ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律《本則》

法番号:2001年法律第63号

略称: ハンセン病等補償法・ハンセン病補償法

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前文 ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。我が国においては、1953年制定の「予防法」においても引き続きハンセン病の患者に対する隔離政策がとられ、加えて、1955年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となったにもかかわらず、なお、依然としてハンセン病に対する誤った認識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「予防法の廃止に関する法律」が施行されたのは1996年であった。我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意を新たにするものである。ここに、ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため、この法律を制定する。


1条 (趣旨)

1項 この法律は、ハンセン病療養所入所者等の被った精神的苦痛を慰謝するための 補償金 以下「 補償金 」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復等について定めるものとする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 ハンセン病療養所入所者等 」とは、次に掲げる者をいう。

1号 予防法の廃止に関する法律(1996年法律第28号。以下「 廃止法 」という。)により予防法(1953年法律第214号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所( 廃止法 第1条の規定による廃止前の予防法(以下「旧予防法」という。)第11条の規定により国が設置したらい療養所をいう。)その他の本邦に設置された厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「 国内ハンセン病療養所 」という。)に入所していた者であって、この法律の施行の日(以下「 施行日 」という。)において生存しているもの

2号 1945年8月15日までの間に、行政諸法台湾施行令(1922年勅令第521号)第1条の規定により台湾に施行された旧予防法附則第2項の規定による廃止前の癩予防法(1907年法律第11号)第3条第1項の国立癩療養所、朝鮮癩予防令(1935年制令第4号)第5条の朝鮮総督府癩療養所その他の本邦以外の地域に設置された厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「 国外ハンセン病療養所 」という。)に入所していた者であって、 施行日 において生存しているもの(前号に掲げる者を除く。

3条 (補償金の支給)

1項 国は、 ハンセン病療養所入所者等 に対し、その者の請求により、 補償金 を支給する。

4条 (請求の期限)

1項 補償金 の支給の請求は、次の各号に掲げる ハンセン病療養所入所者等 の区分に従い、当該各号に掲げる日から起算して5年以内に行わなければならない。

1号 第2条第1号 《定義 第2条 この法律において「ハンセン…》 病療養所入所者等」とは、次に掲げる者をいう。 1 らヽいヽ予防法の廃止に関する法律1996年法律第28号。以下「廃止法」という。によりらヽいヽ予防法1953年法律第214号が廃止されるまでの間に、国立 に掲げる者 施行日 ただし、1945年8月15日までの間に 国外ハンセン病療養所 に入所していた者については、 ハンセン病療養所入所者等 に対する 補償金 の支給等に関する法律の一部を改正する法律(2006年法律第2号。以下「 改正法 」という。)の施行の日とする。

2号 第2条第2号 《定義 第2条 この法律において「ハンセン…》 病療養所入所者等」とは、次に掲げる者をいう。 1 らヽいヽ予防法の廃止に関する法律1996年法律第28号。以下「廃止法」という。によりらヽいヽ予防法1953年法律第214号が廃止されるまでの間に、国立 に掲げる者 改正法 の施行の日

2項 前項の期間内に 補償金 の支給の請求をしなかった者には、補償金を支給しない。

5条 (補償金の額)

1項 補償金 の額は、次の各号に掲げる ハンセン病療養所入所者等 の区分に従い、当該各号に掲げる額とする。

1号 1960年12月31日までに、初めて 国内ハンセン病療養所 に入所した者14,010,000円

2号 1961年1月1日から1964年12月31日までの間に、初めて 国内ハンセン病療養所 に入所した者12,010,000円

3号 1965年1月1日から1972年12月31日までの間に、初めて 国内ハンセン病療養所 に入所した者10,010,000円

4号 1973年1月1日から1996年3月31日までの間に、初めて 国内ハンセン病療養所 に入所した者8,010,000円

5号 第2条第2号 《定義 第2条 この法律において「ハンセン…》 病療養所入所者等」とは、次に掲げる者をいう。 1 らヽいヽ予防法の廃止に関する法律1996年法律第28号。以下「廃止法」という。によりらヽいヽ予防法1953年法律第214号が廃止されるまでの間に、国立 に掲げる者8,010,000円

2項 前項の規定にかかわらず、同項第1号から第3号までに掲げる者であって、1960年1月1日から1974年12月31日までの間に 国内ハンセン病療養所 から退所していたことがあるものに支給する 補償金 の額は、次の表の上欄に掲げる ハンセン病療養所入所者等 の区分及び同表の中欄に掲げる退所期間(1960年1月1日から1974年12月31日までの間に国内ハンセン病療養所から退所していた期間を合計した期間をいう。以下同じ。)に応じ、それぞれ、同表の下欄に掲げる額を同項第1号から第3号までに掲げる額から控除した額とする。

3項 退所期間の計算は、退所した日の属する月の翌月から改めて入所した日の属する月の前月までの月数による。

4項 1960年1月1日から1964年12月31日までの間の退所期間の月数については、前項の規定により計算した退所期間の月数に2を乗じて得た月数とする。

5項 前条第1項第1号ただし書に規定する者が 施行日 から起算して5年を経過した後に 補償金 の支給の請求をした場合における補償金の額は、前各項の規定にかかわらず、8,010,000円とする。

6条 (支払未済の補償金)

1項 ハンセン病療養所入所者等 補償金 の支給の請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるときは、これをその者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「 遺族 」という。)に支給し、支給すべき 遺族 がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。

2項 前項の規定による 補償金 を受けるべき 遺族 の順位は、同項に規定する順序による。

3項 第1項の規定による 補償金 を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その全額をその1人に支給することができるものとし、この場合において、その1人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。

7条 (損害賠償等がされた場合の調整)

1項 補償金 の支給を受けるべき者が同1の事由について国から 国家賠償法 1947年法律第125号)による損害賠償その他の損害のてん補を受けたときは、国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。

2項 国は、 補償金 を支給したときは、同1の事由については、その価額の限度で、 国家賠償法 による損害賠償の責めを免れる。

8条 (譲渡等の禁止)

1項 補償金 の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

9条 (非課税)

1項 租税その他の公課は、 補償金 を標準として課することができない。

10条 (不正利得の徴収)

1項 偽りその他不正の手段により 補償金 の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2項 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

11条 (名誉の回復等)

1項 国は、ハンセン病の患者であった者等( 第2条第2号 《定義 第2条 この法律において「ハンセン…》 病療養所入所者等」とは、次に掲げる者をいう。 1 らヽいヽ予防法の廃止に関する法律1996年法律第28号。以下「廃止法」という。によりらヽいヽ予防法1953年法律第214号が廃止されるまでの間に、国立 に掲げる者を除く。次項において同じ。)について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2項 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとする。

12条 (厚生労働省令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、 補償金 の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。

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