医療法人会計基準《本則》

法番号:2016年厚生労働省令第95号

略称:

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制定文 医療法(1948年法律第205号)第51条第2項の規定に基づき、医療法人会計基準を次のように定める。


1章 総則

1条 (医療法人会計の基準)

1項 医療法(1948年法律第205号。以下「」という。)第51条第2項に規定する 医療法人 以下「 医療法人 」という。)は、この省令で定めるところにより、貸借対照表及び損益計算書(以下「 貸借対照表等 」という。)を作成しなければならない。ただし、他の法令に規定がある場合は、この限りでない。

2条 (会計の原則)

1項 医療法人 は、次に掲げる原則によって、会計処理を行い、 貸借対照表等 を作成しなければならない。

1号 財政状態及び損益の状況について真実な内容を明瞭に表示すること。

2号 全ての取引について、正規の簿記の原則によって、正確な会計帳簿を作成すること。

3号 採用する会計処理の原則及び手続並びに 貸借対照表等 の表示方法については、毎会計年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。

4号 重要性の乏しいものについては、 貸借対照表等 を作成するために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法の適用に際して、本来の厳密な方法によらず、他の簡便な方法によることができること。

3条 (重要な会計方針の記載)

1項 貸借対照表等 を作成するために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他貸借対照表等を作成するための基本となる事項(次条において「 会計方針 」という。)で次に掲げる事項は、損益計算書の次に記載しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、記載を省略することができる。

1号 資産の評価基準及び評価方法

2号 固定資産の減価償却の方法

3号 引当金の計上基準

4号 消費税及び地方消費税の会計処理の方法

5号 その他 貸借対照表等 作成のための基本となる重要な事項

4条 (会計方針の変更に関する記載)

1項 会計方針 を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更が 貸借対照表等 に与えている影響の内容を前条の規定による記載の次に記載しなければならない。

5条 (総額表示)

1項 貸借対照表における資産、負債及び純資産並びに損益計算書における収益及び費用は、原則として総額をもって表示しなければならない。

6条 (金額の表示の単位)

1項 貸借対照表等 に係る事項の金額は、1,000円単位をもって表示するものとする。

2章 貸借対照表

7条 (貸借対照表の表示)

1項 貸借対照表は、会計年度の末日における全ての資産、負債及び純資産の状況を明瞭に表示しなければならない。

2項 貸借対照表は、様式第1号により記載するものとする。

8条 (貸借対照表の区分)

1項 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部に区分し、更に、資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に、純資産の部を出資金、基金、積立金及び評価・換算差額等に区分するものとする。

9条 (資産の評価原則)

1項 資産については、その取得価額をもって貸借対照表価額としなければならない。ただし、当該資産の取得のために通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産又は受贈その他の方法によって取得した資産については、取得時における当該資産の取得のために通常要する価額をもって貸借対照表価額とする。

10条 (固定資産の評価)

1項 固定資産(有形固定資産及び無形固定資産に限る。)については、次項及び第3項の場合を除き、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。

2項 固定資産(次条に規定する有価証券及び 第12条第1項 《未収金及び貸付金その他の金銭債権について…》 は、徴収不能のおそれがある場合には、貸倒引当金として当該徴収不能の見込額を控除するものとする。 に規定する金銭債権を除く。)については、資産の時価が著しく低くなった場合には、回復の見込みがあると認められるときを除き、時価をもって貸借対照表価額とする。

3項 第1項の固定資産については、使用価値が時価を超える場合には、前2項の規定にかかわらず、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額を超えない限りにおいて使用価値をもって貸借対照表価額とすることができる。

11条 (有価証券の評価)

1項 市場価格のある有価証券(満期まで所有する意図をもって保有する債券(満期まで所有する意図をもって取得したものに限る。)を除く。)については、時価をもって貸借対照表価額とする。

12条 (金銭債権の評価)

1項 未収金及び貸付金その他の金銭債権については、徴収不能のおそれがある場合には、貸倒引当金として当該徴収不能の見込額を控除するものとする。

2項 前項の場合にあっては、取得価額から貸倒引当金を控除した金額を貸借対照表価額とする。

13条 (出資金)

1項 出資金には、持分の定めのある 医療法人 に社員その他法人の出資者が出資した金額を計上するものとする。

14条 (基金)

1項 基金には、 医療法施行規則 1948年厚生省令第50号第30条の37 《基金 社団である医療法人持分の定めのあ…》 るもの、法第42条の2第1項に規定する社会医療法人及び租税特別措置法第67条の2第1項に規定する特定の医療法人を除く。社団である医療法人の設立前にあつては、設立時社員。は、基金社団である医療法人に拠出 の規定に基づく基金(同令第30条の38の規定に基づき返還された金額を除く。)の金額を計上するものとする。

15条 (積立金)

1項 積立金には、当該会計年度以前の損益を積み立てた純資産の金額を計上するものとする。

2項 積立金は、設立等積立金、代替基金及び繰越利益積立金その他積立金の性質を示す適当な名称を付した科目をもって計上しなければならない。

16条 (評価・換算差額等)

1項 評価・換算差額等は、次に掲げる項目の区分に従い、当該項目を示す名称を付した科目をもって掲記しなければならない。

1号 その他有価証券評価差額金(純資産の部に計上されるその他有価証券の評価差額をいう。

2号 繰延ヘッジ損益(ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで繰り延べられるヘッジ手段に係る損益又は時価評価差額をいう。

3章 損益計算書

17条 (損益計算書の表示)

1項 損益計算書は、当該会計年度に属する全ての収益及び費用の内容を明瞭に表示しなければならない。

2項 損益計算書は、様式第2号により記載するものとする。

18条 (損益計算書の区分)

1項 損益計算書は、事業損益、経常損益及び当期純損益に区分するものとする。

19条 (事業損益)

1項 事業損益は、本来業務事業損益、附帯業務事業損益及び収益業務事業損益に区分し、本来業務( 医療法人 が開設する病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院に係る業務をいう。)、附帯業務(医療法人が行う第42条各号に掲げる業務をいう。又は収益業務(法第42条の2第1項に規定する収益業務をいう。以下同じ。)の 事業活動 次条において「 事業活動 」という。)から生ずる収益及び費用を記載して得た各事業損益の額及び各事業損益の合計額を計上するものとする。

20条 (経常損益)

1項 経常損益は、事業損益に、 事業活動 以外の原因から生ずる損益であって経常的に発生する金額を加減して計上するものとする。

21条 (当期純損益)

1項 当期純損益は、経常損益に、特別損益として臨時的に発生する損益を加減して税引前当期純損益を計上し、ここから法人税その他利益に関連する金額を課税標準として課される租税の負担額を控除した金額を計上するものとする。

4章 補則

22条 (貸借対照表等に関する注記)

1項 貸借対照表等 には、その作成の前提となる事項及び財務状況を明らかにするために次に掲げる事項を注記しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる。

1号 継続事業の前提に関する事項

2号 資産及び負債のうち、収益業務に関する事項

3号 収益業務からの繰入金の状況に関する事項

4号 担保に供されている資産に関する事項

5号 第51条第1項に規定する関係事業者に関する事項

6号 重要な偶発債務に関する事項

7号 重要な後発事象に関する事項

8号 その他 医療法人 の財政状態又は損益の状況を明らかにするために必要な事項

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