1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会(以下「 健康長寿社会 」という。)を形成するためには、先端的な科学技術を用いた医療、革新的な医薬品等( 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (1960年法律第145号)
第2条第1項
《この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物を…》
いう。 1 日本薬局方に収められている物 2 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム電子計算
に規定する医薬品、同条第4項に規定する医療機器又は同条第9項に規定する再生医療等製品をいう。
第13条第1項
《医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許…》
可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造をしてはならない。
において同じ。)を用いた医療その他の世界最高水準の技術を用いた医療(以下「 世界最高水準の医療 」という。)の提供に資する医療分野の研究開発並びにその環境の整備及び成果の普及並びに 健康長寿社会 の形成に資する新たな産業活動の創出及び活性化並びにそれらの環境の整備(以下「 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 」という。)を図るとともに、それを通じた我が国経済の成長を図ることが重要となっていることに鑑み、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関し、基本理念、国等の責務、その推進を図るための基本的施策その他基本となる事項について定めるとともに、政府が講ずべき健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「 健康・医療戦略 」という。)の作成及び 健康・医療戦略 推進本部の設置その他の健康・医療戦略の推進に必要となる事項について定めることにより、健康・医療戦略を推進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的とする。
2条 (基本理念)
1項 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 は、医療分野の研究開発における基礎的な研究開発から実用化のための研究開発までの一貫した研究開発の推進及びその成果の円滑な実用化により、 世界最高水準の医療 の提供に資するとともに、 健康長寿社会 の形成に資する新たな産業活動の創出及びその海外における展開の促進その他の活性化により、海外における医療の質の向上にも寄与しつつ、我が国経済の成長に資するものとなることを旨として、行われなければならない。
3条 (国の責務)
1項 国は、前条に定める 基本理念 (以下「 基本理念 」という。)にのっとり、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
4条 (地方公共団体の責務)
1項 地方公共団体は、 基本理念 にのっとり、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
5条 (研究機関の責務)
1項 大学、研究開発法人( 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律 (2008年法律第63号)
第2条第9項
《9 この法律において「研究開発法人」とは…》
、独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人以下単に「独立行政法人」という。又は特殊法人法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省
に規定する研究開発法人をいう。)その他の研究機関(以下単に「研究機関」という。)は、 基本理念 にのっとり、医療分野の研究開発及びその成果の普及並びに人材の育成に積極的に努めなければならない。
2項 研究機関は、医療分野の研究開発を行うに当たっては、先端的、学際的又は総合的な研究に努めなければならない。
6条 (医療機関の責務)
1項 医療機関は、 基本理念 にのっとり、
第3条
《国の責務 国は、前条に定める基本理念以…》
下「基本理念」という。にのっとり、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
の規定に基づき国が実施する施策及び
第4条
《地方公共団体の責務 地方公共団体は、基…》
本理念にのっとり、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実
の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めなければならない。
7条 (健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を行う事業者の責務)
1項 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 を行う事業者(次条、
第12条
《研究開発の公正かつ適正な実施の確保 国…》
は、研究機関、医療機関又は事業者が、医療分野の研究開発を行うに当たっては、法令及び研究開発に関する行政指導指針行政手続法1993年法律第88号第2条第8号ニの行政指導指針をいう。を遵守し、生命倫理への
及び
第16条
《人材の確保等 国は、地方公共団体、研究…》
機関、医療機関及び事業者と緊密な連携協力を図りながら、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。
において単に「事業者」という。)は、 基本理念 にのっとり、自ら研究開発に努めるとともに、
第3条
《国の責務 国は、前条に定める基本理念以…》
下「基本理念」という。にのっとり、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
の規定に基づき国が実施する施策及び
第4条
《地方公共団体の責務 地方公共団体は、基…》
本理念にのっとり、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実
の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めなければならない。
8条 (連携の強化)
1項 国は、国、地方公共団体、研究機関、医療機関及び事業者が相互に連携を図りながら協力することにより、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 の効果的な実施が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
9条 (法制上の措置等)
1項 国は、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
2章 基本的施策
10条 (研究開発の推進)
1項 国は、 世界最高水準の医療 の提供に必要な医療分野の研究開発の推進及びその成果の円滑な実用化を図るため、医療分野の研究開発に関し、基礎的な研究開発から実用化のための研究開発までの一貫した研究開発の推進、研究機関における研究開発の成果の移転のための体制の整備、研究開発の成果に係る情報の提供その他の施策を講ずるものとする。
11条 (研究開発の環境の整備)
1項 国は、 世界最高水準の医療 の提供に必要な医療分野の研究開発が円滑かつ効果的に行われるよう、研究機関における医療分野の研究開発及び臨床研究において中核的な役割を担う医療機関における臨床研究の環境の整備その他の施策を講ずるものとする。
12条 (研究開発の公正かつ適正な実施の確保)
1項 国は、研究機関、医療機関又は事業者が、医療分野の研究開発を行うに当たっては、法令及び研究開発に関する行政指導指針( 行政手続法 (1993年法律第88号)
第2条第8号
《定義 第2条 この法律において、次の各号…》
に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 法令 法律、法律に基づく命令告示を含む。、条例及び地方公共団体の執行機関の規則規程を含む。以下「規則」という。をいう。 2 処分 行政庁の処分
ニの行政指導指針をいう。)を遵守し、生命倫理への配慮及び個人情報の適切な管理を行うよう、医療分野の研究開発の公正かつ適正な実施の確保に必要な施策を講ずるものとする。
13条 (研究開発成果の実用化のための審査体制の整備等)
1項 国は、医療分野の研究開発の成果である新たな医薬品等の実用化が迅速かつ安全に図られるよう、 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
第14条
《医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の…》
承認 医薬品厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。、医薬部外品厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は
、
第23条の2
《製造販売業の許可 次の表の上欄に掲げる…》
医療機器又は体外診断用医薬品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売をしてはならない。 医療機器又は体
の五又は
第23条の25
《再生医療等製品の製造販売の承認 再生医…》
療等製品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。 2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の承認は、与えない。 1 申請者が、第23
の規定による医薬品等の承認のための審査その他の医薬品等の実用化のために必要な手続の迅速かつ的確な実施を可能とする審査体制の整備その他の施策を講ずるものとする。
2項 国は、医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質、有効性及び安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学の振興に必要な体制の整備、人材の確保、養成及び資質の向上その他の施策を講ずるものとする。
14条 (新産業の創出及び海外展開の促進)
1項 国は、 健康長寿社会 の形成に資する新たな産業活動の活性化を図るため、医療分野の研究開発の成果の企業化の促進その他の新たな産業活動の創出及びその海外における展開の促進に必要な施策を講ずるものとする。
15条 (教育の振興等)
1項 国は、国民が広く 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に対する関心と理解を深めるよう、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
16条 (人材の確保等)
1項 国は、地方公共団体、研究機関、医療機関及び事業者と緊密な連携協力を図りながら、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。
3章 健康・医療戦略
17条
1項 政府は、 基本理念 にのっとり、前章に定める基本的施策を踏まえ、 健康・医療戦略 を定めるものとする。
2項 健康・医療戦略 は、次に掲げる事項について定めるものとする。
1号 政府が総合的かつ長期的に講ずべき 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する施策の大綱
2号 前号に掲げるもののほか、政府が講ずべき 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3項 内閣総理大臣は、 健康・医療戦略 推進本部の作成した健康・医療戦略の案について閣議の決定を求めるものとする。
4項 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、 健康・医療戦略 を公表するものとする。
5項 前2項の規定は、 健康・医療戦略 の変更について準用する。
4章 医療分野の研究開発の推進
18条 (医療分野研究開発推進計画)
1項 健康・医療戦略 推進本部は、政府が講ずべき医療分野の研究開発並びにその環境の整備及び成果の普及に関する施策(以下「 医療分野研究開発等施策 」という。)の集中的かつ計画的な推進を図るため、健康・医療戦略に即して、 医療分野研究開発等施策 の推進に関する計画(以下この条、次条及び
第21条第2号
《所掌事務 第21条 本部は、次に掲げる事…》
務をつかさどる。 1 健康・医療戦略の案の作成及び実施の推進に関すること。 2 医療分野研究開発推進計画の作成及び実施の推進に関すること。 3 医療分野の研究開発及びその環境の整備に関する予算、人材そ
において「 医療分野研究開発推進計画 」という。)を作成するものとする。
2項 医療分野研究開発推進計画 は、次に掲げる事項について定めるものとする。
1号 医療分野研究開発等施策 についての基本的な方針
2号 集中的かつ計画的に講ずべき 医療分野研究開発等施策
3号 前2号に掲げるもののほか、 医療分野研究開発等施策 を集中的かつ計画的に推進するために必要な事項
3項 前項第2号の 医療分野研究開発等施策 については、当該医療分野研究開発等施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
4項 健康・医療戦略 推進本部は、第1項の規定により 医療分野研究開発推進計画 を作成したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5項 健康・医療戦略 推進本部は、医療分野の研究開発を取り巻く状況の変化を勘案し、及び 医療分野研究開発等施策 の効果に関する評価を踏まえ、 医療分野研究開発推進計画 の見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。
6項 第4項の規定は、 医療分野研究開発推進計画 の変更について準用する。
19条 (国立研究開発法人日本医療研究開発機構の中核的な役割)
1項 医療分野研究開発推進計画 は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が、研究機関の能力を活用して行う医療分野の研究開発及びその環境の整備並びに研究機関における医療分野の研究開発及びその環境の整備の助成において中核的な役割を担うよう作成するものとする。
5章 健康・医療戦略推進本部
20条 (設置)
1項 健康・医療戦略 の推進を図るため、内閣に、健康・医療戦略推進 本部 (以下「 本部 」という。)を置く。
21条 (所掌事務)
1項 本部 は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 健康・医療戦略 の案の作成及び実施の推進に関すること。
2号 医療分野研究開発推進計画 の作成及び実施の推進に関すること。
3号 医療分野の研究開発及びその環境の整備に関する予算、人材その他の資源の配分の方針の企画及び立案並びに総合調整に関すること。
4号 国立研究開発法人日本医療研究開発機構法 (2014年法律第49号)
第8条
《役員の任命に関する健康・医療戦略推進本部…》
の関与 主務大臣は、通則法第20条第1項の規定により理事長を任命しようとするとき及び同条第2項の規定により監事を任命しようとするときは、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない
又は
第20条
《中長期目標等に関する健康・医療戦略推進本…》
部の関与 主務大臣は、通則法第35条の4第1項の規定により中長期目標を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、健康・医療戦略推進本部の意見を聴かなければならない。 2 主務大臣は、通則法第35
の規定により意見を述べること。
5号 前各号に掲げるもののほか、 健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出 に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。
6号 前各号に掲げるもののほか、他の法令の規定により 本部 に属させられた事務
22条 (組織)
1項 本部 は、 健康・医療戦略 推進本部長、健康・医療戦略推進副本部長及び健康・医療戦略推進本部員をもって組織する。
23条 (健康・医療戦略推進本部長)
1項 本部 の長は、 健康・医療戦略 推進本部長(次項、次条第2項及び
第25条第2項
《2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全…》
ての国務大臣をもって充てる。
において「 本部長 」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2項 本部 長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
24条 (健康・医療戦略推進副本部長)
1項 本部 に、 健康・医療戦略 推進 副本部長 (次項及び次条第2項において「 副本部長 」という。)を置き、内閣官房長官及び健康・医療戦略担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、健康・医療戦略に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2項 副本部長 は、 本部 長の職務を助ける。
25条 (健康・医療戦略推進本部員)
1項 本部 に、 健康・医療戦略 推進本部員(次項において「 本部員 」という。)を置く。
2項 本部 員は、本部長及び 副本部長 以外の全ての国務大臣をもって充てる。
26条 (資料の提出その他の協力)
1項 本部 は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人( 独立行政法人通則法 (1999年法律第103号)
第2条第1項
《この法律において「独立行政法人」とは、国…》
民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ
に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 (2003年法律第118号)
第2条第1項
《この法律において「地方独立行政法人」とは…》
、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主
に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、 総務省設置法 (1999年法律第91号)
第4条第1項第8号
《総務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 恩給制度に関する企画及び立案に関すること。 2 恩給を受ける権利の裁定並びに恩給の支給及び負担に関すること。 3 行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関す
の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2項 本部 は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
27条 (事務)
1項 本部 に関する事務は、内閣府において処理する。
28条 (主任の大臣)
29条 (政令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、 本部 に関し必要な事項は、政令で定める。