建設機械抵当法《本則》

法番号:1954年法律第97号

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1条 (この法律の目的)

1項 この法律は、建設機械に関する動産信用の増進により、建設工事の機械化の促進を図ることを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律で「建設機械」とは、 建設業法 1949年法律第100号第2条第1項 《この法律において「建設工事」とは、土木建…》 築に関する工事で別表第1の上欄に掲げるものをいう。 に規定する建設工事の用に供される機械類をいう。

2項 前項の機械類の範囲は、政令で定める。

3条 (所有権保存登記)

1項 建設機械については、 建設業法 第2条第3項 《3 この法律において「建設業者」とは、第…》 3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をいう。 に規定する建設業者で、その建設機械につき第三者に対抗することのできる所有権を有するものの申請により、所有権保存の登記をすることができる。但し、次条に規定する打刻又は検認を受けていない建設機械については、この限りでない。

2項 質権又は差押、仮差押若しくは仮処分の目的となつている建設機械について所有権保存の登記がされたときは、その登記は、質権者又は差押、仮差押若しくは仮処分の債権者に対しては、効力を生じない。

4条 (打刻)

1項 前条第1項の規定により建設機械の所有権保存の登記を申請しようとする者は、あらかじめ、当該建設機械につき、国土交通大臣の行う記号の打刻又は既に打刻された記号の検認を受けなければならない。

2項 前項の記号の打刻及び検認については、 行政手続法 1993年法律第88号)第2章の規定は、適用しない。

3項 第1項の記号の打刻及び検認に関し必要な事項は、政令で定める。

4項 第1項に規定する国土交通大臣の権限に属する打刻又は検認に関する事務の全部又は一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

5項 何人も、第1項の規定により打刻した記号を損してはならない。

5条 (抵当権の目的)

1項 既登記の建設機械は、抵当権の目的とすることができる。

6条 (抵当権の内容)

1項 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移さないで債務の担保に供した既登記の建設機械(以下「 抵当建設機械 」という。)につき、他の債権者に先だつて、自己の債権の弁済を受けることができる。

7条 (対抗要件等)

1項 既登記の建設機械の所有権及び抵当権の得喪及び変更は、建設機械登記簿に登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

2項 建設機械登記簿は、1個の建設機械につき一用紙を備える。

8条 (登記用紙の閉鎖)

1項 建設機械の所有権保存の登記後30日以内に抵当権設定の登記がされないとき、又は抵当権の登記が全部消された後30日以内に新たな抵当権設定の登記がされないときは、登記官は、当該建設機械の登記用紙を閉鎖しなければならない。但し、所有権の登記以外の登記があるときは、この限りでない。

9条 (政令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、建設機械の登記に関し必要な事項は、政令で定める。

10条 (抵当権の効力の及ぶ範囲)

1項 抵当権は、 抵当建設機械 に付加して一体となつている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について 民法 1896年法律第89号第424条第3項 《3 債権者は、その債権が第1項に規定する…》 行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求以下「詐害行為取消請求」という。をすることができる。 に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

11条 (不可分性)

1項 抵当権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、 抵当建設機械 の全部につき、その権利を行使することができる。

12条 (物上代位)

1項 抵当権は、 抵当建設機械 の売却、賃貸、滅失又は損によつて抵当権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても、これを行使することができる。この場合においては、その払渡又は引渡前に差押をしなければならない。

13条 (物上保証人の求償権)

1項 他人の債務を担保するため抵当権を設定した者がその債務を弁済し、又は抵当権の実行によつて 抵当建設機械 の所有権を失つたときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

14条 (抵当権の順位)

1項 数個の債権を担保するため同1の建設機械につき抵当権を設定したときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

2項 民法 第374条 《抵当権の順位の変更 抵当権の順位は、各…》 抵当権者の合意によって変更することができる。 ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。 2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。 の規定は、抵当権の順位の変更について準用する。

15条 (先取特権との順位)

1項 同1の建設機械につき抵当権及び先取特権が競合する場合には、抵当権は、 民法 第330条第1項 《同1の動産について特別の先取特権が互いに…》 競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。 この場合において、第2号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。 1 不動産の賃貸 に規定する第一順位の先取特権と同順位とする。

16条 (担保される利息等)

1項 抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となつた最後の2年分についてのみその抵当権を行使することができる。但し、それ以前の定期金についても満期後特別の登記をしたときは、その登記の時からこれを行使することを妨げない。

2項 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によつて生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合において、その最後の2年分についても適用する。但し、利息その他の定期金と通算して2年分をこえることができない。

17条 (抵当権の処分)

1項 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同1の債務者に対する他の債権者の利益のためその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

2項 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした附記の前後による。

18条

1項 前条第1項の規定による抵当権の処分は、 民法 第467条 《債権の譲渡の対抗要件 債権の譲渡現に発…》 生していない債権の譲渡を含む。は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。 2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ の規定に従い、主たる債務者にこれを通知し、又はその債務者がこれを承諾しなければ、その債務者、保証人、抵当権設定者又はこれらの承継人に対抗することができない。

2項 主たる債務者が前項の通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の同意を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。

19条 (代価弁済)

1項 抵当建設機械 を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じてその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

20条 (第三取得者の費用償還請求権)

1項 抵当建設機械 を取得した第三者が抵当建設機械につき必要費又は有益費を出したときは、 民法 第196条 《占有者による費用の償還請求 占有者が占…》 有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。 ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。 2 占有者が占 の区別に従い、抵当建設機械の代価をもつて最も先にその償還を受けることができる。

21条 (共同抵当の代価の配当)

1項 債権者が同1の債権の担保として数個の建設機械の上に抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各建設機械の価格に応じてその債権の負担を分ける。

2項 ある 抵当建設機械 の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価につき債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次の順位にある抵当権者は、右の抵当権者が前項の規定により他の抵当建設機械につき弁済を受けるべき金額に達するまでこれに代位して抵当権を行使することができる。

3項 前項後段の規定により代位して抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を附記することができる。

22条 (一般財産からの弁済)

1項 抵当権者は、 抵当建設機械 の代価で弁済を受けない債権の部分についてのみ他の財産から弁済を受けることができる。

2項 前項の規定は、 抵当建設機械 の代価に先だつて他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。

3項 前項の場合において、抵当権者に第1項の規定による弁済を受けさせるため、他の各債権者は、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。

23条 (時効による消滅)

1項 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によつて消滅しない。

24条

1項 債務者又は抵当権設定者以外の者が 抵当建設機械 につき取得時効に必要な条件を具備した占有をしたときは、抵当権は、これによつて消滅する。

24条の2 (根抵当権)

1項 抵当権は、設定行為をもつて定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

2項 民法 第398条の2第2項 《2 前項の規定による抵当権以下「根抵当権…》 」という。の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。 及び第3項並びに 第398条の3 《根抵当権の被担保債権の範囲 根抵当権者…》 は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。 2 債務者との取引によらないで取得する手形上若 から 第398条 《抵当権の目的である地上権等の放棄 地上…》 又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。 の二十二までの規定は、前項の抵当権について準用する。

25条 (質権設定の禁止)

1項 既登記の建設機械は、質権の目的とすることができない。

26条 (既登記の建設機械に対する強制執行等)

1項 既登記の建設機械に対する強制執行及び仮差押えの執行については、地方裁判所が執行裁判所又は保全執行裁判所として、これを管轄する。ただし、仮差押えの執行で最高裁判所規則で定めるものについては、地方裁判所以外の裁判所が保全執行裁判所として、これを管轄する。

2項 前項の強制執行及び仮差押えの執行に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

3項 前2項の規定は、既登記の建設機械の競売について準用する。

27条 (補則)

1項 第2条第2項 《2 前項の機械類の範囲は、政令で定める。…》 の規定に基く政令の改正により新たに建設機械となつたもので、その改正の際現に 道路運送車両法 1951年法律第185号)により所有権の登録を受けているものは、その登録がある間は、同条に規定する建設機械でないものとみなす。

2項 第2条第2項 《2 前項の機械類の範囲は、政令で定める。…》 の規定に基く政令の改正により建設機械でなくなつたもので、その改正の際現に所有権の登記があるものは、その登記がある間は、同条に規定する建設機械とみなす。

28条

1項 この法律で政令又は最高裁判所の定めるところに委任するものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、政令で定める。

29条 (罰則)

1項 第4条第5項 《5 何人も、第1項の規定により打刻した記…》 号をきヽ損してはならない。 の規定に違反して記号を毀損した者は、1年以下の拘禁刑又は40,000円以下の罰金に処する。

30条

1項 競売を免れる目的をもつて 抵当建設機械 を隠匿し、又は損壊した者は、2年以下の拘禁刑又は60,000円以下の罰金に処する。

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