日本銀行法施行令《本則》

法番号:1997年政令第385号

略称: 日銀法施行令

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制定文 内閣は、 日本銀行法 1997年法律第89号)の規定に基づき、 日本銀行法施行令 1942年勅令第175号)の全部を改正するこの政令を制定する。


1条 (出資証券の記載事項等)

1項 日本銀行が発行する 出資証券 以下「 出資証券 」という。)には、次に掲げる事項及び番号を記載し、総裁がこれに記名押印しなければならない。

1号 日本銀行の名称

2号 日本銀行成立の年月日

3号 資本金額

4号 出資一口の金額

2項 出資証券 は、記名式とする。

2条 (出資者原簿)

1項 日本銀行は、出資者原簿を本店に備えて置かなければならない。

2項 出資者原簿には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

1号 出資者の氏名又は名称及び住所

2号 各出資者の出資の口数及び当該出資に係る 出資証券 の番号

3号 出資証券 の取得の年月日

3項 日本銀行の出資者は、日本銀行の業務時間内は、いつでも、出資者原簿の閲覧を求めることができる。

3条 (出資者に対する通知等)

1項 日本銀行が出資者に対してする通知又は催告は、出資者原簿に記載したその出資者の住所(出資者が別に通知又は催告を受ける場所を日本銀行に通知したときは、その場所)にあててすれば足りる。

2項 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。

4条 (会社法の準用)

1項 会社法(2005年法律第86号)第291条の規定は、 出資証券 について準用する。

5条 (持分の譲渡)

1項 出資者の持分を譲渡するには、 出資証券 を交付しなければならない。

2項 出資証券 を占有している者は、適法に所持している者と推定する。

6条 (持分の移転等の対抗要件)

1項 出資者の持分の移転は、その取得者の氏名又は名称及び住所を出資者原簿に記載し、かつ、その氏名又は名称を 出資証券 に記載した後でなければ、日本銀行その他の第三者に対抗することができない。

2項 出資者の持分については、信託財産に属する財産である旨を出資者原簿及び 出資証券 に記載した後でなければ、当該持分が信託財産に属することを日本銀行その他の第三者に対抗することができない。

7条 (持分に対する質権の設定)

1項 出資者の持分を質権の目的とするには、 出資証券 を交付しなければならない。

2項 質権者は、継続して 出資証券 を占有していなければ、その質権をもって、日本銀行その他の第三者に対抗することができない。

8条 (質権者に対する配当)

1項 出資者の持分を質権の目的とした場合において、質権設定者が、質権者の氏名又は名称及び住所を出資者原簿に記載し、かつ、その氏名又は名称を 出資証券 に記載するよう日本銀行に請求したときは、日本銀行は、出資者原簿及び出資証券にそれらの事項の記載をしなければならない。

2項 前項の記載をされた質権者は、日本銀行から 日本銀行法 以下「」という。第53条第4項 《4 日本銀行は、財務大臣の認可を受けて、…》 その出資者に対し、各事業年度の損益計算上の剰余金の配当をすることができる。 ただし、払込出資金額に対する当該剰余金の配当の率は、年100分の5の割合を超えてはならない。 に規定する剰余金の配当を受け、他の債権者に優先してこれを自己の債権の弁済に充当することができる。

3項 民法 1896年法律第89号第366条第3項 《3 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁…》 済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。 この場合において、質権は、その供託金について存在する。 の規定は、前項の剰余金の配当が、第1項の記載をされた質権者の債権の弁済期前にされる場合について準用する。

9条 (政策委員会の招集)

1項 政策委員会の議長(議長に事故があるときは、 第16条第5項 《5 委員会は、あらかじめ、委員のうちから…》 、議長に事故がある場合に議長の職務を代理する者を定めておかなければならない。 に規定する議長の職務を代理する者。以下この条において同じ。)は、法第15条第1項各号に掲げる事項(以下この条において「 金融調節事項 」という。)を議事とする会議を、年八回、相当な間隔をおいて招集することを常例としなければならない。

2項 政策委員会の議長は、 金融調節事項 を議事とする会議を招集する場合には、当該会議の会日の二営業日前までに、政策委員会の各委員並びに財務大臣及び 内閣府設置法 1999年法律第89号第19条第2項 《2 第9条第1項の規定により置かれた特命…》 担当大臣で第4条第1項第1号から第3号までに掲げる事務を掌理するもの以下「経済財政政策担当大臣」という。は、その掌理する事務に係る前項第1号に規定する重要事項について、会議に諮問することができる。 に規定する経済財政政策担当大臣(経済財政政策担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣)に対し、その通知を発しなければならない。ただし、金融市場又は国民経済に急激な変化が生じたため、又は生じるおそれがあるため、緊急に金融調節事項を議事とする会議を招集することが必要であると認めるときにおいて行う当該会議の招集の通知(緊急に当該会議を招集する理由を示して行うものに限る。)は、当該会議の会日前二営業日以内においても、発することができる。

3項 政策委員会の議長は、前項の規定により 金融調節事項 を議事とする会議の招集の通知を行うときは、当該会議に付議すべき事項及び当該事項について参考となるべき事項の通知を併せて行わなければならない。

4項 前項の規定により招集の通知と併せて通知が行われなければならないとされる事項として通知される事項の内容は、 金融調節事項 を議事とする会議が適切に運営されるよう、10分に具体的なものでなければならない。

10条 (1時貸付けの対象となる金融機関等)

1項 第37条第1項 《日本銀行は、金融機関銀行その他の預金等預…》 金保険法1971年法律第34号第2条第2項に規定する預金等及び貯金をいう。の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの以下「金融機関等」という。 に規定する政令で定める金融業を営む者は、次に掲げる者とする。

1号 第37条第1項 《日本銀行は、金融機関銀行その他の預金等預…》 金保険法1971年法律第34号第2条第2項に規定する預金等及び貯金をいう。の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの以下「金融機関等」という。 に規定する金融機関

2号 金融商品取引法 1948年法律第25号第2条第9項 《9 この法律において「金融商品取引業者」…》 とは、第29条の規定により内閣総理大臣の登録を受けた者をいう。 に規定する金融商品取引業者(同法第28条第8項に規定する有価証券関連業を行う者に限る。

3号 金融商品取引法 第2条第30項 《30 この法律において「証券金融会社」と…》 は、第156条の24の規定により内閣総理大臣の免許を受けた者をいう。 に規定する証券金融会社

4号 貸金業法施行令 1983年政令第181号第1条の2第3号 《貸金業の範囲からの除外 第1条の2 法第…》 2条第1項第5号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。 1 次に掲げる団体その直接又は間接の構成員以外の者に対する貸付けを業として行うものを除く。 イ 国家公務員法1947年法律第120 に掲げる者

2項 第37条第1項 《日本銀行は、金融機関銀行その他の預金等預…》 金保険法1971年法律第34号第2条第2項に規定する預金等及び貯金をいう。の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの以下「金融機関等」という。 に規定する政令で定める期間は、1月とする。

11条 (考査)

1項 第44条第1項 《日本銀行は、第37条から第39条までに規…》 定する業務を適切に行い、及びこれらの業務の適切な実施に備えるためのものとして、これらの業務の相手方となる金融機関等以下この条において「取引先金融機関等」という。との間で、考査取引先金融機関等の業務及び に規定する政令で定める要件は、次に掲げるものとする。

1号 日本銀行は、考査( 第44条第1項 《日本銀行は、第37条から第39条までに規…》 定する業務を適切に行い、及びこれらの業務の適切な実施に備えるためのものとして、これらの業務の相手方となる金融機関等以下この条において「取引先金融機関等」という。との間で、考査取引先金融機関等の業務及び に規定する考査をいう。以下この条及び次条第18号において同じ。)を行うときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、同項に規定する 取引先金融機関等 第3号において「 取引先金融機関等 」という。)に対し連絡しその承諾を得なければならないものであること。

2号 考査を行う日本銀行の職員は、日本銀行が発行するその身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないものであること。

3号 考査に関する契約に係る契約書において、前2号に掲げる要件のほか、次に掲げる事項が明らかにされているものであること。

日本銀行が行う考査及びその結果に基づき行う 取引先金融機関等 に対する助言等は、 第37条 《金融機関等に対する1時貸付け 日本銀行…》 は、金融機関銀行その他の預金等預金保険法1971年法律第34号第2条第2項に規定する預金等及び貯金をいう。の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。その他の金融業を営む者であって政令で定め から 第39条 《資金決済の円滑に資するための業務 日本…》 銀行は、第33条から前条までに規定する業務のほか、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、第33条第1項第5号から第7号までに掲げる業務又は第35条第2項若しくは第36条第2項に規定する業務と一体的に までに規定する業務を適切に行い、及びこれらの業務の適切な実施に備えるために必要な限度を超えるものであってはならないこと。

日本銀行は、その行う考査がその行おうとする目的に照らして 取引先金融機関等 に対し過大な事務負担を及ぼすことのないよう、考査に当たって提出を求める資料の内容、考査を行う日本銀行の職員の数その他の考査の実施の方法について配慮しなければならないこと。

日本銀行の役員及び職員は、 第44条第3項 《3 日本銀行は、金融庁長官から要請があっ…》 たときは、その行った考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料を金融庁長官に対し提出し、又はその職員に閲覧させることができる。 の規定により考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料を金融庁長官に対し提出し、又はその職員に閲覧させる場合その他正当な理由がある場合を除くほか、考査により知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない義務を負うものであること。

12条 (業務方法書の記載事項)

1項 第45条第2項 《2 前項の業務方法書には、資金の貸付けに…》 関する事項その他の政令で定める事項を記載しなければならない。 に規定する政令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

1号 資金の貸付けに関する事項

2号 商業手形その他の手形の割引に関する事項

3号 商業手形その他の手形(日本銀行の振出しに係るものを含む。)、国債その他の債券又は電子記録債権( 電子記録債権法 2007年法律第102号第2条第1項 《この法律において「電子記録債権」とは、そ…》 の発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録以下単に「電子記録」という。を要件とする金銭債権をいう。 に規定する電子記録債権をいう。)の売買に関する事項

4号 金銭を担保とする国債その他の債券の貸借に関する事項

5号 預り金( 第33条第2項 《2 前項第5号の「預り金」とは、預金契約…》 に基づいて行う預金の受入れをいう。 に規定する預り金をいう。)に関する事項

6号 内国為替取引に関する事項

7号 有価証券その他の財産権に係る証券又は証書の保護預りに関する事項

8号 地金銀の売買に関する事項

9号 国に対する貸付けその他の 第34条 《国に対する貸付け等 日本銀行は、我が国…》 の中央銀行として、前条第1項に規定する業務のほか、国との間で次に掲げる業務を行うことができる。 1 財政法1947年法律第34号第5条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において担保を徴求 各号に掲げる業務に関する事項

10号 国庫金の取扱いに関する事項

11号 通貨及び金融に関する国の事務の取扱いに関する事項

12号 金融機関等( 第37条第1項 《日本銀行は、金融機関銀行その他の預金等預…》 金保険法1971年法律第34号第2条第2項に規定する預金等及び貯金をいう。の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの以下「金融機関等」という。 に規定する金融機関等をいう。)に対する1時貸付けに関する事項

13号 信用秩序の維持に資するための業務に関する事項

14号 資金決済の円滑に資するための業務に関する事項

15号 外国為替の売買に関する事項

16号 外国中央銀行等又は国際機関( 第40条第1項 《日本銀行は、必要に応じ自ら、又は第36条…》 第1項の規定により国の事務の取扱いをする者として、外国為替の売買を行うほか、我が国の中央銀行としての外国中央銀行等外国の中央銀行又はこれに準ずる者をいう。以下同じ。又は国際機関我が国が加盟している国際 に規定する外国中央銀行等又は国際機関をいう。)との協力を図るための業務に関する事項

17号 その他の業務に関する事項

18号 考査に関する事項

19号 日本銀行券( 第46条第2項 《2 前項の規定により日本銀行が発行する銀…》 行券以下「日本銀行券」という。は、法貨として無制限に通用する。 に規定する日本銀行券をいう。以下同じ。)の発行、引換え等に関する事項

20号 業務時間及び休日に関する事項

21号 業務の代理に関する事項

13条 (日本銀行券の種類)

1項 日本銀行券の種類は、20,000円、5,000円、2,000円及び1,000円の4種類とする。

14条 (経費)

1項 第51条第1項 《日本銀行は、毎事業年度、経費通貨及び金融…》 の調節に支障を生じさせないものとして政令で定める経費に限る。に関する予算以下「経費の予算」という。を作成し、当該事業年度開始前に、財務大臣に提出して、その認可を受けなければならない。 これを変更しよう に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費とする。

1号 日本銀行券の製造に要する経費

2号 役員及び職員の報酬及び給与(賞与その他の金銭の給付を含む。並びに退職手当

3号 国庫金及び国債の取扱事務に要する経費

4号 交通費及び通信費

5号 修繕費

6号 前3号に掲げる事務費以外の事務費

7号 固定資産(業務の用に供する不動産を除く。)の取得に要する経費

8号 予備費

15条 (債券取引損失引当金等)

1項 日本銀行は、各事業年度において、債券(国債その他の財務省令で定める債券をいう。次項において同じ。又は外国為替等(外国為替及び外国通貨で表示された資産(財務省令で定めるものに限る。)をいう。次項において同じ。)のそれぞれについて、その売買、保有等に伴い生じた収益の額として財務省令で定めるところにより計算した金額(次項において「 収益金額 」という。)が、その売買、保有等に伴い生じた損失の額として財務省令で定めるところにより計算した金額(次項において「 損失金額 」という。)を超えるときは、財務省令で定めるところにより、それぞれ、その超える部分の金額の全部又は一部を、財務大臣の承認を受けて、債券取引損失引当金又は外国為替等取引損失引当金として積み立てることができる。

2項 前項の債券取引損失引当金又は外国為替等取引損失引当金は、各事業年度において、債券又は外国為替等のそれぞれについて、 損失金額 収益金額 を超えるときにおけるその超える部分の金額の補てんに充てる場合のほか、取り崩してはならない。ただし、財務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

16条 (国庫納付金の帰属する会計)

1項 日本銀行の国庫納付金は、一般会計に帰属する。

17条 (概算納付)

1項 日本銀行は、毎事業年度11月30日までに、財務大臣の定めるところにより、当該事業年度に係る国庫納付金の一部を概算で納付しなければならない。

18条 (精算納付等)

1項 日本銀行は、各事業年度に係る国庫納付金の一部を前条の規定により概算で納付した場合において、当該各事業年度に係る国庫納付金の額からその概算で納付した金額を控除してなお残額があるときは、その残額を翌事業年度の5月31日までに国庫に納付しなければならない。

2項 日本銀行が各事業年度に係る国庫納付金の一部を前条の規定により概算で納付した場合において、当該各事業年度に係る国庫納付金の額がその概算で納付した金額を下回ることとなったときは、政府は、その下回ることとなった部分の金額に相当する金額を翌々事業年度末までに還付するものとする。

19条 (国庫納付金の会計年度所属区分の特例)

1項 日本銀行の各事業年度に係る国庫納付金は、 予算決算及び会計令 1947年勅令第165号第1条の2第1項第1号 《歳入の会計年度所属は、次の区分による。 …》 1 納期の一定している収入はその納期末日民法1896年法律第89号第142条、国税通則法1962年法律第66号第10条第2項又は行政機関の休日に関する法律1988年法律第91号第2条の規定の適用又は の規定にかかわらず、当該各事業年度に対応する国の会計年度所属の歳入金とする。この場合において、日本銀行の各事業年度に係る国庫納付金で翌事業年度5月1日以後国庫納付されたものについては、日本銀行は、同令第7条第1項本文の規定にかかわらず、これを当該各事業年度に対応する国の会計年度所属の歳入金として受け入れるものとする。

20条 (納付の手続)

1項 日本銀行は、各事業年度の損益計算上剰余金を生じたときは、 第53条第5項 《5 日本銀行は、各事業年度の損益計算上の…》 剰余金の額から、第1項又は第2項の規定により積み立てた金額及び前項の規定による配当の金額の合計額を控除した残額を、当該各事業年度終了後2月以内に、国庫に納付しなければならない。 の規定に基づいて計算した国庫納付金の計算書に、当該各事業年度末の貸借対照表、当該各事業年度の損益計算書その他当該国庫納付金の計算の基礎を明らかにした書類を添付して、翌事業年度の5月20日までに、これを財務大臣に提出しなければならない。

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