取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律《本則》

法番号:2021年法律第32号

略称: 取引DPF法・取引DPF消費者保護法

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1条 (目的)

1項 この法律は、情報通信技術の進展に伴い取引デジタルプラットフォームが国民の消費生活にとって重要な基盤となっていることに鑑み、取引デジタルプラットフォーム提供者による消費者の利益の保護に資する自主的な取組の促進、内閣総理大臣による取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請及び消費者による販売業者等情報の開示の請求に係る措置並びに官民協議会の設置について定めることにより、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売( 特定商取引に関する法律 1976年法律第57号第2条第2項 《2 この章及び第58条の19において「通…》 信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法以下「郵便等」という。により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧 に規定する通信販売をいう。以下同じ。)に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に関し取引デジタルプラットフォーム提供者の協力を確保し、もって取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益を保護することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 取引デジタルプラットフォーム 」とは、 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律 2020年法律第38号第2条第1項 《この法律において「デジタルプラットフォー…》 ム」とは、多数の者が利用することを予定して電子計算機を用いた情報処理により構築した場であって、当該場において商品、役務又は権利以下「商品等」という。を提供しようとする者の当該商品等に係る情報を表示する に規定するデジタルプラットフォームのうち、当該デジタルプラットフォームにより提供される場が次の各号のいずれかの機能を有するものをいう。

1号 当該デジタルプラットフォームを利用する消費者が、その使用に係る電子計算機の映像面に表示される手続に従って当該電子計算機を用いて送信することによって、販売業者等に対し、通信販売に係る売買契約又は役務を有償で提供する契約(以下「 役務提供契約 」という。)の申込みの意思表示を行うことができる機能

2号 当該デジタルプラットフォームを利用する消費者が、その使用に係る電子計算機の映像面に表示される手続に従って当該電子計算機を用いて送信することによって、競りその他の政令で定める方法により販売業者等の通信販売に係る売買契約又は 役務提供契約 の相手方となるべき消費者を決定する手続に参加することができる機能(前号に該当するものを除く。

2項 この法律において「 取引デジタルプラットフォーム提供者 」とは、事業として、 取引デジタルプラットフォーム を単独で又は共同して提供する者をいう。

3項 この法律において「 消費者 」とは、個人(商業、工業、金融業その他の事業を行う場合におけるものを除く。)をいう。

4項 この法律において「 販売業者等 」とは、販売業者又は役務の提供の事業を営む者(自らが提供する 取引デジタルプラットフォーム を利用して商品若しくは特定権利( 特定商取引に関する法律 第2条第4項 《4 この章並びに第58条の19第1号及び…》 第67条第1項において「特定権利」とは、次に掲げる権利をいう。 1 施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるもの 2 社債その他の に規定する特定権利をいう。次条第1項第2号及び 第4条第1項 《販売業者又は役務提供事業者は、営業所等以…》 外の場所において商品若しくは特定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき又は営業所等において特定顧客から商品若しくは特定権利につき売買契約の申込みを受け、若 において同じ。)の販売又は役務の提供を行う場合におけるものを除く。)をいう。

3条 (取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務)

1項 取引デジタルプラットフォーム 提供者は、その提供する取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。

1号 当該 取引デジタルプラットフォーム を利用して行われる通信販売に係る取引について、 消費者 販売業者等 と円滑に連絡することができるようにするための措置を講ずること。

2号 当該 取引デジタルプラットフォーム により提供される場における 販売業者等 による商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件の表示に関し当該取引デジタルプラットフォームを利用する 消費者 から苦情の申出を受けた場合において、当該苦情に係る事情の調査その他の当該表示の適正を確保するために必要と認める措置を講ずること。

3号 当該 取引デジタルプラットフォーム を利用する 販売業者等 に対し、必要に応じて、その所在に関する情報その他の販売業者等の特定に資する情報の提供を求めること。

2項 取引デジタルプラットフォーム 提供者は、内閣府令で定めるところにより、その提供する取引デジタルプラットフォームを利用する 消費者 に対し、前項の規定に基づき当該取引デジタルプラットフォーム提供者が講じた措置の概要及び実施の状況その他の内閣府令で定める事項を開示するものとする。

3項 内閣総理大臣は、 取引デジタルプラットフォーム 提供者が行う前2項の措置に関して、その適切かつ有効な実施に資するために必要な指針を定めるものとする。

4項 内閣総理大臣は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4条 (取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請)

1項 内閣総理大臣は、 取引デジタルプラットフォーム により提供される場における商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件の表示が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合において、当該取引デジタルプラットフォームを利用する 消費者 の利益が害されるおそれがあると認めるときは、当該取引デジタルプラットフォームを提供する取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、 販売業者等 による当該商品若しくは当該特定権利の販売又は当該役務の提供に係る当該取引デジタルプラットフォームの利用の停止その他の必要な措置をとることを要請することができる。

1号 商品の安全性の判断に資する事項その他の商品の性能又は特定権利若しくは役務の内容に関する重要事項として内閣府令で定めるものについて、著しく事実に相違する表示であると認められること、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させる表示であると認められること。

2号 前号の表示をした 販売業者等 が特定できないこと、その所在が明らかでないことその他の事由により、同号の表示をした販売業者等によって当該表示が是正されることを期待することができないこと。

2項 内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、その旨を公表することができる。

3項 取引デジタルプラットフォーム 提供者は、第1項の規定による要請を受けて当該要請に係る措置をとった場合において、当該措置により 販売業者等 に生じた損害については、賠償の責任を負わない。

5条 (販売業者等情報の開示請求)

1項 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 は、当該取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る 販売業者等 との間の売買契約又は 役務提供契約 に係る自己の債権(金銭の支払を目的とし、かつ、その額が内閣府令で定める額を超えるものに限る。)を行使するために、当該販売業者等の氏名又は名称、住所その他の当該債権の行使に必要な販売業者等に関する情報として内閣府令で定めるもの(以下この項及び次項において「 販売業者等情報 」という。)の確認を必要とする場合に限り、当該取引デジタルプラットフォームを提供する取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、当該取引デジタルプラットフォーム提供者が保有する当該販売業者等に係る販売業者等情報の開示を請求することができる。ただし、当該消費者が、当該販売業者等情報を用いて当該販売業者等の信用を毀損する目的その他の不正の目的で当該請求を行う場合は、この限りでない。

2項 前項の規定による請求をする 消費者 は、 取引デジタルプラットフォーム 提供者に対し、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を提出し、又は提供しなければならない。

1号 当該請求に係る 販売業者等 情報の確認を必要とする理由

2号 当該請求の対象となる 販売業者等 情報の項目

3号 開示を受けた 販売業者等 情報を前項ただし書に規定する不正の目的のために利用しないことを誓約する旨

3項 取引デジタルプラットフォーム 提供者は、第1項の規定による請求が同項本文の要件に該当し、かつ、同項ただし書に規定する不正の目的によるものでないと思料するときは、当該請求に係る 販売業者等 と連絡することができない場合を除き、開示するかどうかについて当該販売業者等の意見を聴かなければならない。

6条 (官民協議会)

1項 内閣総理大臣は、 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 の利益の保護のための取組を効果的かつ円滑に行うため、内閣総理大臣、国の関係行政機関、取引デジタルプラットフォーム提供者を構成員とする団体、独立行政法人国民生活センター、地方公共団体及び消費者団体により構成される取引デジタルプラットフォーム官民協議会(以下「 官民協議会 」という。)を組織するものとする。

2項 官民協議会 は、必要があると認めるときは、学識経験を有する者その他の官民協議会が必要と認める者をその構成員として加えることができる。

7条 (官民協議会の事務等)

1項 官民協議会 は、前条第1項の目的を達成するため、必要な情報を交換し、及び 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 の利益の保護のための取組に関する協議を行うとともに、内閣総理大臣に対し、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に関する施策に関し意見を述べるものとする。

2項 官民協議会 の構成員(次項において単に「構成員」という。)は、前項の協議の結果に基づき、 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 の利益の保護のために必要な取組を行うものとする。

3項 官民協議会 は、第1項の規定による情報の交換及び協議を行い、若しくは同項の意見を述べるため必要があると認めるとき、又は構成員が行う 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 の利益の保護のための取組に関し他の構成員から要請があった場合その他の内閣府令で定める場合において必要があると認めるときは、構成員に対し、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。

4項 官民協議会 の庶務は、 消費者 庁において処理する。

8条 (秘密保持義務)

1項 官民協議会 の事務に従事する者又は官民協議会の事務に従事していた者は、官民協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

9条 (官民協議会の定める事項)

1項 前3条に定めるもののほか、 官民協議会 の組織及び運営に関し必要な事項は、官民協議会が定める。

10条 (内閣総理大臣に対する申出)

1項 何人も、 取引デジタルプラットフォーム を利用する 消費者 の利益が害されるおそれがあると認めるときは、内閣総理大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

2項 内閣総理大臣は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。

11条 (権限の委任)

1項 内閣総理大臣は、この法律による権限( 第3条第3項 《3 内閣総理大臣は、取引デジタルプラット…》 フォーム提供者が行う前2項の措置に関して、その適切かつ有効な実施に資するために必要な指針を定めるものとする。 及び第4項、 第6条第1項 《内閣総理大臣は、取引デジタルプラットフォ…》 ームを利用する消費者の利益の保護のための取組を効果的かつ円滑に行うため、内閣総理大臣、国の関係行政機関、取引デジタルプラットフォーム提供者を構成員とする団体、独立行政法人国民生活センター、地方公共団体 並びに 第7条第1項 《官民協議会は、前条第1項の目的を達成する…》 ため、必要な情報を交換し、及び取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護のための取組に関する協議を行うとともに、内閣総理大臣に対し、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売 の規定によるものを除く。)を 消費者 庁長官に委任する。

12条 (内閣府令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

13条 (罰則)

1項 第8条 《秘密保持義務 官民協議会の事務に従事す…》 る者又は官民協議会の事務に従事していた者は、官民協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の拘禁刑又は510,000円以下の罰金に処する。

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