過労死等防止対策推進法《本則》

法番号:2014年法律第100号

略称: 過労死防止法

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 過労死等 」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。

3条 (基本理念)

1項 過労死等 の防止のための対策は、過労死等に関する実態が必ずしも10分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすことができるようにするとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めること等により、行われなければならない。

2項 過労死等 の防止のための対策は、国、地方公共団体、事業主その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行われなければならない。

4条 (国の責務等)

1項 国は、前条の基本理念にのっとり、 過労死等 の防止のための対策を効果的に推進する責務を有する。

2項 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、国と協力しつつ、 過労死等 の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならない。

3項 事業主は、国及び地方公共団体が実施する 過労死等 の防止のための対策に協力するよう努めるものとする。

4項 国民は、 過労死等 を防止することの重要性を自覚し、これに対する関心と理解を深めるよう努めるものとする。

5条 (過労死等防止啓発月間)

1項 国民の間に広く 過労死等 を防止することの重要性について自覚を促し、これに対する関心と理解を深めるため、過労死等防止啓発月間を設ける。

2項 過労死等 防止啓発月間は、11月とする。

3項 及び地方公共団体は、 過労死等 防止啓発月間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めなければならない。

6条 (年次報告)

1項 政府は、毎年、国会に、我が国における 過労死等 の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

2章 過労死等の防止のための対策に関する大綱

7条

1項 政府は、 過労死等 の防止のための対策を効果的に推進するため、過労死等の防止のための対策に関する大綱(以下この条において単に「大綱」という。)を定めなければならない。

2項 厚生労働大臣は、大綱の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

3項 厚生労働大臣は、大綱の案を作成しようとするときは、関係行政機関の長と協議するとともに、 過労死等 防止対策推進協議会の意見を聴くものとする。

4項 政府は、大綱を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

5項 前3項の規定は、大綱の変更について準用する。

3章 過労死等の防止のための対策

8条 (調査研究等)

1項 国は、 過労死等 に関する実態の調査、過労死等の効果的な防止に関する研究その他の過労死等に関する調査研究並びに過労死等に関する情報の収集、整理、分析及び提供(以下「 過労死等に関する調査研究等 」という。)を行うものとする。

2項 国は、 過労死等 に関する調査研究等を行うに当たっては、過労死等が生ずる背景等を総合的に把握する観点から、業務において過重な負荷又は強い心理的負荷を受けたことに関連する死亡又は傷病について、事業を営む個人や法人の役員等に係るものを含め、広く当該過労死等に関する調査研究等の対象とするものとする。

9条 (啓発)

1項 及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、 過労死等 を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

10条 (相談体制の整備等)

1項 及び地方公共団体は、 過労死等 のおそれがある者及びその親族等が過労死等に関し相談することができる機会の確保、産業医その他の過労死等に関する相談に応じる者に対する研修の機会の確保等、過労死等のおそれがある者に早期に対応し、過労死等を防止するための適切な対処を行う体制の整備及び充実に必要な施策を講ずるものとする。

11条 (民間団体の活動に対する支援)

1項 及び地方公共団体は、民間の団体が行う 過労死等 の防止に関する活動を支援するために必要な施策を講ずるものとする。

4章 過労死等防止対策推進協議会

12条

1項 厚生労働省に、 第7条第3項 《3 厚生労働大臣は、大綱の案を作成しよう…》 とするときは、関係行政機関の長と協議するとともに、過労死等防止対策推進協議会の意見を聴くものとする。同条第5項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理するため、 過労死等 防止対策推進 協議会 次条において「 協議会 」という。)を置く。

13条

1項 協議会 は、委員20人以内で組織する。

2項 協議会 の委員は、業務における過重な負荷により脳血管疾患若しくは心臓疾患にかかった者又は業務における強い心理的負荷による精神障害を有するに至った者及びこれらの者の家族又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因として死亡した者若しくは当該精神障害を原因とする自殺により死亡した者の遺族を代表する者、労働者を代表する者、使用者を代表する者並びに 過労死等 に関する専門的知識を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。

3項 協議会 の委員は、非常勤とする。

4項 前3項に定めるもののほか、 協議会 の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

5章 過労死等に関する調査研究等を踏まえた法制上の措置等

14条

1項 政府は、 過労死等 に関する調査研究等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、過労死等の防止のために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

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