1条 (目的)
1項 この法律は、育児休業に関する制度を設けて子を養育する裁判官の継続的な勤務を促進し、もって裁判官の福祉を増進するとともに、裁判事務等の円滑な運営に資することを目的とする。
2条 (育児休業の承認)
1項 裁判官は、最高裁判所の承認を受けて、育児休業(裁判官が、この法律の定めるところにより、その3歳に満たない子(民法(1896年法律第89号)第817条の2第1項の規定により裁判官が当該裁判官との間における同項に規定する特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に係る家事審判事件が裁判所に係属している場合に限る。)であって、当該裁判官が現に監護するもの、 児童福祉法 (1947年法律第164号)
第27条第1項第3号
《都道府県は、前条第1項第1号の規定による…》
報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。 1 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。 2 児童又はその保護
の規定により同法第6条の4第2号に規定する養子縁組里親である裁判官に委託されている児童その他これらに準ずる者として最高裁判所規則で定める者を含む。以下同じ。)を養育するため、その子が3歳に達するまでの期間内において、職務に従事しないことをいう。以下同じ。)をすることができる。ただし、育児休業の承認の請求に係る子について既に二回の育児休業(当該子の出生の日から裁判官が産後の休業をすることができる期間を考慮して最高裁判所規則で定める期間内に、裁判官(当該期間内に当該子の出産により産後の休業をした裁判官を除く。)が当該子についてした最初の育児休業及び二回目の育児休業を除く。)をしたことがある場合(最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合を除く。)は、この限りでない。
2項 育児休業の承認を受けようとする裁判官は、育児休業をしようとする期間の初日及び末日を明らかにして、最高裁判所に対し、その承認を請求するものとする。
3項 最高裁判所は、前項の規定による請求があったときは、当該請求に係る期間について当該請求をした裁判官の事務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない。
3条 (育児休業の期間の延長)
1項 育児休業をしている裁判官は、最高裁判所に対し、当該育児休業の期間の延長を請求することができる。
2項 育児休業の期間の延長は、最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。
3項 前条第2項及び第3項の規定は、育児休業の期間の延長について準用する。
4条 (育児休業の効果)
1項 育児休業をしている裁判官は、裁判官としての身分を保有するが、その育児休業の期間中報酬その他の給与を受けない。
5条 (育児休業の承認の失効等)
1項 育児休業の承認は、次に掲げる場合には、その効力を失う。
1号 当該育児休業をしている裁判官が産前の休業を始め、又は出産した場合
2号 当該育児休業をしている裁判官が 裁判官弾劾法 (1947年法律第137号)
第39条
《 裁判官の職務の停止 弾劾裁判所は、相当…》
と認めるときは、何時でも、罷免の訴追を受けた裁判官の職務を停止することができる。
の規定により職務を停止された場合
3号 当該育児休業に係る子が死亡し、又は当該育児休業をしている裁判官の子でなくなった場合
2項 最高裁判所は、次に掲げる場合には、育児休業の承認を取り消すものとする。
1号 当該育児休業をしている裁判官から育児休業の承認の取消しの申出があった場合
2号 当該育児休業をしている裁判官が当該育児休業に係る子を養育しなくなった場合
3号 その他最高裁判所規則で定める場合
5条の2 (期末手当等の支給)
1項 育児休業をしている裁判官には、
第4条
《育児休業の効果 育児休業をしている裁判…》
官は、裁判官としての身分を保有するが、その育児休業の期間中報酬その他の給与を受けない。
の規定にかかわらず、 国家公務員の育児休業等に関する法律 (1991年法律第109号)の適用を受ける職員の例に準じて、最高裁判所の定めるところにより、期末手当又は勤勉手当を支給する。
6条 (不利益取扱いの禁止)
1項 裁判官は、育児休業を理由として、不利益な取扱いを受けない。
7条 (退職手当に関する育児休業の期間の取扱い)
1項 国家公務員退職手当法 (1953年法律第182号)
第6条の4第1項
《退職した者に対する退職手当の調整額は、そ…》
の者の基礎在職期間第5条の2第2項に規定する基礎在職期間をいう。以下同じ。の初日の属する月からその者の基礎在職期間の末日の属する月までの各月国家公務員法第79条の規定による休職公務上の傷病による休職、
及び
第7条第4項
《4 前3項の規定による在職期間のうちに休…》
職月等が一以上あつたときは、その月数の2分の1に相当する月数国家公務員法第108条の6第1項ただし書若しくは行政執行法人の労働関係に関する法律1948年法律第257号第7条第1項ただし書に規定する事由
( 最高裁判所裁判官退職手当特例法 (1966年法律第52号)
第3条第2項
《2 退職手当法第7条第2項から第4項まで…》
及び第6項から第8項までの規定は、前項の規定による在職期間の計算について準用する。 この場合において、同条第6項ただし書中「6月以上1年未満第3条第1項傷病又は死亡による退職に係る部分に限る。、第4条
において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定の適用については、育児休業をした期間は、 国家公務員退職手当法
第6条の4第1項
《退職した者に対する退職手当の調整額は、そ…》
の者の基礎在職期間第5条の2第2項に規定する基礎在職期間をいう。以下同じ。の初日の属する月からその者の基礎在職期間の末日の属する月までの各月国家公務員法第79条の規定による休職公務上の傷病による休職、
に規定する現実に職務をとることを要しない期間に該当するものとする。
2項 育児休業をした期間(当該育児休業に係る子が1歳に達した日の属する月までの期間に限る。)についての 国家公務員退職手当法
第7条第4項
《4 前3項の規定による在職期間のうちに休…》
職月等が一以上あつたときは、その月数の2分の1に相当する月数国家公務員法第108条の6第1項ただし書若しくは行政執行法人の労働関係に関する法律1948年法律第257号第7条第1項ただし書に規定する事由
の規定の適用については、同項中「その月数の2分の1に相当する月数」とあるのは、「その月数の3分の1に相当する月数」とする。
8条 (最高裁判所規則)
1項 この法律の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。