民事調停法《本則》

法番号:1951年法律第222号

略称: 民調法

附則 >  

1章 総則 > 1節 通則

1条 (この法律の目的)

1項 この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする。

2条 (調停事件)

1項 民事に関して紛争を生じたときは、当事者は、裁判所に調停の申立てをすることができる。

3条 (管轄)

1項 調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。

2項 調停事件は、日本国内に相手方(法人その他の社団又は財団を除く。)の住所及び居所がないとき、又は住所及び居所が知れないときは、その最後の住所地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。

3項 調停事件は、相手方が法人その他の社団又は財団(外国の社団又は財団を除く。)である場合において、日本国内にその事務所若しくは営業所がないとき、又はその事務所若しくは営業所の所在地が知れないときは、代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。

4項 調停事件は、相手方が外国の社団又は財団である場合において、日本国内にその事務所又は営業所がないときは、日本における代表者その他の主たる業務担当者の住所地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。

4条 (移送等)

1項 裁判所は、調停事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるとき(次項本文に規定するときを除く。)は、申立てにより又は職権で、これを管轄権のある地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。ただし、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、職権で、土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。

2項 裁判所は、調停事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合であって、その事件が 家事事件手続法 2011年法律第52号第244条 《調停事項等 家庭裁判所は、人事に関する…》 訴訟事件その他家庭に関する事件別表第1に掲げる事項についての事件を除く。について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。 の規定により家庭裁判所が調停を行うことができる事件であるときは、職権で、これを管轄権のある家庭裁判所に移送しなければならない。ただし、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を他の家庭裁判所に移送することができる。

3項 裁判所は、調停事件がその管轄に属する場合においても、事件を処理するために適当であると認めるときは、職権で、土地管轄の規定にかかわらず、事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

4条の2 (調停の申立て)

1項 調停の申立ては、申立書を裁判所に提出してしなければならない。

2項 前項の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

1号 当事者及び法定代理人

2号 申立ての趣旨及び紛争の要点

5条 (調停機関)

1項 裁判所は、調停委員会で調停を行う。ただし、裁判所が相当であると認めるときは、裁判官だけでこれを行うことができる。

2項 裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。

6条 (調停委員会の組織)

1項 調停委員会は、調停主任1人及び民事調停委員2人以上で組織する。

7条 (調停主任等の指定)

1項 調停主任は、裁判官の中から、地方裁判所が指定する。

2項 調停委員会を組織する民事調停委員は、裁判所が各事件について指定する。

8条 (民事調停委員)

1項 民事調停委員は、調停委員会で行う調停に関与するほか、裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行い、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行う。

2項 民事調停委員は、非常勤とし、その任免に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。

9条 (民事調停委員の除斥)

1項 民事調停委員の除斥については、 非訟事件手続法 2011年法律第51号第11条 《裁判官の除斥 裁判官は、次に掲げる場合…》 には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第6号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 1 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事第13条第2項 《2 地方裁判所における前項の裁判は、合議…》 体でする。 、第8項及び第9項並びに 第14条第2項 《2 裁判所書記官について除斥又は忌避の申…》 立てがあったときは、その裁判所書記官は、その申立てについての裁判が確定するまでその申立てがあった非訟事件に関与することができない。 ただし、前項において準用する前条第5項各号に掲げる事由があるとして忌 の規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。

2項 民事調停委員の除斥についての裁判は、民事調停委員の所属する裁判所がする。

10条 (手当等)

1項 民事調停委員には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。

11条 (利害関係人の参加)

1項 調停の結果について利害関係を有する者は、調停委員会の許可を受けて、調停手続に参加することができる。

2項 調停委員会は、相当であると認めるときは、調停の結果について利害関係を有する者を調停手続に参加させることができる。

12条 (調停前の措置)

1項 調停委員会は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる行為の排除を命ずることができる。

2項 前項の措置は、執行力を有しない。

12条の2 (調停手続の指揮)

1項 調停委員会における調停手続は、調停主任が指揮する。

12条の3 (期日の呼出し)

1項 調停委員会は、調停手続の期日を定めて、事件の関係人を呼び出さなければならない。

12条の4 (調停の場所)

1項 調停委員会は、事件の実情を考慮して、裁判所外の適当な場所で調停を行うことができる。

12条の5 (電子調書の作成)

1項 裁判所書記官は、調停手続の期日について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。ただし、調停主任においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。

2項 裁判所書記官は、前項の規定により電子調書を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これを裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル( 第12条の7第2項 《2 当事者又は利害関係を疎明した第三者は…》 、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計 及び第3項並びに 第12条の8 《調停事件に関する事項の証明 当事者又は…》 利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調停事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付 を除き、以下単に「ファイル」という。)に記録しなければならない。

12条の6 (非電磁的事件記録の閲覧等)

1項 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(調停事件の記録中次条第1項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。次項及び 第12条の9 《秘密保護のための閲覧等の制限 民事訴訟…》 法第92条の規定は、調停事件の記録の閲覧等非電磁的事件記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証 において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

2項 民事訴訟法 1996年法律第109号第91条第4項 《4 前項の規定は、非電磁的訴訟記録中の録…》 音テープ又はビデオテープこれらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。に関しては、適用しない。 この場合において、これらの物について当事者又は利害関係を疎明した第三者の請求があるときは、裁判所 及び第5項の規定は、非電磁的事件記録について準用する。

12条の7 (電磁的事件記録の閲覧等)

1項 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(調停事件の記録中この法律その他の法令の規定によりファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条及び 第12条の9 《秘密保護のための閲覧等の制限 民事訴訟…》 法第92条の規定は、調停事件の記録の閲覧等非電磁的事件記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証 において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。

2項 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。

3項 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

4項 民事訴訟法 第91条第5項 《5 非電磁的訴訟記録の閲覧、謄写及び複製…》 の請求は、非電磁的訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 の規定は、第1項及び第2項の規定による電磁的事件記録に係る閲覧及び複写の請求について準用する。

12条の8 (調停事件に関する事項の証明)

1項 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、調停事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

12条の9 (秘密保護のための閲覧等の制限)

1項 民事訴訟法 第92条 《秘密保護のための閲覧等の制限 次に掲げ…》 る事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分に係る訴訟記録の閲覧等非電磁的訴訟記録の閲覧等又は電磁的訴訟記録の閲覧 の規定は、調停事件の記録の閲覧等(非電磁的事件記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供をいう。)について準用する。

12条の10 (事実の調査及び証拠調べ等)

1項 調停委員会は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをすることができる。

2項 調停委員会は、調停主任に事実の調査又は証拠調べをさせることができる。

13条 (調停をしない場合)

1項 調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、事件を終了させることができる。

14条 (調停の不成立)

1項 調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、裁判所が 第17条 《調停に代わる決定 裁判所は、調停委員会…》 の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に の決定をしないときは、調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。

15条 (裁判官の調停への準用)

1項 第11条 《利害関係人の参加 調停の結果について利…》 害関係を有する者は、調停委員会の許可を受けて、調停手続に参加することができる。 2 調停委員会は、相当であると認めるときは、調停の結果について利害関係を有する者を調停手続に参加させることができる。 から前条までの規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。

16条 (調停の成立・効力)

1項 調停において当事者間に合意が成立した場合において、その合意について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、調停が成立したものとし、その記録は、裁判上の和解と同1の効力を有する。

2項 前項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送付しなければならない。

16条の2 (調停に係る電子調書の更正決定)

1項 前条第1項の規定によりファイルに記録された電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。

2項 更正決定は、最高裁判所規則で定めるところにより、電子裁判書( 第22条 《非訟事件手続法の準用 特別の定めがある…》 場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法第2編の規定を準用する。 ただし、同法第40条、第42条、第42条の二及び第52条の規定は、この限りでない。 において準用する 非訟事件手続法 第57条第1項 《終局決定は、電子裁判書最高裁判所規則で定…》 めるところにより、非訟事件における裁判の内容を裁判所が記録した電磁的記録をいう。以下同じ。を作成してしなければならない。 ただし、即時抗告をすることができない決定については、最高裁判所規則で定めるとこ に規定する電子裁判書をいう。)を作成し、ファイルに記録してしなければならない。

3項 更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。

4項 第1項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をすることができる。

17条 (調停に代わる決定)

1項 裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。

18条 (異議の申立て)

1項 前条の決定に対しては、当事者又は利害関係人は、異議の申立てをすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間とする。

2項 裁判所は、前項の規定による異議の申立てが不適法であると認めるときは、これを却下しなければならない。

3項 前項の規定により異議の申立てを却下する裁判に対する即時抗告は、執行停止の効力を有する。

4項 適法な異議の申立てがあったときは、前条の決定は、その効力を失う。

5項 第1項の期間内に異議の申立てがないときは、前条の決定は、裁判上の和解と同1の効力を有する。

19条 (調停不成立等の場合の訴の提起)

1項 第14条 《調停の不成立 調停委員会は、当事者間に…》 合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、裁判所が第17条の決定をしないときは、調停が成立しないものとして、事件を終了させることができる。 第15条 《裁判官の調停への準用 第11条から前条…》 までの規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。 において準用する場合を含む。)の規定により事件が終了し、又は前条第4項の規定により決定が効力を失った場合において、申立人がその旨の通知を受けた日から2週間以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

19条の2 (調停の申立ての取下げ)

1項 調停の申立ては、調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。ただし、 第17条 《調停に代わる決定 裁判所は、調停委員会…》 の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に の決定がされた後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

20条 (付調停)

1項 受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りでない。

2項 前項の規定により事件を調停に付した場合において、調停が成立し又は 第17条 《調停に代わる決定 裁判所は、調停委員会…》 の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に の決定が確定したときは、訴えの取下げがあったものとみなす。

3項 第1項の規定により受訴裁判所が自ら調停により事件を処理する場合には、調停主任は、 第7条第1項 《調停主任は、裁判官の中から、地方裁判所が…》 指定する。 の規定にかかわらず、受訴裁判所がその裁判官の中から指定する。

4項 前3項の規定は、非訟事件を調停に付する場合について準用する。

20条の2 (調停が成立した場合の費用の負担)

1項 調停が成立した場合において、調停手続の費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

2項 前条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。及び 第24条の2第2項 《2 前項の事件について調停の申立てをする…》 ことなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。 ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。 の規定により調停に付された訴訟事件又は非訟事件について調停が成立した場合において、訴訟費用及び非訟事件の手続の費用の負担について特別の定めをしなかったときは、その費用は、各自が負担する。

20条の3 (訴訟手続等の中止)

1項 調停の申立てがあった事件について訴訟が係属しているとき、又は 第20条第1項 《受訴裁判所は、適当であると認めるときは、…》 職権で、事件を調停に付した上、管轄裁判所に処理させ又は自ら処理することができる。 ただし、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りでない。 若しくは 第24条の2第2項 《2 前項の事件について調停の申立てをする…》 ことなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。 ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。 の規定により事件が調停に付されたときは、受訴裁判所は、調停事件が終了するまで訴訟手続を中止することができる。ただし、事件について争点及び証拠の整理が完了した後において、当事者の合意がない場合には、この限りでない。

2項 前項の規定は、調停の申立てがあった事件について非訟事件が係属しているとき、又は 第20条第4項 《4 前3項の規定は、非訟事件を調停に付す…》 る場合について準用する。 において準用する同条第1項の規定により非訟事件が調停に付されたときについて準用する。

21条 (終局決定以外の決定に対する即時抗告)

1項 調停手続における終局決定以外の決定に対しては、この法律に定めるもののほか、最高裁判所規則で定めるところにより、即時抗告をすることができる。

21条の2 (電子情報処理組織による申立て等)

1項 調停手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「 申立て等 」という。)については、 民事訴訟法 第132条の10 《電子情報処理組織による申立て等 民事訴…》 訟に関する手続における申立てその他の申述以下「申立て等」という。のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知 から 第132条 《中断及び中止の効果 判決の言渡しは、訴…》 訟手続の中断中であっても、することができる。 2 訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。 この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始め の十二までの規定を準用する。この場合において、同法第132条の10第5項及び第6項並びに第132条の12第2項及び第3項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第132条の11第1項第1号中「第54条第1項ただし書」とあるのは「 民事調停法 第22条 《非訟事件手続法の準用 特別の定めがある…》 場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法第2編の規定を準用する。 ただし、同法第40条、第42条、第42条の二及び第52条の規定は、この限りでない。 において準用する 非訟事件手続法 2011年法律第51号第22条第1項 《法令により裁判上の行為をすることができる…》 代理人のほか、弁護士でなければ手続代理人となることができない。 ただし、第一審裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を手続代理人とすることができる。 ただし書」と、同項第2号中「 第2条 《最高裁判所規則 この法律に定めるものの…》 ほか、非訟事件の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。 」とあるのは「 第9条 《管轄の標準時 裁判所の管轄は、非訟事件…》 の申立てがあった時又は裁判所が職権で非訟事件の手続を開始した時を標準として定める。 において準用する同法第2条」と、同法第132条の12第1項第3号中「第133条の2第2項」とあるのは「 民事調停法 第21条の3 《当事者に対する住所、氏名等の秘匿 調停…》 手続における申立て等については、民事訴訟法第1編第8章の規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとす において読み替えて準用する第133条の2第2項」と読み替えるものとする。

2項 調停手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この項において同じ。)( 申立て等 が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、 民事訴訟法 第132条の13 《書面等に記録された事項のファイルへの記録…》 等 裁判所書記官は、前条第1項に規定する申立て等に係る書面等のほか、民事訴訟に関する手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、 の規定を準用する。この場合において、同条第3号中「 第133条の2第2項 《2 前項の場合において、裁判所は、申立て…》 により、決定で、訴訟記録等中秘匿事項届出部分以外のものであって秘匿事項又は秘匿事項を推知することができる事項が記載され、又は記録された部分以下この条において「秘匿事項記載部分」という。に係る訴訟記録等 」とあるのは「 民事調停法 第21条の3 《当事者に対する住所、氏名等の秘匿 調停…》 手続における申立て等については、民事訴訟法第1編第8章の規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとす において読み替えて準用する第133条の2第2項」と、同条第4号中「第133条の3第1項」とあるのは「 民事調停法 第21条の3 《当事者に対する住所、氏名等の秘匿 調停…》 手続における申立て等については、民事訴訟法第1編第8章の規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとす において読み替えて準用する第133条の3第1項」と読み替えるものとする。

21条の3 (当事者に対する住所、氏名等の秘匿)

1項 調停手続における 申立て等 については、 民事訴訟法 第1編第8章の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

22条 (非訟事件手続法の準用)

1項 特別の定めがある場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、 非訟事件手続法 第2編の規定を準用する。ただし、同法第40条、第42条、第42条の二及び第52条の規定は、この限りでない。

23条 (この法律に定のない事項)

1項 この法律に定めるもののほか、調停に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。

2節 民事調停官

23条の2 (民事調停官の任命等)

1項 民事調停官は、弁護士で5年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。

2項 民事調停官は、この法律の定めるところにより、調停事件の処理に必要な職務を行う。

3項 民事調停官は、任期を2年とし、再任されることができる。

4項 民事調停官は、非常勤とする。

5項 民事調停官は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して解任されることがない。

1号 弁護士法 1949年法律第205号第7条 《弁護士の欠格事由 次に掲げる者は、第4…》 条、第5条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。 1 拘禁刑以上の刑に処せられた者 2 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者 3 懲戒の処分により、弁護士若しくは外国法事務弁護士であつて 各号のいずれかに該当するに至ったとき。

2号 心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。

3号 職務上の義務違反その他民事調停官たるに適しない非行があると認められたとき。

6項 この法律に定めるもののほか、民事調停官の任免に関して必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

23条の3 (民事調停官の権限等)

1項 民事調停官は、裁判所の指定を受けて、調停事件を取り扱う。

2項 民事調停官は、その取り扱う調停事件の処理について、次条第3項ただし書に規定する権限並びにこの法律の規定( 第22条 《非訟事件手続法の準用 特別の定めがある…》 場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法第2編の規定を準用する。 ただし、同法第40条、第42条、第42条の二及び第52条の規定は、この限りでない。 において準用する 非訟事件手続法 の規定を含む。及び 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 1999年法律第158号)の規定において裁判官が行うものとして規定されている民事調停及び特定調停に関する権限(調停主任に係るものを含む。)のほか、次に掲げる権限を行うことができる。

1号 第4条 《移送等 裁判所は、調停事件の全部又は一…》 部がその管轄に属しないと認めるとき次項本文に規定するときを除く。は、申立てにより又は職権で、これを管轄権のある地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。 ただし、事件を処理するために特に必要が第5条第1項 《裁判所は、調停委員会で調停を行う。 ただ…》 し、裁判所が相当であると認めるときは、裁判官だけでこれを行うことができる。 ただし書、 第7条第2項 《2 調停委員会を組織する民事調停委員は、…》 裁判所が各事件について指定する。第8条第1項 《民事調停委員は、調停委員会で行う調停に関…》 与するほか、裁判所の命を受けて、他の調停事件について、専門的な知識経験に基づく意見を述べ、嘱託に係る紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を行い、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定第16条の2第1項 《前条第1項の規定によりファイルに記録され…》 た電子調書につきその内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。第17条 《調停に代わる決定 裁判所は、調停委員会…》 の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に第30条 《移送等への準用 第28条の規定は、裁判…》 所が、第4条第1項ただし書若しくは第3項の規定により事件を移送し若しくは自ら処理しようとし、又は第17条の決定をしようとする場合に準用する。 第33条 《農事調停等に関する規定の準用 第24条…》 の三及び第27条から第30条までの規定は、前条の調停事件に準用する。 この場合において、第27条及び第28条中「小作官又は小作主事」とあるのは、「経済産業局長」と読み替えるものとする。 において準用する場合を含む。)において準用する 第28条 《小作官等の意見聴取 調停委員会は、調停…》 をしようとするときは、小作官又は小作主事の意見を聴かなければならない。第34条 《不出頭に対する制裁 裁判所又は調停委員…》 会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、60,000円以下の過料に処する。 及び 第35条 《措置違反に対する制裁 当事者又は参加人…》 が正当な事由がなく第12条第15条において準用する場合を含む。の規定による措置に従わないときは、裁判所は、110,000円以下の過料に処する。 の規定において裁判所が行うものとして規定されている民事調停に関する権限

2号 第12条の9 《秘密保護のための閲覧等の制限 民事訴訟…》 法第92条の規定は、調停事件の記録の閲覧等非電磁的事件記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証 において準用する 民事訴訟法 第92条 《秘密保護のための閲覧等の制限 次に掲げ…》 る事由につき疎明があった場合には、裁判所は、当該当事者の申立てにより、決定で、当該訴訟記録中当該秘密が記載され、又は記録された部分に係る訴訟記録の閲覧等非電磁的訴訟記録の閲覧等又は電磁的訴訟記録の閲覧第21条の2第1項 《調停手続における申立てその他の申述次項及…》 び次条において「申立て等」という。については、民事訴訟法第132条の10から第132条の十二までの規定を準用する。 この場合において、同法第132条の10第5項及び第6項並びに第132条の12第2項及 において準用する同法第132条の十二、 第21条の2第2項 《2 調停手続においてこの法律その他の法令…》 の規定に基づき裁判所に提出された書面等書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この項において同じ において準用する同法第132条の十三及び 第21条の3 《当事者に対する住所、氏名等の秘匿 調停…》 手続における申立て等については、民事訴訟法第1編第8章の規定を準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとす において準用する同法第1編第8章の規定において裁判所が行うものとして規定されている権限であって民事調停に関するもの

3号 第22条 《非訟事件手続法の準用 特別の定めがある…》 場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続法第2編の規定を準用する。 ただし、同法第40条、第42条、第42条の二及び第52条の規定は、この限りでない。 において準用する 非訟事件手続法 の規定(同法第13条及び第14条第3項本文(同法第15条において準用する場合を含む。)の規定を除く。)において裁判所が行うものとして規定されている権限であって民事調停に関するもの

4号 特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 の規定において裁判所が行うものとして規定されている特定調停に関する権限

3項 民事調停官は、独立してその職権を行う。

4項 民事調停官は、その権限を行うについて、裁判所書記官に対し、その職務に関し必要な命令をすることができる。この場合において、 裁判所法 1947年法律第59号第60条第5項 《裁判所書記官は、口述の書取その他書類又は…》 電磁的記録の作成又は変更に関して裁判官の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添え、又は併せて記録することができる。 の規定は、民事調停官の命令を受けた裁判所書記官について準用する。

23条の4 (民事調停官の除斥及び忌避)

1項 民事調停官の除斥及び忌避については、 非訟事件手続法 第11条 《裁判官の除斥 裁判官は、次に掲げる場合…》 には、その職務の執行から除斥される。 ただし、第6号に掲げる場合にあっては、他の裁判所の嘱託により受託裁判官としてその職務を行うことを妨げない。 1 裁判官又はその配偶者若しくは配偶者であった者が、事第12条 《裁判官の忌避 裁判官について裁判の公正…》 を妨げる事情があるときは、当事者は、その裁判官を忌避することができる。 2 当事者は、裁判官の面前において事件について陳述をしたときは、その裁判官を忌避することができない。 ただし、忌避の原因があるこ 並びに 第13条第2項 《2 地方裁判所における前項の裁判は、合議…》 体でする。 から第4項まで、第8項及び第9項の規定を準用する。

2項 非訟事件手続法 第13条第5項 《5 次に掲げる事由があるとして忌避の申立…》 てを却下する裁判をするときは、第3項の規定は、適用しない。 1 非訟事件の手続を遅滞させる目的のみでされたことが明らかなとき。 2 前条第2項の規定に違反するとき。 3 最高裁判所規則で定める手続に違 各号に掲げる事由があるとして忌避の申立てを却下する裁判があったときは、前項において準用する同条第4項本文の規定にかかわらず、調停手続は停止しない。

3項 民事調停官の除斥又は忌避についてはその民事調停官の所属する裁判所が、簡易裁判所に所属する民事調停官の除斥又は忌避についてはその裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が、裁判をする。ただし、前項の裁判は、忌避された民事調停官がすることができる。

23条の5 (民事調停官に対する手当等)

1項 民事調停官には、別に法律で定めるところにより手当を支給し、並びに最高裁判所の定めるところにより旅費、日当及び宿泊料を支給する。

2章 特則 > 1節 宅地建物調停

24条 (宅地建物調停事件・管轄)

1項 宅地又は建物の貸借その他の利用関係の紛争に関する調停事件は、紛争の目的である宅地若しくは建物の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定めるその所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。

24条の2 (地代借賃増減請求事件の調停の前置)

1項 借地借家法 1991年法律第90号第11条 《地代等増減請求権 地代又は土地の借賃以…》 下この条及び次条において「地代等」という。が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。

2項 前項の事件について調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。

24条の3 (地代借賃増減調停事件について調停委員会が定める調停条項)

1項 前条第1項の請求に係る調停事件については、調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、当事者間に調停委員会の定める調停条項に服する旨の書面による合意(当該調停事件に係る調停の申立ての後にされたものに限る。)があるときは、申立てにより、事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる。

2項 前項の調停委員会の定める調停条項に服する旨の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

3項 第1項の調停条項について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、調停が成立したものとみなし、その記録は、裁判上の和解と同1の効力を有する。

2節 農事調停

25条 (農事調停事件)

1項 農地又は農業経営に付随する土地、建物その他の農業用資産(以下「 農地等 」という。)の貸借その他の利用関係の紛争に関する調停事件については、前章に定めるもののほか、この節の定めるところによる。

26条 (管轄)

1項 前条の調停事件は、紛争の目的である 農地等 の所在地を管轄する地方裁判所又は当事者が合意で定めるその所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。

27条 (小作官等の意見陳述)

1項 小作官又は小作主事は、調停手続の期日に出席し、又は調停手続の期日外において、調停委員会に対して意見を述べることができる。

2項 調停委員会は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の期日において、最高裁判所規則で定めるところにより、調停委員会及び当事者双方が小作官又は小作主事との間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、小作官又は小作主事に同項の意見を述べさせることができる。

28条 (小作官等の意見聴取)

1項 調停委員会は、調停をしようとするときは、小作官又は小作主事の意見を聴かなければならない。

29条 (裁判官の調停への準用)

1項 前2条の規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。

30条 (移送等への準用)

1項 第28条 《小作官等の意見聴取 調停委員会は、調停…》 をしようとするときは、小作官又は小作主事の意見を聴かなければならない。 の規定は、裁判所が、 第4条第1項 《裁判所は、調停事件の全部又は一部がその管…》 轄に属しないと認めるとき次項本文に規定するときを除く。は、申立てにより又は職権で、これを管轄権のある地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。 ただし、事件を処理するために特に必要があると認め ただし書若しくは第3項の規定により事件を移送し若しくは自ら処理しようとし、又は 第17条 《調停に代わる決定 裁判所は、調停委員会…》 の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に の決定をしようとする場合に準用する。

3節 商事調停

31条 (商事調停事件について調停委員会が定める調停条項)

1項 第24条の3 《地代借賃増減調停事件について調停委員会が…》 定める調停条項 前条第1項の請求に係る調停事件については、調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合において、当事者間に調停委員会の定める調停条項 の規定は、商事の紛争に関する調停事件に準用する。

4節 鉱害調停

32条 (鉱害調停事件・管轄)

1項 鉱業法 1950年法律第289号)に定める鉱害の賠償の紛争に関する調停事件は、損害の発生地を管轄する地方裁判所の管轄とする。

33条 (農事調停等に関する規定の準用)

1項 第24条 《宅地建物調停事件・管轄 宅地又は建物の…》 貸借その他の利用関係の紛争に関する調停事件は、紛争の目的である宅地若しくは建物の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定めるその所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。 の三及び 第27条 《小作官等の意見陳述 小作官又は小作主事…》 は、調停手続の期日に出席し、又は調停手続の期日外において、調停委員会に対して意見を述べることができる。 2 調停委員会は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の期日において、最高裁判所規則で から 第30条 《移送等への準用 第28条の規定は、裁判…》 所が、第4条第1項ただし書若しくは第3項の規定により事件を移送し若しくは自ら処理しようとし、又は第17条の決定をしようとする場合に準用する。 までの規定は、前条の調停事件に準用する。この場合において、 第27条 《小作官等の意見陳述 小作官又は小作主事…》 は、調停手続の期日に出席し、又は調停手続の期日外において、調停委員会に対して意見を述べることができる。 2 調停委員会は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の期日において、最高裁判所規則で 及び 第28条 《小作官等の意見聴取 調停委員会は、調停…》 をしようとするときは、小作官又は小作主事の意見を聴かなければならない。 中「小作官又は小作主事」とあるのは、「経済産業局長」と読み替えるものとする。

5節 交通調停

33条の2 (交通調停事件・管轄)

1項 自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償の紛争に関する調停事件は、 第3条 《管轄 調停事件は、特別の定めがある場合…》 を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。 2 調停事件は、日本国内に相手方法人その他の社団又は に規定する裁判所のほか、損害賠償を請求する者の住所又は居所の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。

6節 公害等調停

33条の3 (公害等調停事件・管轄)

1項 公害又は日照、通風等の生活上の利益の侵害により生ずる被害に係る紛争に関する調停事件は、 第3条 《管轄 調停事件は、特別の定めがある場合…》 を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。 2 調停事件は、日本国内に相手方法人その他の社団又は に規定する裁判所のほか、損害の発生地又は損害が発生するおそれのある地を管轄する簡易裁判所の管轄とする。

7節 知的財産調停

33条の4

1項 知的財産の紛争に関する調停事件は、 第3条 《管轄 調停事件は、特別の定めがある場合…》 を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。 2 調停事件は、日本国内に相手方法人その他の社団又は に規定する裁判所のほか、同条の規定(同条第1項の規定中当事者が合意で定める管轄に関する部分を除く。)により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所の管轄とする。

1号 東京高等裁判所、名古屋高等裁判所、仙台高等裁判所又は札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する簡易裁判所東京地方裁判所

2号 大阪高等裁判所、広島高等裁判所、福岡高等裁判所又は高松高等裁判所の管轄区域内に所在する簡易裁判所大阪地方裁判所

3章 罰則

34条 (不出頭に対する制裁)

1項 裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、60,000円以下の過料に処する。

35条 (措置違反に対する制裁)

1項 当事者又は参加人が正当な事由がなく 第12条 《調停前の措置 調停委員会は、調停のため…》 に特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめ 第15条 《裁判官の調停への準用 第11条から前条…》 までの規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。 において準用する場合を含む。)の規定による措置に従わないときは、裁判所は、110,000円以下の過料に処する。

36条 (過料についての決定)

1項 前2条の過料の決定は、裁判官の命令で執行する。この命令は、執行力のある債務名義と同1の効力を有する。

2項 前項に規定するもののほか、過料についての決定に関しては、 非訟事件手続法 第5編の規定(同法第119条並びに第121条第1項及び第3項の規定並びに同法第120条及び第122条の規定中検察官に関する部分を除く。並びに 刑事訴訟法 1948年法律第131号第508条第1項 《検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判の…》 執行に関して、その目的を達するため必要な調査をすることができる。 ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めがある場合でなければ、これをすることができない。 本文及び第2項並びに 第514条 《 検察官又は裁判所若しくは裁判官は、裁判…》 の執行に関して必要があると認めるときは、裁判の執行を受ける者その他の者の出頭を求め、質問をし、又は裁判の執行を受ける者以外の者に鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。 の規定を準用する。

37条 (評議の秘密を漏らす罪)

1項 民事調停委員又は民事調停委員であった者が正当な事由がなく評議の経過又は調停主任若しくは民事調停委員の意見若しくはその多少の数を漏らしたときは、310,000円以下の罰金に処する。

38条 (人の秘密を漏らす罪)

1項 民事調停委員又は民事調停委員であった者が正当な事由がなくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

《本則》 ここまで 附則 >  

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