炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法《本則》

法番号:1967年法律第92号

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1条 (目的)

1項 この法律は、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関し、一酸化炭素中毒症にかかつた労働者に対して特別の保護措置を講ずること等により、労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1号 炭鉱災害 :石炭鉱業を行なう事業場におけるガス又は炭じんの爆発その他厚生労働省令で定める災害をいう。

2号 一酸化炭素中毒症 :一酸化炭素による中毒及びその続発症をいう。

3号 使用者 労働安全衛生法 1972年法律第57号第2条第3号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病に に規定する事業者をいう。

4号 労働者 労働基準法 1947年法律第49号第9条 《定義 この法律で「労働者」とは、職業の…》 種類を問わず、事業又は事務所以下「事業」という。に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。 に規定する 労働者 同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

3条 (使用者及び労働者の義務)

1項 使用者 及び 労働者 は、 労働安全衛生法 及び 鉱山保安法 1949年法律第70号)の規定によるほか、 炭鉱災害 により一酸化炭素が発生した場合における 一酸化炭素中毒症 の防止について適切な措置を講ずるように努めなければならない。

4条 (差別的取扱いの禁止)

1項 使用者 は、 炭鉱災害 による 一酸化炭素中毒症 にかかつた 労働者 の労働条件について、その者が当該一酸化炭素中毒症にかかつた者であることを理由として一切の差別的取扱いをしてはならない。

5条 (健康診断)

1項 使用者 は、 炭鉱災害 により一酸化炭素が発生した際業務上の必要によりその発生に係る場所におり、又はその直後業務上の必要により当該場所に立ち入つた 労働者 以下「 被災労働者 」という。)に対し、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、専門の医師による 一酸化炭素中毒症 に関する健康診断を行なわなければならない。

2項 使用者 被災労働者 を当該 炭鉱災害 が起こつた時から引き続き使用する使用者に限る。以下 第7条 《福利厚生施設の供与 使用者は、炭鉱災害…》 による一酸化炭素中毒症にかかつた被災労働者であつて、当該一酸化炭素中毒症に係る療養の開始後3年を経過した日において労働者災害補償保険法の規定による傷病補償年金を受けているもの又は同日後において傷病補償 までにおいて同じ。)は、当該被災労働者(当該炭鉱災害による 一酸化炭素中毒症 について現に 労働者 災害補償保険法(1947年法律第50号)の規定による療養補償給付又は 労働基準法 の規定による療養補償を受けている被災労働者及び 第9条 《診察等の措置 政府は、炭鉱災害による一…》 酸化炭素中毒症について労働者災害補償保険法の規定による療養補償給付を受けていた被災労働者であつて、当該一酸化炭素中毒症が治つたものに対し、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、診 に規定する被災労働者を除く。)に対し、当該炭鉱災害が起こつた日から起算して2年を経過するまでの間(当該炭鉱災害による一酸化炭素中毒症にかかつたと認められた被災労働者については、当該一酸化炭素中毒症が治つたと認められた日から起算して2年を経過するまでの間)、厚生労働省令で定めるところにより、定期に、専門の医師による一酸化炭素中毒症に関する健康診断を行わなければならない。

3項 被災労働者 は、正当な理由がある場合を除き、前2項の規定により 使用者 が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、使用者が指定した医師の行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の専門の医師の行なう前2項の規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める物件を使用者に提出したときは、この限りでない。

4項 使用者 は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び第2項の規定による健康診断並びに前項ただし書に規定する健康診断に関する記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。

5項 使用者 は、第1項又は第2項の規定により健康診断を行なつた場合においては、その限度において、 労働安全衛生法 第66条第1項 《事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定…》 めるところにより、医師による健康診断第66条の10第1項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。を行わなければならない。 又は第2項の規定による健康診断を行なわなくてもよい。 被災労働者 が第3項ただし書に規定する健康診断を受けた場合においても、同様とする。

6条 (作業の転換等の措置)

1項 使用者 は、前条第1項若しくは第2項の規定による健康診断又は同条第3項ただし書に規定する健康診断の結果に基づき、 被災労働者 に関し、危害防止又は健康保持のため必要があるときは、当該被災労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な措置を講じなければならない。 第9条 《診察等の措置 政府は、炭鉱災害による一…》 酸化炭素中毒症について労働者災害補償保険法の規定による療養補償給付を受けていた被災労働者であつて、当該一酸化炭素中毒症が治つたものに対し、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、診 に規定する被災労働者に関し、危害防止又は健康保持のため必要があるときも、同様とする。

7条 (福利厚生施設の供与)

1項 使用者 は、 炭鉱災害 による 一酸化炭素中毒症 にかかつた 被災労働者 であつて、当該一酸化炭素中毒症に係る療養の開始後3年を経過した日において 労働者 災害補償保険法の規定による傷病補償年金を受けているもの又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつたものが、それぞれ当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、住宅その他の福利厚生に関する施設であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「 福利厚生施設 」という。)の供与を引き続き受けることを希望したときは、厚生労働省令で定める期間、当該 福利厚生施設 を供与しなければならない。

2項 使用者 は、前項の規定による 福利厚生施設 の供与については、当該 被災労働者 が使用されていた事業場に使用される 労働者 に対する福利厚生施設の供与との均衡を失わないようにしなければならない。

8条

1項 削除

9条 (診察等の措置)

1項 政府は、 炭鉱災害 による 一酸化炭素中毒症 について 労働者 災害補償保険法の規定による療養補償給付を受けていた 被災労働者 であつて、当該一酸化炭素中毒症が治つたものに対し、必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、診察その他厚生労働省令で定める措置を行う。

10条 (労働者災害補償保険法との関係)

1項 前条の規定による診察等の措置は、 労働者 災害補償保険法第29条第1項の社会復帰促進等事業とする。

2項 前条の規定による診察等の措置に要する費用の額は、 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 1969年法律第84号第12条第3項 《3 厚生労働大臣は、連続する三保険年度中…》 の各保険年度において次の各号のいずれかに該当する事業であつて当該連続する三保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日以下この項において「基準日」という。において労災保険に係る保険関係が成立した後3年 の規定の適用については、同項に規定する保険給付の額とみなす。

11条 (リハビリテーシヨン施設の整備)

1項 政府は、 炭鉱災害 による 一酸化炭素中毒症 にかかつた 被災労働者 のためのリハビリテーシヨン施設の整備に努めなければならない。

12条 (労働基準監督署長及び労働基準監督官)

1項 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

13条 (労働基準監督官の権限)

1項 労働基準監督官は、この法律の規定を実施するために必要な限度において、事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問をすることができる。

2項 前項の規定により立入検査をする労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

14条

1項 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、 刑事訴訟法 1948年法律第131号)の規定による司法警察員の職務を行なう。

15条 (報告)

1項 都道府県労働局長及び労働基準監督署長は、この法律の規定を実施するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、 使用者 及び 労働者 に対し、厚生労働省令で定める事項の報告を命ずることができる。

16条 (罰則)

1項 次の各号のいずれかに該当する者は、5,000円以下の罰金に処する。

1号 第5条第1項 《使用者は、炭鉱災害により一酸化炭素が発生…》 した際業務上の必要によりその発生に係る場所におり、又はその直後業務上の必要により当該場所に立ち入つた労働者以下「被災労働者」という。に対し、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、専門の医師による 、第2項又は第4項の規定に違反した者

2号 第13条第1項 《労働基準監督官は、この法律の規定を実施す…》 るために必要な限度において、事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問をすることができる。 の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

3号 前条の規定による報告を命ぜられて報告をせず、又は虚偽の報告をした者

2項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

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