司法試験法《本則》

法番号:1949年法律第140号

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1章 司法試験等

1条 (司法試験の目的等)

1項 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。

2項 裁判所法 1947年法律第59号第66条 《 採用 司法修習生は、司法試験に合格した…》 者司法試験法1949年法律第140号第4条第2項の規定により司法試験を受け、これに合格した者にあつては、その合格の発表の日の属する年の4月1日以降に法科大学院学校教育法1947年法律第26号第99条第 の試験は、この法律により行う。

3項 司法試験は、法科大学院( 学校教育法 1947年法律第26号第99条第2項 《大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研…》 究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とする。 に規定する専門職大学院であつて、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。 第4条 《 次の各号に掲げる学校の設置廃止、設置者…》 の変更その他政令で定める事項次条において「設置廃止等」という。は、それぞれ当該各号に定める者の認可を受けなければならない。 これらの学校のうち、高等学校中等教育学校の後期課程を含む。の通常の課程以下「 において同じ。)の課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うものとする。

2条 (司法試験の方法等)

1項 司法試験は、短答式(択一式を含む。以下同じ。及び論文式による筆記の方法により行う。

2項 司法試験の合格者の判定は、短答式による筆記試験の合格に必要な成績を得た者につき、短答式による筆記試験及び論文式による筆記試験の成績を総合して行うものとする。

3条 (司法試験の試験科目等)

1項 短答式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。

1号 憲法

2号 民法

3号 刑法

2項 論文式による筆記試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。

1号 公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目をいう。

2号 民事系科目(民法、商法及び 民事訴訟法 に関する分野の科目をいう。

3号 刑事系科目(刑法及び 刑事訴訟法 に関する分野の科目をいう。

4号 専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目

3項 前2項に掲げる試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。

4項 司法試験においては、その受験者が裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏することなく、法律に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならない。

4条 (司法試験の受験資格等)

1項 司法試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において受けることができる。

1号 法科大学院の課程を修了した者その修了の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間

2号 司法試験予備試験に合格した者その合格の発表の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間

2項 前項の規定にかかわらず、司法試験は、第1号に掲げる者が、第2号に掲げる期間において受けることができる。

1号 法科大学院の課程に在学する者であつて、法務省令で定めるところにより、当該法科大学院を設置する大学の学長が、次のイ及びロに掲げる要件を満たすことについて認定をしたもの

当該法科大学院において所定科目単位(裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを司法試験により判定するために必要なものとして法務省令で定める科目の単位をいう。)を修得していること。

司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に当該法科大学院の課程を修了する見込みがあること。

2号 この項の規定により前号の法科大学院の課程に在学している間に最初に司法試験を受けた日の属する年の4月1日から当該法科大学院の課程を修了若しくは退学するまでの期間又は同日から5年を経過するまでの期間のいずれか短い期間

3項 前項の規定により司法試験を受けた者が同項第1号の法科大学院の課程を修了した場合における第1項第1号の規定の適用については、同号中「その修了の日後の最初の」とあるのは、「次項の規定により最初に司法試験を受けた日の属する年の」とする。

4項 第1項又は第2項の規定により司法試験を受けた者は、その受験に係る受験資格(第1項各号に規定する法科大学院の課程の修了若しくは司法試験予備試験の合格又は第2項第1号に規定する法科大学院の課程の在学及び当該法科大学院を設置する大学の学長の認定をいう。以下この項において同じ。)に対応する受験期間(第1項各号に定める期間又は第2項第2号に掲げる期間をいう。)においては、他の受験資格に基づいて司法試験を受けることはできない。

5条 (司法試験予備試験)

1項 司法試験 予備試験 以下「 予備試験 」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第1項第1号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。

2項 短答式による筆記試験は、次に掲げる科目について行う。

1号 憲法

2号 行政法

3号 民法

4号 商法

5号 民事訴訟法

6号 刑法

7号 刑事訴訟法

8号 一般教養科目

3項 論文式による筆記試験は、短答式による筆記試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。

1号 前項第1号から第7号までに掲げる科目

2号 専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目

3号 法律実務基礎科目(法律に関する実務の基礎的素養(実務の経験により修得されるものを含む。)についての科目をいう。次項において同じ。

4項 口述試験は、筆記試験に合格した者につき、法的な推論、分析及び構成に基づいて弁論をする能力を有するかどうかの判定に意を用い、法律実務基礎科目について行う。

5項 前3項に規定する試験科目については、法務省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。

6条 (司法試験委員会の意見の聴取)

1項 法務大臣は、 第3条第2項第4号 《2 論文式による筆記試験は、裁判官、検察…》 又は弁護士となろうとする者に必要な専門的な学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。 1 公法系科目憲法及び行政法に関する分野の科 若しくは第3項又は前条第3項第2号若しくは第5項の法務省令を制定し、又は改廃しようとするときは、司法試験委員会の意見を聴かなければならない。

7条 (司法試験等の実施)

1項 司法試験及び 予備試験 は、それぞれ、司法試験委員会が毎年一回以上行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもつて公告する。

8条 (合格者の決定方法)

1項 司法試験の合格者は司法試験考査委員の合議による判定に基づき、 予備試験 の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ司法試験委員会が決定する。

9条 (合格証書)

1項 司法試験又は 予備試験 に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。

10条 (合格の取消し等)

1項 司法試験委員会は、不正の手段によつて司法試験若しくは 予備試験 を受け、若しくは受けようとした者又はこの法律若しくはこの法律に基づく法務省令に違反した者に対しては、その試験を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は情状により5年以内の期間を定めて司法試験若しくは予備試験を受けることができないものとすることができる。

11条 (受験手数料)

1項 司法試験又は 予備試験 を受けようとする者は、それぞれ実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。

2項 前項の規定により納付した受験手数料は、当該試験を受けなかつた場合においても返還しない。

2章 司法試験委員会

12条 (司法試験委員会の設置及び所掌事務)

1項 法務省に、司法試験 委員会 以下この章において「 委員会 」という。)を置く。

2項 委員会 は、次に掲げる事務をつかさどる。

1号 司法試験及び 予備試験 を行うこと。

2号 法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び 予備試験 の実施に関する重要事項について調査審議すること。

3号 司法試験及び 予備試験 の実施に関する重要事項に関し、法務大臣に意見を述べること。

4号 その他法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3項 委員会 は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対し、必要な資料の提供その他の協力を求めることができる。

13条 (委員)

1項 委員会 は、委員7人をもつて組織する。

2項 委員は、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者のうちから、法務大臣が任命する。

3項 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4項 委員は、再任されることができる。

5項 委員は、非常勤とする。

14条 (委員長)

1項 委員長は、委員の互選に基づき、法務大臣が任命する。

2項 委員長は、 委員会 の会務を総理し、委員会を代表する。

3項 委員会 は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

15条 (司法試験考査委員等)

1項 委員会 に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、 予備試験 における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「 予備試験考査委員 」という。)を置く。

2項 司法試験考査委員及び 予備試験 考査委員は、 委員会 の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。

3項 司法試験考査委員及び 予備試験 考査委員は、非常勤とする。

16条 (政令への委任)

1項 第12条 《司法試験委員会の設置及び所掌事務 法務…》 省に、司法試験委員会以下この章において「委員会」という。を置く。 2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。 1 司法試験及び予備試験を行うこと。 2 法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施 から前条までに定めるもののほか、 委員会 の委員、司法試験考査委員及び 予備試験 考査委員に関する事項その他委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

3章 補則

17条 (法務省令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、司法試験及び 予備試験 の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

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