1章 総則
1条 (会社の目的)
1項 中間貯蔵・環境安全事業株式 会社 (以下「 会社 」という。)は、中間貯蔵の確実かつ適正な実施の確保を図り、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することに資するため、中間貯蔵に係る事業を行うとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実かつ適正な処理その他環境の保全に資するため、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業並びに環境の保全に関する情報及び技術的知識の提供に係る事業を行うことを目的とする株式会社とする。
2条 (定義)
1項 この法律において「 事故由来放射性物質 」とは、 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法 (2011年法律第110号。以下「 放射性物質汚染対処特措法 」という。)
第1条
《目的 この法律は、2011年3月11日…》
に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故以下本則において単に「事故」という。により当該原子力発電所から放出された放射性物質以下「事故由来放射性物質」という。による環境の汚染が生じているこ
に規定する 事故由来放射性物質 をいう。
2項 この法律において「 福島県内除去土壌等 」とは、福島県内において生じた次に掲げる物をいう。
1号 放射性物質汚染対処特措法
第31条第1項
《国は、除染特別地域内の土地等に係る除去土…》
壌等除去土壌及び土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物をいう。以下同じ。を、やむを得ず当該除去土壌等に係る土壌等の除染等の措置を実施した土地において保管する必要があると認めるときは、当分の間、当該土地
に規定する除去土壌等
2号 前号に掲げるもののほか、 放射性物質汚染対処特措法
第20条
《特定廃棄物の処理の基準 対策地域内廃棄…》
物又は指定廃棄物以下「特定廃棄物」という。の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。
に規定する特定廃棄物であって、 事故由来放射性物質 による汚染が著しいことその他の環境省令で定める要件に該当するもの
3項 この法律において「 最終処分 」とは、 福島県内除去土壌等 について除去土壌等処理基準( 放射性物質汚染対処特措法
第20条
《特定廃棄物の処理の基準 対策地域内廃棄…》
物又は指定廃棄物以下「特定廃棄物」という。の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、特定廃棄物の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。
、
第23条第1項
《前条の規定により読み替えて適用される廃棄…》
物処理法第2条第1項に規定する廃棄物一般廃棄物に該当するものに限る。であって、事故由来放射性物質により汚染され、又はそのおそれがあるもの環境省令で定めるものに限る。以下「特定一般廃棄物」という。の処理
若しくは第2項又は
第41条第1項
《除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う…》
者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。
の規定に基づき福島県内除去土壌等の処理に当たり従うこととされている基準をいう。次項において同じ。)に従って行われる最終的な処分をいう。
4項 この法律において「 中間貯蔵 」とは、 最終処分 が行われるまでの間、 福島県内除去土壌等 について福島県(環境省令で定める区域に限る。)内において除去土壌等処理基準に従って行われる保管又は処分をいう。
5項 この法律において「 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 」とは、 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 の適正な処理の推進に関する特別措置法(2001年法律第65号)第2条第1項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物をいう。
3条 (国の責務)
1項 国は、 中間貯蔵 及び ポリ塩化ビフェニル廃棄物 の処理の確実かつ適正な実施の確保を図るため、万全の措置を講ずるものとする。
2項 国は、前項の措置として、特に、 中間貯蔵 を行うために必要な施設を整備し、及びその安全を確保するとともに、当該施設の周辺の地域の住民その他の関係者の理解と協力を得るために必要な措置を講ずるほか、中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で 最終処分 を完了するために必要な措置を講ずるものとする。
4条 (株式の政府保有)
1項 政府は、 会社 が
第7条第1項第1号
《会社は、その目的を達成するため、次に掲げ…》
る事業を営むものとする。 1 国、福島県、福島県内の市町村その他環境省令で定める者次号において「国等」という。の委託を受けて、中間貯蔵を行うこと。 2 国等の委託を受けて、福島県内除去土壌等の収集及び
から第3号までに掲げる事業及びこれらに附帯する事業(
第16条第1号
《区分経理 第16条 会社は、次に掲げる事…》
業ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。 1 中間貯蔵に係る事業 2 前号に掲げる事業以外の事業
において「 中間貯蔵に係る事業 」という。)又は同項第4号に掲げる事業及びこれに附帯する事業(以下「 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業 」という。)を営む間、会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。
5条 (政府の出資)
1項 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、 会社 に出資することができる。
2項 会社 は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資により増加する資本金又は準備金を、
第16条
《区分経理 会社は、次に掲げる事業ごとに…》
経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。 1 中間貯蔵に係る事業 2 前号に掲げる事業以外の事業
に定める経理の区分に従い、同条各号に掲げる事業に係る勘定ごとに整理しなければならない。
6条 (商号の使用制限)
1項 会社 でない者は、その商号中に 中間貯蔵 ・環境安全事業株式会社という文字を使用してはならない。
2章 事業等
7条 (事業の範囲)
1項 会社 は、その目的を達成するため、次に掲げる事業を営むものとする。
1号 国、福島県、福島県内の市町村その他環境省令で定める者(次号において「 国等 」という。)の委託を受けて、 中間貯蔵 を行うこと。
2号 国等 の委託を受けて、 福島県内除去土壌等 の収集及び運搬を行うこと。
3号 国の委託を受けて、前2号に掲げる事業に関する情報及び技術的知識の提供並びに調査研究及び技術開発を行うこと。
4号 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 の処理を行うこと。
5号 環境の保全に関する情報及び技術的知識の提供を行うこと(第3号に掲げるものを除く。)。
6号 前各号に掲げる事業に附帯する事業を行うこと。
2項 会社 は、前項の事業を営むほか、同項の事業の遂行に支障のない範囲内において、環境大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。
8条 (一般担保)
1項 会社 の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
9条 (長期借入金)
1項 会社 は、弁済期限が1年を超える資金を借り入れようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
10条 (代表取締役等の選定等の決議)
1項 会社 の代表取締役又は代表執行役の選定及び解職並びに監査等委員である取締役若しくは監査役の選任及び解任又は監査委員の選定及び解職の決議は、環境大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
11条 (ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業基本計画)
1項 会社 は、 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 の処理に係る事業について、 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
第6条第1項
《政府は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の確実か…》
つ適正な処理を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画以下「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」という。を定めなければならない。
に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に従い、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理施設の設置の場所、当該処理施設における処理量の見込み及び処理の方法その他環境省令で定める事業の基本となる事項に関する計画(以下「 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業基本計画 」という。)を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業基本計画の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときも、同様とする。
12条 (事業計画)
1項 会社 は、毎事業年度の開始前に、その事業年度の事業計画を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
13条 (重要な財産の譲渡等)
1項 会社 は、環境省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
14条 (定款の変更等)
1項 会社 の定款の変更、剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、分割及び解散の決議は、環境大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
15条 (財務諸表)
1項 会社 は、毎事業年度終了後3月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を環境大臣に提出しなければならない。
16条 (区分経理)
1項 会社 は、次に掲げる事業ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
1号 中間貯蔵 に係る事業
2号 前号に掲げる事業以外の事業
17条 (債務保証)
1項 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(1946年法律第24号)第3条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 の処理に係る事業に要する費用に充てるための 会社 の長期借入金に係る債務( 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律 (1953年法律第51号)
第2条第1項
《政府は、法人に対する政府の財政援助の制限…》
に関する法律1946年法律第24号第3条の規定にかかわらず、政令で定める法人が国際復興開発銀行又は外国政府金融機関当該金融機関に対する出資の金額の半額以上が外国政府の出資により設立されたものであつて政
の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。
3章 雑則
18条 (監督)
1項 会社 は、環境大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2項 環境大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、 会社 に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
19条 (報告及び検査)
1項 環境大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、 会社 からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2項 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3項 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
20条 (財務大臣との協議)
1項 環境大臣は、
第7条第2項
《2 会社は、前項の事業を営むほか、同項の…》
事業の遂行に支障のない範囲内において、環境大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。
、
第9条
《長期借入金 会社は、弁済期限が1年を超…》
える資金を借り入れようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
、
第11条
《ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業基本計画…》
会社は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業について、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法第6条第1項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に従い、ポリ塩化ビフ
から
第13条
《重要な財産の譲渡等 会社は、環境省令で…》
定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
まで若しくは
第14条
《定款の変更等 会社の定款の変更、剰余金…》
の処分損失の処理を除く。、合併、分割及び解散の決議は、環境大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
( 会社 の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするとき、又は
第22条
《環境省令への委任 この法律に定めるもの…》
のほか、会社の財務及び会計に関し必要な事項その他この法律を実施するため必要な事項は、環境省令で定める。
の環境省令(会社の財務及び会計に関し必要な事項に限る。)を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
21条 (課税の特例)
1項 第5条第1項
《政府は、必要があると認めるときは、予算で…》
定める金額の範囲内において、会社に出資することができる。
の規定による政府の出資があった場合において 会社 が受ける資本金の額の増加の登記については、登録免許税を課さない。
22条 (環境省令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、 会社 の財務及び会計に関し必要な事項その他この法律を実施するため必要な事項は、環境省令で定める。
4章 罰則
23条
1項 会社 の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、3年以下の拘禁刑に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、5年以下の拘禁刑に処する。
2項 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
24条
1項 前条第1項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の拘禁刑又は1,010,000円以下の罰金に処する。
2項 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
25条
1項 第23条第1項
《会社の取締役、執行役、会計参与会計参与が…》
法人であるときは、その職務を行うべき社員、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、3年以下の拘禁刑に処する。 これによって不正の行為をし、又は相当の行為
の罪は、 刑法 (1907年法律第45号)
第4条
《公務員の国外犯 この法律は、日本国外に…》
おいて次に掲げる罪を犯した日本国の公務員に適用する。 1 第101条看守者等による逃走援助の罪及びその未遂罪 2 第156条虚偽公文書作成等の罪 3 第193条公務員職権濫用、第195条第2項特別公務
の例に従う。
2項 前条第1項の罪は、 刑法
第2条
《すべての者の国外犯 この法律は、日本国…》
外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。 1 削除 2 第77条から第79条まで内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助の罪 3 第81条外患誘致、第82条外患援助、第87条未遂罪及び第88条予備及
の例に従う。
26条
1項 第19条第1項
《環境大臣は、この法律を施行するため特に必…》
要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした 会社 の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、310,000円以下の罰金に処する。
27条
1項 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした 会社 の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、1,010,000円以下の過料に処する。
1号 第7条第2項
《2 会社は、前項の事業を営むほか、同項の…》
事業の遂行に支障のない範囲内において、環境大臣の認可を受けて、同項の事業以外の事業を営むことができる。
の規定に違反して、事業を営んだとき。
2号 第9条
《長期借入金 会社は、弁済期限が1年を超…》
える資金を借り入れようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
の規定に違反して、資金を借り入れたとき。
3号 第11条
《ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業基本計画…》
会社は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係る事業について、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法第6条第1項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画に従い、ポリ塩化ビフ
の規定に違反して、 ポリ塩化ビフェニル廃棄物 処理事業基本計画の認可を受けなかったとき。
4号 第12条
《事業計画 会社は、毎事業年度の開始前に…》
、その事業年度の事業計画を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。
の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
5号 第13条
《重要な財産の譲渡等 会社は、環境省令で…》
定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、環境大臣の認可を受けなければならない。
の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。
6号 第15条
《財務諸表 会社は、毎事業年度終了後3月…》
以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を環境大臣に提出しなければならない。
の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書若しくは事業報告書を提出せず、又は不実の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
7号 第18条第2項
《2 環境大臣は、この法律を施行するため特…》
に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
の規定による命令に違反したとき。
28条
1項 第6条
《商号の使用制限 会社でない者は、その商…》
号中に中間貯蔵・環境安全事業株式会社という文字を使用してはならない。
の規定に違反した者は、110,000円以下の過料に処する。