人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律《本則》

法番号:2025年法律第53号

略称: AI法

附則 >  

1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、人工知能関連技術が我が国の経済社会の発展の基盤となる技術であることに鑑み、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策について、基本理念並びに人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する基本的な計画の策定その他の施策の基本となる事項を定めるとともに、人工知能戦略本部を設置することにより、 科学技術・イノベーション基本法 1995年法律第130号及び デジタル社会形成基本法 2021年法律第35号)その他の関係法律による施策と相まって、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において、「人工知能関連技術」とは、人工的な方法により人間の認知、推論及び判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術並びに入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいう。

3条 (基本理念)

1項 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、 科学技術・イノベーション基本法 第3条 《科学技術・イノベーション創出の振興に関す…》 る方針 科学技術・イノベーション創出の振興は、科学技術及びイノベーションの創出が我が国及び人類社会の将来の発展をもたらす源泉であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることに鑑み、 に定める科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針及び デジタル社会形成基本法 第2章に定める基本理念のほか、この条に定める基本理念に基づいて行うものとする。

2項 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、人工知能関連技術が、その適正かつ効果的な活用によって行政事務及び民間の事業活動の著しい効率化及び高度化並びに新産業の創出をもたらすものとして経済社会の発展の基盤となる技術であるとともに、安全保障の観点からも重要な技術であることに鑑み、我が国において人工知能関連技術の研究開発を行う能力を保持するとともに、人工知能関連技術に関する産業の国際競争力を向上させることを旨として、行うものとする。

3項 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進は、人工知能関連技術の基礎研究から国民生活及び経済活動における活用に至るまでの各段階の関係者による取組が相互に密接な関連を有することに鑑み、これらの取組を総合的かつ計画的に推進することを旨として、行うものとする。

4項 人工知能関連技術の研究開発及び活用は、不正な目的又は不適切な方法で行われた場合には、犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害その他の国民生活の平穏及び国民の権利利益が害される事態を助長するおそれがあることに鑑み、その適正な実施を図るため、人工知能関連技術の研究開発及び活用の過程の透明性の確保その他の必要な施策が講じられなければならない。

5項 人工知能関連技術の研究開発及び活用は、我が国及び国際社会の平和と発展に寄与するものとなるよう、国際的協調の下に推進することを旨とし、我が国が人工知能関連技術の研究開発及び活用に関する国際協力において主導的な役割を果たすよう努めるものとする。

4条 (国の責務)

1項 国は、前条に定める 基本理念 以下「 基本理念 」という。)にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。

2項 国は、行政事務の効率化及び高度化を図るため、国の行政機関における人工知能関連技術の積極的な活用を進めるものとする。

5条 (地方公共団体の責務)

1項 地方公共団体は、 基本理念 にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

6条 (研究開発機関の責務等)

1項 大学、 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律 2008年法律第63号第2条第9項 《9 この法律において「研究開発法人」とは…》 、独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人以下単に「独立行政法人」という。又は特殊法人法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省 に規定する研究開発法人その他の人工知能関連技術の研究開発を行う機関(以下「 研究開発機関 」という。)は、 基本理念 にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及びその成果の普及並びに専門的かつ幅広い知識を有する人材の育成に積極的に努めるとともに、 第4条 《国の責務 国は、前条の基本理念以下単に…》 「基本理念」という。にのっとり、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 の規定に基づき国が実施する施策及び前条の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2項 及び地方公共団体は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策で大学に係るものを策定し、及び実施するに当たっては、大学における研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者の自主性の尊重その他の大学における研究の特性に配慮しなければならない。

3項 研究開発機関 は、人工知能関連技術の研究開発を効果的に進めるに当たっては、人文科学及び自然科学に関する多様な分野の知見を総合的に活用することが必要であることに鑑み、学際的又は総合的な研究開発に努めるものとする。

7条 (活用事業者の責務)

1項 人工知能関連技術を活用した製品又はサービスの開発又は提供をしようとする者その他の人工知能関連技術を事業活動において活用しようとする者(以下「 活用事業者 」という。)は、 基本理念 にのっとり、自ら積極的な人工知能関連技術の活用により事業活動の効率化及び高度化並びに新産業の創出に努めるとともに、 第4条 《国の責務 国は、前条に定める基本理念以…》 下「基本理念」という。にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。 2 国は、行政事務の効率化及び高度化を図るため、国の行政機 の規定に基づき国が実施する施策及び 第5条 《地方公共団体の責務 地方公共団体は、基…》 本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力しなければならない。

8条 (国民の責務)

1項 国民は、 基本理念 にのっとり、人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるとともに、 第4条 《国の責務 国は、前条に定める基本理念以…》 下「基本理念」という。にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。 2 国は、行政事務の効率化及び高度化を図るため、国の行政機 の規定に基づき国が実施する施策及び 第5条 《地方公共団体の責務 地方公共団体は、基…》 本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する の規定に基づき地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

9条 (連携の強化)

1項 国は、国、地方公共団体、 研究開発機関 及び 活用事業者 が相互に連携を図りながら協力することにより人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

10条 (法制上の措置等)

1項 国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2章 基本的施策

11条 (研究開発の推進等)

1項 国は、人工知能関連技術の基礎研究から実用化のための研究開発に至るまでの一貫した研究開発の推進、 研究開発機関 における研究開発の成果の移転のための体制の整備、研究開発の成果に係る情報の提供その他の施策を講ずるものとする。

12条 (施設及び設備等の整備及び共用の促進)

1項 国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用に当たって必要となる大規模な情報処理、情報通信、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の保管等に係る施設及び設備並びにデータセット(特定の目的をもって収集した情報の集合物をいう。)その他の知的基盤( 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律 第24条の4 《研究開発施設等の整備 国は、研究開発能…》 力の強化を図るため、国、研究開発法人及び大学等の研究開発に係る施設及び設備第35条において「研究開発施設等」という。、情報処理、情報通信、電磁的記録の保管等に係る施設及び設備並びに研究材料、計量の標準 に規定する知的基盤をいう。以下この条において同じ。)を 研究開発機関 及び 活用事業者 が広く利用できるようにするため、これらの施設及び設備並びに知的基盤の整備及び共用の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

13条 (適正性の確保)

1項 国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正な実施を図るため、国際的な規範の趣旨に即した指針の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

14条 (人材の確保等)

1項 国は、地方公共団体、 研究開発機関 及び 活用事業者 と緊密な連携協力を図りながら、人工知能関連技術の基礎研究から国民生活及び経済活動における活用に至るまでの各段階において必要となる専門的かつ幅広い知識を有する多様な分野の人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

15条 (教育の振興等)

1項 国は、国民が広く人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるよう、人工知能関連技術に関する教育及び学習の振興、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

16条 (調査研究等)

1項 国は、国内外の人工知能関連技術の研究開発及び活用の動向に関する情報の収集、不正な目的又は不適切な方法による人工知能関連技術の研究開発又は活用に伴って国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析及びそれに基づく対策の検討その他の人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に資する調査及び研究を行い、その結果に基づいて、 研究開発機関 活用事業者 その他の者に対する指導、助言、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

17条 (国際協力)

1項 国は、人工知能関連技術の研究開発及び活用に関する国際協力を推進するとともに、国際的な規範の策定に積極的に参画するものとする。

3章 人工知能基本計画

18条

1項 政府は、 基本理念 にのっとり、前章に定める基本的施策を踏まえ、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する基本的な計画(以下「 人工知能基本計画 」という。)を定めるものとする。

2項 人工知能基本計画 は、次に掲げる事項について定めるものとする。

1号 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての基本的な方針

2号 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

3号 前2号に掲げるもののほか、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を政府が総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3項 内閣総理大臣は、人工知能戦略本部の作成した 人工知能基本計画 の案について閣議の決定を求めるものとする。

4項 内閣総理大臣は、前項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、 人工知能基本計画 を公表するものとする。

5項 前2項の規定は、 人工知能基本計画 の変更について準用する。

4章 人工知能戦略本部

19条 (設置)

1項 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に、人工知能戦略 本部 以下「 本部 」という。)を置く。

20条 (所掌事務)

1項 本部 は、次に掲げる事務をつかさどる。

1号 人工知能基本計画 の案の作成及び実施の推進に関すること。

2号 前号に掲げるもののほか、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。

21条 (組織)

1項 本部 は、人工知能戦略本部長、人工知能戦略副本部長及び人工知能戦略本部員をもって組織する。

22条 (人工知能戦略本部長)

1項 本部 の長は、人工知能戦略本部長(以下「 本部長 」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2項 本部 長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

23条 (人工知能戦略副本部長)

1項 本部 に、人工知能戦略 副本部長 次項及び次条第2項において「 副本部長 」という。)を置き、内閣官房長官及び人工知能戦略担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、人工知能関連技術の研究開発及び活用の総合的かつ計画的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。

2項 副本部長 は、 本部 長の職務を助ける。

24条 (人工知能戦略本部員)

1項 本部 に、人工知能戦略本部員(次項において「 本部員 」という。)を置く。

2項 本部 員は、本部長及び 副本部長 以外の全ての国務大臣をもって充てる。

25条 (資料の提出その他の協力)

1項 本部 は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人( 独立行政法人通則法 1999年法律第103号第2条第1項 《この法律において「独立行政法人」とは、国…》 民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそ に規定する独立行政法人をいう。及び地方独立行政法人( 地方独立行政法人法 2003年法律第118号第2条第1項 《この法律において「地方独立行政法人」とは…》 、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主 に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、 総務省設置法 1999年法律第91号第4条第1項第8号 《総務省は、前条第1項の任務を達成するため…》 、次に掲げる事務をつかさどる。 1 恩給制度に関する企画及び立案に関すること。 2 恩給を受ける権利の裁定並びに恩給の支給及び負担に関すること。 3 行政制度一般に関する基本的事項の企画及び立案に関す の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

2項 本部 は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

26条 (事務)

1項 本部 に関する事務は、内閣府において処理する。

27条 (主任の大臣)

1項 本部 に係る事項については、 内閣法 1947年法律第5号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

28条 (政令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、 本部 に関し必要な事項は、政令で定める。

《本則》 ここまで 附則 >  

国の法令検索サービス《E-Gov》の法令データ、法令APIを利用しています。