個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律《本則》

法番号:2001年法律第112号

略称: 個別労働関係紛争解決促進法

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1条 (目的)

1項 この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「 個別労働関係紛争 」という。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。

2条 (紛争の自主的解決)

1項 個別労働関係紛争 が生じたときは、当該個別労働関係紛争の当事者は、早期に、かつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めなければならない。

3条 (労働者、事業主等に対する情報提供等)

1項 都道府県労働局長は、 個別労働関係紛争 を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対し、労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての情報の提供、相談その他の援助を行うものとする。

4条 (当事者に対する助言及び指導)

1項 都道府県労働局長は、 個別労働関係紛争 労働関係調整法 1946年法律第25号第6条 《 この法律において労働争議とは、労働関係…》 の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生してゐる状態又は発生する虞がある状態をいふ。 に規定する労働争議に当たる紛争及び 行政執行法人の労働関係に関する法律 1948年法律第257号第26条第1項 《委員会は、行政執行法人とその職員との間に…》 発生した紛争について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は委員会の決議により、あつせんを行うことができる。 に規定する紛争を除く。)に関し、当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

2項 都道府県労働局長は、前項に規定する助言又は指導をするため必要があると認めるときは、広く産業社会の実情に通じ、かつ、労働問題に関し専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。

3項 事業主は、労働者が第1項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

5条 (あっせんの委任)

1項 都道府県労働局長は、前条第1項に規定する 個別労働関係紛争 労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「 紛争当事者 」という。)の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。

2項 前条第3項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。

6条 (委員会の設置)

1項 都道府県労働局に、紛争調整 委員会 以下「 委員会 」という。)を置く。

2項 委員会 は、前条第1項のあっせんを行う機関とする。

7条 (委員会の組織)

1項 委員会 は、3人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。

2項 委員は、学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。

3項 委員会 に会長を置き、委員の互選により選任する。

4項 会長は会務を総理する。

5項 会長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者がその職務を代理する。

8条 (委員の任期等)

1項 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2項 委員は、再任されることができる。

3項 委員は、後任の委員が任命されるまでその職務を行う。

4項 委員は、非常勤とする。

9条 (委員の欠格条項)

1項 次の各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。

1号 破産者で復権を得ないもの

2号 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

2項 委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。

10条 (委員の解任)

1項 厚生労働大臣は、委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その委員を解任することができる。

1号 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

2号 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。

11条 (会議及び議決)

1項 委員会 の会議は、会長が招集する。

2項 委員会 は、会長又は 第7条第5項 《5 会長に事故があるときは、委員のうちか…》 らあらかじめ互選された者がその職務を代理する。 の規定により会長を代理する者のほか、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3項 委員会 の議事は、出席者の過半数をもって決する。可否同数のときは、会長が決する。

12条 (あっせん)

1項 委員会 によるあっせんは、委員のうちから会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う。

2項 あっせん委員は、 紛争当事者 間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。

13条

1項 あっせん委員は、 紛争当事者 から意見を聴取するほか、必要に応じ、参考人から意見を聴取し、又はこれらの者から意見書の提出を求め、事件の解決に必要なあっせん案を作成し、これを紛争当事者に提示することができる。

2項 前項のあっせん案の作成は、あっせん委員の全員一致をもって行うものとする。

14条

1項 あっせん委員は、 紛争当事者 からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該 委員会 が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。

15条

1項 あっせん委員は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

16条 (時効の完成猶予)

1項 前条の規定によりあっせんが打ち切られた場合において、当該あっせんの申請をした者がその旨の通知を受けた日から30日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、あっせんの申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。

17条 (資料提供の要求等)

1項 委員会 は、当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

18条 (あっせん状況の報告)

1項 委員会 は、都道府県労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。

19条 (厚生労働省令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、 委員会 及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

20条 (地方公共団体の施策等)

1項 地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、 個別労働関係紛争 を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対する情報の提供、相談、あっせんその他の必要な施策を推進するように努めるものとする。

2項 国は、地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

3項 第1項の施策として、 地方自治法 1947年法律第67号第180条の2 《 普通地方公共団体の長は、その権限に属す…》 る事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体の委員会、委員会の委員長教育委員会にあつては、教育長、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執 の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働 委員会 が行う場合には、中央労働委員会は、当該都道府県労働委員会に対し、必要な助言又は指導をすることができる。

21条 (船員に関する特例)

1項 船員職業安定法 1948年法律第130号第6条第1項 《この法律で「船員」とは、船員法1947年…》 法律第100号による船員及び同法による船員でない者で日本船舶以外の船舶に乗り組むものをいう。 に規定する船員及び同項に規定する船員になろうとする者に関しては、 第3条 《船員選択の自由 船舶所有者船舶共有の場…》 合には船舶管理人を、船舶貸借の場合には船舶借入人を、船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人以外の者が船員を使用する場合にはその者をいう。以下同じ。は、船員として雇用する者を自由に選択することができる。 第4条第1項 《何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身…》 分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、部員職業補導等について、差別的取扱を受けることがない。 但し、労働組合法の規定によつて、船舶所有者又はその団体と労働組合との間 及び第2項並びに 第5条第1項 《政府は、第1条の目的を達成するため、次の…》 業務を行う。 1 海上労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整を図ること及びその労働力を最も有効に発揮させるために必要な計画を樹立すること。 2 政府以外の者の行う船員職業紹介事業、船員の募集、船員労務供 中「都道府県労働局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、同項中「紛争調整 委員会 」とあるのは「 第21条第3項 《3 地方運輸局長運輸監理部長を含む。は、…》 第1項の規定により読み替えられた第5条第1項の規定により指名するあっせん員にあっせんを行わせるため、2年ごとに、学識経験を有する者のうちからあっせん員候補者3人以上を委嘱し、あっせん員候補者名簿を作成 のあっせん員候補者名簿に記載されている者のうちから指名するあっせん員」とする。

2項 前項の規定により読み替えられた 第5条第1項 《都道府県労働局長は、前条第1項に規定する…》 個別労働関係紛争労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。について、当該個別労働関係紛争の当事者以下「紛争当事者」という。の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関 の規定により指名を受けてあっせん員が行うあっせんについては、 第6条 《委員会の設置 都道府県労働局に、紛争調…》 整委員会以下「委員会」という。を置く。 2 委員会は、前条第1項のあっせんを行う機関とする。 から 第19条 《厚生労働省令への委任 この法律に定める…》 もののほか、委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 までの規定は、適用しない。

3項 地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)は、第1項の規定により読み替えられた 第5条第1項 《都道府県労働局長は、前条第1項に規定する…》 個別労働関係紛争労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。について、当該個別労働関係紛争の当事者以下「紛争当事者」という。の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関 の規定により指名するあっせん員にあっせんを行わせるため、2年ごとに、学識経験を有する者のうちからあっせん員候補者3人以上を委嘱し、あっせん員候補者名簿を作成しておかなければならない。

4項 第9条 《委員の欠格条項 次の各号のいずれかに該…》 当する者は、委員となることができない。 1 破産者で復権を得ないもの 2 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 2 委員が前項各号の 及び 第12条 《あっせん 委員会によるあっせんは、委員…》 のうちから会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う。 2 あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。 から 第19条 《厚生労働省令への委任 この法律に定める…》 もののほか、委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 までの規定は、第2項のあっせんについて準用する。この場合において、 第9条第1項 《次の各号のいずれかに該当する者は、委員と…》 なることができない。 1 破産者で復権を得ないもの 2 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 中「委員」とあるのは「あっせん員候補者」と、同条第2項中「委員」とあるのは「あっせん員又はあっせん員候補者」と、「当然失職する」とあるのは「その地位を失う」と、 第12条 《あっせん 委員会によるあっせんは、委員…》 のうちから会長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う。 2 あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。 から 第15条 《 あっせん委員は、あっせんに係る紛争につ…》 いて、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。 までの規定中「あっせん委員」とあり、並びに 第12条第1項 《委員会によるあっせんは、委員のうちから会…》 長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う。第18条 《あっせん状況の報告 委員会は、都道府県…》 労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。 及び 第19条 《厚生労働省令への委任 この法律に定める…》 もののほか、委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 中「 委員会 」とあるのは「あっせん員」と、 第12条第1項 《委員会によるあっせんは、委員のうちから会…》 長が事件ごとに指名する3人のあっせん委員によって行う。 中「委員の」とあるのは「あっせん員候補者名簿に記載されている者の」と、「会長」とあるのは「当該あっせん員候補者名簿を作成した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、 第14条 《 あっせん委員は、紛争当事者からの申立て…》 に基づき必要があると認めるときは、当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くも 中「当該委員会が置かれる都道府県労働局」とあるのは「当該あっせん員を指名した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)が置かれる地方運輸局(運輸監理部を含む。)」と、 第17条 《資料提供の要求等 委員会は、当該委員会…》 に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。 中「委員会は」とあるのは「あっせん員は」と、「当該委員会に係属している」とあるのは「当該あっせん員が取り扱っている」と、 第18条 《あっせん状況の報告 委員会は、都道府県…》 労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。 中「都道府県労働局長」とあるのは「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、同条及び 第19条 《厚生労働省令への委任 この法律に定める…》 もののほか、委員会及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 中「厚生労働省令」とあるのは「国土交通省令」と読み替えるものとする。

5項 第1項の規定により読み替えられた 第3条 《労働者、事業主等に対する情報提供等 都…》 道府県労働局長は、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者又は事業主に対し、労働関係に関する事項並びに労働者の募集及び採用に関する事項についての第4条第1項 《都道府県労働局長は、個別労働関係紛争労働…》 関係調整法1946年法律第25号第6条に規定する労働争議に当たる紛争及び行政執行法人の労働関係に関する法律1948年法律第257号第26条第1項に規定する紛争を除く。に関し、当該個別労働関係紛争の当事 及び第2項並びに 第5条第1項 《都道府県労働局長は、前条第1項に規定する…》 個別労働関係紛争労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。について、当該個別労働関係紛争の当事者以下「紛争当事者」という。の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関 並びに前項の規定により読み替えて準用される 第18条 《あっせん状況の報告 委員会は、都道府県…》 労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。 に規定する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の権限は、国土交通省令で定めるところにより、運輸支局長又は地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所の長に委任することができる。

22条 (適用除外)

1項 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。ただし、 行政執行法人の労働関係に関する法律 第2条第2号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 行政執行法人 独立行政法人通則法1999年法律第103号第2条第4項に規定する行政執行法人をいう。 2 職員 行政執行法人に勤務する一般職に属 の職員、 地方公営企業法 1952年法律第292号第15条第1項 《管理者の権限に属する事務の執行を補助する…》 職員以下「企業職員」という。は、管理者が任免する。 但し、当該地方公共団体の規則で定める主要な職員を任免する場合においては、あらかじめ、当該地方公共団体の長の同意を得なければならない。 の企業職員、 地方独立行政法人法 2003年法律第118号第47条 《役員及び職員の身分 特定地方独立行政法…》 人の役員及び職員は、地方公務員とする。 の職員及び 地方公務員法 1950年法律第261号第57条 《特例 職員のうち、公立学校学校教育法1…》 947年法律第26号第1条に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律2006年法律第77号第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園であつて地方公共団体の設 に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって 地方公営企業等の労働関係に関する法律 1952年法律第289号第3条第4号 《定義 第3条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 地方公営企業 次に掲げる事業これに附帯する事業を含む。を行う地方公共団体が経営する企業をいう。 イ 鉄道事業 ロ 軌道事業 ハ 自動車運送事業 の職員以外のものの勤務条件に関する事項についての紛争については、この限りでない。

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