武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律《本則》

法番号:2004年法律第113号

略称: 米軍行動関連措置法・米軍行動円滑化法

附則 >  

1条 (目的)

1項 この法律は、武力攻撃事態等において日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「 日米安保条約 」という。)に従って武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国の軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置、武力攻撃事態等又は存立危機事態において自衛隊と協力して武力攻撃又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他のこれらの行動に伴い我が国が実施する措置について定めることにより、我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1号 武力攻撃事態等 武力攻撃事態等 及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確保に関する法律(2003年法律第79号。以下事態対処法という。)第1条に規定する武力攻撃事態等をいう。

2号 武力攻撃 :事態対処法第2条第1号に規定する 武力攻撃 をいう。

3号 武力攻撃事態 :事態対処法第2条第2号に規定する 武力攻撃 事態をいう。

4号 存立危機事態 :事態対処法第2条第4号に規定する 存立危機事態 をいう。

5号 存立危機 武力攻撃 :事態対処法第2条第8号ハ(1)に規定する 存立危機武力攻撃 をいう。

6号 特定合衆国軍隊 武力攻撃事態等 において、 日米安保条約 に従って 武力攻撃 を排除するために必要な行動を実施しているアメリカ合衆国の軍隊をいう。

7号 外国軍隊 武力攻撃事態等 又は 存立危機事態 において、自衛隊と協力して 武力攻撃 又は 存立危機武力攻撃 を排除するために必要な行動を実施している外国の軍隊( 特定合衆国軍隊 を除く。)をいう。

8号 行動関連措置 :次に掲げる措置であって、対処基本方針(事態対処法第9条第1項に規定する対処基本方針をいう。以下同じ。)に基づき、自衛隊その他の指定行政機関(事態対処法第2条第5号に規定する指定行政機関をいう。以下同じ。)が実施するものをいう。

武力攻撃事態等 において、 特定合衆国軍隊 の行動(第6号に規定する行動( 武力攻撃 が発生した事態以外の武力攻撃事態等にあっては、 日米安保条約 に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための同号に規定する行動)をいう。以下同じ。)が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他の特定合衆国軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置

武力攻撃事態等 又は 存立危機事態 において、 外国軍隊 の行動(前号に規定する行動( 武力攻撃 が発生した事態以外の武力攻撃事態等にあっては、自衛隊と協力して武力攻撃を排除するために必要な準備のための同号に規定する行動)をいう。以下同じ。)が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他の外国軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置

3条 (政府の責務)

1項 政府は、 武力攻撃事態等 及び 存立危機事態 においては、的確かつ迅速に 行動関連措置 を実施し、我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確保に努めるものとする。

4条 (行動関連措置の基本原則)

1項 行動関連措置 は、 武力攻撃 及び 存立危機武力攻撃 を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。

5条 (地方公共団体及び事業者の責務)

1項 地方公共団体及び事業者は、指定行政機関から 武力攻撃事態等 において 行動関連措置 に関し協力を要請されたときは、その要請に応じるよう努めるものとする。

6条 (合衆国政府等との連絡)

1項 政府は、 第3条 《政府の責務 政府は、武力攻撃事態等及び…》 存立危機事態においては、的確かつ迅速に行動関連措置を実施し、我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確保に努めるものとする。 の責務を果たすため、 武力攻撃事態等 の状況の認識及び武力攻撃事態等への対処に関し、 日米安保条約 に基づき、アメリカ合衆国政府と常に緊密な連絡を保つよう努めるものとする。

2項 前項に規定するもののほか、政府は、 第3条 《政府の責務 政府は、武力攻撃事態等及び…》 存立危機事態においては、的確かつ迅速に行動関連措置を実施し、我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確保に努めるものとする。 の責務を果たすため、 武力攻撃事態等 又は 存立危機事態 の状況の認識及び武力攻撃事態等又は存立危機事態への対処に関し、関係する外国政府と緊密な連絡を保つよう努めるものとする。

7条 (情報の提供)

1項 政府は、 武力攻撃事態等 又は 存立危機事態 においては、国民に対し、 特定合衆国軍隊 の行動又は 外国軍隊 の行動(以下「 特定合衆国軍隊等の行動 」という。)に係る地域その他の特定合衆国軍隊等の行動に関する状況及び 行動関連措置 の実施状況について、必要な情報の提供を適切に行うものとする。

8条 (地方公共団体との連絡調整)

1項 政府は、 特定合衆国軍隊 等の行動又は 行動関連措置 の実施が地方公共団体の実施する対処措置(事態対処法第2条第8号に規定する対処措置をいう。)に影響を及ぼすおそれがあるときは、関係する地方公共団体との連絡調整を行うものとする。

9条 (特定合衆国軍隊の行為に係る通知)

1項 防衛大臣は、 武力攻撃 事態( 自衛隊法 1954年法律第165号第76条第1項 《内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、…》 我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。 この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確 の規定による防衛出動命令があった場合に限る。 第14条第1項 《方面隊、師団及び旅団の名称並びに方面総監…》 部、師団司令部及び旅団司令部の名称及び所在地は、別表第1のとおりとする。 において同じ。)において、 特定合衆国軍隊 から、同法第115条の11第1項若しくは第2項又は第115条の16第1項に規定する行為をし、又はした旨の連絡を受けたときは、これらの規定の例に準じて通知するものとする。

10条 (自衛隊による行動関連措置としての物品及び役務の提供の実施)

1項 防衛大臣又はその委任を受けた者は、 行動関連措置 としての自衛隊に属する物品の提供を実施することができる。

2項 自衛隊法 第76条第1項 《内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、…》 我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。 この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに及び国民の安全の確 の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、 行動関連措置 としての役務の提供を実施することができる。

3項 前項に規定するもののほか、防衛大臣は、内閣総理大臣の承認を得て、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等( 自衛隊法 第8条 《防衛大臣の指揮監督権 防衛大臣は、この…》 法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する。 ただし、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の部隊及び機関以下「部隊等」という。に対する防衛大臣の指揮監督は、次の各号に掲げる隊務の区分に応じ、当該 に規定する部隊等をいう。以下同じ。)に、 行動関連措置 としての役務の提供の実施を命ずることができる。

4項 第1項の規定による自衛隊に属する物品の提供及び前2項の規定による自衛隊による役務の提供として行う業務は、補給(武器の提供を行う補給を除く。)、輸送、修理若しくは整備、医療、通信、空港若しくは港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管、施設の利用又は訓練に関する業務(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)とする。

11条 (指定行政機関による行動関連措置の実施)

1項 前2条に規定するもののほか、指定行政機関は、法令及び対処基本方針に基づき、必要な 行動関連措置 を実施するものとする。

12条 (武器の使用)

1項 第10条第3項 《3 前項に規定するもののほか、防衛大臣は…》 、内閣総理大臣の承認を得て、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等自衛隊法第8条に規定する部隊等をいう。以下同じ。に、行動関連措置としての役務の提供の実施を命ずることができる。 の規定により 行動関連措置 としての役務の提供の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、その職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する自衛隊員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、 刑法 1907年法律第45号第36条 《正当防衛 急迫不正の侵害に対して、自己…》 又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。 2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。 又は 第37条 《緊急避難 自己又は他人の生命、身体、自…》 又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。 ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

13条 (行動関連措置に関する指針の作成)

1項 事態対策本部長(事態対処法第11条第1項に規定する事態対策本部長をいう。)は、 行動関連措置 を的確かつ迅速に実施するため、対処基本方針に基づき、行動関連措置に関する指針を定めることができる。

2項 指定行政機関は、前項に規定する指針が定められたときは、当該指針に基づき、必要な 行動関連措置 を適切に実施しなければならない。

14条 (損失の補償)

1項 国は、 特定合衆国軍隊 の次の各号に掲げる行為により損失を受けた者がある場合においては、それぞれ当該各号に定める法律の規定の例により、その損失を補償しなければならない。

1号 武力攻撃 事態において、 特定合衆国軍隊 の行動に係る地域内を緊急に移動するに際して、通行に支障がある場所をう回するために行う 自衛隊法 第92条 《防衛出動時の公共の秩序の維持のための権限…》 第76条第1項第1号に係る部分に限る。以下この条において同じ。の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、第88条の規定により武力を行使するほか、必要に応じ、公共の秩序を維持するため行動することができる の二前段に規定する場所の通行同条後段

2号 武力攻撃 事態において、 道路交通法 1960年法律第105号第114条の5第1項 《公安委員会は、自衛隊法第76条第1項の規…》 定による防衛出動命令が発せられた場合において、自衛隊又は武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律2004年法律第113号第2条第6号に規 の規定により同項に規定する自衛隊等の使用する車両以外の車両の道路における通行が禁止され、又は制限されている区域又は道路の区間を 特定合衆国軍隊 車両(特定合衆国軍隊の使用する車両をいう。以下この号において同じ。)により通行する場合において、車両その他の物件が通行の妨害となることにより特定合衆国軍隊の行動の実施に著しい支障を生ずるおそれがあり、かつ、警察官又は当該車両その他の物件の占有者、所有者若しくは管理者のいずれもがその場にいないときに、特定合衆国軍隊車両の円滑な通行の確保に必要な措置をとるためやむを得ない限度において行う当該車両その他の物件の破損 災害対策基本法 1961年法律第223号第82条第1項 《国又は地方公共団体港務局を含む。は、第6…》 4条第1項同条第8項において準用する場合を含む。、同条第7項において同条第1項の場合について準用する第63条第2項、第71条、第76条の3第2項後段同条第3項及び第4項において準用する場合を含む。、第

2項 前項の規定は、他の法律の規定により国が損害賠償又は損失補償の責めに任ずべき損失については、適用しない。

15条 (土地の使用等)

1項 防衛大臣は、 武力攻撃 事態において、 特定合衆国軍隊 の用に供するため土地又は家屋(以下「 土地等 」という。)を緊急に必要とする場合において、その 土地等 を特定合衆国軍隊の用に供することが適正かつ合理的であり、かつ、武力攻撃を排除する上で不可欠であると認めるときは、その告示して定めた地域内に限り、 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法 1952年法律第140号)の規定にかかわらず、期間を定めて、当該土地等を使用することができる。

2項 前項の規定により土地を使用する場合において、当該土地の上にある立木その他土地に定着する物件(家屋を除く。以下「 立木等 」という。)が 特定合衆国軍隊 の行動の実施の妨げとなると認められるときは、防衛大臣は、当該 立木等 を移転することができる。この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、当該立木等を処分することができる。

3項 第1項の規定により家屋を使用する場合において、 特定合衆国軍隊 の行動の実施のためやむを得ない必要があると認められるときは、防衛大臣は、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができる。

4項 自衛隊法 第103条第7項 《7 第1項から第4項までの規定による処分…》 を行う場合には、都道府県知事は、政令で定めるところにより公用令書を交付して行わなければならない。 ただし、土地の使用に際して公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合その他の政令で定める場合にあつ から第10項まで、第17項及び第18項の規定は前3項の規定により 土地等 を使用し、 立木等 を移転し、若しくは処分し、又は家屋の形状を変更する場合について、同条第13項、第15項及び第16項の規定は第1項の規定により土地等を使用する場合について準用する。この場合において、同条第7項及び第13項中「都道府県知事」とあるのは「防衛大臣」と、同条第10項中「都道府県(第1項ただし書の場合にあつては、国)」とあるのは「国」と、同条第13項中「その職員」とあるのは「その指名する職員」と読み替えるものとする。

5項 前各項の規定により防衛大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。

16条 (政令への委任)

1項 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

17条 (罰則)

1項 第15条第4項 《4 自衛隊法第103条第7項から第10項…》 まで、第17項及び第18項の規定は前3項の規定により土地等を使用し、立木等を移転し、若しくは処分し、又は家屋の形状を変更する場合について、同条第13項、第15項及び第16項の規定は第1項の規定により土 において読み替えて準用する 自衛隊法 第103条第13項 《13 都道府県知事は、第1項又は第2項の…》 規定により施設を管理し、土地等を使用し、取扱物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があるときは、その職員に施設、土地、家屋若しくは物資の所在する場所又は取扱物資を保管させる場所に立ち入り、当該施 の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、210,000円以下の罰金に処する。

2項 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

《本則》 ここまで 附則 >  

国の法令検索サービス《E-Gov》の法令データ、法令APIを利用しています。