日本赤十字社法《本則》

法番号:1952年法律第305号

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1章 総則

1条 (目的)

1項 日本赤十字社は、赤十字に関する諸条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。

2条 (国際性)

1項 日本赤十字社は、赤十字に関する国際機関及び各国赤十字社と協調を保ち、国際赤十字事業の発展に協力し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない。

3条 (自主性の尊重)

1項 日本赤十字社の特性にかんがみ、この自主性は、尊重されなければならない。

4条 (法人格及び組織)

1項 日本赤十字社は、法人とする。

2項 日本赤十字社は、社員をもつて組織する。

5条 (標章)

1項 日本赤十字社は、その標章として、白地赤十字を使用する。

6条 (主たる事務所)

1項 日本赤十字社は、主たる事務所を東京都に置く。

7条 (定款)

1項 日本赤十字社は、定款をもつて、左に掲げる事項を規定しなければならない。

1号 目的

2号 名称

3号 事務所の所在地

4号 社員に関する事項

5号 役員、理事会、代議員及び代議員会に関する事項

6号 業務及びその執行に関する事項

7号 資産及び会計に関する事項

8号 公告の方法

2項 定款は、厚生労働大臣の認可を受けて変更することができる。

8条 (登記)

1項 日本赤十字社は、主たる事務所の変更その他政令で定める事項について、政令で定める手続により登記しなければならない。

2項 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

9条 (解散)

1項 日本赤十字社につき解散を必要とする事由が発生した場合において、その処置に関しては、別に法律で定める。

10条 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用)

1項 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 2006年法律第48号第4条 《住所 一般社団法人及び一般財団法人の住…》 所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。住所及び 第78条 《代表者の行為についての損害賠償責任 一…》 般社団法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。代表者の行為についての損害賠償責任)の規定は、日本赤十字社について準用する。この場合において、同条中「代表理事その他の代表者」とあるのは、「社長、副社長、理事その他の代理人」と読み替えるものとする。

2章 社員

11条 (社員の平等取扱)

1項 何人も、社員となるにつき、及び社員の権利義務につき、人種、国籍、信条、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されることがない。

12条 (社員の加入)

1項 日本赤十字社は、社員として加入しようとする者があるときは、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。

13条 (社員の脱退)

1項 社員は、何時でも、脱退することができる。

2項 社員は、左に掲げる事由によつて脱退する。

1号 死亡

2号 社費の未納額が定款で定める額に達したこと。

3号 除名

3項 前項第3号の除名は、定款で定める事由に該当する社員につき、定款の定めるところにより、代議員会の議決によつてすることができる。

4項 除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもつてその社員に対抗することができない。

14条 (社員の権利)

1項 社員は、左に掲げる権利を有する。

1号 この法律の定めるところにより、日本赤十字社の役員及び代議員を選出し、並びにこれらの者に選出されること。

2号 毎事業年度の日本赤十字社の業務及び収支決算の報告を受けること。

3号 日本赤十字社に対し、その業務の運営に関し、代議員を通じて意見を述べること。

2項 日本赤十字社は、公告をもつて、前項第2号の報告に代えることができる。

15条 (社費)

1項 社員は、定款の定めるところにより、社費を納めるものとする。

3章 管理

16条 (役員)

1項 日本赤十字社に、役員として、社長1人、副社長2人以内、理事61人以内及び監事3人以内を置く。

17条 (役員の職務権限)

1項 社長は、日本赤十字社を代表し、その業務を総理する。

2項 副社長は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長に事故があるときはその職務を代行し、社長が欠員のときはその職務を行う。

3項 理事は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長及び副社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長及び副社長にともに事故があるときは社長の職務を代行し、社長及び副社長がともに欠員のときは社長の職務を行う。

4項 監事は、日本赤十字社の業務を監査する。

17条の2 (副社長又は理事の代表権の制限)

1項 副社長又は理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

17条の3 (仮理事)

1項 社長、副社長及び理事が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、厚生労働大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、仮理事を選任しなければならない。

17条の4 (利益相反行為)

1項 日本赤十字社と社長、副社長又は理事との利益が相反する事項については、社長、副社長又は理事は、代表権を有しない。この場合においては、監事が日本赤十字社を代表する。

18条 (役員の選出)

1項 役員は、社員の中から、代議員会において、選出する。

19条 (役員の任期)

1項 役員の任期は、3年とする。

20条 (理事会)

1項 社長、副社長及び理事をもつて理事会を構成する。

2項 理事会は、定款の定めるところにより、日本赤十字社の重要な業務の執行について審議する。

21条 (代議員会)

1項 日本赤十字社に代議員会を置く。

2項 代議員会は、定款の定めるところにより社員の中から選出された代議員をもつて組織する。

3項 代議員会は、少くとも毎年一回、定款の定めるところにより、招集する。

22条 (代議員会の議決事項)

1項 左に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。但し、代議員会が軽微と認めた事項は、この限りでない。

1号 収支予算

2号 事業計画

3号 収支決算の承認

4号 定款の変更

5号 その他定款で定めた事項

23条 (代議員の任期)

1項 代議員の任期は、3年とする。但し、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。

24条 (役員の解任)

1項 代議員会は、役員が心身の故障のため職務の執行の任にたえないと認めるとき、又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認めるときは、その役員の解任の議決をすることができる。

25条 (事業年度)

1項 日本赤十字社の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。

26条

1項 削除

4章 業務

27条 (業務)

1項 日本赤十字社は、 第1条 《目的 日本赤十字社は、赤十字に関する諸…》 条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。 の目的を達成するため、左に掲げる業務を行う。

1号 赤十字に関する諸条約に基く業務に従事すること。

2号 非常災害時又は伝染病流行時において、傷病その他の災を受けた者の救護を行うこと。

3号 常時、健康の増進、疾病の予防、苦痛の軽減その他社会奉仕のために必要な事業を行うこと。

4号 前各号に掲げる業務のほか、 第1条 《目的 日本赤十字社は、赤十字に関する諸…》 条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。 の目的を達成するために必要な業務

2項 前項第1号及び第2号に掲げる業務には、 第33条第1項 《国は、赤十字に関する諸条約に基く国の業務…》 及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。 の規定により国の委託を受けて行うものを含むものとする。

28条 (救護員の確保)

1項 日本赤十字社は、前条第1項第1号及び第2号に掲げる業務(以下「 救護業務 」という。)に従事させるために必要な者(以下「 救護員 」という。)を常時確保しておかなければならない。

29条 (救護員の養成)

1項 日本赤十字社は、前条の 救護員 を確保するために、必要があるときは、医師、看護師その他の特殊技能者を養成しなければならない。

2項 前項の養成は、日本赤十字社が学資その他の費用を負担して日本赤十字社の目的、特に日本赤十字社の行う 救護業務 に深い理解を有する者について行う。

3項 前2項の規定による養成を受けた者は、日本赤十字社が、これらの者が 救護員 として 救護業務 に従事するのでなければその救護業務を適正に行うことができないと認めて、救護業務に従事すべきことを求めたときは、これに応ずるように努めなければならない。

30条 (使用者の協力)

1項 前条第1項及び第2項の規定による養成を受けた者を雇用しようとするとき、又は雇用している場合において、使用者は、その者が、同条第3項の規定により、 救護員 として日本赤十字社の行う 救護業務 に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。

2項 前条第1項及び第2項の規定による養成を受けた者が、同条第3項の規定により、 救護員 として日本赤十字社の行う 救護業務 に従事しようとする場合においては、使用者は、これに協力するように努めなければならない。

31条 (実費弁償)

1項 日本赤十字社は、 救護員 が日本赤十字社の行う 救護業務 に従事した場合においては、その実費を弁償しなければならない。

32条 (扶助金の支給)

1項 日本赤十字社は、 救護員 が日本赤十字社の行う 救護業務 に従事し、そのために負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、 災害救助法 1947年法律第118号第7条 《従事命令 都道府県知事等は、救助を行う…》 ため、特に必要があると認めるときは、医療、土木建築工事又は輸送関係者を、第14条の規定に基づく内閣総理大臣の指示を実施するため、必要があると認めるときは、医療又は土木建築工事関係者を、救助に関する業務従事命令)の規定により救助に関する業務に従事した者に係る扶助金に関する同法の規定の例により、扶助金を支給しなければならない。

33条 (国の救護に関する業務の委託)

1項 国は、赤十字に関する諸条約に基く国の業務及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。

2項 前項の場合において、国は、同項の規定により委託すべき業務の実施に必要な施設又は設備を、あらかじめ、整備すべきことを日本赤十字社に命ずることができる。

3項 国は、日本赤十字社が第1項の規定により委託された業務を実施するために支弁した費用を補償する。但し、他の法律に別段の定があるときは、その定に従う。

4項 国は、日本赤十字社が第1項の規定により委託された業務を実施するため必要な施設又は設備を整備する場合においては、その整備に要する費用の全部又は一部を負担する。

34条 (運送及び通信に関する便宜供与)

1項 鉄道事業者その他運送又は運送取扱を業とする者は、日本赤十字社が迅速かつ適正に 救護業務 を実施することができるように、 救護員 又は救護用の物資の運送に関し、便宜を与えるように努めなければならない。

2項 総務大臣、電気通信事業者又は基幹放送事業者( 放送法 1950年法律第132号第2条第23号 《定義 第2条 この法律及びこの法律に基づ…》 く命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。 1 「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信電気通信事業法1984年法律第86号第2条第1号に規定する電気通信をいう。 に規定する基幹放送事業者をいい、放送大学学園( 放送大学学園法 2002年法律第156号第3条 《目的 放送大学学園は、大学を設置し、当…》 該大学において、放送による授業を行うとともに、全国各地の学習者の身近な場所において面接による授業等を行うことを目的とする学校法人私立学校法1949年法律第270号に規定する学校法人をいう。とする。 に規定する放送大学学園をいう。)を除く。)は、日本赤十字社が迅速かつ適正に 救護業務 に実施することができるように、救護業務に関する通信に関し、便宜を与えるように努めなければならない。

35条 (社会福祉事業の経営)

1項 日本赤十字社は、 社会福祉法 1951年法律第45号)の定めるところにより、同法に規定する第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業を経営するものとする。

2項 日本赤十字社が前項の規定により社会福祉事業を経営する場合においては、 社会福祉法 第7章(社会福祉事業)の規定及びこれに係る罰則並びに 独立行政法人福祉医療機構法 2002年法律第166号)の適用については、日本赤十字社は、 社会福祉法 人とみなす。

5章 監督及び助成

36条 (報告及び検査)

1項 厚生労働大臣は、日本赤十字社に法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款を守らせるために必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして日本赤十字社の事務所その他の場所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2項 前項の職員は、同項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

37条 (監督処分)

1項 厚生労働大臣は、日本赤十字社が、その業務に関し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、日本赤十字社に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。

38条 (解任勧告)

1項 厚生労働大臣は、日本赤十字社の役員が、日本赤十字社の業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又は著しく公益を害する行為をしたときは、日本赤十字社に対し、その役員の解任を勧告することができる。

39条 (助成)

1項 又は地方公共団体は、日本赤十字社が、その業務の実施に必要な施設又は設備を整備する場合において、必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも日本赤十字社に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、 国有財産法 1948年法律第73号及び 地方財政法 1948年法律第109号第8条第1項 《地方公共団体の財産は、常に良好の状態にお…》 いてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。財産の管理及び処分並びに私立図書館の事業についての補助金の交付に関する図書館法(1950年法律第118号)第26条(及び地方公共団体との関係)の規定の適用を妨げない。

2項 日本赤十字社が、左の各号の1に該当するときは、前項の規定により交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。

1号 施設又は設備の全部又は一部を他の用途に供したこと。

2号 助成の条件に違反したこと。

6章 罰則

40条

1項 日本赤十字社の役員又は職員が 第36条第1項 《厚生労働大臣は、日本赤十字社に法令、法令…》 に基いてする行政庁の処分又は定款を守らせるために必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして日本赤十字社の事務所その他の場所に立ち入り、 の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、20,000円以下の罰金に処する。

41条

1項 日本赤十字社の役員がこの法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたときは、20,000円以下の過料に処する。

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