1条 (この法律の目的)
1項 この法律は、生活の困窮のため帰国を希望する日本国民又は在留する国の官憲から退去強制等の処分を受けて帰国しなければならない日本国民で、自己の負担において帰国することができず、かつ、領事官がその帰国を援助し、又はその退去強制等の処分の執行に関し当該国の官憲に協力する必要があると認めるもの(以下「 帰国者 」という。)について、 船員法 (1947年法律第100号)
第47条第1項
《船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当す…》
る場合には、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地雇入れのため雇入港に招致した船員及び未成年者の船員にあつては、雇入港若し
及び第2項に規定する場合を除くほか、領事官がその帰国のため講ずべき措置等を定めることを目的とする。
2条 (送還命令及び乗船地行旅費の貸付)
1項 領事官は、 帰国者 が船舶( 船員法
第1条
《船員 この法律において「船員」とは、日…》
本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。 前項に規定する船舶には、次の船舶を含まない。 1 総トン数五トン未満の船舶 2 湖、川又は港のみを航行する
に規定する船舶をいう。以下同じ。)により帰国する場合には、当該船舶に乗り組む船長に対し、帰国者の本邦までの送還を命ずることができる。
2項 領事官は、前項の規定により送還を命ずる場合には、 帰国者 に対し、外務大臣の承認を経て、当該船舶に乗船するまでの必要な旅費(以下「 乗船地行旅費 」という。)を貸し付けることができる。
3項 前項の規定により 乗船地行旅費 の貸付を受けようとする 帰国者 は、政令で定めるところにより、領事官に対し、乗船地行旅費の貸付を申請しなければならない。
4項 第2項の規定において 乗船地行旅費 とは、 帰国者 の在留地(その者が居住する地域であつて、本邦における市町村に準ずるものをいう。以下同じ。)又は外務大臣が指定する地から乗船地までの船賃、航空賃、鉄道賃、車賃並びに旅行中必要と認められる宿泊料及び食費で、帰国者が乗船地に到着するため必要な最低限度のものをいい、帰国者が乗船のため当該在留地又は外務大臣が指定する地から出発するまでの間において帰国者の生活又は医療処置のため必要があると認められる場合にあつては、帰国者のその間における生活費又は緊急を要する医療処置のため必要な最低限度の費用を含むものとする。
3条 (帰国費の貸付)
1項 領事官は、前条第1項の規定により船長に対し 帰国者 の送還を命ずることができない場合には、帰国者に対し、外務大臣の承認を経て、その帰国のため必要な旅費(以下「 帰国費 」という。)を貸し付けることができる。
2項 前項の規定により 帰国費 の貸付を受けようとする 帰国者 は、政令で定めるところにより、領事官に対し、帰国費の貸付を申請しなければならない。
3項 第1項の規定において 帰国費 とは、 帰国者 の在留地又は外務大臣が指定する地から本邦までの船賃、航空賃、鉄道賃、車賃並びに旅行中必要と認められる宿泊料及び食費で、帰国者が帰国するため必要な最低限度のものをいい、当該在留地又は外務大臣が指定する地から帰国のため出発するまでの間において帰国者の生活又は医療処置のため必要があると認められる場合にあつては、帰国者のその間における生活費又は緊急を要する医療処置のため必要な最低限度の費用を含むものとする。
4条 (帰郷費の貸付)
1項 厚生労働大臣は、 帰国者 に対し、その帰国の際、政令で定めるところにより、その帰郷のため必要な旅費(以下「 帰郷費 」という。)を貸し付けることができる。
5条 (乗船地行旅費、帰国費及び帰郷費に対する利息)
1項 乗船地行旅費 、 帰国費 及び 帰郷費 には、利息を附さないことができる。
6条 (乗船地行旅費、帰国費、送還費及び帰郷費の償還)
1項 乗船地行旅費 及び 帰国費 の貸付を受けた 帰国者 は、帰国後すみやかに、その貸付を受けた乗船地行旅費及び帰国費を外務大臣に償還しなければならない。
2項 第2条第1項
《領事官は、帰国者が船舶船員法第1条に規定…》
する船舶をいう。以下同じ。により帰国する場合には、当該船舶に乗り組む船長に対し、帰国者の本邦までの送還を命ずることができる。
の規定により本邦に送還された 帰国者 は、帰国後速やかに、その送還に要した費用(以下「 送還費 」という。)を、当該 送還費 を負担した船舶所有者( 船員法 の適用を受ける船舶所有者をいい、同法第5条第1項の規定により船舶所有者に関する規定の適用を受ける者を含む。以下同じ。)に償還しなければならない。
3項 第4条
《帰郷費の貸付 厚生労働大臣は、帰国者に…》
対し、その帰国の際、政令で定めるところにより、その帰郷のため必要な旅費以下「帰郷費」という。を貸し付けることができる。
の規定により 帰郷費 の貸付を受けた 帰国者 は、帰郷後すみやかに、その貸付を受けた帰郷費を厚生労働大臣に償還しなければならない。
4項 帰国者 が 乗船地行旅費 、 帰国費 、 送還費 又は 帰郷費 の全部又は一部を償還することができないときは、その帰国者の配偶者又は扶養義務者(民法(1896年法律第89号)第877条に規定する扶養義務者をいう。以下同じ。)は、その乗船地行旅費、帰国費、送還費又は帰郷費のうち償還されなかつた部分を償還しなければならない。
5項 前項に規定する場合には、外務大臣、船舶所有者又は厚生労働大臣は、 帰国者 の配偶者又は扶養義務者中の何人に対しても、それぞれ 乗船地行旅費 、 帰国費 、 送還費 又は 帰郷費 の償還の請求をすることができる。
6項 前項の規定は、第4項の規定により 乗船地行旅費 、 帰国費 、 送還費 又は 帰郷費 を償還した扶養義務者が、 民法
第878条
《扶養の順位 扶養をする義務のある者が数…》
人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。 扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義
及び
第879条
《扶養の程度又は方法 扶養の程度又は方法…》
について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
の規定により扶養の義務を履行すべき者に対し求償することを妨げるものではない。
7項 外務大臣は、船舶所有者が第2項、第4項及び第5項の規定により 帰国者 又はその配偶者若しくは扶養義務者から 送還費 の全部又は一部の償還を受けることができなかつた場合には、政令で定めるところにより、その帰国者又はその配偶者若しくは扶養義務者に代つて、その船舶所有者に対し、償還されなかつた金額を償還することができる。
8項 外務大臣は、前項の規定により、 送還費 の全部又は一部を船舶所有者に償還したときは、その償還した金額の限度において、船舶所有者に代位するものとする。
7条 (実施規定)
1項 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。