視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律《本則》

法番号:令和元年法律第49号

略称:

附則 >  

1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関し、基本理念を定め、並びに及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化( 文字・活字文化振興法 2005年法律第91号第2条 《定義 この法律において「文字・活字文化…》 」とは、活字その他の文字を用いて表現されたもの以下この条において「文章」という。を読み、及び書くことを中心として行われる精神的な活動、出版活動その他の文章を人に提供するための活動並びに出版物その他のこ に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 視覚障害者等 」とは、視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む。以下同じ。)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。

2項 この法律において「 視覚障害者等が利用しやすい書籍 」とは、点字図書、拡大図書その他の 視覚障害者等 がその内容を容易に認識することができる書籍をいう。

3項 この法律において「 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等 」とは、電子書籍その他の書籍に相当する文字、音声、点字等の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。 第11条第2項 《2 国は、特定書籍及び特定電子書籍等の効…》 率的な製作を促進するため、出版を行う者次条及び第18条において「出版者」という。からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援そ 及び 第12条第2項 《2 国は、書籍を購入した視覚障害者等から…》 の求めに応じて出版者が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援そ において同じ。)であって、電子計算機等を利用して 視覚障害者等 がその内容を容易に認識することができるものをいう。

3条 (基本理念)

1項 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

1号 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること。

2号 視覚障害者等 が利用しやすい書籍及び視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等(以下「 視覚障害者等が利用しやすい書籍等 」という。)の量的拡充及び質の向上が図られること。

3号 視覚障害者等 の障害の種類及び程度に応じた配慮がなされること。

4条 (国の責務)

1項 国は、前条の基本理念にのっとり、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

5条 (地方公共団体の責務)

1項 地方公共団体は、 第3条 《基本理念 視覚障害者等の読書環境の整備…》 の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。 1 視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野にお の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

6条 (財政上の措置等)

1項 政府は、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

2章 基本計画等

7条 (基本計画)

1項 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(以下この章において「 基本計画 」という。)を定めなければならない。

2項 基本計画 は、次に掲げる事項について定めるものとする。

1号 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策についての基本的な方針

2号 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関し政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

3号 前2号に掲げるもののほか、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3項 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、 基本計画 を策定しようとするときは、あらかじめ、経済産業大臣、総務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。

4項 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、 基本計画 を策定しようとするときは、あらかじめ、 視覚障害者等 その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

5項 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、 基本計画 を策定したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

6項 前3項の規定は、 基本計画 の変更について準用する。

8条 (地方公共団体の計画)

1項 地方公共団体は、 基本計画 を勘案して、当該地方公共団体における 視覚障害者等 の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない。

2項 地方公共団体は、前項の計画を定めようとするときは、あらかじめ、 視覚障害者等 その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3項 地方公共団体は、第1項の計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。

4項 前2項の規定は、第1項の計画の変更について準用する。

3章 基本的施策

9条 (視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等)

1項 及び地方公共団体は、公立図書館、大学及び高等専門学校の附属図書館並びに学校図書館(以下「 公立図書館等 」という。並びに国立国会図書館について、各々の果たすべき役割に応じ、点字図書館とも連携して、 視覚障害者等 が利用しやすい書籍等の充実、視覚障害者等が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援の充実その他の視覚障害者等によるこれらの図書館の利用に係る体制の整備が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。

2項 及び地方公共団体は、点字図書館について、 視覚障害者等 が利用しやすい書籍等の充実、 公立図書館等 に対する視覚障害者等が利用しやすい書籍等の利用に関する情報提供その他の視覚障害者等が利用しやすい書籍等を視覚障害者が十分かつ円滑に利用することができるようにするための取組の促進に必要な施策を講ずるものとする。

10条 (インターネットを利用したサービスの提供体制の強化)

1項 及び地方公共団体は、 視覚障害者等 がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他の必要な施策を講ずるものとする。

1号 点字図書館等から 著作権法 1970年法律第48号第37条第2項 《2 公表された著作物については、電子計算…》 機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。を行うことができる。 又は第3項本文の規定により製作される 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等(以下「 特定電子書籍等 」という。)であってインターネットにより送信することができるもの及び当該点字図書館等の有する視覚障害者等が利用しやすい書籍等に関する情報の提供を受け、これらをインターネットにより視覚障害者等に提供する全国的なネットワークの運営に対する支援

2号 視覚障害者等 が利用しやすい書籍等に係るインターネットを利用したサービスの提供についての国立国会図書館、前号のネットワークを運営する者、 公立図書館等 、点字図書館及び 特定電子書籍等 の製作を行う者の間の連携の強化

11条 (特定書籍及び特定電子書籍等の製作の支援)

1項 及び地方公共団体は、 著作権法 第37条第1項 《公表された著作物は、点字により複製するこ…》 とができる。 又は第3項本文の規定により製作される 視覚障害者等 が利用しやすい書籍(以下「 特定書籍 」という。及び 特定電子書籍等 の製作を支援するため、製作に係る基準の作成等のこれらの質の向上を図るための取組に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

2項 国は、 特定書籍 及び 特定電子書籍等 の効率的な製作を促進するため、出版を行う者(次条及び 第18条 《公表権 著作者は、その著作物でまだ公表…》 されていないものその同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。 当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。 2 著作者 において「 出版者 」という。)からの特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境の整備に必要な支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

12条 (視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等)

1項 国は、 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等の販売等が促進されるよう、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進、著作権者と 出版者 との契約に関する情報提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

2項 国は、書籍を購入した 視覚障害者等 からの求めに応じて 出版者 が当該書籍に係る電磁的記録の提供を行うことその他の出版者からの視覚障害者等に対する書籍に係る電磁的記録の提供を促進するため、その環境の整備に関する関係者間における検討に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

13条 (外国からの視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の入手のための環境の整備)

1項 国は、 視覚障害者等 が、盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約の枠組みに基づき、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等であってインターネットにより送信することができるものを外国から十分かつ円滑に入手することができるよう、その入手に関する相談体制の整備その他のその入手のための環境の整備について必要な施策を講ずるものとする。

14条 (端末機器等及びこれに関する情報の入手の支援)

1項 及び地方公共団体は、 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等を利用するための端末機器等及びこれに関する情報を視覚障害者等が入手することを支援するため、必要な施策を講ずるものとする。

15条 (情報通信技術の習得支援)

1項 及び地方公共団体は、 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等を利用するに当たって必要となる情報通信技術を視覚障害者等が習得することを支援するため、講習会及び巡回指導の実施の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。

16条 (研究開発の推進等)

1項 国は、 視覚障害者等 が利用しやすい電子書籍等及びこれを利用するための端末機器等について、視覚障害者等の利便性の一層の向上を図るため、これらに係る先端的な技術等に関する研究開発の推進及びその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。

17条 (人材の育成等)

1項 及び地方公共団体は、 特定書籍 及び 特定電子書籍等 の製作並びに 公立図書館等 、国立国会図書館及び点字図書館における 視覚障害者等 が利用しやすい書籍等の円滑な利用のための支援に係る人材の育成、資質の向上及び確保を図るため、研修の実施の推進、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

4章 協議の場等

18条

1項 国は、 視覚障害者等 の読書環境の整備の推進に関する施策の効果的な推進を図るため、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省その他の関係行政機関の職員、国立国会図書館、 公立図書館等 、点字図書館、 第10条第1号 《インターネットを利用したサービスの提供体…》 制の強化 第10条 国及び地方公共団体は、視覚障害者等がインターネットを利用して全国各地に存する視覚障害者等が利用しやすい書籍等を十分かつ円滑に利用することができるようにするため、次に掲げる施策その他 のネットワークを運営する者、 特定書籍 又は 特定電子書籍等 の製作を行う者、 出版者 、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けることその他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。

《本則》 ここまで 附則 >  

国の法令検索サービス《E-Gov》の法令データ、法令APIを利用しています。