1条 (趣旨)
1項 この法律は、我が国の経済社会における知的財産の活用の進展に伴い、知的財産の保護に関し司法の果たすべき役割がより重要となることにかんがみ、知的財産に関する事件についての裁判の一層の充実及び迅速化を図るため、知的財産に関する事件を専門的に取り扱う知的財産高等裁判所の設置のために必要な事項を定めるものとする。
2条 (知的財産高等裁判所の設置)
1項 東京高等裁判所の管轄に属する事件のうち、次に掲げる知的財産に関する事件を取り扱わせるため、 裁判所法 (1947年法律第59号)
第22条第1項
《最高裁判所は、高等裁判所の事務の一部を取…》
り扱わせるため、その高等裁判所の管轄区域内に、高等裁判所の支部を設けることができる。
の規定にかかわらず、特別の支部として、東京高等裁判所に知的財産高等裁判所を設ける。
1号 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、著作者の権利、出版権、著作隣接権若しくは育成者権に関する訴え又は不正競争( 不正競争防止法 (1993年法律第47号)
第2条第1項
《この法律において「不正競争」とは、次に掲…》
げるものをいう。 1 他人の商品等表示人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。として需要者の間に広く認識されているものと同一若し
に規定する不正競争又は 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律 (2020年法律第22号)
第2条第3項
《3 この法律において「不正競争」とは、次…》
に掲げるものをいう。 1 人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫し、若しくは窃取する行為により家畜遺伝資源を取得する行為以下「不正取得行為」という。又はその管理の委託を受けて業務上自己の占有する他
に規定する不正競争をいう。)による営業上の利益の侵害に係る訴えについて地方裁判所が第一審としてした終局判決に対する控訴に係る訴訟事件であってその審理に専門的な知見を要するもの
2号 特許法 (1959年法律第121号)
第178条第1項
《取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議…》
申立書、審判若しくは再審の請求書又は第120条の5第2項若しくは第134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
の訴え、実用新案法(1959年法律第123号)第47条第1項の訴え、 意匠法 (1959年法律第125号)
第59条第1項
《審決に対する訴え、第50条第1項第57条…》
第1項において準用する場合を含む。において準用する第17条の2第1項の規定による却下の決定に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
の訴え又は 商標法 (1959年法律第127号)
第63条第1項
《取消決定又は審決に対する訴え、第55条の…》
2第3項第60条の2第2項において準用する場合を含む。において準用する第16条の2第1項の規定による却下の決定に対する訴え及び登録異議申立書又は審判若しくは再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京
(同法第68条第5項において準用する場合を含む。)の訴えに係る訴訟事件
3号 前2号に掲げるもののほか、主要な争点の審理に知的財産に関する専門的な知見を要する事件
4号 第1号若しくは第2号に掲げる訴訟事件又は前号に掲げる事件で訴訟事件であるものと口頭弁論を併合して審理されるべき訴訟事件
3条 (知的財産高等裁判所に勤務する裁判官等)
1項 最高裁判所は、知的財産高等裁判所に勤務する裁判官を定める。
2項 最高裁判所は、知的財産高等裁判所に勤務する裁判官のうち1人に知的財産高等裁判所長を命ずる。
4条 (知的財産高等裁判所の司法行政事務)
1項 知的財産高等裁判所が知的財産高等裁判所における裁判事務の分配その他の司法行政事務を行うのは、知的財産高等裁判所に勤務する裁判官の会議の議によるものとし、知的財産高等裁判所長が、これを総括する。
2項 前項の会議は、知的財産高等裁判所に勤務する全員の裁判官でこれを組織し、知的財産高等裁判所長が、その議長となる。
5条 (知的財産高等裁判所事務局)
1項 知的財産高等裁判所の庶務をつかさどらせるため、知的財産高等裁判所に知的財産高等裁判所事務局を置く。