1章 総則
1条 (趣旨)
1項 この法律は、災害により死亡した者の遺族に対して支給する災害弔慰金、災害により精神又は身体に著しい障害を受けた者に対して支給する災害障害見舞金及び災害により被害を受けた世帯の世帯主に対して貸し付ける災害援護資金について規定するものとする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 災害 」とは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波その他の異常な自然現象により被害が生ずることをいう。
2章 災害弔慰金の支給
3条 (災害弔慰金の支給)
1項 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、条例の定めるところにより、政令で定める 災害 (以下この章及び次章において単に「災害」という。)により死亡した住民の遺族に対し、災害弔慰金の支給を行うことができる。
2項 前項に規定する遺族は、死亡した者の死亡当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含み、離婚の届出をしていないが事実上離婚したと同様の事情にあつた者を除く。)、子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹(死亡した者の死亡当時その者と同居し、又は生計を同じくしていた者に限る。以下この項において同じ。)の範囲とする。ただし、兄弟姉妹にあつては、当該配偶者、子、父母、孫又は祖父母のいずれもが存しない場合に限る。
3項 災害 弔慰金の額は、死亡者1人当たり5,010,000円を超えない範囲内で死亡者のその世帯における生計維持の状況等を勘案して政令で定める額以内とする。
4条 (災害による死亡の推定)
1項 災害 の際現にその場にいあわせた者につき、当該災害のやんだ後3月間その生死がわからない場合には、災害弔慰金に関する規定の適用については、その者は、当該災害によつて死亡したものと推定する。
5条 (支給の制限)
1項 災害 弔慰金は、その災害による死亡がその死亡した者の故意又は重大な過失によるものである場合その他これを支給することが不適当と認められる政令で定める場合には、支給しない。
5条の2 (譲渡等の禁止)
1項 災害 弔慰金の支給を受けることとなつた者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
2項 災害 弔慰金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。
6条 (非課税)
1項 租税その他の公課は、 災害 弔慰金として支給を受ける金銭を標準として、課することができない。
7条 (費用の負担)
1項 都道府県は、 災害 弔慰金に要する費用につき、その4分の3を負担するものとする。
2項 国は、前項の規定により都道府県が負担する費用につき、その3分の2を負担するものとする。
3章 災害障害見舞金の支給
8条 (災害障害見舞金の支給)
1項 市町村は、条例の定めるところにより、 災害 により負傷し、又は疾病にかかり、治つたとき(その症状が固定したときを含む。)に精神又は身体に別表に掲げる程度の障害がある住民(次項において「 障害者 」という。)に対し、災害障害見舞金の支給を行うことができる。
2項 災害 障害見舞金の額は、 障害者 1人当たり2,510,000円を超えない範囲内で障害者のその世帯における生計維持の状況を勘案して政令で定める額以内とする。
9条 (準用規定)
1項 第5条
《支給の制限 災害弔慰金は、その災害によ…》
る死亡がその死亡した者の故意又は重大な過失によるものである場合その他これを支給することが不適当と認められる政令で定める場合には、支給しない。
から
第7条
《費用の負担 都道府県は、災害弔慰金に要…》
する費用につき、その4分の3を負担するものとする。 2 国は、前項の規定により都道府県が負担する費用につき、その3分の2を負担するものとする。
までの規定は、 災害 障害見舞金について準用する。
4章 災害援護資金の貸付け
10条 (災害援護資金の貸付け)
1項 市町村は、条例の定めるところにより、その区域内において 災害 救助法(1947年法律第118号)第2条第1項の規定による救助の行われる災害その他の政令で定める災害により次に掲げる被害を受けた世帯で政令の定めるところにより算定したこれに属する者の所得の合計額が政令で定める額に満たないものの世帯主に対し、生活の立て直しに資するため、災害援護資金の貸付けを行うことができる。
1号 療養に要する期間がおおむね1月以上である世帯主の負傷
2号 政令で定める相当程度の住居又は家財の損害
2項 災害 援護資金の一災害における一世帯当たりの限度額は、政令で定める。
3項 災害 援護資金の償還期間(据置期間を含む。)は、10年を超えない範囲内で政令で定める。
4項 災害 援護資金は、据置期間中は無利子とし、据置期間経過後は、延滞の場合を除き、その利率を年3パーセント以内で条例で定める率とする。
11条 (都道府県の貸付け)
1項 都道府県は、市町村( 地方自治法 (1947年法律第67号)
第252条の19第1項
《政令で指定する人口五十万以上の市以下「指…》
定都市」という。は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することがで
の 指定都市 (以下「 指定都市 」という。)を除く。
第13条第1項
《日本国民たる普通地方公共団体の住民は、こ…》
の法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する。
、
第14条第1項
《普通地方公共団体は、法令に違反しない限り…》
において第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。
、
第16条
《 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の…》
制定又は改廃の議決があつたときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。 普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合は、その日から20日以内に
、
第18条
《 日本国民たる年齢満18年以上の者で引き…》
続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
及び附則第2条第1項を除き、以下同じ。)が 災害 援護資金の貸付けの財源として必要とする金額に相当する金額を、延滞の場合を除き無利子で、市町村に貸し付けるものとする。
2項 前項の貸付金の償還期間(据置期間を含む。)は、11年を超えない範囲内で政令で定める。
12条 (国の貸付け)
1項 国は、 指定都市 が 災害 援護資金の貸付けの財源として必要とする金額又は都道府県が前条第1項の規定により市町村に貸し付ける貸付金の額の3分の2に相当する金額を、延滞の場合を除き無利子で、指定都市又は都道府県に貸し付けるものとする。
2項 前項の貸付金の償還期間(据置期間を含む。)は、12年( 指定都市 に対するものにあつては11年)を超えない範囲内で政令で定める。
13条 (償還金の支払猶予)
1項 市町村は、 災害 その他政令で定めるやむを得ない理由により、災害援護資金の貸付けを受けた者が支払期日に償還金を支払うことが著しく困難になつたと認められるときは、償還金の支払を猶予することができる。ただし、災害援護資金の貸付けを受けた者が、
第16条
《報告等 市町村は、この法律の規定により…》
、償還金の支払を猶予し、又は災害援護資金の償還未済額の全部若しくは一部の償還を免除するか否かを判断するために必要があると認めるときは、災害援護資金の貸付けを受けた者又はその保証人の収入又は資産の状況に
の規定により報告を求められて、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、この限りでない。
2項 前項の規定により償還金の支払が猶予されたときは、 災害 援護資金の利子の計算については、当該償還金の支払によつて償還されるべきであつた災害援護資金は、猶予前の支払期日に償還されたものとみなす。
14条 (償還免除)
1項 市町村は、 災害 援護資金の貸付けを受けた者が死亡したとき、精神若しくは身体に著しい障害を受けたため災害援護資金を償還することができなくなつたと認められるとき又は破産手続開始の決定若しくは再生手続開始の決定を受けたときは、当該災害援護資金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができる。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
1号 災害 援護資金の貸付けを受けた者が、
第16条
《報告等 市町村は、この法律の規定により…》
、償還金の支払を猶予し、又は災害援護資金の償還未済額の全部若しくは一部の償還を免除するか否かを判断するために必要があると認めるときは、災害援護資金の貸付けを受けた者又はその保証人の収入又は資産の状況に
の規定により報告を求められて、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
2号 災害 援護資金の貸付けを受けた者の保証人が、当該災害援護資金の償還未済額を償還することができると認められるとき。
2項 都道府県は、市町村が前項の規定により 災害 援護資金の償還を免除したときは、当該市町村に対し、その免除した金額に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。
3項 国は、 指定都市 又は都道府県が第1項又は前項の規定により 災害 援護資金又は貸付金の償還を免除したときは、当該指定都市又は都道府県に対し、その免除した金額の3分の2に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。
15条 (貸付金の償還方法)
1項 市町村は、都道府県からの貸付金の償還期間の終期前1年までの間は、 災害 援護資金の償還を受けたときに、政令の定めるところにより、償還を受けた金額(利子及び延滞利子に係る金額を除く。第3項において同じ。)に相当する金額を都道府県に償還するものとする。
2項 都道府県は、国からの貸付金の償還期間の終期前1年までの間は、前項の規定により貸付金の償還を受けたときに、政令の定めるところにより、償還を受けた金額の3分の2に相当する金額を国に償還するものとする。
3項 指定都市 は、国からの貸付金の償還期間の終期前1年までの間は、 災害 援護資金の償還を受けたときに、政令の定めるところにより、償還を受けた金額の3分の2に相当する金額を国に償還するものとする。
16条 (報告等)
1項 市町村は、この法律の規定により、償還金の支払を猶予し、又は 災害 援護資金の償還未済額の全部若しくは一部の償還を免除するか否かを判断するために必要があると認めるときは、災害援護資金の貸付けを受けた者又はその保証人の収入又は資産の状況について、災害援護資金の貸付けを受けた者若しくはその保証人に報告を求め、又は官公署に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求めることができる。
17条 (政令への委任)
1項 第10条
《災害援護資金の貸付け 市町村は、条例の…》
定めるところにより、その区域内において災害救助法1947年法律第118号第2条第1項の規定による救助の行われる災害その他の政令で定める災害により次に掲げる被害を受けた世帯で政令の定めるところにより算定
から前条までに規定するもののほか、 災害 援護資金の貸付方法、貸付条件その他災害援護資金の貸付け(これに係る都道府県及び国の貸付金の貸付けを含む。)に関し必要な事項は、政令で定める。
5章 雑則
18条 (市町村における合議制の機関)
1項 市町村は、 災害 弔慰金及び災害障害見舞金の支給に関する事項を調査審議するため、条例の定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。
19条 (制度の周知徹底)
1項 国は、 災害 弔慰金及び災害障害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けの申請の機会が確保されるよう、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けに関する制度の周知徹底を図るものとする。