産業技術力強化法《本則》

法番号:2000年法律第44号

略称: 産技法

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1条 (目的)

1項 この法律は、我が国の産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、産業技術研究法人、大学及び事業者の責務を明らかにするとともに、産業技術力の強化に関する施策の基本となる事項を定め、併せて産業技術力の強化を支援するための措置を講ずることにより、我が国産業の持続的な発展を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 産業技術力 」とは、産業活動において利用される技術に関する研究及び開発を行う能力並びにその成果の企業化を行う能力をいう。

2項 この法律において「 技術経営力 」とは、技術に関する研究及び開発の成果を経営において他の経営資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の事業内容を展望して研究及び開発を計画的に展開する能力をいう。

3項 この法律において「 産業技術研究法人 」とは、独立行政法人( 独立行政法人通則法 1999年法律第103号第2条第1項 《この法律において「独立行政法人」とは、国…》 民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ に規定する独立行政法人をいう。及び地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 2003年法律第118号第2条第1項 《この法律において「地方独立行政法人」とは…》 、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主 に規定する地方独立行政法人をいう。)であって、産業活動において利用される技術に関する研究及び開発並びにその成果の移転に関する業務を行うものをいう。

3条 (基本理念)

1項 産業技術力 の強化は、産業技術力が産業構造の変化、技術の進歩等の内外の経済的環境の変化に適確に対応して我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であることにかんがみ、我が国産業の発展を支えてきた技術の改良に係る産業技術の水準の維持及び向上を図りつつ、国、地方公共団体、 産業技術研究法人 、大学及び事業者の相互の密接な連携の下に、創造性のある研究及び開発を行うとともに、その成果の企業化を行う能力を強化することを基本として行われるものとする。

2項 技術経営力 の強化は、それが前項に規定する 産業技術力 の強化に資するものであることにかんがみ、事業者が研究及び開発を行うに当たり、自らの競争力の現状及び技術革新の動向を適確に把握するとともに、その将来の事業活動の在り方を展望することが重要であること、並びに現在の事業分野にかかわらず広く知見を探究し、これにより得られた知識を融合して活用することが重要であることを踏まえて、行われるものとする。

4条 (国の責務)

1項 国は、前条の 基本理念 以下「 基本理念 」という。)にのっとり、 産業技術力 の強化に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

2項 国の関係行政機関は、 産業技術力 の強化に関する施策の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

3項 国は、第1項に規定する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するに際しては、 技術経営力 の強化の促進の重要性を踏まえるものとする。

5条 (地方公共団体の責務)

1項 地方公共団体は、 基本理念 にのっとり、 産業技術力 の強化に関し、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

5条の2 (産業技術研究法人の責務)

1項 産業技術研究法人 は、 基本理念 にのっとり、創造性のある研究及び開発の実施並びに研究及び開発における事業者との連携並びに研究及び開発の成果の事業者への移転に自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項 産業技術研究法人 は、前項の研究及び開発の成果の事業者への移転に当たっては、成果の移転を受ける者の 産業技術力 を強化することの必要性及びその資力、当該成果を企業化する能力その他の事情を考慮しつつ、その成果の移転の対価について額の低廉化、金銭以外の財産での受領その他の柔軟な方法によることの必要性についても勘案し、行うよう努めるものとする。

6条 (大学の責務等)

1項 大学は、その活動が 産業技術力 の強化に資するものであることにかんがみ、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項 及び地方公共団体は、 産業技術力 の強化に関する施策で大学に係るものを策定し、及びこれを実施するに当たっては、研究者の自主性の尊重その他の大学における研究の特性に配慮しなければならない。

7条 (事業者の責務)

1項 事業者は、 基本理念 にのっとり、研究及び開発並びにその成果の企業化並びに 技術経営力 の強化に積極的に努めるものとする。

8条 (研究者等の確保、養成及び資質の向上)

1項 国は、研究者及び技術者の創造性が10分に発揮されることにより、 産業技術力 の強化が図られることにかんがみ、研究者及び技術者の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

9条 (研究開発施設の整備等)

1項 国は、 産業技術力 の強化の円滑な実施を図るため、研究及び開発を行うための施設及び設備の整備、研究材料の供給並びに技術に関する情報の流通の円滑化に必要な施策を講ずるものとする。

10条 (研究開発に係る資金の重点化等)

1項 国は、 産業技術力 の強化の効果的な実施を図るため、国の資金により行われる研究及び開発の適切な評価を行い、その結果を予算の配分へ反映させること等により、産業技術に関する研究及び開発に係る資金の重点化及び効率化の促進に必要な施策を講ずるものとする。

11条 (連携の強化)

1項 国は、国及び地方公共団体の試験研究機関、 産業技術研究法人 、大学並びに事業者が互いに補完することにより 産業技術力 の強化の効果的な実施が図られることにかんがみ、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

12条 (研究成果の移転の促進)

1項 国は、国及び地方公共団体の試験研究機関、 産業技術研究法人 並びに大学における研究及び開発の成果が事業活動において活用されることが 産業技術力 の強化に重要であることにかんがみ、当該成果の事業者への移転の促進に必要な施策を講ずるものとする。

13条 (技術経営力の強化のための施策)

1項 国は、 技術経営力 の強化が 産業技術力 の強化に重要であることにかんがみ、事業者が広く技術革新の動向を把握する上で有用な将来の技術に関する見通しの提示、技術経営力の強化に寄与する人材の養成及び資質の向上、事業者が研究及び開発の成果を事業活動において効率的かつ円滑に活用することができる環境の整備その他技術経営力の強化の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

14条 (受託研究等に係る資金の受入れ等の円滑化)

1項 地方公共団体は、その設置する公立学校( 学校教育法 1947年法律第26号第2条第2項 《この法律で、国立学校とは、国の設置する学…》 校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。 に規定する公立学校をいう。)において当該地方公共団体以外の者から奨学を目的とする寄附金を受けて行う研究若しくは委託を受けて行う研究又は当該地方公共団体以外の者と共同して行う研究の円滑な実施に資するため、地方公共団体以外の者から提供されるこれらの研究に係る資金の受入れ及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。

15条 (試験研究機関等の研究成果を活用する事業者への支援)

1項 国は、 産業技術力 の強化を図るため、国の試験研究機関の研究者がその研究成果を活用する事業を実施する営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体(次項において「 研究成果利用会社等 」という。)の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ねることが当該研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することに配慮しつつ、当該研究成果を活用する事業を実施する事業者に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2項 地方公共団体は、 産業技術力 の強化を図るため、公立大学等( 学校教育法 第1条 《 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、…》 中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。 に規定する大学及び高等専門学校であって地方公共団体が設置するものをいう。及び地方公共団体の試験研究機関の研究者が 研究成果利用会社等 の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ねることが当該研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することに配慮しつつ、当該研究成果を活用する事業を実施する事業者に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

16条 (特定試験研究機関に係る技術移転事業を実施する者の国有施設の無償使用)

1項 国は、 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律 1998年法律第52号第11条第1項 《国の試験研究機関であって政令で定めるもの…》 以下「特定試験研究機関」という。における技術に関する研究成果について、当該研究成果に係る国有の特許権若しくは特許を受ける権利又は国有の実用新案権若しくは実用新案登録を受ける権利の譲渡を受け、当該特許権 の認定を受けた者が同項の特定試験研究機関の施設を同項に規定する事業の用に供する場合であって、 産業技術力 の強化を図るため特に必要であると認めるときは、当該認定を受けた者に対し、当該特定試験研究機関の施設を無償で使用させることができる。

16条の2 (国有の特許権又は実用新案権の取扱い)

1項 国は、政令で定めるところにより、国有の特許権又は実用新案権のうち、これらに係る特許発明又は登録実用新案が政令で定める期間以上継続して実施されていないものについて、その 産業技術力 の強化を支援することが特に必要な者として政令で定める者に対し通常実施権の許諾を行うときは、その許諾の対価を時価よりも低く定めることができる。

17条 (国が委託した研究及び開発の成果等に係る特許権等の取扱い)

1項 国は、技術に関する研究開発活動を活性化し、及びその成果を事業活動において効率的に活用することを促進するため、国が委託した技術に関する研究及び開発又は国が請け負わせたソフトウェアの開発の成果(以下この条において「 特定研究開発等成果 」という。)に係る特許権その他の政令で定める権利(以下この条において「 特許権等 」という。)について、次の各号のいずれにも該当する場合には、その 特許権等 を受託者又は請負者(以下この条において「 受託者等 」という。)から譲り受けないことができる。

1号 特定研究開発等成果 が得られた場合には、遅滞なく、国にその旨を報告することを 受託者等 が約すること。

2号 国が公共の利益のために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求める場合には、無償で当該 特許権等 を利用する権利を国に許諾することを 受託者等 が約すること。

3号 当該 特許権等 を相当期間活用していないと認められ、かつ、当該特許権等を相当期間活用していないことについて正当な理由が認められない場合において、国が当該特許権等の活用を促進するために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求めるときは、当該特許権等を利用する権利を第三者に許諾することを 受託者等 が約すること。

4号 当該 特許権等 の移転又は当該特許権等を利用する権利であって政令で定めるものの設定若しくは移転の承諾をしようとするときは、合併又は分割により移転する場合及び当該特許権等の活用に支障を及ぼすおそれがない場合として政令で定める場合を除き、あらかじめ国の承認を受けることを 受託者等 が約すること。

2項 前項の規定は、国が資金を提供して他の法人に技術に関する研究及び開発を行わせ、かつ、当該法人がその研究及び開発の全部又は一部を委託する場合における当該法人と当該研究及び開発の受託者との関係及び国が資金を提供して他の法人にソフトウェアの開発を行わせ、かつ、当該法人がその開発の全部又は一部を他の者に請け負わせる場合における当該法人と当該開発の請負者との関係に準用する。

3項 前項の法人は、同項において準用する第1項第2号又は第3号の許諾を求めようとするときは、国の要請に応じて行うものとする。

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