国際捜査共助等に関する法律《本則》

法番号:1980年法律第69号

略称: 国際捜査共助法

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1章 総則

1条 (定義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1号 共助 :外国の要請により、当該外国の刑事事件の捜査に必要な証拠の提供(受刑者証人移送を含む。)をすることをいう。

2号 要請国 :日本国に対して 共助 の要請をした外国をいう。

3号 共助犯罪 要請国 からの 共助 の要請において捜査の対象とされている犯罪をいう。

4号 受刑者証人移送 :条約により刑事手続における証人尋問に証人として出頭させることを可能とするために移送すべきものとされている場合において、刑の執行として拘禁されている者を国際的に移送することをいう。

2条 (共助の制限)

1項 次の各号のいずれかに該当する場合には、 共助 をすることはできない。

1号 共助 犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるとき。

2号 条約に別段の定めがある場合を除き、 共助 犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。

3号 証人尋問又は証拠物の提供に係る要請については、条約に別段の定めがある場合を除き、その証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにした 要請国 の書面がないとき。

3条 (要請の受理及び証拠の送付)

1項 共助 の要請の受理及び 要請国 に対する証拠の送付は、外務大臣が行う。ただし、条約に基づき法務大臣が共助の要請の受理を行うこととされているとき、又は緊急その他特別の事情がある場合において外務大臣が同意したときは、法務大臣が行うものとする。

2項 前項ただし書の規定により法務大臣が 共助 の要請の受理及び 要請国 に対する証拠の送付を行う場合においては、法務大臣は、外務大臣に対し、共助に関する事務の実施に関し、必要な協力を求めることができる。

4条 (外務大臣の措置)

1項 外務大臣は、 共助 の要請を受理したときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、共助要請書又は外務大臣の作成した共助の要請があつたことを証明する書面に関係書類を添付し、意見を付して、これを法務大臣に送付するものとする。

1号 要請が条約に基づいて行われたものである場合において、その方式が条約に適合しないと認めるとき。

2号 要請が条約に基づかないで行われたものである場合において、日本国が行う同種の要請に応ずる旨の 要請国 の保証がないとき。

2章 証拠の収集等

5条 (法務大臣の措置)

1項 法務大臣は、 受刑者証人移送 以外の 共助 の要請について、 第2条 《共助の制限 次の各号のいずれかに該当す…》 る場合には、共助をすることはできない。 1 共助犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるとき。 2 条約に別段の定めがある場合を除き、共助犯罪に 各号( 第3条第1項 《共助の要請の受理及び要請国に対する証拠の…》 送付は、外務大臣が行う。 ただし、条約に基づき法務大臣が共助の要請の受理を行うこととされているとき、又は緊急その他特別の事情がある場合において外務大臣が同意したときは、法務大臣が行うものとする。 ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、 第2条 《共助の制限 次の各号のいずれかに該当す…》 る場合には、共助をすることはできない。 1 共助犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるとき。 2 条約に別段の定めがある場合を除き、共助犯罪に 各号又は前条各号)のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項に規定する場合を除き、次の各号のいずれかの措置を採るものとする。

1号 相当と認める地方検察庁の検事正に対し、関係書類を送付して、 共助 に必要な証拠の収集を命ずること。

2号 国家公安委員会に 共助 の要請に関する書面を送付すること。

3号 海上保安庁長官その他の 刑事訴訟法 1948年法律第131号第190条 《 森林、鉄道その他特別の事項について司法…》 警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。 に規定する司法警察職員として職務を行うべき者の置かれている国の機関の長に 共助 の要請に関する書面を送付すること。

2項 法務大臣は、 共助 の要請が裁判所、検察官又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、その書類の保管者に共助の要請に関する書面を送付するものとする。

3項 法務大臣は、第1項に規定する措置その他の 共助 に関する措置を採るため必要があると認めるときは、関係人の所在その他必要な事項について調査を行うことができる。

6条 (国家公安委員会の措置)

1項 国家公安委員会は、前条第1項第2号の書面の送付を受けたときは、相当と認める警察庁又は都道府県警察に対し、 共助 に必要な証拠の収集を指示するものとする。この場合において、都道府県警察に対して指示を行うときは、当該都道府県警察に関係書類を送付するものとする。

7条 (検事正等の措置)

1項 第5条第1項第1号 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 の命令を受けた検事正は、その庁の検察官に 共助 に必要な証拠を収集するための処分をさせなければならない。

2項 警察庁が前条の指示を受けた場合においては、警察庁長官は、警察庁の司法警察員に前項の処分をさせなければならない。

3項 前条の指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県 警察本部長 以下「 警察本部長 」という。)は、その都道府県警察の司法警察員に第1項の処分をさせなければならない。

4項 第5条第1項第3号 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 の書面の送付を受けた国の機関の長は、その機関の相当と認める司法警察員に第1項の処分をさせなければならない。

8条 (検察官等の処分)

1項 検察官又は司法警察員は、 共助 に必要な証拠の収集に関し、次に掲げる処分をすることができる。

1号 関係人の出頭を求めてこれを取り調べること。

2号 鑑定を嘱託すること。

3号 実況見分をすること。

4号 書類その他の物の所有者、所持者又は保管者にその物の提出を求めること。

5号 公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めること。

6号 電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間(延長する場合には、通じて60日を超えない期間)を定めて、これを消去しないよう、書面で求めること。

2項 検察官又は司法警察員は、 共助 に必要な証拠の収集に関し、必要があると認めるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。

3項 検察官又は司法警察員は、前2項の規定により収集すべき証拠が業務書類等(業務を遂行する過程において作成され、又は保管される書類その他の物をいう。以下この項において同じ。)である場合において、当該業務書類等の作成又は保管の状況に関する事項の証明に係る 共助 の要請があるときは、作成者、保管者その他の当該業務書類等の作成又は保管の状況に係る業務上の知識を有すると認める者に対し、当該要請に係る事項についての証明書の提出を求めることができる。

4項 検察官又は司法警察員は、前項の規定により証明書の提出を求めるに当たつては、その提出を求める者に対し、虚偽の証明書を提出したときは刑罰が科されることがある旨を告知しなければならない。

5項 検察官又は司法警察員は、検察事務官又は司法警察職員に第1項から第3項までの処分をさせることができる。

9条 (罰則)

1項 前条第3項の規定による証明書の提出を求められた者が、虚偽の証明書を提出したときは、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。ただし、その者の当該行為が 刑法 1907年法律第45号)の罪に触れるときは、これを適用しない。

10条 (証人尋問の請求)

1項 検察官は、次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判官に証人尋問を請求することができる。

1号 共助 の要請が証人尋問に係るものであるとき。

2号 関係人が 第8条第1項 《検察官又は司法警察員は、共助に必要な証拠…》 の収集に関し、次に掲げる処分をすることができる。 1 関係人の出頭を求めてこれを取り調べること。 2 鑑定を嘱託すること。 3 実況見分をすること。 4 書類その他の物の所有者、所持者又は保管者にその の規定による出頭又は取調べに対する供述を拒んだとき。

3号 第8条第3項 《3 検察官又は司法警察員は、前2項の規定…》 により収集すべき証拠が業務書類等業務を遂行する過程において作成され、又は保管される書類その他の物をいう。以下この項において同じ。である場合において、当該業務書類等の作成又は保管の状況に関する事項の証明 の規定による証明書の提出を求められた者がこれを拒んだとき。

11条 (令状の請求等)

1項 令状又は証人尋問の請求は、 第2条第3号 《共助の制限 第2条 次の各号のいずれかに…》 該当する場合には、共助をすることはできない。 1 共助犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるとき。 2 条約に別段の定めがある場合を除き、共助 の書面を提出して、しなければならない。ただし、条約に別段の定めがある場合には、この限りでない。

12条 (管轄裁判所等)

1項 令状又は証人尋問の請求は請求する者の所属する官公署の所在地を管轄する地方裁判所の裁判官に、司法警察職員のした押収又は押収物の還付に関する処分に対する不服申立ては司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所に、しなければならない。

13条 (刑事訴訟法等の準用)

1項 検察官、検察事務官若しくは司法警察職員のする処分、裁判官のする令状の発付若しくは証人尋問又は裁判所若しくは裁判官のする裁判については、この法律に特別の定めがあるもののほか、その性質に反しない限り、 刑事訴訟法 第1編第2章及び第5章から第13章まで、第2編第1章、第3編第1章及び第4章並びに第7編に限る。及び刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。

14条 (処分を終えた場合等の措置)

1項 検事正は、 共助 に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠を法務大臣に送付しなければならない。 第5条第1項第3号 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 の国の機関の長が証拠の収集を終えたときも、同様とする。

2項 都道府県公安委員会は、 警察本部長 共助 に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠を国家公安委員会に送付しなければならない。

3項 国家公安委員会は、警察庁長官が 共助 に必要な証拠の収集を終えたとき又は前項の規定により証拠の送付を受けたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠又は送付を受けた証拠を法務大臣に送付するものとする。

4項 第5条第2項 《2 法務大臣は、共助の要請が裁判所、検察…》 又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、その書類の保管者に共助の要請に関する書面を送付するものとする。 の規定により 共助 の要請に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者は、速やかに、意見を付して、当該書類又はその謄本を法務大臣に送付するものとし、送付することができないときは、共助の要請に関する書面を法務大臣に返送しなければならない。

5項 法務大臣は、第1項、第3項又は前項の規定による送付を受けた場合において、必要があると認めるときは、証拠の使用又は返還に関し 要請国 が遵守しなければならない条件を定めるものとする。

6項 法務大臣は、前項の条件を遵守する旨の 要請国 の保証がないときは、 共助 をしないものとする。

15条 (共助をしない場合の通知)

1項 法務大臣は、 第5条第1項第2号 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 若しくは第3号又は第2項の措置を採つた後において、 共助 をしないことを相当と認めたときは、遅滞なく、その旨を共助の要請に関する書面の送付を受けた者に通知するものとする。

16条 (協議)

1項 法務大臣は、要請が 第4条第1号 《外務大臣の措置 第4条 外務大臣は、共助…》 の要請を受理したときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、共助要請書又は外務大臣の作成した共助の要請があつたことを証明する書面に関係書類を添付し、意見を付して、これを法務大臣に送付するものとする に該当するものと認めて 共助 をしないこととするとき、要請に応ずることが相当でないと認めて共助をしないこととするとき及び 第14条第5項 《5 法務大臣は、第1項、第3項又は前項の…》 規定による送付を受けた場合において、必要があると認めるときは、証拠の使用又は返還に関し要請国が遵守しなければならない条件を定めるものとする。 の条件を定めるときは、外務大臣と協議するものとする。

2項 法務大臣は、 第5条第1項 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 各号の措置を採ることとするときは、要請が証人尋問に係る場合その他 共助 の要請に関する書面において証拠の収集を行う機関が明らかな場合を除き、所管に応じて、国家公安委員会及び同項第3号の国の機関の長と協議するものとする。

17条 (最高裁判所の規則)

1項 この章に定めるもののほか、令状の発付、証人尋問及び不服申立てに関する手続について必要な事項は、最高裁判所が定める。

18条 (国際刑事警察機構への協力)

1項 国家公安委員会は、国際刑事警察機構から外国の刑事事件の捜査について協力の要請を受けたときは、次の各号のいずれかの措置を採ることができる。

1号 相当と認める警察庁又は都道府県警察に必要な調査を指示すること。

2号 第5条第1項第3号 《法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要…》 請について、第2条各号第3条第1項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第2条各号又は前条各号のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項 の国の機関の長に協力の要請に関する書面を送付すること。

2項 第2条 《共助の制限 次の各号のいずれかに該当す…》 る場合には、共助をすることはできない。 1 共助犯罪が政治犯罪であるとき、又は共助の要請が政治犯罪について捜査する目的で行われたものと認められるとき。 2 条約に別段の定めがある場合を除き、共助犯罪に第3号を除く。)の規定は、前項の場合に準用する。

3項 国家公安委員会は、第1項に規定する措置を採るため必要があると認めるときは、警察庁の職員に関係人の所在その他必要な事項について調査させることができる。

4項 国家公安委員会は、第1項の措置に関し、要請において調査を行う機関が明らかな場合を除き、所管に応じて、同項第2号の国の機関の長と協議するものとする。

5項 国家公安委員会は、第1項の措置を採ることとするときは、法務大臣の意見を聴くものとする。

6項 警察庁が第1項第1号の指示を受けた場合においては、警察庁長官は、警察庁の警察官に調査のための必要な措置を採ることを命ずるものとする。

7項 第1項第1号の指示を受けた都道府県警察の 警察本部長 は、その都道府県警察の警察官に調査のための必要な措置を採ることを命ずるものとする。

8項 第1項第2号の規定により協力の要請に関する書面の送付を受けた国の機関の長は、司法警察職員であるその機関の職員に当該要請に係る調査のための必要な措置を採ることを命ずることができる。

9項 警察官又は前項の国の機関の職員は、前3項の調査に関し、関係人に質問し、実況見分をし、書類その他の物の所有者、所持者若しくは保管者にその物の提示を求め、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

3章 国内受刑者に係る受刑者証人移送

19条 (受刑者証人移送の決定等)

1項 法務大臣は、 要請国 から、条約に基づき、国内受刑者(日本国において拘禁刑又は 国際受刑者移送法 2002年法律第66号第2条第2号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 外国刑 拘禁刑に相当する外国の法令による刑をいう。 2 共助刑 受入移送犯罪に係る確定裁判の執行の共助として日本国が執行する外国刑をい に定める 共助 刑の執行として拘禁されている者をいう。以下同じ。)に係る 受刑者証人移送 の要請があつた場合において、 第2条第1号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 外国刑 拘禁刑に相当する外国の法令による刑をいう。 2 共助刑 受入移送犯罪に係る確定裁判の執行の共助として日本国が執行する外国刑をい 若しくは第2号又は次の各号( 第3条第1項 《受入移送及び送出移送の要請の発受並びに条…》 約の実施に関し必要な締約国との間の文書及び通知の発受は、外務大臣が行う。 ただし、緊急その他特別の事情がある場合において、外務大臣が同意したときは、法務大臣が行うものとする。 ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、 第2条第1号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 外国刑 拘禁刑に相当する外国の法令による刑をいう。 2 共助刑 受入移送犯罪に係る確定裁判の執行の共助として日本国が執行する外国刑をい 若しくは第2号、 第4条第1号 《要請を受けた外務大臣の措置 第4条 外務…》 大臣は、締約国から受入移送又は送出移送の要請を受理したときは、要請書に関係書類を添付し、意見を付して法務大臣に送付しなければならない。 又は次の各号)のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、国内受刑者を移送する期間を定めて、当該受刑者証人移送の決定をするものとする。

1号 国内受刑者の書面による同意がないとき。

2号 国内受刑者が20歳に満たないとき。

3号 国内受刑者を移送する期間として要請された期間が30日を超えるとき。

4号 国内受刑者の犯した罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき。

2項 第14条第5項 《5 法務大臣は、第1項、第3項又は前項の…》 規定による送付を受けた場合において、必要があると認めるときは、証拠の使用又は返還に関し要請国が遵守しなければならない条件を定めるものとする。 及び第6項並びに 第16条第1項 《法務大臣は、要請が第4条第1号に該当する…》 ものと認めて共助をしないこととするとき、要請に応ずることが相当でないと認めて共助をしないこととするとき及び第14条第5項の条件を定めるときは、外務大臣と協議するものとする。 の規定は、国内受刑者に係る 受刑者証人移送 の要請があつた場合について準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

3項 法務大臣は、第1項の決定をしたときは、国内受刑者が収容されている刑事施設の長に対し、当該決定に係る引渡しを命ずるとともに、当該国内受刑者にその旨を通知しなければならない。

20条 (引渡しに関する措置)

1項 法務大臣は、前条第3項の規定による命令をしたときは、外務大臣に受領許可証を送付しなければならない。

2項 外務大臣は、前項の規定による受領許可証の送付を受けたときは、直ちに、これを 要請国 に送付しなければならない。

3項 前2項の規定にかかわらず、 第3条第1項 《共助の要請の受理及び要請国に対する証拠の…》 送付は、外務大臣が行う。 ただし、条約に基づき法務大臣が共助の要請の受理を行うこととされているとき、又は緊急その他特別の事情がある場合において外務大臣が同意したときは、法務大臣が行うものとする。 ただし書の規定により法務大臣が 共助 の要請の受理を行う場合においては、 要請国 への受領許可証の送付は、法務大臣が行うものとする。

4項 前条第3項の規定による命令を受けた刑事施設の長は、 要請国 の官憲から受領許可証を示して国内受刑者の引渡しを求められたときは、国内受刑者を引き渡さなければならない。

5項 前項の規定により国内受刑者の引渡しを受けた 要請国 の官憲は、速やかに、国内受刑者を要請国内に護送するものとする。

21条 (国内受刑者の移送期間の取扱い)

1項 国内受刑者が 受刑者証人移送 として移送されていた期間(身体の拘束を受けていなかつた期間を除く。)は、刑の執行を受けた期間とみなす。

22条 (刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の特則)

1項 第20条第4項 《4 前条第3項の規定による命令を受けた刑…》 事施設の長は、要請国の官憲から受領許可証を示して国内受刑者の引渡しを求められたときは、国内受刑者を引き渡さなければならない。 の規定による国内受刑者の 要請国 の官憲への引渡しは、 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 2005年法律第50号第52条 《領置物の引渡し 刑事施設の長は、被収容…》 者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。第53条第1項 《釈放された被収容者の遺留物刑事施設に遺留…》 した金品をいう。以下この章において同じ。は、その釈放の日から起算して6月を経過する日までに、その者からその引渡しを求める申出がなく、又はその引渡しに要する費用の提供がないときは、国庫に帰属する。同法第132条第6項において準用する場合を含む。及び第2項、第86条第1項、第98条第1項、第2項及び第4項、第100条第4項、第132条第3項、第5項及び第7項、第164条第1項(同法第165条第3項において準用する場合を含む。)、第166条第3項(同法第167条第4項及び第168条第4項において準用する場合を含む。)、第171条、第174条並びに第175条の規定の適用については、釈放でないものとみなす。

2項 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 第54条 《逃走者等の遺留物 被収容者が次の各号の…》 いずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して6月を経過する日までに、その者から引渡しを求める申出がなく、又は引渡しに要する費用の提供がないときは、その遺留物は、国庫に帰属する。 1 第1項第2号及び第3号を除く。)、 第55条 《死亡者の遺留物 死亡した被収容者の遺留…》 物は、法務省令で定めるところにより、その遺族等法務省令で定める遺族その他の者をいう。以下この章において同じ。に対し、その申請に基づき、引き渡すものとする。 2 死亡した被収容者の遺留物がある場合におい第98条第5項 《5 受刑者が次の各号のいずれかに該当する…》 場合において、当該各号に定める日から起算して6月を経過する日までに刑事施設に収容されなかったときは、その者の報奨金計算額は、零とする。 1 逃走したとき 逃走した日 2 第83条第2項の規定により解放第1号に係る部分に限る。)、 第99条 《遺族等への給付 刑事施設の長は、受刑者…》 が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その時に釈放したとするならばその受刑者に支給すべき作業報奨金に相当する金額を支給するものとする。第132条第4項 《4 刑事施設の長は、受刑者が死亡した場合…》 には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その申請に基づき、発受禁止信書等を引き渡すものとする。 から第7項まで及び 第176条 《死亡の通知 刑事施設の長は、被収容者が…》 死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その死亡の原因及び日時並びに交付すべき遺留物、支給すべき作業報奨金に相当する金額若しくは死亡手当金又は発受禁止信書等があるときはその旨 の規定は、 第20条第4項 《4 前条第3項の規定による命令を受けた刑…》 事施設の長は、要請国の官憲から受領許可証を示して国内受刑者の引渡しを求められたときは、国内受刑者を引き渡さなければならない。 の規定により 要請国 の官憲に引き渡した国内受刑者が逃走し、又は死亡した場合におけるその者に係る遺留物、作業報奨金又は発受を禁止し、若しくは差し止めた信書、削除した信書の部分若しくは抹消した信書の部分の複製について準用する。この場合において、同法第132条第5項第2号及び第7項中「第54条第1項各号のいずれか」とあるのは「第54条第1項第1号」と、同条第6項中「第54条第1項」とあるのは「第54条第1項(第2号及び第3号を除く。)」と読み替えるものとする。

4章 外国受刑者の拘禁

23条 (外国受刑者の拘禁)

1項 検察官は、外国受刑者(外国において拘禁刑又はこれに相当する刑の執行として拘禁されている者をいう。以下同じ。)であつて日本国の刑事手続において証人として尋問する旨の決定があつたものについて、 受刑者証人移送 として当該外国の官憲から当該外国受刑者の引渡しを受けたときは、あらかじめ発する受入移送拘禁状により、当該外国受刑者を拘禁しなければならない。

2項 逃亡犯罪人引渡法 1953年法律第68号第6条第1項 《東京高等検察庁の検察官は、検察事務官、警…》 察官、海上保安官又は海上保安官補以下「検察事務官等」という。に前条の拘禁許可状による拘束をさせることができる。 から第3項まで及び 第7条 《 東京高等検察庁の検察官は、拘禁許可状に…》 より逃亡犯罪人を拘束したとき、又は拘禁許可状により拘束された逃亡犯罪人を受け取つたときは、直ちに、その人違でないかどうかを取り調べなければならない。 2 逃亡犯罪人が人違いでないときは、直ちに、拘束の 並びに 刑事訴訟法 第71条 《 検察事務官又は司法警察職員は、必要があ…》 るときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。第73条第3項 《勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示…》 すことができない場合において、急速を要するときは、前2項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。 但し、令状は、できる限り速やかに第74条 《 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を…》 護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。 及び 第126条 《 検察事務官又は司法警察職員は、勾引状又…》 は勾留状を執行する場合において必要があるときは、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、被告人の捜索をすることができる。 この場合には、捜索状は、これを必要としない。 の規定は、前項の受入移送拘禁状により外国受刑者を拘禁する場合について準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

24条 (外国の官憲への引渡し)

1項 受刑者証人移送 として外国の官憲から引渡しを受けた外国受刑者については、その引渡しを受けた日から30日以内に、これを当該外国の官憲に引き渡さなければならない。ただし、天災その他やむを得ない事由によりこの期間内に外国受刑者を当該外国の官憲に引き渡すことができない場合には、この限りでない。

2項 検察官は、前項の規定により外国受刑者を当該外国の官憲に引き渡す場合において必要があるときは、前条第1項の受入移送拘禁状により、検察事務官、警察官、海上保安官又は海上保安官補に当該外国受刑者の護送をさせることができる。この場合においては、 刑事訴訟法 第74条 《 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を…》 護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。 の規定を準用する。

25条 (外国受刑者の拘禁の停止)

1項 検察官は、病気その他やむを得ない事由がある場合に限り、受入移送拘禁状により拘禁されている外国受刑者を医師その他適当と認められる者に委託し、又は外国受刑者の住居を制限して、拘禁の停止をすることができる。

2項 検察官は、必要と認めるときは、いつでも、拘禁の停止を取り消すことができる。

3項 逃亡犯罪人引渡法 第22条第3項 《3 東京高等検察庁の検察官は、前項の規定…》 により拘禁の停止を取り消したときは、検察事務官等に逃亡犯罪人の拘束をさせることができる。 から第5項までの規定は、前項の規定により外国受刑者の拘禁の停止を取り消した場合について準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。

《本則》 ここまで 附則 >  

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