租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律《本則》

法番号:2010年法律第8号

略称: 租特透明化法

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1条 (目的)

1項 この法律は、租税特別措置に関し、適用の実態を把握するための調査及びその結果の国会への報告等の措置を定めることにより、適用の状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進し、もって国民が納得できる公平で透明性の高い税制の確立に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1号 租税特別措置 :所得税、法人税、地方法人税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税、航空機燃料税、自動車重量税、国際観光旅客税、印紙税その他の内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付する措置又はこれらの税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき設けられた 所得税法 1965年法律第33号)、法人税法(1965年法律第34号)、 地方法人税法 2014年法律第11号)、 相続税法 1950年法律第73号)、 地価税法 1991年法律第69号)、 登録免許税法 1967年法律第35号)、 消費税法 1988年法律第108号)、 酒税法 1953年法律第6号)、 たばこ税法 1984年法律第72号)、 揮発油税法 1957年法律第55号)、 地方揮発油税法 1955年法律第104号)、 石油石炭税法 1978年法律第25号)、 航空機燃料税法 1972年法律第7号)、 自動車重量税法 1971年法律第89号)、 国際観光旅客税法 2018年法律第16号)、 印紙税法 1967年法律第23号)、 国税通則法 1962年法律第66号及び 国税徴収法 1959年法律第147号)の特例で、 租税特別措置 法(1957年法律第26号)の規定(税務署長に提出する書類の提出期限の特例を定める規定、税負担を不当に減少させる行為の防止に関する規定その他の政令で定める規定を除く。)により規定されたものをいう。

2号 法人税関係特別措置 租税特別措置 のうち 租税特別措置法 第3章の規定によるものをいう。

3号 納税者 国税通則法 第2条第5号 《定義 第2条 この法律において、次の各号…》 に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 国税 国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のものをいう。 2 源泉徴収等による国税 源泉徴収に係る所得 に規定する 納税者 をいう。

4号 法人税申告書 :法人税法第74条第1項、第89条(同法第145条の5において準用する場合を含む。並びに第144条の6第1項及び第2項の規定による申告書(当該申告書に係る 国税通則法 第18条第2項 《2 前項の規定により提出する納税申告書は…》 、期限後申告書という。 に規定する期限後申告書を含む。)をいう。

5号 事業年度 :法人税法第13条及び第14条に規定する 事業年度 をいう。

6号 適用額 :各 法人税関係特別措置 の適用を受けた法人がその適用を受けたことにより増加し、又は減少した税額、所得の金額その他の財務省令で定める金額をいう。

7号 適用額明細書 法人税申告書 を提出する法人が、当該法人税申告書に係る 事業年度 において適用を受ける各 法人税関係特別措置 の内容、 適用額 その他の法人税関係特別措置の適用の状況の透明化を図るために必要な事項として財務省令で定める事項を記載した一覧表をいう。

8号 適用実態調査 :財務大臣が、 租税特別措置 の適用の実態を把握するため、 第4条 《適用実態調査の実施 財務大臣は、法人税…》 関係特別措置について、適用額明細書に記載された事項を集計することにより、法人税関係特別措置ごとの適用法人数当該法人税関係特別措置の適用を受けた法人の数をいう。、適用額の総額その他の適用の実態を調査する の規定に基づき行う調査をいう。

2項 法人税法第2条第8号に規定する人格のない社団等及び同条第29号の2に規定する 法人課税信託 次項において「 法人課税信託 」という。)の受託者である個人は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。

3項 法人課税信託 の受託者は、各法人課税信託の法人税法第4条の2第1項に規定する信託資産等及び固有資産等ごとに、それぞれ別の者とみなして、この法律の規定を適用する。

3条 (適用額明細書の提出義務)

1項 法人税申告書 を提出する法人で、当該法人税申告書に係る 事業年度 において 法人税関係特別措置 税額又は所得の金額を減少させる規定その他の政令で定める規定によるものに限る。以下 第5条 《適用実態調査の結果に関する報告書の作成及…》 び提出 財務大臣は、毎会計年度、次に掲げる事項を記載した適用実態調査の結果に関する報告書を作成しなければならない。 1 租税特別措置適用実態調査を実施したものに限る。以下この項において同じ。ごとの適 までにおいて同じ。)の適用を受けようとするものは、当該法人税関係特別措置につき記載した 適用額 明細書を当該法人税申告書に添付しなければならない。

2項 前項の規定による 適用額 明細書を添付せず、又は虚偽の記載をした適用額明細書を添付して 法人税申告書 を提出した法人については、当該法人税申告書に係る 事業年度 において適用を受けようとする 法人税関係特別措置 の適用は、ないものとする。

3項 税務署長は、第1項の規定による 適用額 明細書の添付がない 法人税申告書 又は同項の規定による適用額明細書の記載に虚偽がある法人税申告書の提出があった場合においても、誤りのない適用額明細書の提出があったときは、当該適用額明細書に係る 法人税関係特別措置 を適用することができる。ただし、故意に、適用額明細書を添付せず、又は虚偽の記載をした適用額明細書を添付して法人税申告書を提出したと認められる場合は、この限りでない。

4項 法人税法第75条の4第2項に規定する特定法人である法人が 法人税関係特別措置 の適用を受ける場合における 租税特別措置 法第68条の4の規定により読み替えて適用される法人税法第2編第1章第3節第2款の2の規定の適用については、同条の規定により読み替えて適用される同法第75条の4第1項中「定める規定」とあるのは「定める規定、 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律 2010年法律第8号第3条第1項 《法人税申告書を提出する法人で、当該法人税…》 申告書に係る事業年度において法人税関係特別措置税額又は所得の金額を減少させる規定その他の政令で定める規定によるものに限る。以下第5条までにおいて同じ。の適用を受けようとするものは、当該法人税関係特別措 適用額 明細書の提出義務)の規定」と、同条第3項中「定める規定」とあるのは「定める規定、 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律 の規定」とする。

4条 (適用実態調査の実施)

1項 財務大臣は、 法人税関係特別措置 について、 適用額 明細書に記載された事項を集計することにより、法人税関係特別措置ごとの適用法人数(当該法人税関係特別措置の適用を受けた法人の数をいう。)、適用額の総額その他の適用の実態を調査するものとする。

2項 前項の規定によるもののほか、財務大臣は、 租税特別措置 の適用の実態を調査する必要があると認めるときは、その必要の限度において、法令の定めるところにより税務署長に提出される 所得税法 第225条第1項 《次の各号に掲げる者は、財務省令で定めると…》 ころにより、当該各号に規定する支払第10号及び第11号に規定する交付並びに第13号に規定する差金等決済を含む。に関する調書を、その支払当該交付及び当該差金等決済を含む。の確定した日第1号又は第8号に規 に規定する調書その他の資料を利用し、並びに 行政機関 が行う政策の評価に関する法律(2001年法律第86号。 第6条 《源泉徴収義務者 第28条第1項給与所得…》 に規定する給与等の支払をする者その他第4編第1章から第6章まで源泉徴収に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。 において「 政策評価法 」という。)第2条第1項に規定する行政機関(以下「 行政機関 」という。)その他の租税特別措置の適用に関連する業務を行う団体に対し資料の提出及び説明を求めることができる。

5条 (適用実態調査の結果に関する報告書の作成及び提出)

1項 財務大臣は、毎会計年度、次に掲げる事項を記載した 適用実態調査 の結果に関する報告書を作成しなければならない。

1号 租税特別措置 適用実態調査 を実施したものに限る。以下この項において同じ。)ごとの適用者数(当該租税特別措置の適用を受けた 納税者 の数をいう。及び適用総額( 法人税関係特別措置 にあっては 適用額 の総額をいい、法人税関係特別措置以外の租税特別措置にあっては納税者が各租税特別措置の適用を受けたことにより増加し、又は減少した税額、所得の金額その他これらに準ずる金額の総額をいう。

2号 法人税関係特別措置 ごとの高額 適用額 第3条 《適用額明細書の提出義務 法人税申告書を…》 提出する法人で、当該法人税申告書に係る事業年度において法人税関係特別措置税額又は所得の金額を減少させる規定その他の政令で定める規定によるものに限る。以下第5条までにおいて同じ。の適用を受けようとするも の規定により提出された適用額明細書に記載された当該法人税関係特別措置の適用額について最も大きいものから順次その順位を付した場合における第一順位から第十順位までに該当する各適用額をいう。

3号 租税特別措置 の適用を受けた 納税者 の分布状況その他の租税特別措置の適用の状況の透明化を図るために必要な事項

2項 内閣は、前項の規定により財務大臣が作成した報告書を国会に提出しなければならない。この場合において、当該報告書は、作成した会計年度に開会される国会の常会に提出することを常例とする。

6条 (適用実態調査情報の提供)

1項 行政機関 の長又は総務大臣は、当該行政機関が行う 政策評価法 第3条第2項 《2 前項の規定に基づく評価以下「政策評価…》 」という。は、その客観的かつ厳格な実施の確保を図るため、次に掲げるところにより、行われなければならない。 1 政策効果は、政策の特性に応じた合理的な手法を用い、できる限り定量的に把握すること。 2 政 に規定する政策評価又は総務省が行う政策評価法第12条第1項若しくは第2項の規定による評価を行うために必要があると認めるときは、その必要の限度において、財務大臣に対し、 適用実態調査 情報(適用実態調査によって集められた情報のうち、文書、図面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。以下同じ。)の提供を求めることができる。

2項 財務大臣は、 行政機関 の長又は総務大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、 適用実態調査 情報を提供するものとする。

7条 (適用実態調査情報の適正な管理)

1項 財務大臣及び前条の規定により 適用実態調査 情報の提供を受けた 行政機関 の長又は総務大臣は、適用実態調査情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

8条 (適用実態調査情報の利用制限)

1項 財務大臣は、 第6条 《適用実態調査情報の提供 行政機関の長又…》 は総務大臣は、当該行政機関が行う政策評価法第3条第2項に規定する政策評価又は総務省が行う政策評価法第12条第1項若しくは第2項の規定による評価を行うために必要があると認めるときは、その必要の限度におい の規定による場合を除き、その行った 適用実態調査 の目的以外の目的のために、適用実態調査情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

2項 第6条 《適用実態調査情報の提供 行政機関の長又…》 は総務大臣は、当該行政機関が行う政策評価法第3条第2項に規定する政策評価又は総務省が行う政策評価法第12条第1項若しくは第2項の規定による評価を行うために必要があると認めるときは、その必要の限度におい の規定により 適用実態調査 情報の提供を受けた 行政機関 の長又は総務大臣は、その提供を受けた目的以外の目的のために、当該適用実態調査情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

9条 (守秘義務)

1項 適用実態調査 情報の取扱いに従事する者又は従事していた者は、当該適用実態調査情報を取り扱う業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らしてはならない。

10条 (権限の委任)

1項 この法律に規定する財務大臣の権限は、政令で定めるところにより、国税庁長官に委任することができる。

11条 (財務省令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、 適用額 明細書の様式、 適用実態調査 の実施細目、 第5条第1項 《財務大臣は、毎会計年度、次に掲げる事項を…》 記載した適用実態調査の結果に関する報告書を作成しなければならない。 1 租税特別措置適用実態調査を実施したものに限る。以下この項において同じ。ごとの適用者数当該租税特別措置の適用を受けた納税者の数をい の報告書の作成方法その他この法律を実施するため必要な事項は、財務省令で定める。

12条 (罰則)

1項 第9条 《守秘義務 適用実態調査情報の取扱いに従…》 事する者又は従事していた者は、当該適用実態調査情報を取り扱う業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反して、その業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らした者は、2年以下の拘禁刑又は1,010,000円以下の罰金に処する。

2項 前項の規定は、同項の罪に当たる行為が 国税通則法 第127条 《 国税に関する調査不服申立てに係る事件の…》 審理のための調査及び第131条第1項質問、検査又は領置等に規定する犯則事件の調査を含む。若しくは外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律1962年法律第144号若しくは租 の罪に触れるときは、適用しない。

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