建築物用地下水の採取の規制に関する法律《本則》

法番号:1962年法律第100号

略称: ビル用水法

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、特定の地域内において建築物用地下水の採取について地盤の沈下の防止のため必要な規制を行なうことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 建築物用地下水 」とは、冷房設備、水洗便所その他政令で定める設備の用に供する地下水( 温泉法 1948年法律第125号)による温泉及び 工業用水法 1956年法律第146号第2条第2項 《2 この法律で「工業」とは、製造業物品の…》 加工修理業を含む。、電気供給業、ガす供給業及び熱供給業をいう。 に規定する工業の用に供するものを除く。)をいう。

2項 この法律において「 揚水設備 」とは、動力を用いて地下水を採取するための設備で、揚水機の吐出口の断面積(吐出口が二以上あるときは、その断面積の合計。以下同じ。)が六平方センチメートルをこえるもの( 河川法 1964年法律第167号)が適用され、又は準用される河川の河川区域内のものを除く。)をいう。

2章 建築物用地下水の採取の規制

3条 (規制を行なう地域の指定)

1項 この法律の規定により 建築物用地下水 の採取を規制する地域は、当該地域内において地下水を採取したことにより地盤が沈下し、これに伴つて高潮、出水等による災害が生ずるおそれがある場合において、政令で指定する。

2項 環境大臣は、前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとする場合においては、関係都道府県知事及び関係市(特別区を含む。以下同じ。)町村の長の意見をきかなければならない。

4条 (建築物用地下水の採取の許可)

1項 前条第1項の規定により政令で指定された地域(以下「 指定地域 」という。)内の 揚水設備 により 建築物用地下水 を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事( 地方自治法 1947年法律第67号第252条の19第1項 《政令で指定する人口五十万以上の市以下「指…》 定都市」という。は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することがで 指定都市 以下「 指定都市 」という。)の区域内にあつては、指定都市の長。以下 第15条 《 普通地方公共団体の長は、法令に違反しな…》 い限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。 普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、60,000 を除き同じ。)の許可を受けなければならない。許可を受けた揚水設備のストレーナーの位置を許可を受けた位置より浅くし、又はその揚水機の吐出口の断面積を許可を受けた断面積より大きくしようとする者も、同様とする。

2項 都道府県知事は、前項の許可の申請に係る 揚水設備 のストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積が環境省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をしてはならない。

3項 都道府県知事は、前項の規定にかかわらず、水洗便所の用に供する地下水の採取については、他の水源をもつてその地下水に替えることが著しく困難であると認める場合に限り、第1項の許可をすることができる。

4項 都道府県知事は、第1項の許可に、地盤の沈下を防止するため必要な条件を附することができる。ただし、その条件は、その許可を受けた者(以下「 採取者 」という。)に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

5条 (国又は都道府県の特例)

1項 又は都道府県( 指定都市 の区域内にあつては、指定都市を含む。以下この条において同じ。)が 建築物用地下水 を採取する 揚水設備 については、国又は都道府県と都道府県知事との協議が成立することをもつて前条第1項の許可があつたものとみなす。

6条 (経過措置)

1項 指定地域 の指定の際現に当該地域内の 揚水設備 でそのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積が 第4条第2項 《2 都道府県知事は、前項の許可の申請に係…》 る揚水設備のストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積が環境省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をしてはならない。 の環境省令で定める技術的基準に適合するものにより 建築物用地下水 を採取している者は、当該揚水設備について、そのストレーナーの位置及び吐出口の断面積により、 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の許可を受けたものとみなす。

2項 指定地域 の指定の際現に当該地域内の 揚水設備 で前項に規定するもの以外のものにより 建築物用地下水 を採取している者は、当該指定地域の指定の日から起算して2年を下らない期間で環境省令で定める期間内に限り、当該揚水設備について、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積により、 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の許可を受けたものとみなす。

3項 前2項に規定する者は、当該 指定地域 の指定の日から起算して1月以内に、環境省令で定めるところにより、当該 揚水設備 について、都道府県知事に届け出なければならない。

4項 前3項の規定は、 第2条第1項 《この法律において「建築物用地下水」とは、…》 冷房設備、水洗便所その他政令で定める設備の用に供する地下水温泉法1948年法律第125号による温泉及び工業用水法1956年法律第146号第2条第2項に規定する工業の用に供するものを除く。をいう。 の政令又はこれを改正する政令の施行に伴い新たに 建築物用地下水 となる地下水を当該政令の施行の際現に 指定地域 内の 揚水設備 により採取している者がある場合において、当該揚水設備について準用する。この場合において、前2項中「当該指定地域の指定の日」とあるのは、「当該政令の施行の日」と読み替えるものとする。

5項 第4条第2項 《2 都道府県知事は、前項の許可の申請に係…》 る揚水設備のストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積が環境省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をしてはならない。 の環境省令を改正する環境省令の施行の際現に 指定地域 内において改正後の環境省令で定める技術的基準に適合しない許可 揚水設備 同条第1項の許可を受けた揚水設備をいう。以下同じ。)(第2項(前項において準用する場合を含む。)の許可揚水設備を除く。)により 建築物用地下水 を採取している者がある場合においては、当該許可揚水設備に係る同条第1項の許可は、当該環境省令を改正する環境省令の施行の日から起算して2年を下らない期間で環境省令で定める期間を経過した時にその効力を失う。

7条 (氏名等の変更の届出)

1項 採取者 は、その氏名若しくは名称又は住所に変更があつた場合においては、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

8条 (許可の承継)

1項 採取者 から許可 揚水設備 を譲り受け、又は借り受けて、これにより 建築物用地下水 を採取する者は、当該許可揚水設備に係る採取者の地位を承継する。

2項 採取者 について相続、合併又は分割(当該許可 揚水設備 を承継させるものに限る。)があつた場合においては、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割により当該許可揚水設備を承継した法人は、採取者の地位を承継する。

3項 前2項の規定により 採取者 の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

9条 (許可の失効)

1項 採取者 がその許可 揚水設備 につき次の各号の1に該当するに至つた場合においては、当該許可揚水設備に係る 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の許可は、その効力を失う。この場合においては、採取者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1号 許可 揚水設備 により 建築物用地下水 を採取することを廃止したとき。

2号 許可 揚水設備 の揚水機を動力によらないものとし、又はその吐出口の断面積を六平方センチメートル以下としたとき。

3号 前2号の場合のほか、許可 揚水設備 を廃止したとき。

10条 (監督処分)

1項 都道府県知事は、偽りその他不正な手段により 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の許可を受けた者又は同条第4項の規定により附した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。

2項 都道府県知事は、 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の規定に違反して同項の許可を受けず、又は同条第4項の規定により附した条件に違反して 建築物用地下水 の採取が行なわれている 揚水設備 については、当該揚水設備の所有者、管理者又は占有者に対して、当該揚水設備による建築物用地下水の採取を禁止し、若しくは制限し、又は相当の猶予期限をつけて、当該揚水設備のストレーナーの位置を深くすること、その揚水機の吐出口の断面積を小さくすること、その他その違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。

3項 都道府県知事は、予想することができなかつた急激な地盤の沈下が生じたため、又は生ずるおそれがあるため、地盤の沈下に伴う高潮、出水等による災害の発生のおそれが著しく、 第4条第2項 《2 都道府県知事は、前項の許可の申請に係…》 る揚水設備のストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積が環境省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をしてはならない。 の環境省令で定める技術的基準が改正された場合において、 第6条第2項 《2 指定地域の指定の際現に当該地域内の揚…》 水設備で前項に規定するもの以外のものにより建築物用地下水を採取している者は、当該指定地域の指定の日から起算して2年を下らない期間で環境省令で定める期間内に限り、当該揚水設備について、そのストレーナーの同条第4項において準用する場合を含む。又は第5項の許可 揚水設備 による 建築物用地下水 の採取を放置することができないと認めるときは、当該許可揚水設備の所有者、管理者又は占有者に対して、当該許可揚水設備による建築物用地下水の採取を制限し、又は相当の猶予期限をつけて、当該許可揚水設備による建築物用地下水の採取を停止するか若しくは当該許可揚水設備を改正後の環境省令で定める技術的基準に適合させるため必要な措置をとることを命ずることができる。

3章 雑則

11条 (土地の立入り)

1項 環境大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため地下水又は地盤の状況に関する測量又は実地調査を行なう必要がある場合においては、その職員に他人の土地に立ち入らせることができる。

2項 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入らせようとする場合においては、立入りの日の5日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。

3項 第1項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、立入りの際あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。

4項 日出前又は日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、第1項の規定による立入りをしてはならない。

5項 第1項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

6項 又は都道府県( 指定都市 の区域内にあつては、指定都市。以下この条において同じ。)は、第1項の規定による立入りにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

7項 前項の規定による損失の補償については、国又は都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。

8項 前項の規定による協議が成立しない場合においては、国、都道府県又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に 土地収用法 1951年法律第219号第94条第2項 《2 前項の規定による協議が成立しないとき…》 は、起業者又は損失を受けた者は、収用委員会の裁決を申請することができる。 の規定による裁決を申請することができる。

12条

1項 土地の占有者は、正当な理由がなければ、前条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。

13条 (報告の徴収)

1項 都道府県知事は、この法律を施行するため必要がある場合においては、 指定地域 内において 建築物用地下水 を採取している者に対して、建築物用地下水を採取するための設備の構造及び建築物用地下水の採取の状況について報告を求めることができる。

14条 (立入検査)

1項 都道府県知事は、この法律による権限を行なうため必要な限度において、その職員に、 建築物用地下水 を採取するための設備の設置の場所又は当該設備により建築物用地下水を採取する者の事業所若しくは事務所に立ち入り、当該設備その他の物件を検査させることができる。

2項 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

15条 (意見の申出)

1項 都道府県知事( 指定都市 の区域内にあつては、指定都市の長)は環境大臣に対し、市町村長は都道府県知事に対し、それぞれ当該地方公共団体の区域内における 建築物用地下水 の採取による地盤の沈下の防止に関し、意見を申し出ることができる。

16条 (国等の援助)

1項 及び地方公共団体は、許可 揚水設備 により採取される 建築物用地下水 を使用する設備を地下水を使用しないものに改造することを促進するため、当該改造につき必要な資金のあつせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。

4章 罰則

17条 (罰則)

1項 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の拘禁刑又は110,000円以下の罰金に処する。

1号 第4条第1項 《前条第1項の規定により政令で指定された地…》 域以下「指定地域」という。内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事地 の許可を受けないで 指定地域 内の 揚水設備 により 建築物用地下水 を採取した者

2号 第10条第2項 《2 都道府県知事は、第4条第1項の規定に…》 違反して同項の許可を受けず、又は同条第4項の規定により附した条件に違反して建築物用地下水の採取が行なわれている揚水設備については、当該揚水設備の所有者、管理者又は占有者に対して、当該揚水設備による建築 又は第3項の規定による都道府県知事の処分に違反した者

18条

1項 次の各号の1に該当する者は、40,000円以下の罰金に処する。

1号 第6条第3項 《3 前2項に規定する者は、当該指定地域の…》 指定の日から起算して1月以内に、環境省令で定めるところにより、当該揚水設備について、都道府県知事に届け出なければならない。同条第4項において準用する場合を含む。)、 第7条 《氏名等の変更の届出 採取者は、その氏名…》 若しくは名称又は住所に変更があつた場合においては、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。第8条第3項 《3 前2項の規定により採取者の地位を承継…》 した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 又は 第9条 《許可の失効 採取者がその許可揚水設備に…》 つき次の各号の1に該当するに至つた場合においては、当該許可揚水設備に係る第4条第1項の許可は、その効力を失う。 この場合においては、採取者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

2号 第12条 《 土地の占有者は、正当な理由がなければ、…》 前条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。 の規定に違反して 第11条第1項 《環境大臣又は都道府県知事は、この法律を施…》 行するため地下水又は地盤の状況に関する測量又は実地調査を行なう必要がある場合においては、その職員に他人の土地に立ち入らせることができる。 の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者

3号 第13条 《報告の徴収 都道府県知事は、この法律を…》 施行するため必要がある場合においては、指定地域内において建築物用地下水を採取している者に対して、建築物用地下水を採取するための設備の構造及び建築物用地下水の採取の状況について報告を求めることができる。 の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

4号 第14条第1項 《都道府県知事は、この法律による権限を行な…》 うため必要な限度において、その職員に、建築物用地下水を採取するための設備の設置の場所又は当該設備により建築物用地下水を採取する者の事業所若しくは事務所に立ち入り、当該設備その他の物件を検査させることが の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

19条

1項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前2条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

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