法廷等の秩序維持に関する法律《本則》

法番号:1952年法律第286号

略称: 法廷秩序維持法

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1条 (この法律の目的)

1項 この法律は、民主社会における法の権威を確保するため、法廷等の秩序を維持し、裁判の威信を保持することを目的とする。

2条 (制裁)

1項 裁判所 又は裁判官(以下「 裁判所 」という。)が法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、騒その他不穏当な言動で裁判所の職務の執行を妨害し若しくは裁判の威信を著しく害した者は、20日以下の監置若しくは40,000円以下の過料に処し、又はこれを併科する。

2項 監置は、監置場に留置する。

3条 (事件の審判)

1項 前条第1項の規定による制裁は、 裁判所 が科する。

2項 前条第1項にあたる行為があつたときは、 裁判所 は、その場で直ちに、裁判所職員又は警察官に行為者を拘束させることができる。この場合において、拘束の時から24時間以内に監置に処する裁判がなされないときは、裁判所は、直ちにその拘束を解かなければならない。

4条 (裁判)

1項 制裁を科する裁判は、決定でする。

2項 前項の裁判は、 第2条第1項 《裁判所又は裁判官以下「裁判所」という。が…》 法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、けヽんヽ騒そ に該当する行為が終わつた時から1箇月を経過した後は、することができない。

3項 裁判所 は、裁判をするについて必要があるときは、証人尋問その他の証拠調べをすることができる。

4項 前項の場合においては、 民事訴訟法 1996年法律第109号)第2編第4章第1節から第6節までの規定(同法第179条、第182条、第185条第3項、第187条第3項及び第4項、第205条第2項、第207条第2項、第208条、第215条第2項、第224条(同法第229条第2項、第231条の3第1項及び第232条第1項において準用する場合を含む。)、第227条第2項、第229条第3項及び第4項並びに第232条の2の規定を除く。)を準用する。この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

5項 制裁を科する裁判をしたときは、手続に要した費用の全部又は一部を本人に負担させることができる。

5条 (抗告及び異議の申立)

1項 地方 裁判所 、家庭裁判所若しくは簡易裁判所又はその裁判官のした制裁を科する裁判に対しては、本人は、裁判が告知された日から5日以内に、その裁判が法令に違反することを理由として、高等裁判所に抗告をすることができる。

2項 前項の抗告をするには、申立書を、原 裁判所 に提出しなければならない。原裁判所は、抗告を理由があるものと認めるとき、その他原裁判を更正することを適当と認めるときは、その裁判を取り消し、又は本人の利益に変更することができる。

3項 第1項の抗告は、裁判の執行を停止する効力を有しない。但し、抗告 裁判所 及び原裁判所は、抗告について裁判があるまで、裁判の執行を停止することができる。

4項 高等 裁判所 又はその裁判官のした制裁を科する裁判に対しては、本人は、その高等裁判所に異議の申立をすることができる。異議の申立には、抗告に関する規定を準用する。

6条 (特別抗告)

1項 抗告又は異議の申立について高等 裁判所 のした裁判に対しては、本人は、左の事由があることを理由とする場合に、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

1号 憲法の違反があること、又は憲法の解釈に誤があること。

2号 最高 裁判所 の判例と相反する判断をしたこと。

3号 最高 裁判所 の判例がない場合に、前条の規定による抗告又は異議の申立についてした高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

2項 前項の抗告の提起期間は、5日とする。

3項 前条第2項前段及び第3項の規定は、第1項の抗告について準用する。

7条 (執行)

1項 制裁を科する裁判は、裁判官の命令で執行する。

2項 監置の裁判を執行するため必要があるときは、裁判官は、収容状を発することができる。収容状は、勾引状と同1の効力を有するものとし、裁判官の指揮によつて執行する。

3項 収容状の執行については、 刑事訴訟法 1948年法律第131号)中勾引状の執行に関する規定を準用する。

4項 第1項の命令で過料に係るものは、執行力のある債務名義と同1の効力を有する。

5項 過料の裁判の執行は、 民事執行法 1979年法律第4号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。ただし、執行前に裁判の送達をすることを要しない。

6項 第1項及び前2項の規定は、 第4条第5項 《5 制裁を科する裁判をしたときは、手続に…》 要した費用の全部又は一部を本人に負担させることができる。 の規定による裁判の執行について準用する。

7項 監置の裁判の執行は、当該裁判があつた時から3箇月を経過した後は、開始することができない。

8項 監置の裁判を受けた者について、当該裁判の執行によつて著しく健康を害するおそれがあるとき、その他重大な事由があるときは、 裁判所 は、本人の請求又は職権により、当該裁判の執行を停止することができる。

8条 (補償)

1項 制裁を科する裁判につき、 第5条 《抗告及び異議の申立 地方裁判所、家庭裁…》 判所若しくは簡易裁判所又はその裁判官のした制裁を科する裁判に対しては、本人は、裁判が告知された日から5日以内に、その裁判が法令に違反することを理由として、高等裁判所に抗告をすることができる。 2 前項 又は 第6条 《特別抗告 抗告又は異議の申立について高…》 等裁判所のした裁判に対しては、本人は、左の事由があることを理由とする場合に、最高裁判所に特に抗告をすることができる。 1 憲法の違反があること、又は憲法の解釈に誤があること。 2 最高裁判所の判例と相 の規定により取消の裁判を受けた者が、すでに当該制裁を科する裁判の執行を受けた場合には、その者は、国に対して、当該制裁を科する裁判の執行による補償を請求することができる。

2項 前条第2項の収容状による抑留は、前項の規定の適用については、監置の裁判の執行とみなす。

3項 第1項の規定による補償については、無罪の裁判を受けた者の補償に関する 刑事補償法 1950年法律第1号)の規定を準用する。補償決定の公示についても同様である。

9条 (規則)

1項 制裁を科する裁判に関する手続その他の必要な事項は、最高 裁判所 が定める。

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