1条 (目的)
1項 この法律は、大学、高等専門学校、大学共同利用機関及び国の試験研究機関における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進を図るための措置を講ずることにより、新たな事業分野の開拓及び産業の技術の向上並びに大学、高等専門学校、大学共同利用機関及び国の試験研究機関における研究活動の活性化を図り、もって我が国産業構造の転換の円滑化、国民経済の健全な発展及び学術の進展に寄与することを目的とする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 特定大学技術移転事業 」とは、大学( 学校教育法 (1947年法律第26号)
第1条
《 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、…》
中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
に規定する大学及び高等専門学校並びに 国立大学法人法 (2003年法律第112号)
第2条第4項
《4 この法律において「大学共同利用機関」…》
とは、別表第2の第二欄に掲げる研究分野について、大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所をいう。
に規定する大学共同利用機関をいう。以下同じ。)における技術に関する研究成果(以下「 特定研究成果 」という。)について、 特定研究成果 に係る特許権その他の政令で定める権利のうち国以外の者に属するものについての譲渡、専用実施権の設定その他の行為により、特定研究成果の活用を行うことが適切かつ確実と認められる民間事業者に対し移転する事業であって、当該大学における研究の進展に資するものをいう。
2項 この法律において「 中小企業者 」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
1号 資本金の額又は出資の総額が400,000,000円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第2号の三までに掲げる業種及び第3号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2号 資本金の額又は出資の総額が200,000,000円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、卸売業(第3号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2_2号 資本金の額又は出資の総額が50,010,000円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人であって、サービス業(第3号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
2_3号 資本金の額又は出資の総額が50,010,000円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
3号 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
4号 企業組合
5号 協業組合
6号 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの
3条 (実施指針)
1項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、 特定研究成果 の民間事業者への効率的な移転を促進するため、 特定大学技術移転事業 の実施に関する指針(以下「 実施指針 」という。)を定めなければならない。
2項 実施指針 においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
1号 特定大学技術移転事業 の推進に関する基本的な方向
2号 特定大学技術移転事業 を実施する者の要件に関する事項
3号 特定大学技術移転事業 の内容及び実施方法に関する事項
4号 大学における学術研究の特性その他 特定大学技術移転事業 の実施に際し配慮すべき事項
3項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、 実施指針 を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、 実施指針 を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4条 (実施計画の承認)
1項 特定大学技術移転事業 を実施しようとする者(特定大学技術移転事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)は、当該特定大学技術移転事業の実施に関する計画(以下「 実施計画 」という。)を作成し、これを文部科学大臣及び経済産業大臣に提出して、その 実施計画 が適当である旨の承認を受けることができる。
2項 実施計画 には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1号 特定大学技術移転事業 を実施する者に関する事項
2号 特定大学技術移転事業 の内容及び実施方法
3号 特定大学技術移転事業 の実施時期
4号 特定大学技術移転事業 の実施に必要な資金の額及びその調達方法
3項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、第1項の承認の申請があった場合において、その 実施計画 が 実施指針 に照らして適切なものであり、かつ、当該実施計画が確実に実施される見込みがあると認めるときは、その承認をするものとする。
4項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、第1項の承認をしたときは、その旨を公表するものとする。
5条 (実施計画の変更等)
1項 前条第1項の承認を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該承認に係る 実施計画 を変更しようとするときは、文部科学大臣及び経済産業大臣の承認を受けなければならない。
2項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、前条第1項の承認を受けた 実施計画 (前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「 承認計画 」という。)に係る 特定大学技術移転事業 を実施する者(以下「 承認事業者 」という。)が当該 承認計画 に従って特定大学技術移転事業を実施していないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。
3項 前条第3項の規定は第1項の承認に、同条第4項の規定は前項の規定による承認の取消しに準用する。
6条 (独立行政法人中小企業基盤整備機構の行う技術移転促進業務)
1項 独立行政法人中小企業基盤整備機構は、 特定研究成果 の民間事業者への移転を促進するため、 承認計画 に係る 特定大学技術移転事業 の実施に必要な資金を調達するために発行する社債( 社債、株式等の振替に関する法律 (2001年法律第75号)
第66条第1号
《権利の帰属 第66条 次に掲げる社債で振…》
替機関が取り扱うもの以下この章において「振替社債」という。についての権利第73条に規定する利息の請求権を除く。の帰属は、この章の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとする。 1 次に掲げ
に規定する短期社債を除く。)及び当該資金の借入れに係る債務の保証の業務を行う。
7条 (中小企業投資育成株式会社法の特例)
1項 中小企業投資育成株式会社は、 中小企業投資育成株式会社法 (1963年法律第101号)
第5条第1項
《会社は、その目的を達成するため、次の事業…》
を営むものとする。 1 資本金の額が400,000,000円以下の株式会社の設立に際して発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有 2 資本金の額が400,000,000円以下の株式会社の発行
各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
1号 承認事業者 が 承認計画 に従って行う 特定大学技術移転事業 により 特定研究成果 の移転を受けて、 中小企業者 又は事業を営んでいない個人が当該特定研究成果を活用する事業を実施するために資本金の額が400,000,000円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有
2号 承認事業者 が 承認計画 に従って行う 特定大学技術移転事業 により 特定研究成果 の移転を受けて、 中小企業者 のうち資本金の額が400,000,000円を超える株式会社が当該特定研究成果を活用する事業を実施するために必要とする資金の調達を図るために発行する株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等( 中小企業投資育成株式会社法
第5条第1項第2号
《会社は、その目的を達成するため、次の事業…》
を営むものとする。 1 資本金の額が400,000,000円以下の株式会社の設立に際して発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有 2 資本金の額が400,000,000円以下の株式会社の発行
に規定する新株予約権付社債等をいう。以下この条において同じ。)の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有
2項 前項第1号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第2号の規定による株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、 中小企業投資育成株式会社法 の適用については、それぞれ同法第5条第1項第1号及び第2号の事業とみなす。
8条 (学術の応用に関する研究についての配慮)
1項 文部科学大臣は、 特定研究成果 の民間事業者への移転の促進に資するため、大学における学術の応用に関する研究の進展が図られるよう必要な配慮をするものとする。
9条 (大学と民間事業者との連携協力の円滑化等)
1項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、 特定研究成果 の民間事業者への移転を促進するため、研究開発に関し、大学と民間事業者との連携及び協力が円滑になされるよう努めるものとする。この場合において、大学における学術研究の特性に常に配慮しなければならない。
2項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、民間事業者が 特定研究成果 を活用するために必要な知識及び技術の習得を促進するための施策を効果的に推進するよう努めなければならない。
10条 (関連施策の推進)
1項 経済産業大臣は、 特定研究成果 の活用において 中小企業者 が果たす重要な役割に鑑み、研究開発、特定研究成果の活用に関する情報の提供その他の関連施策を効果的に推進するよう努めるものとする。
11条 (特許料の特例等)
1項 国の試験研究機関であって政令で定めるもの(以下「 特定試験研究機関 」という。)における技術に関する研究成果について、当該研究成果に係る国有の特許権若しくは特許を受ける権利又は国有の実用新案権若しくは実用新案登録を受ける権利の譲渡を受け、当該特許権若しくは当該特許を受ける権利に基づいて取得した特許権又は当該実用新案権若しくは当該実用新案登録を受ける権利に基づいて取得した実用新案権についての譲渡、専用実施権の設定その他の行為により、当該研究成果の活用を行おうとする民間事業者に対し移転する事業を行う者は、当該 特定試験研究機関 を所管する大臣に申請して、その事業が次の各号のいずれにも適合している旨の認定を受けることができる。
1号 当該事業を適確かつ円滑に実施することができる技術的能力を有するものであること。
2号 当該特許権若しくは当該特許を受ける権利に係る発明又は当該実用新案権若しくは当該実用新案登録を受ける権利に係る考案を自ら実施するものでないこと。
3号 当該特許権若しくは当該特許を受ける権利に係る発明又は当該実用新案権若しくは当該実用新案登録を受ける権利に係る考案に関する民間事業者への情報の提供において特定の民間事業者に対して不当な差別的取扱いをするものでないことその他当該事業を適正に行うに必要な業務の実施の方法が定められているものであること。
2項 特定試験研究機関 を所管する大臣は、前項の認定を受けた者(以下「 認定事業者 」という。)が同項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
3項 特定試験研究機関 を所管する大臣は、第1項の規定による認定をしたとき、及び前項の規定による認定の取消しをしたときは、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。
4項 特許法 (1959年法律第121号)
第107条第2項
《2 前項の規定は、国に属する特許権には、…》
適用しない。
の規定は、次に掲げる特許権であって当該 認定事業者 に属するものに準用する。
1号 認定事業者 が国から譲渡を受けた 特定試験研究機関 における技術に関する研究成果に係る特許を受ける権利に基づいて取得した特許権
2号 認定事業者 が国から譲渡を受けた 特定試験研究機関 における技術に関する研究成果に係る特許権
5項 特許法
第195条第4項
《4 前3項の規定は、これらの規定により手…》
数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
の規定は、前項に規定する特許権又は 認定事業者 が国から譲渡を受けた 特定試験研究機関 における技術に関する研究成果に係る特許を受ける権利であって当該認定事業者に属するものについて同条第1項から第3項までの規定により手数料(政令で定めるものに限る。)を納付すべき者が当該認定事業者である場合に準用する。
6項 第4項に規定する特許権又は前項に規定する特許を受ける権利が 認定事業者 と認定事業者以外の者との共有に係る場合における 特許法
第195条第1項
《次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定め…》
る額の手数料を納付しなければならない。 1 第4条、第5条第1項若しくは第108条第3項の規定による期間の延長又は第5条第2項の規定による期日の変更を請求する者 2 特許証の再交付を請求する者 3 第
又は第2項の規定による手数料(出願審査の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る。)の納付については、認定事業者を国とみなして同条第5項の規定を適用する。
7項 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律 (1990年法律第30号)
第40条第3項
《3 第1項の規定は、手数料を納付すべき者…》
が国であるときは、適用しない。 ただし、登録情報処理機関に対し磁気ディスクへの記録を求める場合は、この限りでない。
の規定は、第4項に規定する特許権又は第5項に規定する特許を受ける権利について同条第1項の規定により手数料(政令で定めるものに限る。)を納付すべき者が当該 認定事業者 である場合に準用する。
8項 第4項に規定する特許権又は第5項に規定する特許を受ける権利が 認定事業者 と認定事業者以外の者との共有に係る場合における 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律
第40条第1項
《次に掲げる者は、政令で定める場合を除くほ…》
か、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。 1 第7条第1項の規定により磁気ディスクへの記録を求める者 2 第12条第1項の規定により同項第1号に掲げる事項について閲覧を請求す
の規定による手数料(前項の政令で定めるものに限る。)の納付については、認定事業者を国とみなして同条第4項の規定を適用する。
9項 第4項から前項までの規定は、 認定事業者 が国から譲渡を受けた 特定試験研究機関 における技術に関する研究成果に係る実用新案登録を受ける権利、認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る実用新案登録を受ける権利に基づいて取得した実用新案権及び認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る実用新案権であって当該認定事業者に属するものに準用する。この場合において、第4項中「 特許法 (1959年法律第121号)
第107条第2項
《2 前項の規定は、国に属する特許権には、…》
適用しない。
」とあるのは「実用新案法(1959年法律第123号)第31条第2項」と、第5項中「 特許法
第195条第4項
《4 前3項の規定は、これらの規定により手…》
数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。
」とあるのは「実用新案法第54条第3項」と、第6項中「 特許法
第195条第1項
《次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定め…》
る額の手数料を納付しなければならない。 1 第4条、第5条第1項若しくは第108条第3項の規定による期間の延長又は第5条第2項の規定による期日の変更を請求する者 2 特許証の再交付を請求する者 3 第
又は第2項」とあるのは「実用新案法第54条第1項又は第2項」と、「出願審査の請求の手数料」とあるのは「実用新案技術評価の請求の手数料」と、「同条第5項」とあるのは「同条第4項」と読み替えるものとする。
12条 (報告の徴収)
1項 文部科学大臣及び経済産業大臣は、 承認事業者 に対し、 承認計画 の実施状況について報告を求めることができる。
2項 特定試験研究機関 を所管する大臣は、この法律の施行に必要な限度において、 認定事業者 に対し、その業務の状況について報告を求めることができる。
13条 (罰則)
1項 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、210,000円以下の罰金に処する。
2項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。