1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、国、特殊法人等及び地方公共団体が行う公共工事の入札及び契約について、その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置、適正な金額での契約の締結等のための措置及び施工体制の適正化の措置を講じ、併せて適正化指針の策定等の制度を整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ることを目的とする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 特殊法人等 」とは、法律により直接に設立された法人若しくは特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人( 総務省設置法 (1999年法律第91号)
第4条第1項第8号
《総務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 恩給制度に関する企画及び立案に関すること。 2 恩給を受ける権利の裁定並びに恩給の支給及び負担に関すること。 3 行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関す
の規定の適用を受けない法人を除く。)、特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人又は独立行政法人( 独立行政法人通則法 (1999年法律第103号)
第2条第1項
《この法律において「独立行政法人」とは、国…》
民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ
に規定する独立行政法人をいう。
第6条
《法人格 独立行政法人は、法人とする。…》
において同じ。)のうち、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する法人であって政令で定めるものをいう。
1号 資本金の2分の一以上が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であること。
2号 その設立の目的を実現し、又はその主たる業務を遂行するため、計画的かつ継続的に建設工事( 建設業法 (1949年法律第100号)
第2条第1項
《この法律において「建設工事」とは、土木建…》
築に関する工事で別表第1の上欄に掲げるものをいう。
に規定する建設工事をいう。次項において同じ。)の発注を行う法人であること。
2項 この法律において「 公共工事 」とは、国、 特殊法人等 又は地方公共団体が発注する建設工事をいう。
3項 この法律において「 建設業 」とは、 建設業 法第2条第2項に規定する建設業をいう。
4項 この法律において「 各省各庁の長 」とは、財政法(1947年法律第34号)第20条第2項に規定する 各省各庁の長 をいう。
3条 (公共工事の入札及び契約の適正化の基本となるべき事項)
1項 公共工事 の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。
1号 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。
2号 入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。
3号 入札及び契約からの談合その他の不正行為の排除が徹底されること。
4号 その請負代金の額によっては 公共工事 の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されること。
5号 契約された 公共工事 の適正な施工が確保されること。
2章 情報の公表
4条 (国による情報の公表)
1項 各省各庁の長 は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の 公共工事 の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。
2項 各省各庁の長 は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。
5条
1項 各省各庁の長 は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。
1号 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他の政令で定める 公共工事 の入札及び契約の過程に関する事項
2号 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める 公共工事 の契約の内容に関する事項
6条 (特殊法人等による情報の公表)
1項 特殊法人等 の代表者(当該特殊法人等が独立行政法人である場合にあっては、その長。以下同じ。)は、前2条の規定に準じて、 公共工事 の入札及び契約に関する情報を公表するため必要な措置を講じなければならない。
7条 (地方公共団体による情報の公表)
1項 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の 公共工事 の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。
2項 地方公共団体の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。
8条
1項 地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。
1号 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号又は名称その他の政令で定める 公共工事 の入札及び契約の過程に関する事項
2号 契約の相手方の商号又は名称、契約金額その他の政令で定める 公共工事 の契約の内容に関する事項
9条
1項 前2条の規定は、地方公共団体が、前2条に規定する事項以外の 公共工事 の入札及び契約に関する情報の公表に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。
3章 不正行為等に対する措置
10条 (公正取引委員会への通知)
1項 各省各庁の長 、 特殊法人等 の代表者又は地方公共団体の長(以下「 各省各庁の長等 」という。)は、それぞれ国、特殊法人等又は地方公共団体(以下「 国等 」という。)が発注する 公共工事 の入札及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(1947年法律第54号)第3条又は
第8条第1号
《第8条 地方公共団体の長は、政令で定める…》
ところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。 1 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名
の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。
11条 (国土交通大臣又は都道府県知事への通知)
1項 各省各庁の長 等は、それぞれ 国等 が発注する 公共工事 の入札及び契約に関し、当該公共工事の受注者である 建設業 者( 建設業法
第2条第3項
《3 この法律において「建設業者」とは、第…》
3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
に規定する建設業者をいう。次条において同じ。)に次の各号のいずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときは、当該建設業者が建設業の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知しなければならない。
1号 建設業 法第8条第9号、第11号(同条第9号に係る部分に限る。)、第12号(同条第9号に係る部分に限る。)、第13号(同条第9号に係る部分に限る。)若しくは第14号(これらの規定を同法第17条において準用する場合を含む。)又は第28条第1項第3号、第4号(同法第22条第1項に係る部分に限る。)若しくは第6号から第8号までのいずれかに該当すること。
2号 第15条第2項
《2 公共工事の受注者前項の規定により読み…》
替えて適用される建設業法第24条の8第1項の規定により同項に規定する施工体制台帳以下「施工体制台帳」という。を作成しなければならないこととされているものに限る。は、当該公共工事に関する工事現場の施工体
若しくは第3項、同条第1項の規定により読み替えて適用される 建設業 法第24条の8第1項、第2項若しくは第4項又は同法第19条の3第2項、
第19条
《適正化指針に基づく責務 各省各庁の長等…》
は、適正化指針に定めるところに従い、公共工事の入札及び契約の適正化を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
の五、
第20条第2項
《2 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共…》
団体に対し、適正化指針に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。
若しくは第6項、第26条第1項から第3項まで、第26条の二若しくは第26条の3第7項の規定に違反したこと。
4章 適正な金額での契約の締結等のための措置
12条 (入札金額の内訳の提出)
1項 建設業 者は、 公共工事 の入札に係る申込みの際に、入札金額の内訳(材料費、労務費及び当該公共工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるものその他当該公共工事の施工のために必要な経費の内訳をいう。)を記載した書類を提出しなければならない。
13条 (各省各庁の長等の責務)
1項 各省各庁の長 等は、その請負代金の額によっては 公共工事 の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止し、及び不正行為を排除するため、前条の規定により提出された書類の内容の確認その他の必要な措置を講じなければならない。
2項 各省各庁の長 等は、 公共工事 について、主要な資材の供給の著しい減少、資材の価格の高騰その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生した場合において、公共工事の受注者が請負契約の内容の変更について協議を申し出たときは、誠実に当該協議に応じなければならない。
5章 施工体制の適正化
14条 (一括下請負の禁止)
1項 公共工事 については、 建設業 法第22条第3項の規定は、適用しない。
15条 (施工体制台帳の作成及び提出等)
1項 公共工事 についての 建設業 法第24条の8第1項、第2項及び第4項の規定の適用については、これらの規定中「特定建設業者」とあるのは「建設業者」と、同条第1項中「締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になる」とあるのは「下請契約を締結した」と、同条第4項中「見やすい場所」とあるのは「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」とする。
2項 公共工事 の受注者(前項の規定により読み替えて適用される 建設業 法第24条の8第1項の規定により同項に規定する 施工体制台帳 (以下「 施工体制台帳 」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る。)は、当該公共工事に関する工事現場の施工体制を発注者が情報通信技術を利用する方法により確認することができる措置として国土交通省令で定めるものを講じている場合を除き、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。この場合においては、同条第3項の規定は、適用しない。
3項 前項の 公共工事 の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(
第17条第1項
《公共工事を発注した国等に係る各省各庁の長…》
等は、施工技術者の設置の状況その他の工事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検その他の必要な措置を講じなければならない。
において「 施工技術者 」という。)の設置の状況その他の工事現場の施工体制が 施工体制台帳 の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。
16条 (公共工事の適正な施工の確保のために必要な措置)
1項 公共工事 についての 建設業 法第25条の28の規定の適用については、同条第1項及び第2項中「特定建設業者」とあるのは、「建設業者」とする。
17条 (各省各庁の長等の責務)
1項 公共工事 を発注した 国等 に係る 各省各庁の長 等は、 施工技術者 の設置の状況その他の工事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が 施工体制台帳 の記載に合致しているかどうかの点検その他の必要な措置を講じなければならない。
2項 前項に規定するもののほか、同項の 各省各庁の長 等は、前条の規定により読み替えて適用する 建設業 法第25条の28第1項及び第2項に規定する措置が適確に講じられるよう、これらの規定に規定する建設業者に対し、必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
6章 適正化指針
18条 (適正化指針の策定等)
1項 国は、 各省各庁の長 等による 公共工事 の入札及び契約の適正化を図るための措置(第2章、第3章、
第13条
《各省各庁の長等の責務 各省各庁の長等は…》
、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止し、及び不正行為を排除するため、前条の規定により提出された書類の内容の確認その他の必要な措置を講じなければならない。
及び前条に規定するものを除く。)に関する指針(以下「 適正化指針 」という。)を定めなければならない。
2項 適正化指針 には、
第3条
《公共工事の入札及び契約の適正化の基本とな…》
るべき事項 公共工事の入札及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。 1 入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性が確保されること。 2 入札に参加しようとし
各号に掲げるところに従って、次に掲げる事項を定めるものとする。
1号 入札及び契約の過程並びに契約の内容に関する情報( 各省各庁の長 又は 特殊法人等 の代表者による措置にあっては
第4条
《国による情報の公表 各省各庁の長は、政…》
令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。 2 各省各庁の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるとこ
及び
第5条
《 各省各庁の長は、政令で定めるところによ…》
り、次に掲げる事項を公表しなければならない。 1 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商
、地方公共団体の長による措置にあっては
第7条
《地方公共団体による情報の公表 地方公共…》
団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。 2 地方公共団体の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは
及び
第8条
《 地方公共団体の長は、政令で定めるところ…》
により、次に掲げる事項を公表しなければならない。 1 入札者の商号又は名称及び入札金額、落札者の商号又は名称及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者
に規定するものを除く。)の公表に関すること。
2号 入札及び契約の過程並びに契約の内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切に反映する方策に関すること。
3号 入札及び契約の過程に関する苦情を適切に処理する方策に関すること。
4号 公正な競争を促進し、及びその請負代金の額によっては 公共工事 の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止するための入札及び契約の方法の改善に関すること。
5号 公共工事 の施工に必要な工期の確保及び地域における公共工事の施工の時期の平準化を図るための方策に関すること。
6号 将来におけるより適切な入札及び契約のための 公共工事 の施工状況の評価の方策に関すること。
7号 前項に規定する措置に関する事務を適切に行うために必要な体制の整備に関すること。
8号 前各号に掲げるもののほか、入札及び契約の適正化を図るため必要な措置に関すること。
3項 適正化指針 の策定に当たっては、 特殊法人等 及び地方公共団体の自主性に配慮しなければならない。
4項 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、あらかじめ 各省各庁の長 及び 特殊法人等 を所管する大臣に協議した上、 適正化指針 の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5項 国土交通大臣は、 適正化指針 の案の作成に先立って、中央 建設業 審議会の意見を聴かなければならない。
6項 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第4項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、 適正化指針 を公表しなければならない。
7項 第3項から前項までの規定は、 適正化指針 の変更について準用する。
19条 (適正化指針に基づく責務)
1項 各省各庁の長 等は、 適正化指針 に定めるところに従い、 公共工事 の入札及び契約の適正化を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
20条 (措置の状況の公表)
1項 国土交通大臣及び財務大臣は、 各省各庁の長 又は 特殊法人等 を所管する大臣に対し、当該各省各庁の長又は当該大臣が所管する特殊法人等が 適正化指針 に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。
2項 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、 適正化指針 に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。
3項 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、毎年度、前2項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
21条 (要請等)
1項 国土交通大臣及び財務大臣は、 各省各庁の長 又は 特殊法人等 を所管する大臣に対し、 公共工事 の入札及び契約の適正化を促進するため 適正化指針 に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。
2項 国土交通大臣及び総務大臣は、地方公共団体に対し、 公共工事 の入札及び契約の適正化を促進するため 適正化指針 に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。
3項 第1項の規定による要請をした場合において、国土交通大臣及び財務大臣は、前条第1項の規定による報告を踏まえ、 適正化指針 に照らして特に必要があると認められる措置の的確な実施のために必要があると認めるときは、 各省各庁の長 又は 特殊法人等 を所管する大臣に対し、必要な勧告をすることができる。
4項 第2項の規定による要請をした場合において、国土交通大臣及び総務大臣は、前条第2項の規定による報告を踏まえ、 適正化指針 に照らして特に必要があると認められる措置の的確な実施のために必要があると認めるときは、地方公共団体に対し、必要な勧告、助言又は援助をすることができる。
7章 国による情報の収集、整理及び提供等
22条 (国による情報の収集、整理及び提供)
1項 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、第2章の規定により公表された情報その他その普及が 公共工事 の入札及び契約の適正化の促進に資することとなる情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。
23条 (関係法令等に関する知識の習得等)
1項 国、 特殊法人等 及び地方公共団体は、それぞれその職員に対し、 公共工事 の入札及び契約が適正に行われるよう、関係法令及び所管分野における公共工事の施工技術に関する知識を習得させるための教育及び研修その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2項 国土交通大臣及び都道府県知事は、 建設業 を営む者に対し、 公共工事 の入札及び契約が適正に行われるよう、関係法令に関する知識の普及その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。