高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律《本則》

法番号:2005年法律第124号

略称: 高齢者虐待防止法

附則 >  

1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり、高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ、高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「 養護者に対する支援 」という。)のための措置等を定めることにより、高齢者虐待の防止、 養護者に対する支援 等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

2条 (定義等)

1項 この法律において「 高齢者 」とは、65歳以上の者をいう。

2項 この法律において「 養護者 」とは、 高齢者 を現に養護する者であって養介護施設従事者等(第5項第1号の施設の業務に従事する者及び同項第2号の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいう。

3項 この法律において「 高齢者虐待 」とは、 養護者 による 高齢者 虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいう。

4項 この法律において「 養護者による 高齢者 虐待 」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。

1号 養護者 がその養護する 高齢者 について行う次に掲げる行為

高齢者 の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

高齢者 を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、 養護者 以外の同居人によるイ、ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。

高齢者 に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

高齢者 にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。

2号 養護者 又は 高齢者 の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

5項 この法律において「 養介護施設従事者等による 高齢者 虐待 」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。

1号 老人福祉法 1963年法律第133号第5条の3 《 この法律において、「老人福祉施設」とは…》 、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。 に規定する老人福祉施設若しくは同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム又は 介護保険法 1997年法律第123号第8条第22項 《22 この法律において「地域密着型介護老…》 人福祉施設」とは、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム入所定員が29人以下であるものに限る。以下この項において同じ。であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者厚生労働省令で定める に規定する地域密着型介護老人福祉施設、同条第27項に規定する介護老人福祉施設、同条第28項に規定する介護老人保健施設、同条第29項に規定する介護医療院若しくは同法第115条の46第1項に規定する地域包括支援センター(以下「 養介護施設 」という。)の業務に従事する者が、当該 養介護施設 に入所し、その他当該養介護施設を利用する 高齢者 について行う次に掲げる行為

高齢者 の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

高齢者 を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

高齢者 に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

高齢者 にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。

高齢者 の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。

2号 老人福祉法 第5条の2第1項 《この法律において、「老人居宅生活支援事業…》 」とは、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業及び複合型サービス福祉事業をいう。 に規定する老人居宅生活支援事業又は 介護保険法 第8条第1項 《この法律において「居宅サービス」とは、訪…》 問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売 に規定する居宅サービス事業、同条第14項に規定する地域密着型サービス事業、同条第24項に規定する居宅介護支援事業、同法第8条の2第1項に規定する介護予防サービス事業、同条第12項に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第16項に規定する介護予防支援事業(以下「 養介護事業 」という。)において業務に従事する者が、当該 養介護事業 に係るサービスの提供を受ける 高齢者 について行う前号イからホまでに掲げる行為

6項 65歳未満の者であって 養介護施設 に入所し、その他養介護施設を利用し、又は 養介護事業 に係るサービスの提供を受ける障害者( 障害者基本法 1970年法律第84号第2条第1号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 1 障害者 身体障害、知的障害、精神障害発達障害を含む。その他の心身の機能の障害以下「障害」と総称する。がある者であつて、障害及び社会的障 に規定する障害者をいう。)については、 高齢者 とみなして、 養介護施設従事者等による高齢者虐待 に関する規定を適用する。

3条 (国及び地方公共団体の責務等)

1項 及び地方公共団体は、 高齢者 虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び適切な 養護者に対する支援 を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めなければならない。

2項 及び地方公共団体は、 高齢者 虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに 養護者に対する支援 が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に携わる専門的な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3項 及び地方公共団体は、 高齢者 虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に資するため、高齢者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

4条 (国民の責務)

1項 国民は、 高齢者 虐待の防止、 養護者に対する支援 等の重要性に関する理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等のための施策に協力するよう努めなければならない。

5条 (高齢者虐待の早期発見等)

1項 養介護施設 、病院、保健所その他 高齢者 の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。

2項 前項に規定する者は、国及び地方公共団体が講ずる 高齢者 虐待の防止のための啓発活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければならない。

2章 養護者による高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等

6条 (相談、指導及び助言)

1項 市町村は、 養護者 による 高齢者 虐待の防止及び養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護のため、高齢者及び養護者に対して、相談、指導及び助言を行うものとする。

7条 (養護者による高齢者虐待に係る通報等)

1項 養護者 による 高齢者 虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

2項 前項に定める場合のほか、 養護者 による 高齢者 虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。

3項 刑法 1907年法律第45号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前2項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

8条

1項 市町村が前条第1項若しくは第2項の規定による通報又は次条第1項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

9条 (通報等を受けた場合の措置)

1項 市町村は、 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は 高齢者 からの 養護者 による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、 第16条 《連携協力体制 市町村は、養護者による高…》 齢者虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び養護者に対する支援を適切に実施するため、老人福祉法第20条の7の2第1項に規定する老人介護支援センター、介護保険法第115条の46第3項の の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「 高齢者虐待対応協力者 」という。)とその対応について協議を行うものとする。

2項 市町村又は市町村長は、 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は前項に規定する届出があった場合には、当該通報又は届出に係る 高齢者 に対する 養護者 による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう、養護者による高齢者虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を1時的に保護するため迅速に 老人福祉法 第20条の3 《老人短期入所施設 老人短期入所施設は、…》 第10条の4第1項第3号の措置に係る者又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を短 に規定する老人短期入所施設等に入所させる等、適切に、同法第10条の4第1項若しくは 第11条第1項 《市町村長は、養護者による高齢者虐待により…》 高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第115条の46第2項の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をし の規定による措置を講じ、又は、適切に、同法第32条の規定により審判の請求をするものとする。

10条 (居室の確保)

1項 市町村は、 養護者 による 高齢者 虐待を受けた高齢者について 老人福祉法 第10条の4第1項第3号 《市町村は、必要に応じて、次の措置を採るこ…》 とができる。 1 65歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護厚生 又は 第11条第1項第1号 《市町村は、必要に応じて、次の措置を採らな…》 ければならない。 1 65歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由政令で定めるものに限る。により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市 若しくは第2号の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。

11条 (立入調査)

1項 市町村長は、 養護者 による 高齢者 虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、 介護保険法 第115条の46第2項 《2 市町村は、地域包括支援センターを設置…》 することができる。 の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。

2項 前項の規定による立入り及び調査又は質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3項 第1項の規定による立入り及び調査又は質問を行う権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

12条 (警察署長に対する援助要請等)

1項 市町村長は、前条第1項の規定による立入り及び調査又は質問をさせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該 高齢者 の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。

2項 市町村長は、 高齢者 の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。

3項 警察署長は、第1項の規定による援助の求めを受けた場合において、 高齢者 の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な 警察官職務執行法 1948年法律第136号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

13条 (面会の制限)

1項 養護者 による 高齢者 虐待を受けた高齢者について 老人福祉法 第11条第1項第2号 《市町村は、必要に応じて、次の措置を採らな…》 ければならない。 1 65歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由政令で定めるものに限る。により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市 又は第3号の措置が採られた場合においては、市町村長又は当該措置に係る 養介護施設 の長は、養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護の観点から、当該養護者による高齢者虐待を行った養護者について当該高齢者との面会を制限することができる。

14条 (養護者の支援)

1項 市町村は、 第6条 《相談、指導及び助言 市町村は、養護者に…》 よる高齢者虐待の防止及び養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護のため、高齢者及び養護者に対して、相談、指導及び助言を行うものとする。 に規定するもののほか、 養護者 の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講ずるものとする。

2項 市町村は、前項の措置として、 養護者 の心身の状態に照らしその養護の負担の軽減を図るため緊急の必要があると認める場合に 高齢者 が短期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を講ずるものとする。

15条 (専門的に従事する職員の確保)

1項 市町村は、 養護者 による 高齢者 虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び 養護者に対する支援 を適切に実施するために、これらの事務に専門的に従事する職員を確保するよう努めなければならない。

16条 (連携協力体制)

1項 市町村は、 養護者 による 高齢者 虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び 養護者に対する支援 を適切に実施するため、 老人福祉法 第20条の7の2第1項 《老人介護支援センターは、地域の老人の福祉…》 に関する各般の問題につき、老人、その者を現に養護する者、地域住民その他の者からの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、主として居宅において介護を受ける老人又はその者を現に養護する者と市町村、老人居宅生 に規定する老人介護支援センター、 介護保険法 第115条の46第3項 《3 次条第1項の規定による委託を受けた者…》 第115条の45第2項第4号から第6号までに掲げる事業のみの委託を受けたものを除く。は、包括的支援事業その他第1項の厚生労働省令で定める事業を実施するため、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ の規定により設置された地域包括支援センターその他関係機関、民間団体等との連携協力体制を整備しなければならない。この場合において、養護者による高齢者虐待にいつでも迅速に対応することができるよう、特に配慮しなければならない。

17条 (事務の委託)

1項 市町村は、 高齢者 虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、 第6条 《相談、指導及び助言 市町村は、養護者に…》 よる高齢者虐待の防止及び養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護のため、高齢者及び養護者に対して、相談、指導及び助言を行うものとする。 の規定による相談、指導及び助言、 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は 第9条第1項 《市町村は、第7条第1項若しくは第2項の規…》 定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第16条の規定によ に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに 第14条第1項 《市町村は、第6条に規定するもののほか、養…》 護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講ずるものとする。 の規定による 養護者 の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。

2項 前項の規定による委託を受けた 高齢者 虐待対応協力者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

3項 第1項の規定により 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は 第9条第1項 《市町村は、第7条第1項若しくは第2項の規…》 定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第16条の規定によ に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた 高齢者 虐待対応協力者が 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は 第9条第1項 《市町村は、第7条第1項若しくは第2項の規…》 定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第16条の規定によ に規定する届出を受けた場合には、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者又はその役員若しくは職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

18条 (周知)

1項 市町村は、 養護者 による 高齢者 虐待の防止、 第7条第1項 《養護者による高齢者虐待を受けたと思われる…》 高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。 若しくは第2項の規定による通報又は 第9条第1項 《市町村は、第7条第1項若しくは第2項の規…》 定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第16条の規定によ に規定する届出の受理、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護、 養護者に対する支援 等に関する事務についての窓口となる部局及び高齢者虐待対応協力者の名称を明示すること等により、当該部局及び高齢者虐待対応協力者を周知させなければならない。

19条 (都道府県の援助等)

1項 都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。

2項 都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。

3章 養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等

20条 (養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置)

1項 養介護施設 の設置者又は 養介護事業 を行う者は、養介護施設従事者等の研修の実施、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用し、又は当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける 高齢者 及びその家族からの苦情の処理の体制の整備その他の 養介護施設従事者等による高齢者虐待 の防止等のための措置を講ずるものとする。

21条 (養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等)

1項 養介護施設 従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は 養介護事業 当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する 養介護施設従事者等による高齢者虐待 を受けたと思われる 高齢者 を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

2項 前項に定める場合のほか、 養介護施設従事者等による高齢者虐待 を受けたと思われる 高齢者 を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

3項 前2項に定める場合のほか、 養介護施設従事者等による高齢者虐待 を受けたと思われる 高齢者 を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。

4項 養介護施設従事者等による高齢者虐待 を受けた 高齢者 は、その旨を市町村に届け出ることができる。

5項 第18条 《周知 市町村は、養護者による高齢者虐待…》 の防止、第7条第1項若しくは第2項の規定による通報又は第9条第1項に規定する届出の受理、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護、養護者に対する支援等に関する事務についての窓口となる部局及び高齢者虐 の規定は、第1項から第3項までの規定による通報又は前項の規定による届出の受理に関する事務を担当する部局の周知について準用する。

6項 刑法 の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第1項から第3項までの規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

7項 養介護施設 従事者等は、第1項から第3項までの規定による通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。

22条

1項 市町村は、前条第1項から第3項までの規定による通報又は同条第4項の規定による届出を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通報又は届出に係る 養介護施設従事者等による高齢者虐待 に関する事項を、当該養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る 養介護施設 又は当該養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る 養介護事業 の事業所の所在地の都道府県に報告しなければならない。

2項 前項の規定は、 地方自治法 1947年法律第67号第252条の19第1項 《政令で指定する人口五十万以上の市以下「指…》 定都市」という。は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することがで の指定都市及び同法第252条の22第1項の中核市については、厚生労働省令で定める場合を除き、適用しない。

23条

1項 市町村が 第21条第1項 《養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事…》 者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。において業務に従事する養介護施設従事者 から第3項までの規定による通報又は同条第4項の規定による届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。都道府県が前条第1項の規定による報告を受けた場合における当該報告を受けた都道府県の職員についても、同様とする。

24条 (通報等を受けた場合の措置)

1項 市町村が 第21条第1項 《養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事…》 者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。において業務に従事する養介護施設従事者 から第3項までの規定による通報若しくは同条第4項の規定による届出を受け、又は都道府県が 第22条第1項 《市町村は、前条第1項から第3項までの規定…》 による通報又は同条第4項の規定による届出を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通報又は届出に係る養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する事項を、当該養介護施設従事者等による高齢者虐待 の規定による報告を受けたときは、市町村長又は都道府県知事は、 養介護施設 の業務又は 養介護事業 の適正な運営を確保することにより、当該通報又は届出に係る 高齢者 に対する 養介護施設従事者等による高齢者虐待 の防止及び当該高齢者の保護を図るため、 老人福祉法 又は 介護保険法 の規定による権限を適切に行使するものとする。

25条 (公表)

1項 都道府県知事は、毎年度、 養介護施設従事者等による高齢者虐待 の状況、養介護施設従事者等による高齢者虐待があった場合にとった措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする。

4章 雑則

26条 (調査研究)

1項 国は、 高齢者 虐待の事例の分析を行うとともに、高齢者虐待があった場合の適切な対応方法、高齢者に対する適切な養護の方法その他の高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び 養護者に対する支援 に資する事項について調査及び研究を行うものとする。

27条 (財産上の不当取引による被害の防止等)

1項 市町村は、 養護者 高齢者 の親族又は 養介護施設 従事者等以外の者が不当に財産上の利益を得る目的で高齢者と行う取引(以下「 財産上の不当取引 」という。)による高齢者の被害について、相談に応じ、若しくは消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関を紹介し、又は高齢者虐待対応協力者に、 財産上の不当取引 による高齢者の被害に係る相談若しくは関係機関の紹介の実施を委託するものとする。

2項 市町村長は、 財産上の不当取引 の被害を受け、又は受けるおそれのある 高齢者 について、適切に、 老人福祉法 第32条 《審判の請求 市町村長は、65歳以上の者…》 につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、第17条第1項、第876条の4第1項又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をすること の規定により審判の請求をするものとする。

28条 (成年後見制度の利用促進)

1項 及び地方公共団体は、 高齢者 虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに 財産上の不当取引 による高齢者の被害の防止及び救済を図るため、成年後見制度の周知のための措置、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない。

5章 罰則

29条

1項 第17条第2項 《2 前項の規定による委託を受けた高齢者虐…》 待対応協力者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑又は1,010,000円以下の罰金に処する。

30条

1項 正当な理由がなく、 第11条第1項 《市町村長は、養護者による高齢者虐待により…》 高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第115条の46第2項の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をし の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは 高齢者 に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、310,000円以下の罰金に処する。

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