水源地域対策特別措置法《本則》

法番号:1973年法律第118号

略称: 水特法

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1条 (目的)

1項 この法律は、ダム又は湖沼水位調節施設の建設によりその基礎条件が著しく変化する地域について、生活環境、産業基盤等を整備し、あわせてダム貯水池の水質の汚濁を防止し、又は湖沼の水質を保全するため、水源地域整備計画を策定し、その実施を推進する等特別の措置を講ずることにより関係住民の生活の安定と福祉の向上を図り、もつてダム及び湖沼水位調節施設の建設を促進し、水資源の開発と国土の保全に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 指定ダム等 」とは、指定ダム及び指定湖沼水位調節施設をいう。

2項 この法律において「 指定ダム 」とは、国、地方公共団体又は独立行政法人水資源機構が建設するダムのうちその建設により相当数の住宅又は相当の面積の農地が水没するダムで政令で指定するものをいう。

3項 この法律において「 指定湖沼水位調節施設 」とは、国、地方公共団体又は独立行政法人水資源機構が建設する次の各号に該当する湖沼水位調節施設で政令で指定するものをいう。

1号 その建設により湖沼及び湖沼の周辺地域の生産機能又は生活環境に著しい影響が及ぶこと。

2号 その建設により二以上の都府県が著しい利益を受けること。

3条 (水源地域の指定等)

1項 国土交通大臣は、都道府県知事の申出に基づき、関係行政機関の長に協議して、 指定ダム等 により河川の流水が貯留される土地の区域の全部又は一部をその区域に含む市町村の区域のうち、指定ダム等の建設によりその基礎条件が著しく変化すると認められる地域を水源地域として指定することができる。

2項 前項の申出は、あらかじめ関係市町村長の意見をきき、かつ、国土交通省令で定めるところにより、 指定ダム等 の建設事業を所管する行政機関の長(以下「 所管行政機関の長 」という。)を通じてしなければならない。

3項 国土交通大臣は、水源地域を指定したときは、その旨を公示しなければならない。

4項 前3項の規定は、水源地域を変更する場合について準用する。

4条 (水源地域整備計画の決定及び変更)

1項 都道府県知事は、前条第3項の公示があつたときは、遅滞なく、水源地域整備計画の案を作成し、これを 所管行政機関の長 を通じて国土交通大臣に提出しなければならない。

2項 都道府県知事は、前項の水源地域整備計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、水源地域整備計画に基づく事業(以下「 整備事業 」という。)を実施することとなるべき者(国を除く。)、関係地方公共団体の長及び政令で定める者の意見をきかなければならない。

3項 国土交通大臣は、第1項の規定により提出された案に基づき、関係行政機関の長に協議して、水源地域整備計画を決定するものとする。

4項 国土交通大臣は、水源地域整備計画を決定したときは、これを関係行政機関の長及び当該水源地域整備計画の案を提出した都道府県知事に送付するとともに、国土交通省令で定めるところにより公示しなければならない。

5項 前各項の規定は、水源地域整備計画を変更する場合について準用する。

5条 (水源地域整備計画の内容)

1項 水源地域整備計画は、水源地域ごとに、次の各号に掲げる水源地域の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる事業( 指定ダム等 の建設に伴う損失の補償として実施される事業を除く。)で当該水源地域内において実施するものの概要及び経費の概算について定めるものとする。ただし、特に必要があると認められるときは、これらの事業で当該水源地域外において実施するものについて定めることができる。

1号 指定ダム に係る水源地域土地改良事業、治山事業、治水事業、道路、簡易水道、下水道、義務教育施設又は診療所の整備に関する事業その他政令で定める事業のうち、当該水源地域の基礎条件の著しい変化による影響を緩和し、又はダム貯水池の水質の汚濁を防止するため必要と認められる事業

2号 指定湖沼水位調節施設 に係る水源地域土地改良事業、河川又は下水道の整備に関する事業その他政令で定める事業のうち、当該水源地域の基礎条件の著しい変化による影響を緩和し、又は湖沼の水質を保全するため必要と認められる事業

6条 (事業の実施)

1項 整備事業 は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。

7条 (協力)

1項 関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、 指定ダム等 の建設及び水源地域整備計画の実施に関し、できる限り協力しなければならない。

8条 (生活再建のための措置)

1項 関係行政機関の長、関係地方公共団体、 指定ダム等 を建設する者及び 整備事業 を実施する者は、指定ダム等の建設又は整備事業の実施に伴い生活の基礎を失うこととなる者について、次に掲げる生活再建のための措置が実施されることを必要とするときは、その者の申出に基づき、協力して、当該生活再建のための措置のあつせんに努めるものとする。

1号 宅地、開発して農地とすることが適当な土地その他の土地の取得に関すること。

2号 住宅、店舗その他の建物の取得に関すること。

3号 職業の紹介、指導又は訓練に関すること。

4号 他に適当な土地がなかつたため環境が著しく不良な土地に住居を移した場合における環境の整備に関すること。

9条 (国の負担又は補助の割合の特例)

1項 次の各号の1に該当する 指定ダム で政令で指定するものの建設に対応する 整備事業 のうち、別表第1に掲げる事業で都道府県知事又は地方公共団体が実施するものに係る経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「 国の負担割合 」という。)は、他の法令の規定にかかわらず、同表に定める割合の範囲内で政令で定める割合とする。

1号 その建設により水没する住宅の数が特に多いダム

2号 その建設により水没する農地の面積が特に大きいダム

3号 前2号に掲げるもののほか、その建設により水源地域の基礎条件が特に著しく変化し、かつ、当該水源地域をその区域に含まない都府県が著しく利益を受けるダム

2項 指定湖沼水位調節施設 の建設に対応する 整備事業 のうち、別表第2に掲げる事業で都府県知事又は地方公共団体が実施するものに係る経費に対する 国の負担割合 は、他の法令の規定にかかわらず、同表に定める割合の範囲内で政令で定める割合とする。

3項 前2項に規定する事業に係る経費に対する他の法令の規定による 国の負担割合 が、前2項の政令で定める割合をこえるときは、当該事業に係る経費に対する国の負担割合については、これらの規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。

4項 第1項又は第2項に規定する事業に係る経費につき、前3項の規定による 国の負担割合 により国が負担し、又は補助する場合における国の負担金又は補助金(以下「 国庫負担金 」という。)の交付については、他の法令の規定にかかわらず、政令で、必要な特例を定めることができる。

10条 (国の普通財産の譲渡)

1項 国は、 整備事業 の用に供するため必要があると認めるときは、その事業に係る経費を負担する地方公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。

11条 (国の財政上及び金融上の援助)

1項 国は、前2条に定めるもののほか、水源地域整備計画を達成するために必要があると認めるときは、 整備事業 を実施する者に対し、財政上及び金融上の援助を与えるものとする。

12条 (整備事業についての負担の調整等)

1項 整備事業 がその区域内において実施される地方公共団体で当該事業に係る経費の全部又は一部を負担するものは、政令で定めるところにより、次に掲げる者と協議し、その協議によりその負担する経費の一部をこれに負担させることができる。

1号 指定ダム等 を利用して河川の流水を水道、工業用水道又は発電の用に供することが予定されている者

2号 次に掲げる区域の全部又は一部をその区域に含む地方公共団体(イからハまでに掲げる区域については、前号に該当する地方公共団体を除く。

指定ダム等 を利用して河川の流水をその用に供することが予定されている水道で水道法(1957年法律第177号)第3条第2項に規定する水道事業の用に供するものの給水区域

指定ダム等 を利用して河川の流水をその用に供することが予定されている水道で水道法第3条第4項に規定する水道用水供給事業の用に供するものの給水対象事業者が設置する水道の給水区域

指定ダム等 を利用して河川の流水をその用に供することが予定されている工業用水道で 工業用水道事業法 1958年法律第84号第2条第4項 《4 この法律において「工業用水道事業」と…》 は、一般の需要に応じ工業用水道により工業用水を供給する事業をいう。 に規定する工業用水道事業の用に供するものの給水区域

指定ダム等 を利用して河川の流水をかんがいの用に供する土地の区域

指定ダム等 の建設により洪水等による災害の発生が防止され、又は洪水等による災害が軽減される地域

2項 関係行政機関の長は、前項の規定による負担に関し、関係当事者のうち一以上の申出に基づき、あつせんをすることができる。

13条 (固定資産税の不均一課税に伴う措置)

1項 地方税法 1950年法律第226号第6条第2項 《2 地方団体は、公益上その他の事由に因り…》 必要がある場合においては、不均1の課税をすることができる。 の規定により、総務省令で定める地方公共団体が、水源地域内において水源地域の活性化に資する事業として総務省令で定める事業の用に供する設備を新設し、又は増設した者について、その事業に係る償却資産又はその事業に係る家屋若しくはその敷地である土地に対する固定資産税に係る不均1の課税をした場合において、その措置が総務省令で定める場合に該当するものと認められるときは、 地方交付税法 1950年法律第211号第14条 《基準財政収入額の算定方法 基準財政収入…》 額は、道府県にあつては基準税率をもつて算定した当該道府県の普通税法定外普通税を除く。の収入見込額利子割の収入見込額については基準税率をもつて算定した当該道府県の利子割の収入見込額から利子割交付金の交付 の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(その措置がなされた最初の年度以降3箇年度におけるものに限る。)のうち総務省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(その措置が総務省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

14条 (水源地域の活性化のための措置)

1項 及び地方公共団体は、この法律に特別の定めのあるもののほか、水源地域の活性化に資するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

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