明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法《本則》

法番号:1980年法律第60号

略称: 明日香保存法・明日香法・明日香村特別措置法

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1条 (目的)

1項 この法律は、飛鳥地方の遺跡等の歴史的文化的遺産がその周囲の環境と一体をなして、我が国の律令国家体制が初めて形成された時代における政治及び文化の中心的な地域であつたことをしのばせる歴史的風土が、明日香村の全域にわたつて良好に維持されていることにかんがみ、かつ、その歴史的風土の保存が国民の我が国の歴史に対する認識を深めることに配意し、住民の理解と協力の下にこれを保存するため、 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法 1966年法律第1号)の特例及び国等において講ずべき特別の措置を定めることを目的とする。

2条 (明日香村歴史的風土保存計画)

1項 国土交通大臣は、奈良県、明日香村(奈良県高市郡明日香村をいう。以下同じ。及び社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して、 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法 以下「 古都保存法 」という。第5条第1項 《国土交通大臣は、歴史的風土保存区域の指定…》 をしたときは、関係地方公共団体及び社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して、当該歴史的風土保存区域について、歴史的風土の保存に関する計画以下「歴史的風土保存計画」という。を決 の歴史的風土保存計画として、明日香村の区域の全部について、歴史的風土の保存に関する計画(以下「 明日香村歴史的風土保存計画 」という。)を定めなければならない。この場合において、国土交通大臣は、奈良県又は明日香村から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。

2項 明日香村歴史的風土保存計画 に定める事項は、次のとおりとする。

1号 第1種歴史的風土保存地区と第2種歴史的風土保存地区との区分の基準に関する事項

2号 第1種歴史的風土保存地区及び第2種歴史的風土保存地区内における行為の規制に関する事項

3号 歴史的風土の保存に配意した土地利用に関する事項

4号 歴史的風土の保存に関連して必要とされる施設の整備に関する事項

5号 古都保存法 第12条第1項 《府県は、特別保存地区内の土地で歴史的風土…》 の保存上必要があると認めるものについて、当該土地の所有者から第9条第1項の許可を得ることができないためその土地の利用に著しい支障を来すこととなることにより当該土地を府県において買い入れるべき旨の申出が の規定による土地の買入れに関する事項

6号 前各号に掲げるもののほか、歴史的風土の維持保存に関し特に必要と認められる事項

3項 国土交通大臣は、 明日香村歴史的風土保存計画 を定めたときは、これを関係行政機関の長、奈良県及び明日香村に送付するとともに、官報で公示しなければならない。

4項 前3項の規定は、 明日香村歴史的風土保存計画 の変更について準用する。

3条 (第1種歴史的風土保存地区及び第2種歴史的風土保存地区に関する都市計画)

1項 明日香村の区域については、 明日香村歴史的風土保存計画 に基づき、当該区域を区分して、都市計画に第1種歴史的風土保存地区及び第2種歴史的風土保存地区を定めるものとする。

2項 第1種歴史的風土保存地区は、歴史的風土の保存上枢要な部分を構成していることにより、現状の変更を厳に抑制し、その状態において歴史的風土の維持保存を図るべき地域とし、第2種歴史的風土保存地区は、著しい現状の変更を抑制し、歴史的風土の維持保存を図るべき地域とする。

3項 第1種歴史的風土保存地区及び第2種歴史的風土保存地区は、それぞれ 古都保存法 第8条 《特別保存地区の特例 第2条第1項の規定…》 に基づき古都として定められた市町村のうち、当該市町村における歴史的風土がその区域の全部にわたつて良好に維持されており、特に、その区域の全部を第6条第1項の特別保存地区に相当する地区として都市計画に定め 後段の特別保存地区とする。

4条 (明日香村整備基本方針等)

1項 国土交通大臣は、奈良県、明日香村及び社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して、明日香村における歴史的風土の保存と住民の生活との調和を図るため、明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する基本方針(以下「 明日香村整備基本方針 」という。)を定め、これを奈良県知事に示すものとする。この場合において、国土交通大臣は、奈良県又は明日香村から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。

2項 奈良県知事は、前項の規定により示された 明日香村整備基本方針 に基づき、明日香村の意見を聴いて、明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画を作成することができる。この場合において、奈良県知事は、あらかじめ、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。

3項 前項に規定する計画には、おおむね次に掲げる事項を定めるものとする。

1号 道路の整備に関する事項

2号 河川の整備に関する事項

3号 下水道の整備に関する事項

4号 都市公園の整備に関する事項

5号 住宅の整備に関する事項

6号 教育施設の整備に関する事項

7号 厚生施設の整備に関する事項

8号 消防施設の整備に関する事項

9号 農地並びに農業用施設及び林業用施設の整備に関する事項

10号 文化財の保護に関する事項

11号 前各号に掲げるもののほか、明日香村における生活環境及び産業基盤の整備その他歴史的風土の保存と調和が保たれる地域振興に関する事項で特に必要と認められるもの

4項 国土交通大臣は、第2項に規定する計画が適当なものであると認められるときは、これに同意するものとする。この場合において、国土交通大臣は、社会資本整備審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5項 前3項の規定は、明日香村整備計画(第2項の同意を得た同項に規定する計画をいう。以下同じ。)の変更について準用する。

5条 (国の負担又は補助の割合の特例)

1項 明日香村整備計画に基づいて、1980年度から2009年度までの各年度において明日香村が国又は奈良県から負担金、補助金又は交付金の交付を受けて行う事業(奈良県から負担金、補助金又は交付金の交付を受けて行うものにあつては、奈良県が負担し、若しくは補助し、又は交付金を交付するために要する費用の一部について国が負担し、若しくは補助し、又は交付金を交付するものに限る。)のうち、次に掲げる事業(災害復旧に係るもの、当該事業に係る経費の全額を国又は奈良県が負担するもの及び当該事業に係る経費を明日香村が負担しないものを除く。)で政令で定めるもの(以下「 特定事業 」という。)に係る経費に対する国の負担又は補助の割合(明日香村に対する負担又は補助のために奈良県が要する費用の一部を国が負担し、又は補助している場合にあつては、国の負担金又は補助金の当該 特定事業 に係る経費に対する割合)については、 首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律 1966年法律第114号第5条 《 特定事業に係る経費に対する国の負担割合…》 は、関係市町村ごとに当該特定事業に係る経費に対する通常の国の負担割合に次の式により算定した数小数点以下二位未満は、切り上げるものとする。以下「引上率」という。を乗じて算定するものとする。 2 前項の式 の規定の例による。

1号 次の施設の整備に関する事業

道路

下水道

都市公園

教育施設

厚生施設

農地並びに農業用施設及び林業用施設で政令で定めるもの

2号 前号に掲げるもののほか、生活環境及び産業基盤の整備のために必要な事業で政令で定めるもの

2項 前項の規定により通常の国の負担割合を超えて国が負担し、又は補助することとなる額の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

3項 明日香村整備計画に基づいて行われる 道路法 1952年法律第180号第2条第1項 《この法律において「道路」とは、一般交通の…》 用に供する道で次条各号に掲げるものをいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となつてその効用を全うする施設又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものを含むもの に規定する道路の改築の事業で政令で定めるものに係る経費に対する国の負担又は補助の割合は、当該事業に関する法令の規定にかかわらず、4分の三(土地区画整理事業に係るものにあつては、3分の二)の範囲内で政令で定める割合とする。

4項 明日香村整備計画に基づいて行われる 河川法 1964年法律第167号第4条第1項 《この法律において「一級河川」とは、国土保…》 全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川公共の水流及び水面をいう。以下同じ。で国土交通大臣が指定したものをいう。 に規定する一級河川のうちその管理を県知事が行うものとされた指定区間内のものの改良工事の事業に係る経費に対する国の負担の割合は、同法の規定にかかわらず、3分の2とする。

5項 明日香村整備計画に基づく事業で次の各号に掲げるものに係る経費に対する国の負担又は補助の割合については、当該各号に規定する法律に基づく政令に定める負担又は補助の割合を超える割合を政令で定めることができる。

1号 下水道法(1958年法律第79号)第2条第2号に規定する下水道の設置又は改築

2号 土地改良法 1949年法律第195号第2条第2項 《2 この法律において「土地改良事業」とは…》 、この法律により行う次に掲げる事業をいう。 1 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設以下「土地改良施設」という。の新設、管理、廃止又は変更あわせて1の土地改良事業として施 に規定する土地改良事業

5条の2

1項 国は、 特定事業 に係る経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前条の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。

6条 (地方債についての配慮)

1項 奈良県又は明日香村が明日香村整備計画に基づいて行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、国は、奈良県又は明日香村の財政状況が許す限り起債できるよう、及び資金事情が許す限り財政融資資金をもつて引き受けるよう特別の配慮をするものとする。

7条 (財政上及び技術上の配慮)

1項 国は、前3条に定めるもののほか、明日香村整備計画が円滑に達成されるよう、財政上及び技術上の配慮をしなければならない。

8条 (明日香村整備基金)

1項 明日香村が、次に掲げる事業( 特定事業 を除く。)に要する経費の全部又は一部を支弁するため、 地方自治法 1947年法律第67号第241条 《基金 普通地方公共団体は、条例の定める…》 ところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。 2 基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用し の基金として、明日香村整備基金を設ける場合には、国は、2,500,000,000円を限度として、その財源に充てるために必要な資金の一部を明日香村に対して補助するものとする。

1号 歴史的風土の保存を図るために行われる事業

2号 土地の形質又は建築物その他の工作物の意匠、形態等を歴史的風土と調和させるために行われる事業

3号 住民の生活の安定向上を図り、又は住民の利便を増進させるために行われる事業で歴史的風土の保存に関連して必要とされるもの

《本則》 ここまで 附則 >  

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