制定文
警察法施行令 (昭和29年政令第151号)
第13条
《国家公安委員会規則等への委任 国家公安…》
委員会が法第5条第4項の規定による管理に係る事務又は同条第5項若しくは第6項の事務を行うために必要な手続その他の事項については、国家公安委員会規則で定める。 2 都道府県公安委員会が法第38条第3項の
の規定に基づき、警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範を次のように定める。
1章 総則
1条 (目的)
1項 この規則は、警察官及び皇宮護衛官が拳銃を適正かつ的確に使用し、及び取り扱うため必要な事項を定めることを目的とする。
2条 (用語の定義等)
1項 この規則において、「所轄庁」とは、警察庁(警察庁内部部局、警察大学校及び科学警察研究所をいう。)、皇宮警察本部、管区警察局、警視庁、道府県警察本部及び方面本部をいう。この場合において、警視庁には東京都警察情報通信部を、北海道警察本部には北海道警察情報通信部を含むものとする。
2項 警察官職務執行法 (昭和23年法律第136号。以下「 法 」という。)
第7条
《武器の使用 警察官は、犯人の逮捕若しく…》
は逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することが
ただし書第1号に規定する「死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪」に当たる罪を例示すると、次のとおりである。
1号 不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要な施設若しくは設備を破壊するおそれがあり、社会に不安又は恐怖を生じさせる罪として次に掲げるもの
イ 刑法 (明治40年法律第45号)
第77条
《内乱 国の統治機構を破壊し、又はその領…》
土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。 1 首謀者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。 2
(内乱)、
第81条
《外患誘致 外国と通謀して日本国に対し武…》
力を行使させた者は、死刑に処する。
(外患誘致)、
第98条
《加重逃走 前条に規定する者が拘禁場若し…》
くは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して、逃走したときは、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。
(加重逃走)、
第106条第1号
《騒乱 第106条 多衆で集合して暴行又は…》
脅迫をした者は、騒乱の罪とし、次の区別に従って処断する。 1 首謀者は、1年以上10年以下の拘禁刑に処する。 2 他人を指揮し、又は他人に率先して勢いを助けた者は、6月以上7年以下の拘禁刑に処する。
及び第2号(騒乱)、
第108条
《現住建造物等放火 放火して、現に人が住…》
居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する。
(現住建造物等放火)、
第119条
《現住建造物等浸害 出水させて、現に人が…》
住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車又は鉱坑を浸害した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の拘禁刑に処する。
(現住建造物等浸害)、
第126条
《汽車転覆等及び同致死 現に人がいる汽車…》
又は電車を転覆させ、又は破壊した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。 2 現に人がいる艦船を転覆させ、沈没させ、又は破壊した者も、前項と同様とする。 3 前2項の罪を犯し、よって人を死亡させた者は
(汽車転覆等及び同致死)並びに
第146条
《水道毒物等混入及び同致死 水道により公…》
衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、2年以上の有期拘禁刑に処する。 よって人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する。
(水道毒物等混入及び同致死)の罪
ロ 爆発物取締罰則(明治17年太政官布告第32号)第1条(爆発物不法使用)の罪
ハ 道路運送法 (昭和26年法律第183号)
第101条
《 人の現在する一般旅客自動車運送事業者の…》
事業用自動車を転覆させ、又は破壊した者は、10年以下の拘禁刑に処する。 2 前項の罪を犯しよつて人を傷つけた者は、1年以上の有期拘禁刑に処し、死亡させた者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。 3 第
(事業用自動車の転覆等)の罪
ニ 航空機の強取等の処罰に関する法律 (昭和45年法律第68号)
第1条
《航空機の強取等 暴行若しくは脅迫を用い…》
、又はその他の方法により人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の航空機を強取し、又はほしいままにその運航を支配した者は、無期又は7年以上の拘禁刑に処する。 2 前項の未遂罪は、罰する。
(航空機の強取等)の罪
ホ 細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約等の実施に関する法律(昭和57年法律第61号)第9条(生物剤の発散等)の罪
ヘ 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律 (平成7年法律第65号)
第38条
《 化学兵器を使用して、当該化学兵器に充填…》
され、又は当該化学兵器の内部で生成された毒性物質又はこれと同等の毒性を有する物質を発散させた者は、無期若しくは2年以上の拘禁刑又は10,010,000円以下の罰金に処する。 2 毒性物質又はこれと同等
(毒性物質の発散)の罪
ト 放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律 (平成19年法律第38号)
第3条第1項
《放射性物質をみだりに取り扱うこと若しくは…》
原子核分裂等装置をみだりに操作することにより、又はその他不当な方法で、核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし、又は放射線を発散させて、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、無期又は2年以
及び第2項(放射線の発散等)の罪
チ イからトまでに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、不特定若しくは多数の人の生命若しくは身体を害し、又は重要な施設若しくは設備を破壊するおそれがあり、社会に不安又は恐怖を生じさせるもの
2号 人の生命又は身体に危害を与える罪として次に掲げるもの
イ 刑法
第199条
《殺人 人を殺した者は、死刑又は無期若し…》
くは5年以上の拘禁刑に処する。
(殺人)及び
第204条
《傷害 人の身体を傷害した者は、15年以…》
下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。
(傷害)の罪
ロ イに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体に危害を与えるもの
3号 前2号に掲げる罪のほか、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器を携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われる罪として次に掲げるもの
イ 刑法
第177条第1項
《前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他…》
これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部
(不同意性交等)、
第225条の2
《身の代金目的略取等 近親者その他略取さ…》
れ又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する。 2 人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘
(身の代金目的略取等)及び
第236条
《強盗 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を…》
強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期拘禁刑に処する。 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(強盗)の罪
ロ 暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正15年法律第60号)第1条の罪のうち、団体若しくは多衆の威力を示し、又は凶器を示して行われる場合のもの
ハ 団体若しくは多衆の威力を示し、凶器を示し、又は格闘に及ぶ程度の著しい暴行によつて行われる 刑法
第95条
《公務執行妨害及び職務強要 公務員が職務…》
を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。 2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行
(公務執行妨害)の罪
ニ 刑法
第130条
《住居侵入等 正当な理由がないのに、人の…》
住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は110,000円以下の罰金に処する。
(住居侵入等)の罪のうち、凶器を携帯して行われるもの
ホ 刑法
第235条
《窃盗 他人の財物を窃取した者は、窃盗の…》
罪とし、10年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。
(窃盗)の罪のうち、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入して行われるもの
ヘ 銃砲刀剣類所持等取締法 (昭和33年法律第6号)
第31条の3第1項
《第3条第1項の規定に違反して拳銃等を所持…》
し、又は人の生命、身体若しくは財産を害する目的で同項の規定に違反して銃砲等拳銃等を除く。以下この項、第31条の五及び第31条の6において同じ。を所持したときは、当該違反行為をした者は、1年以上10年以
の罪のうち当該拳銃等を携帯して行われる場合のもの、同法第31条の11第1項第1号の罪のうち当該猟銃を携帯して行われる場合のもの及び同法第31条の16第1項第1号の罪のうち当該銃砲等又は刀剣類を携帯して行われる場合のもの
ト イからヘまでに掲げる罪のほか、死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪で、人の生命又は身体に対して危害を及ぼすおそれがあり、かつ、凶器を携帯するなど著しく人を畏怖させるような方法によつて行われるもの
3条 (皇宮護衛官への準用)
1項 第2章から第6章までの規定は、皇宮護衛官の拳銃の使用及び取扱いについて準用する。
2章 使用等
4条 (あらかじめ拳銃を取り出しておくことができる場合)
1項 警察官は、職務の執行に当たり拳銃の使用が予想される場合においては、あらかじめ拳銃を取り出しておくことができる。
2項 前項の規定により拳銃を取り出しておく場合には、拳銃を奪取されることのないよう細心の注意を払うとともに、相手を殊更に刺激しないよう配慮しなければならない。
5条 (拳銃を構えることができる場合)
1項 警察官は、 法
第7条
《武器の使用 警察官は、犯人の逮捕若しく…》
は逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することが
本文に規定する場合においては、相手に向けて拳銃を構えることができる。
2項 前項の規定により拳銃を構える場合には、相手の人数、凶器の有無及び種類、犯罪の態様その他の事情に応じ、適切な構え方をするものとする。
6条 (拳銃を撃つ場合の予告)
1項 拳銃を撃とうとするときは、拳銃を撃つことを相手に予告するものとする。ただし、事態が急迫であつて予告するいとまのないとき又は予告することにより相手の違法行為等を誘発するおそれがあると認めるときは、この限りでない。
7条 (威嚇射撃等をすることができる場合)
1項 警察官は、 法
第7条
《武器の使用 警察官は、犯人の逮捕若しく…》
は逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することが
本文に規定する場合において、多衆を相手にするとき、相手に向けて拳銃を構えても相手が行為を中止しないと認めるときその他威嚇のため拳銃を撃つことが相手の行為を制止する手段として適当であると認めるときは、上空その他の安全な方向に向けて拳銃を撃つことができる。
2項 前項の規定により威嚇射撃をする場合には、人に危害を及ぼし、又は損害を与えることのないよう、射撃の時機及び方向に注意するとともに、その回数も必要最小限にとどめるものとする。
3項 事態が急迫であつて威嚇射撃をするいとまのないとき、威嚇射撃をしても相手が行為を中止しないと認めるとき又は周囲の状況に照らし人に危害を及ぼし、若しくは損害を与えるおそれがあると認めるときは、次条の規定による射撃に先立つて威嚇射撃をすることを要しない。
4項 第1項に定めるもののほか、警察官は、 法
第7条
《武器の使用 警察官は、犯人の逮捕若しく…》
は逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することが
本文に規定する場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、狂犬等の動物その他の物に向けて拳銃を撃つことができる。
8条 (相手に向けて拳銃を撃つことができる場合)
1項 警察官は、 法
第7条
《武器の使用 警察官は、犯人の逮捕若しく…》
は逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することが
ただし書に規定する場合には、相手に向けて拳銃を撃つことができる。
2項 前項の規定により拳銃を撃つときは、相手以外の者に危害を及ぼし、又は損害を与えないよう、事態の急迫の程度、周囲の状況その他の事情に応じ、必要な注意を払わなければならない。
9条 (部隊組織及び複数により行動する場合)
1項 多衆犯罪の鎮圧等のため、警察官が部隊組織により行動する場合において、
第5条
《拳銃を構えることができる場合 警察官は…》
、法第7条本文に規定する場合においては、相手に向けて拳銃を構えることができる。 2 前項の規定により拳銃を構える場合には、相手の人数、凶器の有無及び種類、犯罪の態様その他の事情に応じ、適切な構え方をす
から前条までの規定により拳銃を使用するときは、その場の部隊指揮官の命令によらなければならない。ただし、状況が急迫で命令を受けるいとまのないときは、この限りでない。
2項 前項に定めるもののほか、複数の警察官が共同で職務を遂行する場合において、
第5条
《拳銃を構えることができる場合 警察官は…》
、法第7条本文に規定する場合においては、相手に向けて拳銃を構えることができる。 2 前項の規定により拳銃を構える場合には、相手の人数、凶器の有無及び種類、犯罪の態様その他の事情に応じ、適切な構え方をす
から前条までの規定による拳銃の使用が予想されるときは、相手の行為を制止する時機を失することのないよう、できる限り、拳銃の使用に係る適切な役割分担(前2条の規定による射撃を率先して行うべき警察官にはあらかじめ明確にその旨の任務を付与することその他の現場において拳銃の使用に係る判断を迅速かつ的確に行うため必要な役割の分担をいう。)の下で、拳銃の的確な使用に努めるものとする。
3項 犯罪、事故等の発生等に際し、警察官をその現場に向かわせる職務を担当する者は、複数の警察官を拳銃の使用が予想される現場に向かわせる場合には、できる限り、前項に規定する拳銃の使用に係る適切な役割分担が行われるよう、必要な指示をするものとする。
10条 (報告)
1項 警察官は、拳銃を撃つたとき(盲発したときを含む。)は、直ちに、次の各号に掲げる事項(人に危害を与えていない場合は、第1号、第2号及び第4号に掲げる事項)を所属長に報告しなければならない。ただし、訓練の場合は、この限りでない。
1号 使用の日時及び場所
2号 使用者の所属、官職及び氏名
3号 危害の内容及び程度
4号 使用の理由及び状況
5号 事案に対する処置
6号 その他参考事項(使用した拳銃の名称、型式、口径、銃身長及び番号を含む。)
2項 前条第1項本文の規定により拳銃を使用した場合における前項の規定による報告は、命令を発した部隊指揮官が行うものとする。
3項 所属長は、前2項の報告を受けたときは、直ちに所轄庁の長に報告しなければならない。
4項 所轄庁の長(警察庁 長官 (以下「 長官 」という。)を除く。)は、人に危害を与えた事案につき前項の報告を受けたときは、直ちに長官に報告しなければならない。
3章 携帯等
11条 (拳銃の携帯)
1項 警察官は、制服(活動服を含む。以下同じ。)を着用して勤務するときは、拳銃を携帯するものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
1号 室内で勤務するとき(交番その他の派出所、駐在所その他これらに類する施設で公衆の見やすい場所において勤務するときを除く。)。
2号 会議又は事務打合せに出席するとき。
3号 儀式に出席するとき。
4号 音楽隊員が演奏に従事するとき。
5号 看守勤務の警察官が留置施設において勤務するとき。
6号 交通整理、交通取締り、交通事故の処理又は交通事故に係る犯罪の捜査に従事するとき。
7号 災害応急対策のための活動に従事するとき。
8号 雑踏警備に従事する場合等で拳銃を携帯することが職務遂行上特に支障があると所属長が認めたとき。
9号 前各号に掲げる場合のほか、拳銃を携帯することが不適当であると所轄庁の長が認めたとき。
2項 警察官は、特殊の被服又は私服を着用して勤務する場合において、拳銃を使用する可能性のある職務に従事するときは、拳銃を携帯するものとする。
12条 (拳銃の携帯方法)
1項 制服又は特殊の被服を着用して拳銃を携帯するときは、拳銃入れに納めて帯革に付け、右腰に着装するものとする。ただし、職務の性質上特に必要がある場合には、所属長が指示する方法により携帯することができる。
2項 前項本文の方法により、制服又は特殊の被服を着用して拳銃を着装したときは、牛革製の拳銃入れにあつては安全止革を撃鉄に掛けボタンで留め、蓋のボタンを掛けるものとし、樹脂製の拳銃入れにあつては蓋を閉じるものとする。ただし、職務の執行に当たり拳銃の使用が予想されるときは、牛革製の拳銃入れにあつては安全止革及び蓋のボタンは外しておくものとし、樹脂製の拳銃入れにあつては蓋は開けておくものとする。
3項 私服を着用して拳銃を携帯するときは、目立たないよう適宜の方法で携帯するものとする。ただし、職務の執行に当たり拳銃の使用が予想される場合は、この限りでない。
13条 (たまの装塡等)
1項 警察官は、拳銃を携帯するときは、常時、回転式拳銃にあつては 長官 が別に定める数のたまを装塡し、自動式拳銃にあつては長官が別に定める数のたまを充塡した弾倉を弾倉室に挿入しておくものとする。
14条 (拳銃の安全規則)
1項 警察官は、拳銃の取扱いについては、次に掲げる安全規則を厳守し、危害防止について細心の注意を払わなければならない。
1号 拳銃を手にしたときは、回転式拳銃にあつては弾倉を開き、自動式拳銃にあつては弾倉を抜き出し遊底を引いて、たまの有無を確かめること。
2号 射撃するときのほか、回転式拳銃にあつては撃鉄を起こさず、自動式拳銃にあつては、所属長が特に指示したときを除き、薬室にたまを装塡しないこと。
3号 射撃するときのほか、用心金の中に指を入れないこと。
4号 射撃の目標物以外のもの又は跳弾により人を傷つけるおそれのある方向には、銃口を向けないこと。
5号 拳銃を他人に渡すとき及び必要があつて拳銃を拳銃入れから出しておくときは、回転式拳銃にあつてはたまを抜き出し弾倉を開いたままにし、自動式拳銃にあつては弾倉を抜き出し遊底を引いてたまが薬室に装塡されていないことを確認すること。
6号 必要がある場合のほか、拳銃入れから拳銃を取り出し、又はこれを弄ばないこと。
7号 職務上必要のない者には、拳銃を渡し、又は拳銃に手を触れさせないこと。
4章 訓練
15条 (訓練)
1項 所轄庁の長は、適正かつ的確な拳銃の使用及び取扱いを図るため、所属の警察官の拳銃訓練を行わなければならない。
16条 (訓練責任者)
1項 所轄庁の長は、所属の警察官の中から、訓練の実施責任者(次項において「 訓練責任者 」という。)を指定するものとする。
2項 訓練責任者 は、命ぜられた部署における拳銃訓練の実施の責に任ずる。
5章 保管
17条 (管理責任者)
1項 所轄庁の長は、所属の警察官の中から、拳銃等(拳銃、たま及びこれらの付属品をいう。以下同じ。)の管理責任者を指定するものとする。
2項 管理責任者は、命ぜられた部署における拳銃等の管理及び監督の責に任ずる。
18条 (取扱責任者)
1項 管理責任者は、命ぜられた部署に所属する警察官の中から、拳銃等の取扱責任者を指定するものとする。
2項 管理責任者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、取扱責任者に拳銃等の保管を命ずることができる。
1号 警察官が、長期欠勤又は心身の故障のため、拳銃等を保管することが適当でないと認められるとき。
2号 警察官が停職を命ぜられたとき。
3号 修理、精密手入れ等のため、拳銃を集めるとき。
4号 亡失その他の事故の防止のため、管理責任者が特に必要があると認めたとき。
3項 取扱責任者は、前項の規定により拳銃等の保管を命ぜられたときは、その拳銃等の保管の責めに任ずる。
4項 取扱責任者は、拳銃等を保管するときは、安全な格納庫に厳重に保管して、その鍵は自ら保管するものとし、不在のときは、必ずあらかじめ指定する代理者にこれを保管させ、拳銃等の出納に支障のないようにしなければならない。
5項 取扱責任者又はその指定する代理者は、警察官から保管を依頼された拳銃等の授受に当たつては、不慮の危害を生じさせないよう特に慎重に行い、併せてその拳銃等について損傷その他異常の有無を検査しなければならない。
19条 (個人の拳銃等の保管責任)
1項 警察官は、貸与された拳銃等の保管の責めに任ずる。ただし、携帯しないときは、取扱責任者に保管を依頼することができる。この場合において、保管を依頼した警察官は、保管の責めを免れるものとする。
2項 前条第3項の規定は、前項ただし書の場合について準用する。
20条 (拳銃等の返納)
1項 警察官は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、拳銃等をその部署の取扱責任者を経て、管理責任者に返納しなければならない。
1号 離職したとき。
2号 他の所轄庁へ転任又は配置換えを命ぜられたとき。
3号 警察官以外の職員に任命されたとき。
4号 休職を命ぜられたとき。
21条 (拳銃等の保管上の注意)
1項 拳銃等の保管の責めに任ずる者は、次の事項を守り、拳銃等の保管について最善の注意を払わなければならない。
1号 拳銃等が常に良好な状態にあり、いつでも使用に耐えるよう保管し、かつ、粗略な取扱いによつて損傷する等のことがないようにすること。
2号 拳銃等を放置し、盗まれ、遺失し、又は奪取されることのないようにすること。
22条 (記録票)
1項 銃砲刀剣類所持等取締法
第28条第1項
《第3条第1項第1号又は第2号の規定により…》
所持することができる銃砲等火縄式銃砲等の古式銃砲を除く。を管理する責任を有する者以下この条において「銃砲等の管理責任者」という。は、内閣府令で定める手続により、その管理する銃砲等に関する記録票を作成し
に規定する記録票は、所轄庁の拳銃等の貸与事務担当課の長が作成し、かつ、保存しなければならない。
23条 (拳銃等の亡失損傷等の報告)
1項 警察官は、拳銃等を亡失し、又は損傷したときは、直ちにその状況を管理責任者に報告し、報告を受けた管理責任者は、それを所轄庁の長に報告しなければならない。
2項 所轄庁の長( 長官 を除く。)は、拳銃の亡失について前項の報告を受けたときは、直ちに事故の日時、場所、事故者の所属、官職及び氏名、事故拳銃の名称、型式、口径、銃身長及び番号並びに事故の状況を、長官に報告しなければならない。
3項 拳銃に特異又は重大な損傷を生じたときは、前項の規定に準じて報告しなければならない。
4項 所轄庁の長( 長官 を除く。)は、所属の警察官の亡失した拳銃が発見されたときは、発見の日時及び場所、発見された拳銃の名称、型式、口径、銃身長及び番号並びに発見の状況を長官に報告しなければならない。
24条 (試射弾丸及び試射薬きようの登録)
1項 管理責任者は、その管理する拳銃については、試射を行つた上、試射弾丸及び試射薬きように別記様式第1号による登録票を付けてその所轄庁の科学捜査研究所(科学捜査についての研究に関する事務を所掌する所属をいう。以下同じ。)に送付し、登録しなければならない。拳銃の銃身等を取り替えたときも、また同様とする。
2項 管理責任者は、特に必要があると認めるときは、前項の規定による試射弾丸及び試射薬きようの登録を更新するものとする。
3項 第1項の規定により試射弾丸及び試射薬きようの送付を受けたときは、これを科学捜査研究所において登録票とともに整理保管しなければならない。
25条 (拳銃の亡失の場合の処置)
1項 所轄庁の長は、所属の警察官がその管理する拳銃を亡失したときは、当該拳銃の試射弾丸及び試射薬きように、別記様式第2号による送付書を添付して、速やかに科学警察研究所長に送付しなければならない。
2項 所轄庁の長は、亡失した拳銃が発見されたときは、その旨を科学警察研究所長に通知しなければならない。
6章 拳銃等の手入れ及び検査
26条 (拳銃の手入れの種別)
1項 拳銃の手入れは、普通手入れ及び精密手入れとする。
2項 普通手入れとは、回転式拳銃にあつては拳銃を分解しないで、自動式拳銃にあつては普通分解をして行う手入れをいい、精密手入れとは、回転式拳銃にあつては拳銃を分解して、自動式拳銃にあつては精密分解をして行う手入れをいう。
27条 (拳銃の普通手入れ)
1項 警察官は、携帯している拳銃の普通手入れを機会あるごとに行うものとする。
2項 警察官は、拳銃を撃つたとき又は拳銃が雨雪等にさらされたときは、その都度、速やかに普通手入れを行い、その後更に反復して普通手入れを行うよう努めなければならない。
3項 取扱責任者は、自己の保管に係る拳銃については、毎月1回以上普通手入れを行わなければならない。
4項 警察官から保管を依頼された拳銃について前項の手入れを行うときは、その警察官に手入れを行わせることができる。
28条 (拳銃の精密手入れ)
1項 管理責任者は、その管理する拳銃の精密手入れを、年に1回以上、日を定めて、専門の技術を有する者に行わせるものとする。
2項 警察官は、拳銃を水中に落とした場合又は拳銃が著しく汚染した場合には、精密手入れを管理責任者に要求しなければならない。
29条 (拳銃等の検査)
1項 管理責任者は、随時拳銃等の検査を行い、その保管の状況を監督し、損傷その他機能障害の箇所を発見したときは、速やかに修理その他適当な処置を講じなければならない。