1条 (趣旨)
1項 この法律は、1968年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、当該債権の債務者について収入及び資産に係る基準を定めて早期に当該債権の免除を行うことができるようにすることの緊要性にかんがみ、当該債権について、 国の債権の管理等に関する法律 (1956年法律第114号)の特例を定めるものとする。
2条 (国の債権の管理等に関する法律の特例)
1項 歳入徴収官等( 国の債権の管理等に関する法律
第2条第4項
《4 この法律において「歳入徴収官等」とは…》
、各省各庁の長、各省各庁の長以外の国の機関で他の法令の規定により債権の管理に関する事務を行なうべきこととされているもの又は第5条第1項若しくは第2項の規定により債権の管理に関する事務を行なう者をいう。
に規定する歳入徴収官等をいう。)は、同法第32条第1項の規定にかかわらず、福岡高等裁判所1978年(ネ)第180号、第211号損害賠償請求控訴事件及び福岡地方裁判所小倉支部1981年(ワ)第一、278号、1982年(ワ)第110号、1982年(ワ)第一、350号、1983年(ワ)第446号各損害賠償請求併合事件に係る各判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権について、当該債権の債務者が次項及び第3項に定める収入及び資産に係る基準に該当する場合には、当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができる。
2項 収入に係る基準は、農林水産省令で定めるところにより、前項に規定する債権の債務者が属する世帯の構成員(当該債権の債務者及びその者と生計を1にする親族をいう。以下「 世帯構成員 」という。)の収入の総額から租税その他の公課の額を控除した額として算定した額が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額未満であることとする。
1号 世帯構成員 の数が4人である場合10,010,000円
2号 世帯構成員 の数が4人を超える場合10,010,000円に世帯構成員の数が4人を超える1人ごとに1,010,000円を加算した額
3号 世帯構成員 の数が4人に満たない場合10,010,000円から世帯構成員の数が4人に満たない1人ごとに1,010,000円を控除した額
3項 資産に係る基準は、 世帯構成員 が有する資産について、次の各号のいずれにも該当することとする。
1号 世帯構成員 の居住の用に供する土地及び建物の価額を基礎として前条に規定する趣旨を十分に踏まえて農林水産省令で定めるところにより算定した金額が、当該土地及び建物が世帯構成員の生活の基礎となるものであること、前項に定める収入に係る基準等を考慮して農林水産省令で定める額未満であること。
2号 前号に規定する土地及び建物以外の固定資産及び流動資産の価額を基礎として前条に規定する趣旨を十分に踏まえて農林水産省令で定めるところにより算定した金額が、前項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額未満であること。
4項 第1項の規定による免除は、同項に規定する債権の債務者からの書面による申請に基づいて行うものとする。
5項 前項に定めるもののほか、第1項の規定による免除の手続については、農林水産省令で定める。
6項 農林水産大臣は、第2項、第3項又は前項の農林水産省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
3条 (債務者の置かれている状況への配慮)
1項 前条第1項の規定の適用に当たっては、同項に規定する債権の債務者の置かれている状況に配慮するものとする。
4条 (非課税)
1項 租税その他の公課は、
第2条第1項
《歳入徴収官等国の債権の管理等に関する法律…》
第2条第4項に規定する歳入徴収官等をいう。は、同法第32条第1項の規定にかかわらず、福岡高等裁判所1978年ネ第180号、第211号損害賠償請求控訴事件及び福岡地方裁判所小倉支部1981年ワ第一、27
の規定による免除を受けた場合における経済的利益を標準として、課することができない。