職員を監督する。

4号 各家庭裁判所は、その家庭裁判所の職員を監督する。

5号 第37条 《 司法行政事務 各簡易裁判所の司法行政事…》 務は、簡易裁判所の裁判官が、1人のときは、その裁判官が、2人以上のときは、最高裁判所の指名する1人の裁判官がこれを掌理する。 に規定する簡易裁判所の裁判官は、その簡易裁判所の裁判官以外の職員を監督する。

81条

1項 前条の監督権は、裁判官の裁判権に影響を及ぼし、又はこれを制限することはない。

82条

1項 裁判所の事務の取扱方法に対して申し立てられた不服は、 第80条 《 司法行政の監督 司法行政の監督権は、左…》 の各号の定めるところによりこれを行う。 1 最高裁判所は、最高裁判所の職員並びに下級裁判所及びその職員を監督する。 2 各高等裁判所は、その高等裁判所の職員並びに管轄区域内の下級裁判所及びその職員を監 の監督権によりこれを処分する。

7編 裁判所の経費

83条

1項 裁判所の経費は、独立して、国の予算にこれを計上しなければならない。

2項 前項の経費中には、予備金を設けることを要する。

《本則》 ここまで 附則 >  

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