1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、地域伝統芸能等を活用した行事の実施が、地域の特色を生かした観光の多様化による国民及び外国人観光旅客の観光の魅力の増進に資するとともに、消費生活等の変化に対応するための地域の特性に即した特定地域商工業の活性化に資することにかんがみ、当該行事の確実かつ効果的な実施を支援するための措置を講ずることにより、観光及び特定地域商工業の振興を図り、もってゆとりのある国民生活及び地域の固有の文化等を生かした個性豊かな地域社会の実現、国民経済の健全な発展並びに国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 地域伝統芸能等 」とは、地域の民衆の生活の中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を色濃く反映した伝統的な芸能及び風俗慣習をいう。
2項 この法律において「 活用行事 」とは、観光及び特定地域商工業の振興を目的として実施される行事であって、 地域伝統芸能等 の実演、地域伝統芸能等に用いられる衣服、器具等の展示その他の方法により、地域伝統芸能等をその主題として活用するもののうち、国内観光及び国際観光並びに特定地域商工業の振興に相当程度寄与すると認められるものをいう。
3項 この法律において「 特定事業等 」とは、 地域伝統芸能等 の実演等に係る人材の確保、地域伝統芸能等に係る実演等を行うための施設の確保、地域伝統芸能等に用いられる物品の確保、活用製品、宣伝、観光旅行者及び顧客の利便の増進等に関する事業又は措置であって 活用行事 に係るもののうち、活用行事の確実かつ効果的な実施を図るため、活用行事に関連して実施されるものをいう。
4項 この法律において「 特定地域商工業 」とは、 活用行事 が実施される市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域における小売業、当該小売業に対し商品を販売する卸売業であって当該活用行事が実施される都道府県の区域におけるもの並びに当該活用行事に係る 地域伝統芸能等 に用いられる衣服、器具その他の物品及び当該地域伝統芸能等に係る活用製品の製造業であって当該活用行事が実施される都道府県の区域におけるものをいう。
5項 この法律において「 活用製品 」とは、 地域伝統芸能等 の特徴又は地域伝統芸能等に用いられる衣服、器具その他の物品の特徴を活用して機能及び効用を高めた製品をいう。
2章 活用行事の実施等
3条 (基本方針)
1項 国土交通大臣、経済産業大臣、農林水産大臣、文部科学大臣及び総務大臣(以下「 主務大臣 」という。)は、 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する 基本方針 (以下「 基本方針 」という。)を定めなければならない。
2項 基本方針 においては、次に掲げる事項につき、次条第1項の基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。
1号 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する基本的な事項
2号 活用行事 の実施に関する事項
3号 特定事業等 の実施に関する事項
4号 文化財である 地域伝統芸能等 の保存に関する事項、農山漁村の活性化に関する施策との連携に関する事項その他 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する重要事項
3項 主務大臣 は、情勢の推移により必要が生じたときは、 基本方針 を変更するものとする。
4項 主務大臣 は、 基本方針 を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5項 主務大臣 は、 基本方針 を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4条 (基本計画)
1項 都道府県は、当該都道府県における 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する 基本計画 (以下「 基本計画 」という。)を定めることができる。
2項 基本計画 においては、 活用行事 及び 特定事業等 に関する基本的な事項について定めるものとする。
3項 前項に規定するもののほか、 基本計画 においては、次に掲げる事項について定めるよう努めるものとする。
1号 当該都道府県における 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する基本的な方針
2号 活用行事 において活用される 地域伝統芸能等 のうち文化財であるものの保存に関する事項
3号 農山漁村の活性化に関する施策との連携に関する事項
4号 その他 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する事項
4項 基本計画 は、 基本方針 に即するものでなければならない。
5項 都道府県は、 基本計画 を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
6項 都道府県は、 基本計画 を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるとともに、 主務大臣 に報告しなければならない。
5条
1項 削除
6条 (中小企業信用保険法の特例)
1項 中小企業信用保険法 (1950年法律第264号)
第3条第1項
《株式会社日本政策金融公庫以下「公庫」とい…》
う。は、事業年度の半期ごとに、信用保証協会を相手方として、当該信用保証協会が中小企業者の銀行、信用金庫、信用協同組合その他の政令で定める金融機関第3条の10第1項及び第3条の11第1項を除き、以下単に
に規定する 普通保険 (以下「 普通保険 」という。)、同法第3条の2第1項に規定する 無担保保険 (以下「 無担保保険 」という。)又は同法第3条の3第1項に規定する 特別小口保険 (以下「 特別小口保険 」という。)の保険関係であって、 地域伝統芸能等 関連保証(同法第3条第1項、第3条の2第1項又は第3条の3第1項に規定する債務の保証であって、 基本計画 に基づき実施される 特定事業等 のうち特に事業資金の融通の円滑化が必要なものとして経済産業省令で定める事業を行う者としてその住所地を管轄する市町村の長の認定を受けた中小企業者が当該事業を行うのに必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての次の表の上欄に掲げる同法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
2項 普通保険 の保険関係であって、 地域伝統芸能等 関連保証に係るものについての 中小企業信用保険法
第3条第2項
《2 前項の保険関係においては、保険価額に…》
100分の70を乗じて得た金額を保険金額とする。
及び
第5条
《保険金 公庫が普通保険、無担保保険、特…》
別小口保険、流動資産担保保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険、新事業開拓保険、事業再生保険、特定社債保険又は特定支払契約保険の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、信用保証協会
の規定の適用については、同法第3条第2項中「100分の七十」とあり、及び同法第5条中「100分の七十( 無担保保険 、 特別小口保険 、流動資産担保保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険、新事業開拓保険、事業再生保険及び特定社債保険にあつては、100分の八十)」とあるのは、「100分の八十」とする。
3項 普通保険 、 無担保保険 又は 特別小口保険 の保険関係であって、 地域伝統芸能等 関連保証に係るものについての保険料の額は、 中小企業信用保険法
第4条
《保険料 保険料の額は、保険金額に年10…》
0分の三以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
の規定にかかわらず、保険金額に年100分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
7条 (国等の援助等)
1項 国及び地方公共団体は、 基本計画 に基づき実施される 活用行事 及び 特定事業等 (以下「 計画活用行事等 」という。)の実施主体に対し、 計画活用行事等 の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
2項 地方公共団体が 基本計画 を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。
3項 前2項に定めるもののほか、 主務大臣 、関係地方公共団体、関係団体及び関係事業者は、 基本計画 の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
3章 民間団体による活用行事等の支援に関する事業の推進
8条 (支援事業実施機関の指定)
1項 主務大臣 は、 計画活用行事等 を支援することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、 活用行事 等 支援事業実施機関 (以下「 支援事業実施機関 」という。)として指定することができる。
9条 (事業)
1項 支援事業実施機関 は、次に掲げる事業を行うものとする。
1号 計画活用行事等 の実施に関する情報を収集すること。
2号 計画活用行事等 の確実かつ効果的な実施に資するため、その実施主体に対し前号の情報を提供すること。
3号 計画活用行事等 の実施に関し必要な助言、指導、資金の支給その他の援助を行うこと。
4号 独立行政法人国際観光振興機構が行う外国人観光旅客の来訪の促進及びその接遇の向上に関する業務の効率的な実施に資するため、独立行政法人国際観光振興機構に対し第1号の情報を提供すること。
5号 活用行事 の実施による観光及び 特定地域商工業 の振興に関する催しを実施し、並びに調査、研究及び広報を行うこと。
10条 (改善命令)
1項 主務大臣 は、 支援事業実施機関 の前条に規定する事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、支援事業実施機関に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
11条 (指定の取消し)
1項 主務大臣 は、 支援事業実施機関 が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
4章 雑則
12条 (報告の徴収及び立入検査)
1項 主務大臣 は、この法律の施行に必要な限度において、 支援事業実施機関 に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、支援事業実施機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2項 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
13条 (経過措置)
1項 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
14条 (省令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、国土交通省令・経済産業省令・農林水産省令・文部科学省令・総務省令又は国土交通省令で定める。
5章 罰則
15条
1項 第12条第1項
《主務大臣は、この法律の施行に必要な限度に…》
おいて、支援事業実施機関に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、支援事業実施機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる
の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたときは、その違反行為をした 支援事業実施機関 の役員又は職員は、210,000円以下の罰金に処する。