外国政府の不動産に関する権利の取得に関する政令《本則》

法番号:1949年政令第311号

略称:

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制定文 内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(1945年勅令第542号)に基き、この政令を制定する。


1条 (目的)

1項 この政令は、外国政府の日本における不動産に関する権利の公正な取得を確保するため、これに関する取引を調整することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この政令において「 外国政府 」とは、財務大臣の指定した国の政府又は政府機関をいう。

3条 (承認)

1項 外国政府 が土地、建物の全部若しくは一部又はこれらに附属する設備(以下「 不動産 」という。)を取得(地上権の設定を含む。以下同じ。)し、又は賃借(使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。)しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。

2項 前項の規定による承認は、当該 不動産 の取得若しくは賃借又は当該不動産の使用若しくは改良のため必要な物資若しくは用役の取得について他の法令の規定により必要とされる認可、許可その他の処分を排除するものではない。

4条 (承認を受けない不動産の取得又は賃借)

1項 外国政府 による 不動産 の取得又は賃借は、前条第1項の承認のないときは、効力を生じない。

5条 (直接契約の禁止)

1項 外国政府 不動産 日本国政府の所有に係るものを除く。)を取得し、又は賃借しようとする場合においては、当該不動産の所有者その他の権利者は、当該外国政府と直接に当該取得又は賃借を目的とする契約を締結することができない。

6条 (協議、委託及び申込)

1項 外国政府 は、 不動産 日本国政府の所有に係るものを除く。)を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者その他の権利者と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得し、又は賃借することを委託しなければならない。

2項 外国政府 は、日本国政府の所有に係る 不動産 を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ財務大臣(当該不動産が普通財産として財務大臣に引き継ぐことを要しないものである場合には、当該不動産を所管する各省各庁の長( 国有財産法 1948年法律第73号)に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)とする。)と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し当該不動産の取得又は賃借の申込をしなければならない。

7条 (書類の提出)

1項 外国政府 不動産 日本国政府の所有に係るものを除く。)を取得し、又は賃借しようとする場合には、財務省令の定めるところにより、委託の申込及び承認の申請に関する書類を財務大臣に提出しなければならない。

2項 外国政府 が日本国政府の所有に係る 不動産 を取得し、又は賃借しようとする場合には、財務省令の定めるところにより、取得又は賃借の申込及び承認の申請に関する書類を財務大臣に提出しなければならない。

8条 (明らかにしなければならない事項)

1項 前条第1項又は第2項の場合においては、 外国政府 は、財務省令の定めるところにより、同条第1項又は第2項に規定する書類において、当該 不動産 の取得又は賃借が左に掲げる事項に該当するかどうかを明らかにしなければならない。

1号 目的が明らかであり、且つ、正常な活動のため必要であること。

2号 不動産 の需給状況等に照らし不当でないこと。

3号 取引が公正であり、且つ、詐欺、強迫又は不当の圧迫によるものでないこと。

4号 対価が日本国政府の認める外国通貨を交換した邦貨(小切手を含む。又は物資若しくは用役をもつて支払われること。

8条の2 (権利の移転)

1項 財務大臣は、 第3条第1項 《外国政府が土地、建物の全部若しくは一部又…》 はこれらに附属する設備以下「不動産」という。を取得地上権の設定を含む。以下同じ。し、又は賃借使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。 の承認をしたときは、遅滞なく、 外国政府 のために 不動産 第6条第1項 《外国政府は、不動産日本国政府の所有に係る…》 ものを除く。を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者その他の権利者と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得 の協議により定められた条件で取得し、又は賃借し、且つ、当該外国政府に当該不動産又はこれに関する権利を同1条件で譲渡し、又は転貸するものとする。

2項 財務大臣は、 第3条第1項 《外国政府が土地、建物の全部若しくは一部又…》 はこれらに附属する設備以下「不動産」という。を取得地上権の設定を含む。以下同じ。し、又は賃借使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。 の承認をしたときは、遅滞なく、 第6条第2項 《2 外国政府は、日本国政府の所有に係る不…》 動産を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ財務大臣当該不動産が普通財産として財務大臣に引き継ぐことを要しないものである場合には、当該不動産を所管する各省各庁の長国有財産法1948年法律第73 の協議により定められた条件で 外国政府 不動産 を譲渡し、若しくは賃貸し、又は不動産に関する権利を与えるものとする。この場合において、当該不動産が普通財産として財務大臣に引き継ぐことを要しないものであるときは、財務大臣は、当該不動産を所管する各省各庁の長の委託を受けて、これらの行為をするものとする。

9条 (取得代金及び賃借料の処理)

1項 財務大臣は、 外国政府 から 不動産 の取得又は賃借について、 第6条第1項 《外国政府は、不動産日本国政府の所有に係る…》 ものを除く。を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者その他の権利者と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得 の委託又は同条第2項の申込があつたときは、当該不動産の取得代金又は賃借料に充てるべき当該外国政府の資金を出納保管してその目的に充てることができる。

2項 財務大臣は、 外国政府 から 不動産 の取得又は賃借について、 第6条第1項 《外国政府は、不動産日本国政府の所有に係る…》 ものを除く。を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者その他の権利者と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得 の委託又は同条第2項の申込があつたときは、当該外国政府が貿易特別会計に対し有していた債権で同特別会計の廃止に伴い一般会計に対する債権となつたものを取り立て、当該不動産の取得代金又は賃借料に充てることができる。

3項 財務大臣は、 外国政府 から 不動産 の取得又は賃借について、 第6条第1項 《外国政府は、不動産日本国政府の所有に係る…》 ものを除く。を取得し、又は賃借しようとするときは、あらかじめ当該不動産の所有者その他の権利者と取得代金又は賃借料その他の取引の条件について協議を遂げ、且つ、日本国政府に対し自己のために当該不動産を取得 の委託又は同条第2項の申込があつたときは、当該外国政府の提供する物資又は用役をもつて、当該不動産の取得代金又は賃借料に充てることができる。

4項 財務大臣は、第1項に規定する 外国政府 の資金、外国政府が日本国政府に支払う対価及び日本国政府が当該 不動産 の所有者その他の権利者に支払う対価の出納保管等については、財政法(1947年法律第34号)、 会計法 1947年法律第35号及びこれらの規定に基く命令の規定にかかわらず、財務省令の定めるところにより、歳入歳出外として経理しなければならない。

10条 (財務大臣の事務の処理)

1項 財務大臣は、この政令の規定によりその権限に属せしめられた事務の処理を、財務局長又は財務支局長に委任して行わせることができる。

2項 この政令の規定により財務大臣の権限に属せしめられた事務の処理について必要な事項は、財務省令で定める。

11条 (他の法令に関する特例)

1項 この政令の規定は、 外国政府 連合国財産の返還等に関する政令 1951年政令第6号又は 連合国財産上の家屋等の譲渡等に関する政令 1948年政令第298号)に基き 不動産 の返還又は譲渡を受ける場合には適用しない。

2項 国有財産法 の規定は、 第8条の2第1項 《財務大臣は、第3条第1項の承認をしたとき…》 は、遅滞なく、外国政府のために不動産を第6条第1項の協議により定められた条件で取得し、又は賃借し、且つ、当該外国政府に当該不動産又はこれに関する権利を同1条件で譲渡し、又は転貸するものとする。 の規定により国が取得し、若しくは賃借し、又は譲渡し、若しくは転貸する 不動産 又はこれに関する権利には適用しない。

12条 (報告徴収及び立入検査)

1項 財務大臣は、左に掲げる場合においては、 第3条第1項 《外国政府が土地、建物の全部若しくは一部又…》 はこれらに附属する設備以下「不動産」という。を取得地上権の設定を含む。以下同じ。し、又は賃借使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。 の規定によりその取得又は賃借につき承認を受けなければならない 不動産 について、 外国政府 、当該不動産の所有者その他の利害関係人から報告を徴し、又は当該職員をして必要な場所に立ち入り、当該不動産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

1号 第3条第1項 《外国政府が土地、建物の全部若しくは一部又…》 はこれらに附属する設備以下「不動産」という。を取得地上権の設定を含む。以下同じ。し、又は賃借使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。 の規定による承認の申請があつた場合において、調査の必要があるとき。

2号 第3条第1項 《外国政府が土地、建物の全部若しくは一部又…》 はこれらに附属する設備以下「不動産」という。を取得地上権の設定を含む。以下同じ。し、又は賃借使用貸借に基く借用を含む。以下同じ。しようとするときは、財務大臣の承認を受けなければならない。 に該当する 不動産 の取得又は賃借が、同項の承認を受けないで行われ、又は行われようとしていると認める相当な理由があるとき。

2項 前項の規定により当該職員が、立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、請求により提示しなければならない。

3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

《本則》 ここまで 附則 >  

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