配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律《本則》

法番号:2001年法律第31号

略称: 配偶者暴力防止法・DV防止法

附則 >  

前文 我が国においては、 日本国憲法 に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも10分に行われてこなかった。また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。ここに、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備することにより、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、この法律を制定する。


1章 総則

1条 (定義)

1項 この法律において「 配偶者からの暴力 」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(以下この項及び 第28条の2 《この法律の準用 第2条及び第1章の2か…》 ら前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。をする関係にある相手からの暴力当該関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、当該関係に において「 身体に対する暴力等 」と総称する。)をいい、配偶者からの 身体に対する暴力等 を受けた後に、その者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含むものとする。

2項 この法律において「 被害者 」とは、 配偶者からの暴力 を受けた者をいう。

3項 この法律にいう「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、「離婚」には、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚したと同様の事情に入ることを含むものとする。

2条 (国及び地方公共団体の責務)

1項 及び地方公共団体は、 配偶者からの暴力 を防止するとともに、 被害者 の保護(被害者の自立を支援することを含む。以下同じ。)を図る責務を有する。

1章の2 基本方針及び都道府県基本計画等

2条の2 (基本方針)

1項 内閣総理大臣、国家公安委員会、法務大臣及び厚生労働大臣(以下この条及び次条第5項において「 主務大臣 」という。)は、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策に関する基本的な方針(以下この条並びに次条第1項及び第3項において「基本方針」という。)を定めなければならない。

2項 基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第1項の都道府県基本計画及び同条第3項の市町村基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。

1号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護に関する基本的な事項

2号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策の内容に関する事項

3号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策を実施するために必要な国、地方公共団体及び民間の団体の連携及び協力に関する事項

4号 前3号に掲げるもののほか、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策に関する重要事項

3項 主務大臣 は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4項 主務大臣 は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

2条の3 (都道府県基本計画等)

1項 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「 都道府県基本計画 」という。)を定めなければならない。

2項 都道府県基本計画 においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

1号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護に関する基本的な方針

2号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策の実施内容に関する事項

3号 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策を実施するために必要な当該都道府県、関係地方公共団体及び民間の団体の連携及び協力に関する事項

4号 前3号に掲げるもののほか、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策の実施に関する重要事項

3項 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本方針に即し、かつ、 都道府県基本計画 を勘案して、当該市町村における 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「 市町村基本計画 」という。)を定めるよう努めなければならない。

4項 都道府県又は市町村は、 都道府県基本計画 又は 市町村基本計画 を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5項 主務大臣 は、都道府県又は市町村に対し、 都道府県基本計画 又は 市町村基本計画 の作成のために必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。

2章 配偶者暴力相談支援センター等

3条 (配偶者暴力相談支援センター)

1項 都道府県は、当該都道府県が設置する女性相談支援センターその他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。

2項 市町村は、当該市町村が設置する適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするよう努めるものとする。

3項 配偶者暴力相談支援センターは、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする。

1号 被害者 に関する各般の問題について、相談に応ずること又は女性相談支援員若しくは相談を行う機関を紹介すること。

2号 被害者 の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導その他の必要な指導を行うこと。

3号 被害者 被害者がその家族を同伴する場合にあっては、被害者及びその同伴する家族。次号、第6号、 第5条 《女性自立支援施設における保護 都道府県…》 は、女性自立支援施設において被害者の保護を行うことができる。第8条 《警察官による被害の防止 警察官は、通報…》 等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、警察法1954年法律第162号、警察官職務執行法1948年法律第136号その他の法令の定めるところにより、暴力の制止、被害者の保護その他の配偶者か の三及び 第9条 《被害者の保護のための関係機関の連携協力 …》 配偶者暴力相談支援センター、都道府県警察、福祉事務所、児童相談所その他の都道府県又は市町村の関係機関その他の関係機関は、被害者の保護を行うに当たっては、その適切な保護が行われるよう、相互に連携を図り において同じ。)の緊急時における安全の確保及び1時保護を行うこと。

4号 被害者 が自立して生活することを促進するため、就業の促進、住宅の確保、援護等に関する制度の利用等について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。

5号 第4章に定める保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡その他の援助を行うこと。

6号 被害者 を居住させ保護する施設の利用について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。

4項 前項第3号の1時保護は、女性相談支援センターが、自ら行い、又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとする。

5項 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、その委託を受けた業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

6項 配偶者暴力相談支援センターは、その業務を行うに当たっては、必要に応じ、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護を図るための活動を行う民間の団体との連携に努めるものとする。

4条 (女性相談支援員による相談等)

1項 女性相談支援員は、 被害者 の相談に応じ、必要な援助を行うことができる。

5条 (女性自立支援施設における保護)

1項 都道府県は、女性自立支援施設において 被害者 の保護を行うことができる。

5条の2 (協議会)

1項 都道府県は、単独で又は共同して、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護を図るため、関係機関、関係団体、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関連する職務に従事する者その他の関係者(第5項において「 関係機関等 」という。)により構成される 協議会 以下「 協議会 」という。)を組織するよう努めなければならない。

2項 市町村は、単独で又は共同して、 協議会 を組織することができる。

3項 協議会 は、 被害者 に関する情報その他被害者の保護を図るために必要な情報の交換を行うとともに、被害者に対する支援の内容に関する協議を行うものとする。

4項 協議会 が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

5項 協議会 は、第3項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるときは、 関係機関等 に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。

5条の3 (秘密保持義務)

1項 協議会 の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

5条の4 (協議会の定める事項)

1項 前2条に定めるもののほか、 協議会 の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

3章 被害者の保護

6条 (配偶者からの暴力の発見者による通報等)

1項 配偶者からの暴力 配偶者又は配偶者であった者からの身体に対する暴力に限る。以下この章において同じ。)を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。

2項 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、 配偶者からの暴力 によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において、その者の意思を尊重するよう努めるものとする。

3項 刑法 1907年法律第45号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前2項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない。

4項 医師その他の医療関係者は、その業務を行うに当たり、 配偶者からの暴力 によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは、その者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めなければならない。

7条 (配偶者暴力相談支援センターによる保護についての説明等)

1項 配偶者暴力相談支援センターは、 被害者 に関する通報又は相談を受けた場合には、必要に応じ、被害者に対し、 第3条第3項 《3 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者…》 からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする。 1 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は女性相談支援員若しくは相談を行う機関を紹介すること。 2 被害者の心 の規定により配偶者暴力相談支援センターが行う業務の内容について説明及び助言を行うとともに、必要な保護を受けることを勧奨するものとする。

8条 (警察官による被害の防止)

1項 警察官は、通報等により 配偶者からの暴力 が行われていると認めるときは、 警察法 1954年法律第162号)、 警察官職務執行法 1948年法律第136号)その他の法令の定めるところにより、暴力の制止、 被害者 の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

8条の2 (警察本部長等の援助)

1項 警視総監若しくは道府県警察本部長(道警察本部の所在地を包括する方面を除く方面については、方面本部長。 第15条第3項 《3 保護命令を発したときは、裁判所書記官…》 は、速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長に通知するものとする。 において同じ。又は警察署長は、 配偶者からの暴力 を受けている者から、配偶者からの暴力による被害を自ら防止するための援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、当該配偶者からの暴力を受けている者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該被害を自ら防止するための措置の教示その他配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な援助を行うものとする。

8条の3 (福祉事務所による自立支援)

1項 社会福祉法 1951年法律第45号)に定める福祉に関する事務所(次条において「 福祉事務所 」という。)は、 生活保護法 1950年法律第144号)、 児童福祉法 1947年法律第164号)、 母子及び父子並びに寡婦福祉法 1964年法律第129号)その他の法令の定めるところにより、 被害者 の自立を支援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

9条 (被害者の保護のための関係機関の連携協力)

1項 配偶者暴力相談支援センター、都道府県警察、 福祉事務所 、児童相談所その他の都道府県又は市町村の関係機関その他の関係機関は、 被害者 の保護を行うに当たっては、その適切な保護が行われるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

9条の2 (苦情の適切かつ迅速な処理)

1項 前条の関係機関は、 被害者 の保護に係る職員の職務の執行に関して被害者から苦情の申出を受けたときは、適切かつ迅速にこれを処理するよう努めるものとする。

4章 保護命令

10条 (接近禁止命令等)

1項 被害者 配偶者からの身体に対する暴力又は生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫(以下この章において「 身体に対する暴力等 」という。)を受けた者に限る。以下この条並びに 第12条第1項第3号 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 及び第4号において同じ。)が、配偶者(配偶者からの 身体に対する暴力等 を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条及び 第12条第1項第2号 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 から第4号までにおいて同じ。)からの更なる身体に対する暴力等により、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日から起算して1年間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

2項 前項の場合において、同項の規定による命令(以下「 接近禁止命令 」という。)を発する裁判所又は発した裁判所は、 被害者 の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、 接近禁止命令 の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被害者に対して次に掲げる行為をしてはならないことを命ずるものとする。

1号 面会を要求すること。

2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

3号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。

4号 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、文書を送付し、通信文その他の情報(電気通信( 電気通信事業法 1984年法律第86号第2条第1号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。 2 電気通信設備 電気通信を行うための機 に規定する電気通信をいう。以下この号及び第6項第1号において同じ。)の送信元、送信先、通信日時その他の電気通信を行うために必要な情報を含む。以下この条において「通信文等」という。)をファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

5号 緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、通信文等をファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールの送信等をすること。

6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

8号 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

9号 その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(当該装置の位置に係る位置情報( 地理空間情報活用推進基本法 2007年法律第63号第2条第1項第1号 《この法律において「地理空間情報」とは、第…》 1号の情報又は同号及び第2号の情報からなる情報をいう。 1 空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報当該情報に係る時点に関する情報を含む。以下「位置情報」という。 2 前号の情報に関連付けられた情報 に規定する位置情報をいう。以下この号において同じ。)を記録し、又は送信する機能を有する装置で政令で定めるものをいう。以下この号及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。

10号 その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。

3項 第1項の場合において、 被害者 がその成年に達しない子(以下この項及び次項並びに 第12条第1項第3号 《国は、地理空間情報の活用の重要性に関する…》 国民の理解と関心を深めるよう、地理空間情報の活用に関する啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。 において単に「子」という。)と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、 接近禁止命令 を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、当該子の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)、就学する学校その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと及び当該子に対して前項第2号から第10号までに掲げる行為(同項第5号に掲げる行為にあっては、電話をかけること及び通信文等をファクシミリ装置を用いて送信することに限る。)をしてはならないことを命ずるものとする。ただし、当該子が15歳以上であるときは、その同意がある場合に限る。

4項 第1項の場合において、配偶者が 被害者 の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者(被害者と同居している子及び配偶者と同居している者を除く。以下この項及び次項並びに 第12条第1項第4号 《国は、地理空間情報の活用の重要性に関する…》 国民の理解と関心を深めるよう、地理空間情報の活用に関する啓発及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。 において「親族等」という。)の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、 接近禁止命令 を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、当該親族等の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

5項 前項の申立ては、当該親族等( 被害者 の15歳未満の子を除く。以下この項において同じ。)の同意(当該親族等が15歳未満の者又は成年被後見人である場合にあっては、その法定代理人の同意)がある場合に限り、することができる。

6項 第2項第4号及び第5号の「電子メールの送信等」とは、次の各号のいずれかに掲げる行為(電話をかけること及び通信文等をファクシミリ装置を用いて送信することを除く。)をいう。

1号 電子メール( 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 2002年法律第26号第2条第1号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 電子メール 特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器入出力装置を含む。以下同じ。の映像面に表示されるようにすることにより伝達 に規定する電子メールをいう。)その他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信を行うこと。

2号 前号に掲げるもののほか、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、内閣府令で定めるものを用いて通信文等の送信を行うこと。

10条の2 (退去等命令)

1項 被害者 配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ。)を受けた者に限る。以下この条及び 第18条第1項 《退去等命令が発せられた後に当該発せられた…》 退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする において同じ。)が、配偶者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条、 第12条第2項第2号 《2 退去等命令の申立ては、次に掲げる事項…》 を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況当該身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消さ 及び 第18条第1項 《退去等命令が発せられた後に当該発せられた…》 退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする において同じ。)から更に身体に対する暴力を受けることにより、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日から起算して2月間(被害者及び当該配偶者が生活の本拠として使用する建物又は区分建物( 不動産登記法 2004年法律第123号第2条第22号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 不動産 土地又は建物をいう。 2 不動産の表示 不動産についての第27条第1号、第3号若しくは第4号、第34条第1項各号、第43条第1 に規定する区分建物をいう。)の所有者又は賃借人が被害者のみである場合において、被害者の申立てがあったときは、6月間)、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。ただし、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。

11条 (管轄裁判所)

1項 接近禁止命令 及び前条の規定による命令(以下「 退去等命令 」という。)の申立てに係る事件は、相手方の住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

2項 接近禁止命令 の申立ては、次の各号に掲げる地を管轄する地方裁判所にもすることができる。

1号 申立人の住所又は居所の所在地

2号 当該申立てに係る配偶者からの 身体に対する暴力等 が行われた地

3項 退去等命令 の申立ては、次の各号に掲げる地を管轄する地方裁判所にもすることができる。

1号 申立人の住所又は居所の所在地

2号 当該申立てに係る配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫が行われた地

12条 (接近禁止命令等の申立て等)

1項 接近禁止命令 及び 第10条第2項 《2 前項の場合において、同項の規定による…》 命令以下「接近禁止命令」という。を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被 から第4項までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

1号 配偶者からの 身体に対する暴力等 を受けた状況(当該身体に対する暴力等を受けた後に、 被害者 が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合であって、当該配偶者であった者からの身体に対する暴力等を受けたときにあっては、当該配偶者であった者からの身体に対する暴力等を受けた状況を含む。

2号 前号に掲げるもののほか、配偶者からの更なる 身体に対する暴力等 により、生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情

3号 第10条第3項 《3 第1項の場合において、被害者がその成…》 年に達しない子以下この項及び次項並びに第12条第1項第3号において単に「子」という。と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被 の規定による命令(以下この号並びに 第17条第3項 《3 3項命令を受けた者は、接近禁止命令が…》 効力を生じた日から起算して6月を経過した日又は当該3項命令が効力を生じた日から起算して3月を経過した日のいずれか遅い日以後において、当該3項命令を発した裁判所に対し、第10条第3項に規定する要件を欠く 及び第4項において「3項命令」という。)の申立てをする場合にあっては、 被害者 が当該同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該3項命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

4号 第10条第4項 《4 第1項の場合において、配偶者が被害者…》 の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者被害者と同居している子及び配偶者と同居している者を除く。以下この項及び次項並びに第12条第1項第4号において「親族等」という。の住居に押し掛けて の規定による命令の申立てをする場合にあっては、 被害者 が当該親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

5号 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前各号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項

当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称

相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所

相談又は求めた援助若しくは保護の内容

相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容

2項 退去等命令 の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

1号 配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況(当該身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた後に、 被害者 が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合であって、当該配偶者であった者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けたときにあっては、当該配偶者であった者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況を含む。

2号 前号に掲げるもののほか、配偶者から更に身体に対する暴力を受けることにより、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情

3号 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前2号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項

当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称

相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所

相談又は求めた援助若しくは保護の内容

相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容

3項 前2項の書面(以下「 申立書 」という。)に第1項第5号イからニまで又は前項第3号イからニまでに掲げる事項の記載がない場合には、 申立書 には、第1項第1号から第4号まで又は前項第1号及び第2号に掲げる事項についての申立人の供述を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録で 公証人法 1908年法律第53号第53条第1項 《公証人は、前条第1項の規定により私署証書…》 に認証を与える場合において、法務省令で定めるところにより、その面前において嘱託人に当該私署証書の記載が真実であることを宣誓させた上、当該私署証書に署名させ、若しくは押印させ、又は当該私署証書に署名若し 又は 第59条第3項 《3 指定公証人は、第1項の規定により電磁…》 的記録に認証を与える場合において、嘱託人がその面前において嘱託に係る電磁的記録の内容が真実であることを宣誓した上で同項各号のいずれかに該当する行為をしたときは、法務省令で定めるところにより、電磁的方式 の認証を受けたものを添付しなければならない。

13条 (迅速な裁判)

1項 裁判所は、 接近禁止命令 第10条第2項 《2 前項の場合において、同項の規定による…》 命令以下「接近禁止命令」という。を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被 から第4項までの規定による命令及び 退去等命令 以下「 保護命令 」という。)の申立てに係る事件については、速やかに裁判をするものとする。

14条 (保護命令事件の審理の方法)

1項 保護命令 は、口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより保護命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

2項 申立書 第12条第1項第5号 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 イからニまで又は同条第2項第3号イからニまでに掲げる事項の記載がある場合には、裁判所は、当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長に対し、申立人が相談し、又は援助若しくは保護を求めた際の状況及びこれに対して執られた措置の内容を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(次項において「 書面等 」という。)の提出を求めるものとする。この場合において、当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長は、これに速やかに応ずるものとする。

3項 裁判所は、必要があると認める場合には、前項の配偶者暴力相談支援センター若しくは所属官署の長又は申立人から相談を受け、若しくは援助若しくは保護を求められた職員に対し、同項の規定により 書面等 の提出を求めた事項に関して更に説明を求めることができる。

15条 (保護命令の申立てについての決定等)

1項 保護命令 の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。

2項 保護命令 は、相手方に対する電子決定書( 第21条 《民事訴訟法の準用 この法律に特別の定め…》 がある場合を除き、保護命令に関する手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第1編から第4編までの規定同法第132条の13の規定を除く。を準用する。 において準用する 民事訴訟法 1996年法律第109号第122条 《判決に関する規定の準用 決定及び命令に…》 は、その性質に反しない限り、判決に関する規定を準用する。 において準用する同法第252条第1項の規定により作成される電磁的記録をいう。)の送達又は相手方が出頭した口頭弁論若しくは審尋の期日における言渡しによって、その効力を生ずる。

3項 保護命令 を発したときは、裁判所書記官は、速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長に通知するものとする。

4項 保護命令 を発した場合において、申立人が配偶者暴力相談支援センターの職員に対し相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実があり、かつ、 申立書 に当該事実に係る 第12条第1項第5号 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 イからニまで又は同条第2項第3号イからニまでに掲げる事項の記載があるときは、裁判所書記官は、速やかに、保護命令を発した旨及びその内容を、当該申立書に名称が記載された配偶者暴力相談支援センター(当該申立書に名称が記載された配偶者暴力相談支援センターが二以上ある場合にあっては、申立人がその職員に対し相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時が最も遅い配偶者暴力相談支援センター)の長に通知するものとする。

5項 保護命令 は、執行力を有しない。

16条 (即時抗告)

1項 保護命令 の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

2項 前項の即時抗告は、 保護命令 の効力に影響を及ぼさない。

3項 即時抗告があった場合において、 保護命令 の取消しの原因となることが明らかな事情があることにつき疎明があったときに限り、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、保護命令の効力の停止を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、この処分を命ずることができる。

4項 前項の規定により 接近禁止命令 の効力の停止を命ずる場合において、 第10条第2項 《2 前項の場合において、同項の規定による…》 命令以下「接近禁止命令」という。を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被 から第4項までの規定による命令が発せられているときは、裁判所は、当該命令の効力の停止をも命じなければならない。

5項 前2項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

6項 抗告裁判所が 接近禁止命令 を取り消す場合において、 第10条第2項 《2 前項の場合において、同項の規定による…》 命令以下「接近禁止命令」という。を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被 から第4項までの規定による命令が発せられているときは、抗告裁判所は、当該命令をも取り消さなければならない。

7項 前条第4項の規定による通知がされている 保護命令 について、第3項若しくは第4項の規定によりその効力の停止を命じたとき又は抗告裁判所がこれを取り消したときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨及びその内容を当該通知をした配偶者暴力相談支援センターの長に通知するものとする。

8項 前条第3項の規定は、第3項及び第4項の場合並びに抗告裁判所が 保護命令 を取り消した場合について準用する。

17条 (保護命令の取消し)

1項 保護命令 を発した裁判所は、当該保護命令の申立てをした者の申立てがあった場合には、当該保護命令を取り消さなければならない。 接近禁止命令 又は 第10条第2項 《2 前項の場合において、同項の規定による…》 命令以下「接近禁止命令」という。を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して1年を経過する日までの間、被 から第4項までの規定による命令にあっては接近禁止命令が効力を生じた日から起算して3月を経過した日以後において、 退去等命令 にあっては当該退去等命令が効力を生じた日から起算して2週間を経過した日以後において、これらの命令を受けた者が申し立て、当該裁判所がこれらの命令の申立てをした者に異議がないことを確認したときも、同様とする。

2項 前条第6項の規定は、 接近禁止命令 を発した裁判所が前項の規定により当該接近禁止命令を取り消す場合について準用する。

3項 3項命令を受けた者は、 接近禁止命令 が効力を生じた日から起算して6月を経過した日又は当該3項命令が効力を生じた日から起算して3月を経過した日のいずれか遅い日以後において、当該3項命令を発した裁判所に対し、 第10条第3項 《3 第1項の場合において、被害者がその成…》 年に達しない子以下この項及び次項並びに第12条第1項第3号において単に「子」という。と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被 に規定する要件を欠くに至ったことを理由として、当該3項命令の取消しの申立てをすることができる。

4項 裁判所は、前項の取消しの裁判をするときは、当該取消しに係る3項命令の申立てをした者の意見を聴かなければならない。

5項 第3項の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

6項 第3項の取消しの裁判は、確定しなければその効力を生じない。

7項 第15条第3項 《3 保護命令を発したときは、裁判所書記官…》 は、速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長に通知するものとする。 及び前条第7項の規定は、第1項から第3項までの場合について準用する。

18条 (退去等命令の再度の申立て)

1項 退去等命令 が発せられた後に当該発せられた退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする 被害者 がその責めに帰することのできない事由により当該発せられた命令の期間までに当該住居からの転居を完了することができないことその他の退去等命令を再度発する必要があると認めるべき事情があるときに限り、退去等命令を発するものとする。ただし、当該退去等命令を発することにより当該配偶者の生活に特に著しい支障を生ずると認めるときは、当該退去等命令を発しないことができる。

2項 前項の申立てをする場合における 第12条 《接近禁止命令等の申立て等 接近禁止命令…》 及び第10条第2項から第4項までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者 の規定の適用については、同条第2項各号列記以外の部分中「事項」とあるのは「事項及び 第18条第1項 《退去等命令が発せられた後に当該発せられた…》 退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする 本文の事情」と、同項第3号中「事項に」とあるのは「事項及び 第18条第1項 《退去等命令が発せられた後に当該発せられた…》 退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする 本文の事情に」と、同条第3項中「事項に」とあるのは「事項並びに 第18条第1項 《退去等命令が発せられた後に当該発せられた…》 退去等命令の申立ての理由となった身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫と同1の事実を理由とする退去等命令の再度の申立てがあったときは、裁判所は、配偶者と共に生活の本拠としている住居から転居しようとする 本文の事情に」とする。

19条 (非電磁的事件記録の閲覧等)

1項 保護命令 に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(事件の記録中次条第1項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。次項において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

2項 前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、当事者は、裁判所の許可を得て、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。

3項 前2項の規定にかかわらず、相手方は、 保護命令 の申立てに関し口頭弁論若しくは相手方を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は相手方に対する保護命令の送達があるまでの間は、これらの規定による請求をすることができない。

4項 民事訴訟法 第91条第5項 《5 非電磁的訴訟記録の閲覧、謄写及び複製…》 の請求は、非電磁的訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 の規定は、第1項及び第2項の規定による請求について準用する。

19条の2 (電磁的事件記録の閲覧等)

1項 保護命令 に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(事件の記録中この法律その他の法令の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この条及び次条において同じ。)に備えられたファイルに記録された事項に係る部分をいう。以下この条において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。

2項 保護命令 に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。

3項 保護命令 に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

4項 前3項の規定にかかわらず、相手方は、 保護命令 の申立てに関し口頭弁論若しくは相手方を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は相手方に対する保護命令の送達があるまでの間は、これらの規定による請求をすることができない。

5項 民事訴訟法 第91条第5項 《5 非電磁的訴訟記録の閲覧、謄写及び複製…》 の請求は、非電磁的訴訟記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。 の規定は、第1項及び第2項の規定による請求について準用する。

19条の3 (事件に関する事項の証明)

1項 保護命令 に関する手続について、当事者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。ただし、相手方にあっては、保護命令の申立てに関し口頭弁論若しくは相手方を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は相手方に対する保護命令の送達があるまでの間は、この限りでない。

20条

1項 削除

21条 (民事訴訟法の準用)

1項 この法律に特別の定めがある場合を除き、 保護命令 に関する手続に関しては、その性質に反しない限り、 民事訴訟法 第1編から第4編までの規定(同法第132条の13の規定を除く。)を準用する。

22条 (最高裁判所規則)

1項 この法律に定めるもののほか、 保護命令 に関する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

5章 雑則

23条 (職務関係者による配慮等)

1項 配偶者からの暴力 に係る 被害者 の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者(次項において「 職務関係者 」という。)は、その職務を行うに当たり、被害者の心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に10分な配慮をしなければならない。

2項 及び地方公共団体は、 職務関係者 に対し、 被害者 の人権、 配偶者からの暴力 の特性等に関する理解を深めるために必要な研修及び啓発を行うものとする。

24条 (教育及び啓発)

1項 及び地方公共団体は、 配偶者からの暴力 の防止に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。

25条 (調査研究の推進等)

1項 及び地方公共団体は、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護に資するため、加害者の更生のための指導の方法、被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに被害者の保護に係る人材の養成及び資質の向上に努めるものとする。

26条 (民間の団体に対する援助)

1項 及び地方公共団体は、 配偶者からの暴力 の防止及び 被害者 の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。

27条 (都道府県及び市町村の支弁)

1項 都道府県は、次の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。

1号 第3条第3項の規定に基づき同項に掲げる業務を行う女性相談支援センターの運営に要する費用(次号に掲げる費用を除く。

2号 第3条第3項第3号 《3 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者…》 からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする。 1 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は女性相談支援員若しくは相談を行う機関を紹介すること。 2 被害者の心 の規定に基づき女性相談支援センターが行う1時保護(同条第4項に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行う場合を含む。及びこれに伴い必要な事務に要する費用

3号 第4条 《女性相談支援員による相談等 女性相談支…》 援員は、被害者の相談に応じ、必要な援助を行うことができる。 の規定に基づき都道府県が置く女性相談支援員が行う業務に要する費用

4号 第5条 《女性自立支援施設における保護 都道府県…》 は、女性自立支援施設において被害者の保護を行うことができる。 の規定に基づき都道府県が行う保護(市町村、 社会福祉法 人その他適当と認める者に委託して行う場合を含む。及びこれに伴い必要な事務に要する費用

2項 市町村は、 第4条 《女性相談支援員による相談等 女性相談支…》 援員は、被害者の相談に応じ、必要な援助を行うことができる。 の規定に基づき市町村が置く女性相談支援員が行う業務に要する費用を支弁しなければならない。

28条 (国の負担及び補助)

1項 国は、政令の定めるところにより、都道府県が前条第1項の規定により支弁した費用のうち、同項第1号及び第2号に掲げるものについては、その10分の5を負担するものとする。

2項 国は、予算の範囲内において、次の各号に掲げる費用の10分の五以内を補助することができる。

1号 都道府県が前条第1項の規定により支弁した費用のうち、同項第3号及び第4号に掲げるもの

2号 市町村が前条第2項の規定により支弁した費用

5章の2 補則

28条の2 (この法律の準用)

1項 第2条 《国及び地方公共団体の責務 国及び地方公…》 共団体は、配偶者からの暴力を防止するとともに、被害者の保護被害者の自立を支援することを含む。以下同じ。を図る責務を有する。 及び第1章の2から前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手からの暴力(当該関係にある相手からの 身体に対する暴力等 をいい、当該関係にある相手からの身体に対する暴力等を受けた後に、その者が当該関係を解消した場合にあっては、当該関係にあった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含む。及び当該暴力を受けた者について準用する。この場合において、これらの規定(同条を除く。)中「 配偶者からの暴力 」とあるのは、「特定関係者からの暴力」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

6章 罰則

29条

1項 保護命令 前条において読み替えて準用する 第10条第1項 《被害者配偶者からの身体に対する暴力又は生…》 命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫以下この章において「身体に対する暴力等」という。を受けた者に限る。以下この条並びに第12条第1項第3号及び第4号において同じ。が、配 から第4項まで及び 第10条の2 《退去等命令 被害者配偶者からの身体に対…》 する暴力又は生命等に対する脅迫被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ。を受けた者に限る。以下この条及び第18条第1項において同じ。が、配偶者配偶者からの の規定によるものを含む。 第31条 《 第12条第1項若しくは第2項第18条第…》 2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。又は第28条の2において読み替えて準用する第12条第1項若しくは第2項第28条の2において準用する第18条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。 において同じ。)に違反した者は、2年以下の拘禁刑又は2,010,000円以下の罰金に処する。

30条

1項 第3条第5項 《5 前項の規定による委託を受けた者若しく…》 はその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、その委託を受けた業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 又は 第5条の3 《秘密保持義務 協議会の事務に従事する者…》 又は従事していた者は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

31条

1項 第12条第1項 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 若しくは第2項( 第18条第2項 《2 前項の申立てをする場合における第12…》 条の規定の適用については、同条第2項各号列記以外の部分中「事項」とあるのは「事項及び第18条第1項本文の事情」と、同項第3号中「事項に」とあるのは「事項及び第18条第1項本文の事情に」と、同条第3項中 の規定により読み替えて適用する場合を含む。又は 第28条の2 《この法律の準用 第2条及び第1章の2か…》 ら前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。をする関係にある相手からの暴力当該関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、当該関係に において読み替えて準用する 第12条第1項 《接近禁止命令及び第10条第2項から第4項…》 までの規定による命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。 1 配偶者からの身体に対する暴力等を受けた状況当該身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取 若しくは第2項( 第28条の2 《この法律の準用 第2条及び第1章の2か…》 ら前章までの規定は、生活の本拠を共にする交際婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。をする関係にある相手からの暴力当該関係にある相手からの身体に対する暴力等をいい、当該関係に において準用する 第18条第2項 《2 前項の申立てをする場合における第12…》 条の規定の適用については、同条第2項各号列記以外の部分中「事項」とあるのは「事項及び第18条第1項本文の事情」と、同項第3号中「事項に」とあるのは「事項及び第18条第1項本文の事情に」と、同条第3項中 の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある 申立書 により 保護命令 の申立てをした者は、110,000円以下の過料に処する。

《本則》 ここまで 附則 >  

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