1章 総則
1条 (目的)
1項 この法律は、海に囲まれた我が国においては災害が発生した時又は感染症が発生し若しくはまん延し、若しくはそのおそれがある時(以下「 災害時等 」という。)における医療を確保する上で船舶を活用した医療の提供が効果的であることに鑑み、 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、船舶活用医療推進本部を設置することにより、災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備を総合的かつ集中的に推進することを目的とする。
2条 (基本理念)
1項 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進は、災害が発生し、又は感染症が発生し若しくはまん延し、若しくはそのおそれがある地域(
第4条第2号
《基本方針 第4条 災害時等における船舶を…》
活用した医療提供体制の整備は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。 1 災害時等における船舶を活用して提供される医療と陸上の医療施設において提供される医療との適切な役割分担及び相互の連携
において「 災害が発生した地域等 」という。)において必要とされる医療を船舶を活用して的確かつ迅速に提供することにより、当該地域にある医療施設の機能を補完し、国民の生命及び身体を災害又は感染症から保護することに資することを旨として、行われなければならない。
3条 (国の責務)
1項 国は、前条の基本理念にのっとり、 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2章 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する基本方針
4条 (基本方針)
1項 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
1号 災害時等 における船舶を活用して提供される医療と陸上の医療施設において提供される医療との適切な役割分担及び相互の連携協力を確保すること。
2号 災害が発生した地域等 において必要とされる医療の的確かつ迅速な提供が可能となるよう、 災害時等 における医療の提供の用に主として供するための船舶を保有すること(独立行政法人( 独立行政法人通則法 (1999年法律第103号)
第2条第1項
《この法律において「独立行政法人」とは、国…》
民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ
に規定する独立行政法人をいう。
第13条
《設立の手続 各独立行政法人の設立に関す…》
る手続については、個別法に特別の定めがある場合を除くほか、この節の定めるところによる。
において同じ。)その他の国以外の者により保有することを含む。)。
3号 災害時等 における船舶を活用した医療の提供に必要な官民の医療関係者、船舶職員その他の人員を確保すること。
4号 災害時等 における船舶を活用した医療の提供のための教育訓練等を実施することにより人材を育成すること。
5号 災害時等 における船舶を活用した医療の提供に必要な医薬品、医療機器その他の物資を確保すること。
6号 災害時等 以外において、離島等における巡回診療、国際緊急援助活動等に第2号の船舶を効果的に活用すること。
7号 民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用すること。
8号 前各号に掲げるもののほか、 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関し必要と認められる施策を実施すること。
5条 (法制上の措置等)
1項 政府は、前条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後1年以内を目途として講じなければならない。
3章 災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する計画
6条
1項 政府は、政府が 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関し講ずべき措置について必要な計画(以下「 整備推進計画 」という。)を策定しなければならない。
2項 内閣総理大臣は、 整備推進計画 の案につき閣議の決定を求めなければならない。
3項 政府は、 整備推進計画 を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
4項 前2項の規定は、 整備推進計画 の変更について準用する。
4章 船舶活用医療推進本部
7条 (設置)
1項 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、船舶活用医療推進 本部 (以下「 本部 」という。)を置く。
8条 (所掌事務)
1項 本部 は、次に掲げる事務をつかさどる。
1号 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する総合調整に関すること。
2号 整備推進計画 の案の作成及び実施の推進に関すること。
3号 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進を総合的かつ集中的に行うために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
4号 災害時等 における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する関係機関及び関係団体との連絡調整に関すること。
9条 (組織)
1項 本部 は、船舶活用医療推進本部長、船舶活用医療推進副本部長及び船舶活用医療推進本部員をもって組織する。
10条 (船舶活用医療推進本部長)
1項 本部 の長は、船舶活用医療推進本部長(以下「 本部長 」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2項 本部 長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
11条 (船舶活用医療推進副本部長)
1項 本部 に、船舶活用医療推進 副本部長 (次項及び次条第2項において「 副本部長 」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2項 副本部長 は、 本部 長の職務を助ける。
12条 (船舶活用医療推進本部員)
1項 本部 に、船舶活用医療推進本部員(次項において「 本部員 」という。)を置く。
2項 本部 員は、本部長及び 副本部長 以外の全ての国務大臣をもって充てる。
13条 (資料の提出その他の協力)
1項 本部 は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 (2003年法律第118号)
第2条第1項
《この法律において「地方独立行政法人」とは…》
、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主
に規定する地方独立行政法人をいう。)及び国立大学法人等( 国立大学法人法 (2003年法律第112号)
第2条第5項
《5 この法律において「中期目標」とは、国…》
立大学法人及び大学共同利用機関法人以下「国立大学法人等」という。が達成すべき業務運営に関する目標であって、第30条第1項の規定により文部科学大臣が定めるものをいう。
に規定する国立大学法人等をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、 総務省設置法 (1999年法律第91号)
第4条第1項第8号
《総務省は、前条第1項の任務を達成するため…》
、次に掲げる事務をつかさどる。 1 恩給制度に関する企画及び立案に関すること。 2 恩給を受ける権利の裁定並びに恩給の支給及び負担に関すること。 3 行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関す
の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2項 本部 は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
14条 (事務局)
1項 本部 の事務を処理させるため、本部に、事務局を置く。
2項 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3項 事務局長は、 本部 長の命を受けて、局務を掌理する。
15条 (政令への委任)
1項 この法律に定めるもののほか、 本部 に関し必要な事項は、政令で定める。