1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくためには、国民1人1人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的に推進すること(以下「 まち・ひと・しごと創生 」という。)が重要となっていることに鑑み、 まち・ひと・しごと創生 について、基本理念、国等の責務、政府が講ずべきまち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための計画(以下「 まち・ひと・しごと創生総合戦略 」という。)の作成等について定めるとともに、まち・ひと・しごと創生本部を設置することにより、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目的とする。
2条 (基本理念)
1項 まち・ひと・しごと創生 は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
1号 国民が個性豊かで魅力ある地域社会において潤いのある豊かな生活を営むことができるよう、それぞれの地域の実情に応じて環境の整備を図ること。
2号 日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、その需要及び供給を長期的に見通しつつ、かつ、地域における住民の負担の程度を考慮して、事業者及び地域住民の理解と協力を得ながら、現在及び将来におけるその提供の確保を図ること。
3号 結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、結婚、出産又は育児についての希望を持つことができる社会が形成されるよう環境の整備を図ること。
4号 仕事と生活の調和を図ることができるよう環境の整備を図ること。
5号 地域の特性を生かした創業の促進や事業活動の活性化により、魅力ある就業の機会の創出を図ること。
6号 前各号に掲げる事項が行われるに当たっては、地域の実情に応じ、地方公共団体相互の連携協力による効率的かつ効果的な行政運営の確保を図ること。
7号 前各号に掲げる事項が行われるに当たっては、国、地方公共団体及び事業者が相互に連携を図りながら協力するよう努めること。
3条 (国の責務)
1項 国は、前条に定める 基本理念 (以下「 基本理念 」という。)にのっとり、 まち・ひと・しごと創生 に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
2項 国の関係行政機関は、 まち・ひと・しごと創生 に関する施策の効率的かつ効果的な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
3項 国は、地方公共団体その他の者が行う まち・ひと・しごと創生 に関する取組のために必要となる情報の収集及び提供その他の支援を行うよう努めなければならない。
4項 国は、教育活動、広報活動その他の活動を通じて、 まち・ひと・しごと創生 に関し、国民の関心と理解を深めるよう努めなければならない。
4条 (地方公共団体の責務)
1項 地方公共団体は、 基本理念 にのっとり、 まち・ひと・しごと創生 に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の実情に応じた自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
5条 (事業者の努力)
1項 事業者は、 基本理念 に配意してその事業活動を行うとともに、国又は地方公共団体が実施する まち・ひと・しごと創生 に関する施策に協力するよう努めなければならない。
6条 (国民の努力)
1項 国民は、 まち・ひと・しごと創生 についての関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施するまち・ひと・しごと創生に関する施策に協力するよう努めるものとする。
7条 (法制上の措置等)
1項 国は、 まち・ひと・しごと創生 に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
2章 まち・ひと・しごと創生総合戦略
8条
1項 政府は、 基本理念 にのっとり、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略を定めるものとする。
2項 まち・ひと・しごと創生 総合戦略は、次に掲げる事項について定めるものとする。
1号 まち・ひと・しごと創生 に関する目標
2号 まち・ひと・しごと創生 に関する施策に関する基本的方向
3号 前2号に掲げるもののほか、政府が講ずべき まち・ひと・しごと創生 に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3項 まち・ひと・しごと創生 本部は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の案を作成するに当たっては、人口の現状及び将来の見通しを踏まえ、かつ、
第12条第2号
《所掌事務 第12条 本部は、次に掲げる事…》
務をつかさどる。 1 まち・ひと・しごと創生総合戦略の案の作成及び実施の推進に関すること。 2 まち・ひと・しごと創生総合戦略についてその実施状況の総合的な検証を定期的に行うこと。 3 前2号に掲げる
の規定による検証に資するようまち・ひと・しごと創生総合戦略の実施状況に関する客観的な指標を設定するとともに、地方公共団体の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4項 内閣総理大臣は、 まち・ひと・しごと創生 本部の作成したまち・ひと・しごと創生総合戦略の案について閣議の決定を求めるものとする。
5項 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略を公表するものとする。
6項 政府は、情勢の推移により必要が生じた場合には、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略を変更しなければならない。
7項 第3項から第5項までの規定は、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略の変更について準用する。
3章 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略
9条 (都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略)
1項 都道府県は、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略を勘案して、当該都道府県の区域の実情に応じたまち・ひと・しごと創生に関する施策についての基本的な計画(以下「 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略 」という。)を定めるよう努めなければならない。
2項 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略 は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
1号 都道府県の区域における まち・ひと・しごと創生 に関する目標
2号 都道府県の区域における まち・ひと・しごと創生 に関し、都道府県が構ずべき施策に関する基本的方向
3号 前2号に掲げるもののほか、都道府県の区域における まち・ひと・しごと創生 に関し、都道府県が講ずべき施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3項 都道府県は、 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略 を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
10条 (市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略)
1項 市町村(特別区を含む。以下この条において同じ。)は、 まち・ひと・しごと創生 総合戦略( 都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略 が定められているときは、まち・ひと・しごと創生総合戦略及び都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略)を勘案して、当該市町村の区域の実情に応じたまち・ひと・しごと創生に関する施策についての基本的な計画(次項及び第3項において「 市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略 」という。)を定めるよう努めなければならない。
2項 市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略 は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
1号 市町村の区域における まち・ひと・しごと創生 に関する目標
2号 市町村の区域における まち・ひと・しごと創生 に関し、市町村が講ずべき施策に関する基本的方向
3号 前2号に掲げるもののほか、市町村の区域における まち・ひと・しごと創生 に関し、市町村が講ずべき施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3項 市町村は、 市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略 を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
4章 まち・ひと・しごと創生本部
11条 (設置)
1項 まち・ひと・しごと創生 総合戦略の推進を図るため、内閣に、まち・ひと・しごと創生本部(以下「 本部 」という。)を置く。
12条 (所掌事務)
1項 本部 は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 まち・ひと・しごと創生 総合戦略の案の作成及び実施の推進に関すること。
2号 まち・ひと・しごと創生 総合戦略についてその実施状況の総合的な検証を定期的に行うこと。
3号 前2号に掲げるもののほか、 まち・ひと・しごと創生 に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。
13条 (組織)
1項 本部 は、 まち・ひと・しごと創生 本部長、まち・ひと・しごと創生副本部長及びまち・ひと・しごと創生本部員をもって組織する。
14条 (まち・ひと・しごと創生本部長)
1項 本部 の長は、 まち・ひと・しごと創生 本部長(以下「 本部長 」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2項 本部 長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
15条 (まち・ひと・しごと創生副本部長)
1項 本部 に、 まち・ひと・しごと創生 副本部長(次項及び次条第2項において「 副本部長 」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2項 副本部長 は、 本部 長の職務を助ける。
16条 (まち・ひと・しごと創生本部員)
1項 本部 に、 まち・ひと・しごと創生 本部員(次項において「 本部員 」という。)を置く。
2項 本部 員は、本部長及び 副本部長 以外の全ての国務大臣をもって充てる。
17条 (資料の提出その他の協力)
1項 本部 は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人( 独立行政法人通則法 (1999年法律第103号)
第2条第1項
《この法律において「独立行政法人」とは、国…》
民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ
に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 (2003年法律第118号)
第2条第1項
《この法律において「地方独立行政法人」とは…》
、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主
に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、 総務省設置法 (1999年法律第91号)
第4条第1項第8号
《総務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 恩給制度に関する企画及び立案に関すること。 2 恩給を受ける権利の裁定並びに恩給の支給及び負担に関すること。 3 行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関す
の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2項 本部 は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
18条 (事務)
1項 本部 に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
19条 (主任の大臣)
20条 (政令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、 本部 に関し必要な事項は、政令で定める。