制定文
鉄道事業法 （1986年法律第92号）
第35条
《索道施設に関する技術上の基準 索道事業…》
者は、国土交通省令で定める技術上の基準に従い、索道施設を維持し、及び管理しなければならない。
（同法第40条第2項において準用する場合を含む。）の規定に基づき、 索道施設に関する技術上の基準を定める省令 を次のように定める。
1章 総則
1条 （趣旨）
1項 鉄道事業法
第35条
《索道施設に関する技術上の基準 索道事業…》
者は、国土交通省令で定める技術上の基準に従い、索道施設を維持し、及び管理しなければならない。
の索道施設の技術上の基準については、この省令の定めるところによる。
2条 （定義）
1項 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1号 支索 ：搬器を懸垂する索条のうち支えい索以外の索条をいう。
2号 支えい索 ：搬器を懸垂し、かつ、移動させるための索条をいう。
3号 えい索 ：搬器を移動させるための索条のうち 支えい索 以外の索条をいう。
4号 平衡索 ：搬器を平衡させるための索条であつて えい索 の反対側にあるものをいう。
5号 滑車 ：原動 滑車 、緊張滑車、原動緊張滑車、折返滑車、誘導滑車及び緊張索用滑車をいう。
2項 前項に規定するもののほか、この省令において使用する用語は、 鉄道事業法施行規則 （1987年運輸省令第6号）において使用する用語の例による。
3条 （細則の制定）
1項 索道事業者は、この省令の実施に関する細則を定めなければならない。
2項 前項の実施に関する細則は、国土交通大臣がこの省令の実施に関する基準を告示で定めたときは、これに従つて定めなければならない。
4条 （届出）
1項 索道事業者は、
第3条第1項
《索道事業者は、この省令の実施に関する細則…》
を定めなければならない。
の実施に関する細則を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該細則又は変更しようとする事項を地方運輸局長に届け出なければならない。
5条 （書類の提出）
1項 前条の規定により地方運輸局長に提出すべき届出書は、当該事案の関する土地を管轄する地方運輸局長（当該事案が二以上の地方運輸局長の管轄区域にわたるときは、当該事案の主として関する土地を管轄する地方運輸局長）に提出しなければならない。
6条 （危害の防止）
1項 索道の建設に当たつては、のり切、切上、掘削、盛土、くい打ち等により人に危害を及ぼさないように行わなければならない。
2章 構造 > 1節 索道線路等
7条 （索道線路）
1項 索道線路は、索条、支柱、受索装置その他のこれを構成する設備にかかる荷重が脱索等の危険を生じさせるおそれのないものであり、かつ、搬器が停留場以外の箇所で停止した場合に乗つた人を安全に救助することができるものでなければならない。
8条 （搬器と建造物等との間隔）
1項 搬器とこれに近接する建造物等との間隔は、急停止等による搬器の動揺を考慮し、建造物等との接触により乗つた人に危害を及ぼすおそれのないものとしなければならない。
2項 搬器と地表面との間隔は、前項の規定によるほか、搬器が停留場以外の箇所で停止した場合に、搬器の構造、救助の方法等を考慮し、乗つた人を安全に救助することができるものとしなければならない。
9条 （支索等のこう配）
1項 支索 又は 支えい索 のこう配は、握索装置を使用する場合にあつては、水平線と四十五度以内でなければならない。
10条 （運転速度等）
1項 運転速度及び搬器の出発間隔は、索道の種類及び方式、原動設備、制動装置等の能力、旅客の態様等を考慮し、停留場における旅客の安全かつ円滑な乗降及び停留場間における旅客の安全な運送に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
11条 （索条）
1項 索条は、予想される最大荷重に耐える強度を有し、搬器の運転に耐えるものであり、かつ、索条を支持する 支索 用シュー、受索装置又は 滑車 に適合したものでなければならない。
12条 （緊張設備）
1項 索条の一端には、緊張設備を設けなければならない。ただし、索道線路の傾斜こう長が短いことにより索条の伸びが搬器の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りでない。
2項 緊張設備は、索条の伸びを吸収し、索条の張力を一定に保つことができるものでなければならない。
13条 （支柱）
1項 支柱は、予想される最大荷重に耐える強度を有するものであり、かつ、転倒、滑り及び引き抜きのおそれのない構造でなければならない。
14条 （支索用シュー）
1項 支索 用シューは、支索が及ぼす圧力を分散させ、支索を所定の位置に保持し、かつ、搬器が通過する際に搬器に過度の動揺を与えない構造でなければならない。
15条 （受索装置）
1項 受索装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
1号 支えい索 、 えい索 又は 平衡索 を所定の位置に保持する構造であること。
2号 握索装置又は接続装置を円滑に通過させる構造であること。
3号 支えい索 、 えい索 又は 平衡索 に過度の摩耗又は損傷を生じさせないものであること。
16条 （滑車）
1項 滑車 の溝は、索条の直径に適合し、かつ、索条に過度の摩耗又は損傷を生じさせないものでなければならない。
17条 （保護設備及び防護設備）
1項 線路に近接する建造物等の状況、搬器の構造等を考慮し、物の落下による危険が生じるおそれのある箇所又は搬器に乗つた人を保護する必要がある箇所には、適当な保護設備を設けなければならない。
2項 搬器との接触による危険が生じるおそれのある箇所には、人の立入りを防止するための適当な防護設備を設けなければならない。
18条 （災害防止設備）
1項 雪崩等の自然災害が生じるおそれのある箇所には、索道施設を保護するための適当な災害防止設備を設けなければならない。
2節 停留場
19条 （停留場）
1項 停留場には、索道の種類及び方式、運転速度、搬器の出発間隔等を考慮し、旅客の安全かつ円滑な乗降に支障を及ぼすおそれのないよう乗降場その他の設備を設けなければならない。
3節 原動設備
20条 （主原動機）
1項 主原動機は、巻き上げ側の 支えい索 又は えい索 の引張力とこれに対応するし緩側の支えい索又はえい索の引張力との差が最大となる場合（以下「 最大荷重条件 」という。）において、正常に起動し、所定の運転速度で索道を運転することができる能力を有するものでなければならない。
21条 （予備原動機）
1項 索道には、主原動機のほか、予備原動機を設けなければならない。ただし、線路の傾斜こう長が短いこと等により搬器が停留場以外の箇所で停止したときにおいても乗つた人を容易に救助することができる場合は、この限りでない。
2項 予備原動機は、主原動機又はその制御回路の機能が停止した場合において正常に起動することができるものであり、かつ、 最大荷重条件 において正常に起動し、搬器に乗つた人を停留場まで運送することができる能力を有するものでなければならない。
22条 （速度制御装置）
1項 速度制御装置は、索道の加速時及び減速時において、搬器に過度の動揺を与えることのないよう原動機を制御することができるものでなければならない。
4節 搬器
23条 （搬器）
1項 搬器は、次の基準に適合するものでなければならない。
1号 予想される最大荷重に耐える強度を有するものであること。
2号 燃焼するおそれのないものであること。
3号 乗つた人の転落、転倒等の危険を生じさせるおそれのない構造であること。
4号 停留場以外の箇所で停止した場合に乗つた人を安全に救助することができる構造であること。
5節 握索装置等
24条 （握索装置）
1項 握索装置は、 えい索 又は 支えい索 を完全に握索し、かつ、えい索又は支えい索に損傷を与えるおそれのないものでなければならない。
25条 （接続装置）
1項 接続装置は、 えい索 及び 平衡索 又はえい索と搬器を強固な方法により連結するものでなければならない。
6節 保安設備
26条 （非常用制動装置）
1項 索道には、脱索が生じた場合その他の非常時において緊急に運転を停止させるための適当な非常用制動装置を設けなければならない。
2項 非常用制動装置は、 最大荷重条件 においても搬器を確実に停止させることができる能力を有するものでなければならない。
27条 （保安設備）
1項 索道には、前条に規定するもののほか、運転の安全を確保するための適当な保安設備を設けなければならない。
7節 雑則
28条 （工作物の強度）
1項 索条及び支柱以外の工作物は、予想される最大荷重に耐える強度を有するものでなければならない。
29条 （準用）
1項 鉄道に関する技術上の基準を定める省令 （2001年国土交通省令第151号）
第41条第3項
《3 電車線路は、予想される最大風圧荷重、…》
電線による張力等に耐えることができ、かつ、列車の速度及び車両の集電方法に応じ、支障なく集電することができるように施設しなければならない。
、
第46条
《送電線路及び配電線路の施設 送電線路及…》
び配電線路専用敷地外に施設するものを除く。以下同じ。は、予想される最大風圧荷重、電線による張力等に耐える強度を有し、かつ、施設場所の状況、施設方法及び電圧に応じ、混触、感電及び火災のおそれのないように
、
第47条第2項
《2 変圧器によって結合される電圧の異なる…》
電線路は、混触から機器及び電線路を保護し、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
、
第48条
《誘導作用による障害防止 電車線、き電線…》
、送電線及び配電線第51条の2第1項において「電車線等」という。を施設する場合は、誘導作用による障害を他に及ぼさないように電線相互間の離隔距離を増加し、又は防護設備を設けなければならない。
、
第49条
《変電所等の施設等 変電所、配電所及び開…》
閉所以下「変電所等」という。は、構内に取扱者以外の者が立ち入るおそれのないように施設しなければならない。 2 変電所等には、施設に応じ、異常時に変電所の機器、電線路等を保護することができる装置及び消火
（第4項を除く。）、第6章第3節及び第4節並びに
第61条
《架空通信線の施設 架空通信線は、他の交…》
通の支障となるおそれのない高さに施設しなければならない。 2 架空通信線は、人及び機器に危害を及ぼすおそれのないよう、かつ、他の電線との混触障害及び雷害を防止することができるように施設しなければならな
の規定は、索道について準用する。
3章 運転
30条 （運転の安全確保）
1項 索道の運転に当たつては、索道係員の知識及び技能並びに運転関係の設備を総合的に活用して、その安全確保に努めなければならない。
2項 索道事業者は、停留場における運転度数、輸送人員その他運転に関する状況の記録を活用して索道の安全度の向上に努めなければならない。
31条 （知識及び技能の保有等）
1項 索道係員は、索道を安全に運転するために10分な知識及び技能を保有しなければならない。
2項 索道係員が、その知識及び技能を10分に発揮できない心身の状態にあるときは、運転の安全に関係する作業を行わせてはならない。
3項 運転者及び監視員は、索道の運転中所定の位置を離れてはならない。
4項 索道事業者は、人を安全に救助するための作業の方法を定め、これについて索道係員を訓練しておかなければならない。
32条 （旅客が遵守すべき事項の掲示）
1項 索道事業者は、停留場における安全かつ円滑な乗降及び停留場間における安全な運送を確保するために旅客が遵守すべき事項を、旅客に見やすいように掲示しなければならない。
33条 （相互連絡）
1項 運転者、監視員その他の索道係員は、適当な方法により、相互に緊密に連絡しなければならない。
34条 （出発合図）
1項 索道を運転しようとするときは、あらかじめ定められた方法の出発合図をしなければならない。
35条 （車掌の乗務）
1項 普通索道の搬器（停留場以外の箇所で停止した場合に旅客を救助しようとする者が容易に乗り込むことができない構造であるものに限る。）には、車掌を乗務させなければならない。
36条 （最大乗車人員等）
1項 搬器には、その最大乗車人員又は最大乗車人員及び最大積載量を超えて人を乗せ、又は物を積んではならない。
37条 （風雨時等の処置）
1項 風、雨、雪、霧等により索道の運転に危険を生ずるおそれのあるときは、その運転を1時中止する等危険を避けるため、適当な措置を講じなければならない。
38条 （転落防止）
1項 普通索道の搬器を出発させるときは、人又は物の転落を防止するため、扉を閉じ、鎖錠しなければならない。
39条 （索条等の整備等）
1項 索条、支柱、停留場、原動設備、搬器その他の工作物は、常に安全な状態に整備しておかなければならない。
2項 搬器を留置するときは、その移動を防止するために必要な処置を講じておかなければならない。
40条 （危険品運送の制限）
1項 索道事業の用に供する索道においては、国土交通大臣が告示で定める物品を所持する旅客を乗せてはならない。
2項 普通索道においては、国土交通大臣が告示で定める物品を人を運送する搬器に混載してはならない。
3項 普通索道においては、国土交通大臣が告示で定める爆発性物質を積載した搬器と人の乗り込んだ搬器とを同時に運転させてはならない。
41条 （始業点検）
1項 索道は、1日一回その使用前、試運転を行い、索条、支柱、原動設備、搬器その他の工作物を点検しなければならない。
42条 （検査）
1項 索道の設備は、国土交通大臣が告示で定める基準に従い、検査をしなければならない。
43条 （記録）
1項 第39条第1項
《索条、支柱、停留場、原動設備、搬器その他…》
の工作物は、常に安全な状態に整備しておかなければならない。
の規定により索条等の整備を行つたときはその年月日及び内容を、前条の規定により設備の検査を行つたときはその年月日及び成績を、それぞれ記録しなければならない。