航空機抵当法《本則》

法番号:1953年法律第66号

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1条 (この法律の目的)

1項 この法律は、航空機に関する動産信用の増進により、航空の発達を図ることを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律で「航空機」とは、飛行機及び回転翼航空機で 航空法 1952年法律第231号)第2章の規定による登録を受けたものをいう。

3条 (抵当権の目的)

1項 航空機は、抵当権の目的とすることができる。

4条 (抵当権の内容)

1項 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移さないで債務の担保に供した航空機(以下「 抵当航空機 」という。)につき、他の債権者に先だつて、自己の債権の弁済を受けることができる。

5条 (対抗要件)

1項 抵当権の得喪及び変更は、 航空法 に規定する航空機登録原簿に国土交通大臣が行う登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。

6条 (抵当権の効力の及ぶ範囲)

1項 抵当権は、 抵当航空機 に付加して一体となつている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について 民法 1896年法律第89号第424条第3項 《3 債権者は、その債権が第1項に規定する…》 行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求以下「詐害行為取消請求」という。をすることができる。 に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

7条 (不可分性)

1項 抵当権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、 抵当航空機 の全部につき、その権利を行使することができる。

8条 (物上代位)

1項 抵当権は、 抵当航空機 の売却、賃貸、滅失又は損によつて抵当権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。この場合においては、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。

9条 (物上保証人の求償権)

1項 他人の債務を担保するため抵当権を設定した者がその債務を弁済し、又は抵当権の実行によつて 抵当航空機 の所有権を失つたときは、 民法 に規定する保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

10条 (抵当権の順位)

1項 数個の債権を担保するため同1の航空機について抵当権を設定したときは、その抵当権の順位は、登録の前後による。

2項 民法 第374条 《抵当権の順位の変更 抵当権の順位は、各…》 抵当権者の合意によって変更することができる。 ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。 2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。 の規定は、抵当権の順位の変更について準用する。

11条 (先取特権との順位)

1項 同1の航空機について抵当権及び先取特権が競合する場合には、抵当権は、 民法 第330条第1項 《同1の動産について特別の先取特権が互いに…》 競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。 この場合において、第2号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。 1 不動産の賃貸 に規定する第一順位の先取特権と同順位とする。

12条 (担保される利息等)

1項 抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の2年分についてのみその抵当権を行使することができる。

2項 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によつて生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合において、その最後の2年分についても適用する。但し、利息その他の定期金を通算して2年分をこえることができない。

13条 (抵当権の処分)

1項 抵当権者は、抵当権を他の債権の担保に供し、又は同1の債務者に対する他の債権者の利益のため抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

2項 前項の場合において、抵当権者が数人のために抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登録にした附記の前後による。

14条

1項 前条の処分は、 民法 第467条 《債権の譲渡の対抗要件 債権の譲渡現に発…》 生していない債権の譲渡を含む。は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又はその債務者がこれを承諾しなければ、これをもつてその債務者、保証人、抵当権設定者又はこれらの承継人に対抗することができない。

2項 主たる債務者が前項の通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないで行つた弁済は、これをもつてその者に対抗することができない。

15条 (代価弁済)

1項 抵当航空機 を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

16条 (第三取得者の費用償還請求権)

1項 抵当航空機 を取得した第三者が抵当航空機について必要費又は有益費を出したときは、 民法 第196条 《占有者による費用の償還請求 占有者が占…》 有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。 ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。 2 占有者が占 の区別に従い、抵当航空機の代価をもつて最も先にその償還を受けることができる。

17条 (共同抵当の代価の配当)

1項 債権者が同1の債権の担保として数個の航空機の上に抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各航空機の価額に応じてその債権の負担を分ける。

2項 ある航空機の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価につき債権の全部の弁済を受けることができる。この場合においては、次の順位にある抵当権者は、右の抵当権者が前項の規定により他の航空機につき弁済を受けるべき金額に達するまでこれに代位して抵当権を行うことができる。

3項 前項後段の規定により代位して抵当権を行う者は、その抵当権の登録にその代位を附記することができる。

18条 (一般財産からの弁済)

1項 抵当権者は、 抵当航空機 の代価で弁済を受けない債権の部分についてのみ他の財産から弁済を受けることができる。

2項 前項の規定は、 抵当航空機 の代価に先だつて他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。

3項 前項の場合において、抵当権者に第1項の規定による弁済を受けさせるため、他の債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。

19条 (抵当権者に対する通知)

1項 国土交通大臣は、 抵当航空機 航空法 第8条第1項第3号 《登録航空機の所有者は、左に掲げる場合には…》 、その事由があつた日から15日以内に、まヽつヽ消登録の申請をしなければならない。 1 登録航空機が滅失し、又は登録航空機の解体整備、改造、輸送又は保管のためにする解体を除く。をしたとき。 2 登録航空 に該当することとなつた場合において、同条第1項の規定により消登録の申請を受理したとき、又は同条第2項の催告をした後当該航空機の所有者が同項の期間内に消登録を申請しないときは、遅滞なく、抵当権者に通知しなければならない。

20条 (抵当権の実行)

1項 抵当権者は、前条の通知を受けたときは、当該航空機に対して、直ちに、その権利を実行することができる。

2項 前項の規定により抵当権を実行しようとするときは、抵当権者は、前条の通知を受けた日から3箇月以内に、その手続をしなければならない。

3項 国土交通大臣は、前項の規定により抵当権の実行の手続をすることができる期間内及び抵当権の実行の終るまでの期間内は、第1項の航空機について 航空法 の規定による消登録をすることができない。

4項 買受人が代金を納付したときは、第1項の航空機について 航空法 第8条第1項第3号 《登録航空機の所有者は、左に掲げる場合には…》 、その事由があつた日から15日以内に、まヽつヽ消登録の申請をしなければならない。 1 登録航空機が滅失し、又は登録航空機の解体整備、改造、輸送又は保管のためにする解体を除く。をしたとき。 2 登録航空 の事由が発生しなかつたものとみなす。

21条 (時効による消滅)

1項 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によつて消滅しない。

22条

1項 債務者又は抵当権設定者以外の者が 抵当航空機 について取得時効に必要な条件を具備した占有をしたときは、抵当権は、これによつて消滅する。

22条の2 (根抵当権)

1項 抵当権は、設定行為をもつて定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

2項 民法 第398条の2第2項 《2 前項の規定による抵当権以下「根抵当権…》 」という。の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。 及び第3項並びに 第398条の3 《根抵当権の被担保債権の範囲 根抵当権者…》 は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。 2 債務者との取引によらないで取得する手形上若 から 第398条 《抵当権の目的である地上権等の放棄 地上…》 又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。 の二十二までの規定は、前項の抵当権について準用する。

23条 (質権設定の禁止)

1項 航空機は、質権の目的とすることができない。

24条 (行政手続法の適用除外)

1項 抵当権の登録については、 行政手続法 1993年法律第88号)第2章及び第3章の規定は、適用しない。

25条 (政令への委任)

1項 航空機登録原簿の記載その他登録に関する事項は、政令で定める。

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