被災者生活再建支援法《本則》

法番号:1998年法律第66号

略称: 被災者支援法

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1号 自然災害 :暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

2号 被災世帯 :政令で定める 自然災害 により被害を受けた世帯であって次に掲げるものをいう。

当該 自然災害 によりその居住する住宅が全壊した世帯

当該 自然災害 により、その居住する住宅が半壊し、又はその居住する住宅の敷地に被害が生じ、当該住宅の倒壊による危険を防止するため必要があること、当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額となることその他これらに準ずるやむを得ない事由により、当該住宅を解体し、又は解体されるに至った世帯

当該 自然災害 により火砕流等による被害が発生する危険な状況が継続することその他の事由により、その居住する住宅が居住不能のものとなり、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれる世帯

当該 自然災害 によりその居住する住宅が半壊し、基礎、基礎ぐい、壁、柱等であって構造耐力上主要な部分として政令で定めるものの補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる世帯(及びハに掲げる世帯を除く。次条において「 大規模半壊世帯 」という。

当該 自然災害 によりその居住する住宅が半壊し、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる世帯(ロからニまでに掲げる世帯を除く。

2章 被災者生活再建支援金の支給

3条 (被災者生活再建支援金の支給)

1項 都道府県は、当該都道府県の区域内において 被災世帯 となった世帯の世帯主に対し、当該世帯主の申請に基づき、被災者生活再建 支援金 以下「 支援金 」という。)の支給を行うものとする。

2項 被災世帯 被災世帯であって 自然災害 の発生時においてその属する者の数が一である世帯(第7項において「 単数世帯 」という。)を除く。以下この条において同じ。)のうち前条第2号イからニまでのいずれかに該当するものの世帯主に対する 支援金 の額は、1,010,000円( 大規模半壊世帯 にあっては、510,000円)に、当該被災世帯が次の各号に掲げる世帯であるときは、当該各号に定める額を加えた額とする。

1号 その居住する住宅を建設し、又は購入する世帯2,010,000円

2号 その居住する住宅を補修する世帯1,010,000円

3号 その居住する住宅( 公営住宅 法(1951年法律第193号)第2条第2号に規定する公営住宅(第5項第3号において「 公営住宅 」という。)を除く。)を賃借する世帯510,000円

3項 前項の規定にかかわらず、同項に規定する 被災世帯 が同1の 自然災害 により同項各号のうち二以上に該当するときの当該世帯の世帯主に対する 支援金 の額は、1,010,000円( 大規模半壊世帯 にあっては、510,000円)に当該世帯が該当する同項各号に定める額のうち最も高いものを加えた額とする。

4項 前2項の規定にかかわらず、前条第2号ハに該当する 被災世帯 であって政令で定める世帯の世帯主に対する 支援金 の額は、3,010,000円を超えない範囲内で政令で定める額とする。

5項 被災世帯 のうち前条第2号ホに該当するものの世帯主に対する 支援金 の額は、次の各号に掲げる世帯の区分に応じ、当該各号に定める額とする。

1号 その居住する住宅を建設し、又は購入する世帯1,010,000円

2号 その居住する住宅を補修する世帯510,000円

3号 その居住する住宅( 公営住宅 を除く。)を賃借する世帯260,000円

6項 前項の規定にかかわらず、同項に規定する 被災世帯 が同1の 自然災害 により同項各号のうち二以上に該当するときの当該世帯の世帯主に対する 支援金 の額は、当該世帯が該当する同項各号に定める額のうち最も高い額とする。

7項 単数世帯 の世帯主に対する 支援金 の額については、第2項から前項までの規定を準用する。この場合において、第2項、第3項及び第5項中「1,010,000円」とあるのは「760,000円」と、「510,000円」とあるのは「375,000円」と、第2項中「2,010,000円」とあるのは「1,510,000円」と、第4項中「3,010,000円」とあるのは「2,260,000円」と、第5項中「260,000円」とあるのは「187,500円」と読み替えるものとする。

4条 (支給事務の委託)

1項 都道府県は、議会の議決を経て、 支援金 の支給に関する事務の全部を 第6条第1項 《内閣総理大臣は、被災者の生活再建を支援す…》 ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する業務以下「支援業務」という。を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に1を限って、被災者生活再建支 に規定する支援法人に委託することができる。

2項 都道府県(当該都道府県が前項の規定により 支援金 の支給に関する事務の全部を 第6条第1項 《内閣総理大臣は、被災者の生活再建を支援す…》 ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する業務以下「支援業務」という。を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に1を限って、被災者生活再建支 に規定する支援法人に委託した場合にあっては、当該支援法人)は、支援金の支給に関する事務の一部を市町村に委託することができる。

5条 (政令への委任)

1項 支援金 の申請期間、支給方法その他支援金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。

3章 被災者生活再建支援法人

6条 (指定等)

1項 内閣総理大臣は、被災者の生活再建を支援することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する業務(以下「 支援業務 」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に1を限って、被災者生活再建 支援法人 以下「 支援法人 」という。)として指定することができる。

2項 内閣総理大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、総務大臣に協議するものとする。

3項 内閣総理大臣は、第1項の規定による指定をしたときは、 支援法人 の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

4項 支援法人 は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

5項 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

7条 (業務)

1項 支援法人 は、次に掲げる業務を行うものとする。

1号 第3条第1項 《都道府県は、当該都道府県の区域内において…》 被災世帯となった世帯の世帯主に対し、当該世帯主の申請に基づき、被災者生活再建支援金以下「支援金」という。の支給を行うものとする。 の規定により 支援金 を支給する都道府県( 第4条第1項 《都道府県は、議会の議決を経て、支援金の支…》 給に関する事務の全部を第6条第1項に規定する支援法人に委託することができる。 の規定により支援金の支給に関する事務の全部を 支援法人 に委託した都道府県を除く。)に対し、当該都道府県が支給する支援金の額に相当する額の交付を行うこと。

2号 第4条第1項 《都道府県は、議会の議決を経て、支援金の支…》 給に関する事務の全部を第6条第1項に規定する支援法人に委託することができる。 の規定により都道府県の委託を受けて 支援金 の支給を行うこと。

3号 前2号の業務に附帯する業務を行うこと。

8条 (費用の支弁)

1項 支援法人 は、 第4条第1項 《都道府県は、議会の議決を経て、支援金の支…》 給に関する事務の全部を第6条第1項に規定する支援法人に委託することができる。 の規定により都道府県の委託を受けて 支援金 の支給を行うときは、支援金の支給に要する費用の全額を支弁する。

9条 (基金)

1項 支援法人 は、 支援業務 を運営するための基金(以下この条において単に「基金」という。)を設けるものとする。

2項 都道府県は、 支援法人 に対し、基金に充てるために必要な資金を、相互扶助の観点を踏まえ、世帯数その他の地域の事情を考慮して、拠出するものとする。

3項 都道府県は、前項の規定によるもののほか、基金に充てるために必要があると認めるときは、 支援法人 に対し、必要な資金を拠出することができる。

10条 (運営委員会)

1項 支援法人 は、運営委員会を置くものとする。

2項 次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならない。

1号 次条第1項に規定する業務規程の作成及び変更

2号 第12条第1項 《支援法人は、毎事業年度、内閣府令で定める…》 ところにより、支援業務に関し事業計画書及び収支予算書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 に規定する事業計画書及び収支予算書の作成及び変更

3項 運営委員会は、前項に定めるもののほか、 支援業務 の運営に関する重要事項について、 支援法人 の代表者の諮問に応じて審議し、又は支援法人の代表者に意見を述べることができる。

4項 運営委員会の委員は、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する都道府県知事をもって充てるものとする。

11条 (業務規程の認可)

1項 支援法人 は、 支援業務 を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下この条において「 業務規程 」という。)を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2項 内閣総理大臣は、前項の認可をした 業務規程 支援業務 の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

3項 業務規程 に記載すべき事項は、内閣府令で定める。

12条 (事業計画等)

1項 支援法人 は、毎事業年度、内閣府令で定めるところにより、 支援業務 に関し事業計画書及び収支予算書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2項 支援法人 は、内閣府令で定めるところにより、毎事業年度終了後、 支援業務 に関し事業報告書及び収支決算書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。

13条 (区分経理)

1項 支援法人 は、 支援業務 に係る経理とその他の経理とを区分して整理しなければならない。

14条 (秘密保持義務)

1項 支援法人 の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、 第7条第2号 《業務 第7条 支援法人は、次に掲げる業務…》 を行うものとする。 1 第3条第1項の規定により支援金を支給する都道府県第4条第1項の規定により支援金の支給に関する事務の全部を支援法人に委託した都道府県を除く。に対し、当該都道府県が支給する支援金の の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

15条 (報告)

1項 内閣総理大臣は、 支援業務 の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、 支援法人 に対し、当該業務又は資産の状況に関し必要な報告をさせることができる。

16条 (監督命令)

1項 内閣総理大臣は、 支援業務 の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、 支援法人 に対し、支援業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

17条 (指定の取消し等)

1項 内閣総理大臣は、 支援法人 がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、 第6条第1項 《内閣総理大臣は、被災者の生活再建を支援す…》 ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する業務以下「支援業務」という。を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に1を限って、被災者生活再建支 指定 以下この条において「 指定 」という。)を取り消すことができる。

2項 第6条第2項 《2 内閣総理大臣は、前項の規定による指定…》 をしようとするときは、あらかじめ、総務大臣に協議するものとする。 の規定は、前項の規定により 指定 の取消しをしようとするときについて準用する。

3項 内閣総理大臣は、第1項の規定により 指定 を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

4章 国の補助等

18条 (国の補助)

1項 国は、 第7条第1号 《業務 第7条 支援法人は、次に掲げる業務…》 を行うものとする。 1 第3条第1項の規定により支援金を支給する都道府県第4条第1項の規定により支援金の支給に関する事務の全部を支援法人に委託した都道府県を除く。に対し、当該都道府県が支給する支援金の の規定により 支援法人 が交付する額及び同条第2号の規定により支援法人が支給する 支援金 の額の2分の1に相当する額を補助する。

19条 (地方債の特例)

1項 第9条第2項 《2 都道府県は、支援法人に対し、基金に充…》 てるために必要な資金を、相互扶助の観点を踏まえ、世帯数その他の地域の事情を考慮して、拠出するものとする。 の規定に基づく都道府県の 支援法人 に対する拠出に要する経費については、 地方財政法 1948年法律第109号第5条 《地方債の制限 地方公共団体の歳出は、地…》 方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。 ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもつてその財源とすることができる。 1 交通事業、ガス事業、水道事業その他地方公共団体の行う企業以下「 各号に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもってその財源とすることができる。

20条 (国の配慮)

1項 国は、 第9条第2項 《2 都道府県は、支援法人に対し、基金に充…》 てるために必要な資金を、相互扶助の観点を踏まえ、世帯数その他の地域の事情を考慮して、拠出するものとする。 及び第3項の規定に基づく都道府県の 支援法人 に対する拠出が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとする。

5章 雑則

20条の2 (譲渡等の禁止)

1項 支援金 の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

2項 支援金 として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。

21条 (公課の禁止)

1項 租税その他の公課は、 支援金 として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

22条 (政令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

6章 罰則

23条

1項 第14条 《秘密保持義務 支援法人の役員若しくは職…》 又はこれらの職にあった者は、第7条第2号の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

24条

1項 第15条 《報告 内閣総理大臣は、支援業務の適正な…》 実施を確保するため必要があると認めるときは、支援法人に対し、当該業務又は資産の状況に関し必要な報告をさせることができる。 の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、210,000円以下の罰金に処する。

25条

1項 支援法人 の代表者又は支援法人の代理人、使用人その他の従業者が、支援法人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、支援法人に対しても、同条の刑を科する。

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