未帰還者留守家族等援護法《本則》

法番号:1953年法律第161号

略称: 留守家族援護法

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1章 総則

1条 (この法律の目的)

1項 この法律は、未帰還者が置かれている特別の状態にかんがみ、国の責任において、その留守家族に対して手当を支給するとともに、未帰還者が帰還した場合において帰郷旅費の支給等を行い、もつてこれらの者を援護することを目的とする。

2条 (未帰還者)

1項 この法律において「 未帰還者 」とは、左の各号に掲げる者であつて、日本の国籍を有するものをいう。

1号 もとの陸海軍に属していた者(もとの陸海軍から俸給、給料又はこれに相当する給与を受けていなかつた者を除く。)であつて、まだ復員していないもの(以下「 未復員者 」という。

2号 未復員者 以外の者であつて、1945年8月9日以後ソビエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満洲又は中国本土の地域内において生存していたと認められる資料があり、且つ、まだ帰還していないもの(自己の意思により帰還しないと認められる者及び1945年9月2日以後において、自己の意思により本邦に在つた者を除く。

2項 日本国との平和条約第11条に掲げる裁判により拘禁されている者及び同条に掲げる裁判により本邦以外の地域において拘禁されていた者であつて、その拘禁を解かれまだ帰還していないものは、この法律の適用については、 未帰還者 とみなす。但し、日本の国籍を有しない者は、この限りでない。

3条 (帰還)

1項 この法律において「 帰還 」とは、本邦以外の地域から居住の目的をもつて、本邦に帰ることをいう。

2項 前条第2項の規定により 未帰還者 とみなされる者であつて、本邦において拘禁されているものが、その拘禁を解かれたときは、 帰還 したものとみなす。

4条 (留守家族)

1項 この法律において「 留守家族 」とは、 未帰還者 の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫及び祖父母であつて、本邦に住所又は居所を有するものをいう。

2項 留守家族 は、当該 未帰還者 が死亡していたことが後に判明した場合においても、その死亡の日にさかのぼつて留守家族でなかつたものとして取り扱われることはない。

2章 援護

5条 (留守家族手当の支給)

1項 未帰還者 留守家族 には、留守家族手当を支給する。

2項 留守家族 手当の支給は、これを受けようとする者の申請に基いて行う。

6条 (留守家族の順位)

1項 留守家族 手当の支給を受けることができる留守家族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序とし、父母については、養父母は実父母に、祖父母については、養父母の父母は実父母の父母に、父母の養父母は父母の実父母に、それぞれ先だつものとする。

2項 先順位者たるべき者が、次順位者たるべき者より後に生ずるに至つたときは、前項の規定は、当該次順位者が 留守家族 手当の支給を受けることができなくなつた後に限り、適用する。

7条 (留守家族手当の支給条件)

1項 留守家族 手当は、 未帰還者 帰還 しているとすれば、留守家族が主としてその者の収入によつて生計を維持していると認められる場合であつて、且つ、夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫又は祖父母については、これらの者がそれぞれ左の各号に規定する条件に該当する場合に支給する。

1号 夫については、障害の状態にあること。

2号 子については、18歳未満であること、又は障害の状態にあること。

3号 父母については、60歳以上であること、障害の状態にあること、又は配偶者がなく、且つ、その者を扶養することができる直系血族がないこと。

4号 孫については、18歳未満であること、又は障害の状態にあること。

5号 祖父母については、60歳以上であること、又は障害の状態にあること。

8条 (留守家族手当の額)

1項 留守家族 手当の月額は、117,910円とする。ただし、前条の規定に該当する留守家族が、2人ある場合においては122,410円とし、3人ある場合においては126,910円とし、4人以上ある場合においては126,910円にこれらの留守家族のうち3人を除いた者1人につき1,000円を加えた額とする。

9条 (同順位者数人ある場合の支給の申請)

1項 留守家族 手当の支給を受けるべき同順位の者が2人以上あるときは、これらの者は、同順位者全員のために、そのうち1人を選定して留守家族手当の支給の申請をしなければならない。

10条 (留守家族手当の支給方法)

1項 留守家族 手当は、毎月、その月分を支払うものとする。

11条 (支給の始期及び終期等)

1項 留守家族 手当の支給は、留守家族が、留守家族手当の支給の申請をした日の属する月の翌月(留守家族手当の支給を受けていた留守家族が、留守家族手当の支給を受けることができなくなつたことにより、次順位者に転給する場合においては、当該転給の原因たる事由が生じた日の属する月の翌月)から始め、左の各号の1に該当するに至つた日の属する月で終る。

1号 未帰還者 帰還 したとき。

2号 厚生労働大臣によつて 未帰還者 が自己の意思により 帰還 しないものと認められたとき。

3号 未帰還者 の死亡の事実が判明するに至つたとき。

4号 前各号のほか、 留守家族 手当の支給を受けていた留守家族が、留守家族手当の支給を受けることができなくなつたとき。

2項 留守家族 手当の支給を受けている留守家族は、 未帰還者 が死亡したものと確認するに足りる資料を得た場合又は左に掲げる事実を知るに至つた場合には、厚生労働省令で定める場合を除き、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1号 未帰還者 帰還 したこと。

2号 未帰還者 が自己の意思により 帰還 しない状態にあること。

3項 前項第1号に規定する事実について届出があつた場合においては、 未帰還者 帰還 した日の属する月の翌月以後、当該 留守家族 がその事実を知るに至つた日までに、すでに支給した留守家族手当は、国庫に返還させないことができる。

4項 第1項第2号又は第3号の規定により 留守家族 手当の支給を終えた場合において、その支給の終了前に当該留守家族が第2項に規定する資料を得、又は同項第2号に掲げる事実を知つていたものであるときは、その資料を得、又はその事実を知るに至つた日の属する月の翌月以後すでに支給した留守家族手当は、国庫に返還させることができる。

12条 (留守家族手当の額の改定)

1項 留守家族 手当の支給を受けている留守家族につき、新たに 第8条 《留守家族手当の額 留守家族手当の月額は…》 、117,910円とする。 ただし、前条の規定に該当する留守家族が、2人ある場合においては122,410円とし、3人ある場合においては126,910円とし、4人以上ある場合においては126,910円に ただし書の規定により加給すべき留守家族があるに至つた場合における留守家族手当の額の改定は、当該留守家族手当の支給を受けている留守家族の申請により、当該申請のあつた日の属する月の翌月(当該加給の原因となつた事由の生じた日から1箇月以内に申請があつた場合においては、当該事由の生じた日の属する月の翌月)から行う。

2項 留守家族 手当の支給を受けている留守家族につき、加給の原因となつた留守家族がなくなつた場合又はその数が減じた場合における留守家族手当の額の改定は、当該事由が生じた日の属する月の翌月から行う。

13条 (留守家族手当の支給をしない場合)

1項 この法律の施行後9年を経過した日以後においては、過去7年以内に生存していたと認めるに足りる資料がない 未帰還者 留守家族 には、留守家族手当を支給しない。

14条 (恩給法等との調整)

1項 未帰還者 に関し、 恩給法 1923年法律第48号)の規定による普通恩給(地方公共団体において支給するこれに相当する給付を含む。)を受ける権利につき裁定があつた場合又は国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(1985年法律第105号)第2条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法の長期給付に関する施行法(1958年法律第129号)第49条の規定による年金の支給があつた場合においては、当該未帰還者の 留守家族 には、当該普通恩給又は年金の支給額の限度において、留守家族手当を支給しない。

15条 (帰郷旅費)

1項 未帰還者 帰還 したときは、帰郷旅費として、政令で定める金額を支給する。

16条 (葬祭料)

1項 未帰還者 の死亡の事実が判明するに至つた場合においては、葬祭料として、その遺族(遺族がない場合においては、葬祭を行う者)に対し、その者の申請により、死亡者1人につき政令で定める金額を支給する。ただし、本邦に住所又は居所を有しない者には、支給しない。

2項 前項に規定する遺族の範囲は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹とし、その順位は、葬祭を行う遺族があるときはその者を先にし、その者がないときは配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順序による。

17条 (遺骨引取経費)

1項 未帰還者 のうち、 未復員者 、ソビエト社会主義共和国連邦の地域内の未復員者と同様の実情にある者又は 第2条第2項 《2 日本国との平和条約第11条に掲げる裁…》 判により拘禁されている者及び同条に掲げる裁判により本邦以外の地域において拘禁されていた者であつて、その拘禁を解かれまだ帰還していないものは、この法律の適用については、未帰還者とみなす。 但し、日本の国 の規定により未帰還者とみなされる者につき、その者の死亡の事実が判明するに至つた場合においては、遺骨の引取に要する経費として、その遺族(遺族がない場合においては、葬祭を行う者)に対し、その者の申請により、死亡者1人につき政令で定める金額を支給する。ただし、本邦に住所又は居所を有しない者には、支給しない。

2項 前条第2項の規定は、前項の場合に準用する。

18条から25条まで

1項 削除

26条 (障害1時金)

1項 第17条第1項 《未帰還者のうち、未復員者、ソビエト社会主…》 義共和国連邦の地域内の未復員者と同様の実情にある者又は第2条第2項の規定により未帰還者とみなされる者につき、その者の死亡の事実が判明するに至つた場合においては、遺骨の引取に要する経費として、その遺族遺 に規定する者が、自己の責に帰することのできない事由により負傷し、又は疾病にかかり、 帰還 の際なおつている場合、帰還後3年以内になおつた場合又はなおらないがその期間を経過した場合( 戦傷病者特別援護法 1963年法律第168号)の規定による療養の給付又は療養費の支給を受ける者については、当該療養の給付又は療養費の支給に係る療養を終わつた場合)において、別表中欄に掲げる程度の障害の状態にあるときは、その程度に応じ、その者の申請により、障害1時金として、同表下欄に定める金額を支給する。

27条 (再支給の禁止)

1項 障害1時金の支給を受けた者には、同1の事由については、重ねて障害1時金を支給しない。

2項 同1の事由について、他の法令の規定により障害1時金に相当する給付を受けることができる者には、障害1時金を支給しない。

28条 (報告の請求)

1項 厚生労働大臣は、障害1時金の支給に関して必要があると認めるときは、障害1時金の支給を受ける者その他の関係者に対し、必要な報告を求めることができる。

3章 調査究明及び未帰還者の帰還促進

29条 (調査究明及び帰還促進)

1項 国は、 未帰還者 の状況について調査究明をするとともに、その 帰還 の促進に努めなければならない。

4章 雑則

30条 (時効)

1項 障害1時金の支給を受ける権利は、その支給事由の生じた日から2年間行わないときは、時効によつて消滅する。

31条 (譲渡等の禁止)

1項 この法律により援護を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

32条 (非課税)

1項 この法律により支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することができない。

2項 援護に関する書類には、印紙税を課さない。

33条

1項 削除

34条 (権限又は事務の委任)

1項 この法律の施行に関する厚生労働大臣の権限又は権限に属する事務であつて、政令で定めるものは、政令で定めるところにより、内閣府、宮内庁並びに 内閣府設置法 1999年法律第89号第49条第1項 《内閣府には、その外局として、委員会及び庁…》 を置くことができる。 及び第2項に規定する機関並びに 国家行政組織法 1948年法律第120号第3条第2項 《2 行政組織のため置かれる国の行政機関は…》 、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。 に規定する機関の長その他政令で定める者に委任することができる。

34条の2 (都道府県が処理する事務)

1項 この法律に規定する厚生労働大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

34条の3 (事務の区分)

1項 第11条第2項 《2 留守家族手当の支給を受けている留守家…》 族は、未帰還者が死亡したものと確認するに足りる資料を得た場合又は左に掲げる事実を知るに至つた場合には、厚生労働省令で定める場合を除き、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 1 未帰 の規定により都道府県が処理することとされている事務は、 地方自治法 1947年法律第67号第2条第9項第1号 《この法律において「法定受託事務」とは、次…》 に掲げる事務をいう。 1 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要 に規定する第1号法定受託事務とする。

35条 (省令への委任)

1項 この法律に特別の規定がある場合を除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

36条 (罰則)

1項 第28条 《報告の請求 厚生労働大臣は、障害1時金…》 の支給に関して必要があると認めるときは、障害1時金の支給を受ける者その他の関係者に対し、必要な報告を求めることができる。 の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20,000円以下の過料に処する。

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