民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律《本則》

法番号:1970年法律第115号

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、民事訴訟手続に関する条約及び民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施に伴い、民事訴訟手続に関する特例等を定めることを目的とする。

2章 民事訴訟手続に関する条約の実施 > 1節 通則

2条 (当局の指定)

1項 民事訴訟手続に関する条約(以下「 民訴条約 」という。)第1条第1項、 第9条第1項 《外国の当局の嘱託により証拠調べその他の裁…》 判上の行為をするに際し本邦の裁判所がした裁判については、当該裁判所を受訴裁判所とみなして不服申立てに関する民事訴訟法の規定を適用する。 及び 第23条第1項 《民訴条約第23条の規定により外国において…》 訴訟上の救助を請求する者は、その者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所にその請求を提出しなければならない。 の当局は、外務大臣とする。

3条 (送達及び司法共助の管轄等)

1項 民訴条約 に定める文書の送達及び証拠調べその他の裁判上の行為について、同条約の締約国である 外国 以下この章において「 外国 」という。)の当局の嘱託があつたときは、裁判所は、これについて法律上の補助をするものとする。

2項 法律上の補助をする裁判所は、所要の事務を取り扱うべき地を管轄する地方裁判所とする。

4条 (管轄裁判所への移送)

1項 受託事項が他の裁判所の管轄に属するときは、受託裁判所は、嘱託を管轄裁判所に移送する。

5条 (受託事項の実施)

1項 受託事項は、 民訴条約 に特別の定めがある場合には同条約によるほか、日本国の法律により行なう。

2節 文書の送達

6条 (裁判外の文書の送達)

1項 民訴条約 第1条第1項の文書で裁判外のものの 外国 における送達に関する事項は、送達を求める者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2項 前項の送達及び 外国 の当局の嘱託により本邦においてする裁判外の文書の送達に関しては、 民事訴訟法 1996年法律第109号)第1編第5章第4節(第104条、第3款及び第111条第2号の規定を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第113条中「書類又は電磁的記録」とあるのは「書類」と、「記載又は記録」とあるのは「記載」と読み替えるものとする。

7条 (送達証明)

1項 送達について法律上の補助をした地方裁判所は、送達の事実、方法及び日付を確認した証明書又は送達ができなかつた事由を記載した証明書を作成し、外務大臣に送付しなければならない。

2項 前項の証明書の作成事務は、裁判所書記官が取り扱う。

3節 司法共助の嘱託

8条 (期日の通知)

1項 民訴条約 第11条第2項の規定による通知をしたときは、当事者に対する期日の呼出しは、要しない。

9条 (受託裁判所のした処分に対する不服申立て)

1項 外国 の当局の嘱託により証拠調べその他の裁判上の行為をするに際し本邦の裁判所がした裁判については、当該裁判所を受訴裁判所とみなして不服申立てに関する 民事訴訟法 の規定を適用する。

4節 訴訟費用の担保の免除等

10条 (訴訟費用の担保の免除)

1項 民訴条約 の締約国に住所、事務所又は営業所を有する締約国の国民である原告は、本邦に住所、事務所及び営業所を有しないときでも、 民事訴訟法 第75条第1項 《原告が日本国内に住所、事務所及び営業所を…》 有しないときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、訴訟費用の担保を立てるべきことを原告に命じなければならない。 その担保に不足を生じたときも、同様とする。 に規定する訴訟費用の担保を供することを要しない。ただし、その者が国籍を有する締約国が民訴条約第32条第1項の留保をしているときは、この限りでない。

11条 (執行認許の請求の嘱託)

1項 民訴条約 第18条第1項又は第2項の裁判で本邦の裁判所がしたものについては、第一審の受訴裁判所は、訴訟費用債権者の申立てにより、執行認許の請求をすべき旨を外務大臣に嘱託するものとする。

12条 (訴訟費用の負担を命ずる外国裁判の執行)

1項 民訴条約 第18条第1項又は第2項の裁判で 外国 裁判所がしたものによる強制執行は、本邦の裁判所が執行認許をしたときに限り、行なうことができる。

2項 執行認許の事件は、訴訟費用債務者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。その普通裁判籍がないときは、 民事訴訟法 第5条第4号 《財産権上の訴え等についての管轄 第5条 …》 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。 1 財産権上の訴え 義務履行地 2 手形又は小切手による金銭の支払の請求を目的とする訴え 手形又は小切手の支 の規定により訴訟費用債務者に対する訴えを管轄する地方裁判所の管轄に属する。

13条 (執行認許の請求の送付)

1項 民訴条約 第18条第1項又は第2項の規定により執行認許の請求がされた場合には、外務大臣は、これを裁判所に送付しなければならない。

14条 (執行認許についての裁判)

1項 裁判所は、前条の規定による送付を受けたときは職権で、 民訴条約 第18条第3項の取極があるときは申立てにより、同条約第19条第2項1、2及び3に掲げる事項について審理し、執行認許又は執行不認許の決定をしなければならない。

15条 (裁判の告知)

1項 前条の規定により裁判所が職権で開始した事件の決定は、検察官及び訴訟費用債務者に告知することによつて、効力を生ずる。

16条 (即時抗告)

1項 執行認許又は執行不認許の決定に対しては、申立人及び訴訟費用債務者に限り、即時抗告をすることができる。前条の規定により執行不認許の決定の告知を受けた検察官も、同様とする。

17条 (執行認許の決定の効力)

1項 確定した執行認許の決定は、執行力のある債務名義と同1の効力を有する。

18条 (決定の内容の証明書の送付)

1項 裁判所は、職権で開始した事件の決定が確定したときは、その決定の内容を記載した書面であつて裁判所書記官が当該書面の内容が当該決定の内容と同一であることを証明したものを外務大臣に送付しなければならない。

19条 (裁判費用の国庫負担)

1項 職権で開始した執行認許の手続(その抗告審における手続を含む。)に要する裁判費用は、国庫の負担とする。

20条 (証明、翻訳及び認証の費用額の確定)

1項 民訴条約 第19条第4項の規定により費用額を定めるべき旨の請求があつたときは、裁判所は、執行認許の決定においてその額を定める。

21条 (非訟事件手続法の準用)

1項 第11条 《執行認許の請求の嘱託 民訴条約第18条…》 第1項又は第2項の裁判で本邦の裁判所がしたものについては、第一審の受訴裁判所は、訴訟費用債権者の申立てにより、執行認許の請求をすべき旨を外務大臣に嘱託するものとする。 の申立て及び執行認許の手続に関しては、 民訴条約 又はこの法律に特別の定めがある場合を除き、 非訟事件手続法 2011年法律第51号)第2編の規定を準用する。

22条 (当局の権限証明)

1項 民訴条約 第19条第3項の当局の権限は、最高裁判所が証明する。

5節 訴訟上の救助

23条 (外国における訴訟上の救助)

1項 民訴条約 第23条の規定により 外国 において訴訟上の救助を請求する者は、その者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所にその請求を提出しなければならない。

2項 前項の請求に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。

3章 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約の実施

24条 (当局の指定)

1項 民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の 外国 における送達及び告知に関する条約(以下「 送達条約 」という。)第2条第1項の中央当局及び同条約第9条第1項の当局は、外務大臣とする。

25条 (送達の管轄等)

1項 送達条約 に定める文書の送達について、同条約の締約国である 外国 以下この章において「 外国 」という。)の当局又は裁判所附属吏の嘱託があつたときは、裁判所は、これについて法律上の補助をするものとする。

2項 第3条第2項 《2 法律上の補助をする裁判所は、所要の事…》 務を取り扱うべき地を管轄する地方裁判所とする。 及び 第4条 《管轄裁判所への移送 受託事項が他の裁判…》 所の管轄に属するときは、受託裁判所は、嘱託を管轄裁判所に移送する。 の規定は、前項の場合について準用する。

26条 (送達の実施)

1項 前条第1項の嘱託に係る文書の送達は、 送達条約 に特別の定めがある場合には同条約によるほか、日本国の法律により行なう。

27条 (送達証明)

1項 送達について法律上の補助をした地方裁判所は、 送達条約 第6条の証明書を作成しなければならない。

2項 第7条第2項 《2 前項の証明書の作成事務は、裁判所書記…》 官が取り扱う。 の規定は、前項の証明書の作成について準用する。

28条 (公示送達)

1項 外国 においてすべき 送達条約 第15条第1項の文書の送達については、同条第2項()、(及び)に掲げる要件が満たされたときに限り、 民事訴訟法 第110条 《公示送達の要件 次に掲げる場合には、裁…》 判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。 1 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合第109条の2の規定により送達をすることができる場合を除く。 2 第107条第1項の の規定により公示送達をすることができる。

29条 (裁判外の文書の送達)

1項 第6条 《裁判外の文書の送達 民訴条約第1条第1…》 項の文書で裁判外のものの外国における送達に関する事項は、送達を求める者が普通裁判籍を有する地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。 2 前項の送達及び外国の当局の嘱託により本邦においてする裁判外の文書の の規定は、 送達条約 第17条の裁判外の文書の送達について準用する。

4章 雑則

30条 (費用の予納)

1項 民訴条約 及び 送達条約 並びにこの法律に定める事項の実施のため費用を要するときは、裁判所は、当事者にその費用を予納させることができる。

31条 (最高裁判所規則)

1項 この法律に定めるもののほか、 民訴条約 及び 送達条約 並びにこの法律に定める裁判所の手続に関して必要な事項は、最高裁判所が定める。

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