軌道建設規程《本則》

法番号:1923年内務省・鉄道省令

略称:

附則 >  

制定文 軌道建設規程左の通定む


1章 総則

1条

1項 軌道の建設は本令の定むる所に依るへし

2条

1項 車輛の運転に常用する線路を本線路と謂ひ其の他の線路を側線と謂ふ

3条

1項 道路上其の他公衆の通行する場所に敷設する軌道を併用軌道と謂ひ其の他の軌道を新設軌道と謂ふ

3条の2

1項 軌道の建設は法切、切土、掘削、盛土、杭打等に因り人に危害を及ボさザるやう行ふことを要す

2章 線路及建造物 > 1節 軌間及輪縁路

4条

1項 軌間は直線に於て軌条頭の内側より内則迄の距離に依り之を測定す

5条

1項 軌間は七百六十二粍、一米〇六七、一米四三五と為すべし

6条

1項 併用軌道の曲線に於て軌間に拡度を付する場合は左の制限に依るへし

1号 軌間一米〇六七若は一米四三五にして曲線の半径百二十米以下のものに在りては二十五粍以内

2号 軌間七百六十二粍にして曲線の半径六十米以下のものに在りては十三粍以内

6条の2

1項 新設軌道の曲線に在りては左の区別に依り軌間に相当の拡度を付すベし但し転轍器に附帯する場合は此の限に在らズ

1号 軌間一米〇六七及一米四三五にして曲線の半径六百米以下のものに在りては二十五粍以内

2号 軌間七百六十二粍にして曲線の半径四百米以下のものに在りては十六粍以内

6条の3

1項 新設軌道の直線に在りては両軌条面の高を均くすることを要す但し曲線に於ける高度を逓減する場合は此の限に在らズ

2項 曲線に在りては転轍器に附帯する場合を除くの外外側軌条に相当の高度を附し曲線に接続する直線又は緩和曲線に於て之を逓減すベし

7条

1項 輪縁路は車輛の輪縁に対し適当の大さを有せしむへし

2項 市街地に於ける併用軌道にして交通特に頻繁なる箇所、転轍器又は轍叉を設置する箇所に在りては溝軌条を用い若は之に準すへき施設を為すべし

2節 軌道定規

8条

1項 併用軌道は道路の中央に之を敷設し左に掲くる車体外有効幅員を存せしむへし

9条

1項 街路、特に主要なる国道、主要なる国道及特に主要なる府県道を除く他の道路に於ては左に掲くる車体外有効幅員を存し軌道を其の一方に偏して敷設することを得

10条

1項 本線路に於ては並行せる両軌道中心間の間隔は車輛の最大幅員に四百粍を加へたるものより小なることを得す

2項 本線路に於ては車両と中央柱其の他の工作物との間隔は二百三十粍より小なることを得す

3項 本線路の曲線に於ては前2項に規定する間隔は之に両車輛の偏倚する寸法を加へたるものより小なることを得す

11条

1項 併用軌道に於ては軌条間の全部及左右各六百十粍は其の軌道を敷設する道路の路面と同一構造とし軌条面と道路面と高低なからしむへし

3節 電車柱、排水設備及地下工作物に対する防備

12条

1項 道路に建設する電車柱は特別の事由ある場合を除くの外之を側柱式と為すべし

2項 側柱は車道歩道の区別ある箇所に於ては歩道の車道側に之を建設すべし

3項 中央柱式に依る電車柱には点灯の設備を為すべし

13条

1項 併用軌道に於ては排水の設備を為すべし

14条

1項 軌道を地下工作物と交叉又は接近して敷設する為其の工作物を防護する必要あるときは適当の設備を為すべし

2項 軌道は人孔、制水弁等の操業に障碍を与へさる適当の距離を存し之を敷設すべし

4節 曲線及勾配

15条

1項 本線路の曲線半径は十一米より小なることを得す

16条

1項 本線路の勾配は1,000分の四十より急なることを得す但し特殊の箇所に於ては1,000分の六十七迄と為すことを得

2項 停留場に於ける本線路の勾配は1,000分の十より急なることを得す

4節の2 施工基面

16条の2

1項 新設軌道の軌道中心より施工基面縁端迄の距離は軌間一米〇六七及一米四三五のものに在りては一米八三以上、軌間七百六十二粍のものに在りては一米五二以上とす

5節 軌道及橋梁

17条

1項 枕木下面より施工基面迄の道床の厚は軌間一米〇六七及一米四三五のものに在りては百粍以上、軌間七百六十二粍のものに在りては七十六粍以上とす

17条の2

1項 軌道及橋梁の各部は動荷重に耐ふる負担力を有することを要す

2項 併用軌道に於ける軌道及橋梁の構造は前項に規定するものを除くの外 道路構造令 1970年政令第320号)( 道路法 1952年法律第180号第3条第3号 《道路の種類 第3条 道路の種類は、左に掲…》 げるものとする。 1 高速自動車国道 2 一般国道 3 都道府県道 4 市町村道 の都道府県道及同条第4号の市町村道に係るものは同令及同法第30条第3項の条例)の規定に依ることを要す

18条

1項 新設軌道の橋梁にして交通頻繁なる道路上又は水面上に架設するものに在りては物件の墜落を防く為車輛の全幅員及其の両側各三百粍以上之を蓋ふことを要す

5節の2 停留場

18条の2

1項 乗降場の幅は両側を使用するものに在りては二米以上、片側を使用するものに在りては一米五〇以上とす

2項 前項に規定するものの外道路の路面に敷設する併用軌道及新設軌道と道路の路面に敷設する併用軌道と交互に存する線区に於ける新設軌道以外の軌道の乗降場の幅に付ては両側を使用するものに在りては中央部を三米以上、片側を使用するものに在りては中央部を二米以上とす

5節の3 待避所

18条の3

1項 新設軌道に於ける隧道、橋梁其の他列車を避くるに困難なる場所には九十米以内の距離に待避所を設くることを要す

6節 踏切道

19条

1項 軌道と道路との平面交叉の交角は特別の事由ある場合を除くの外国道、府県道及主要なる市道町村道に在りては四十五度以上其の他に在りては三十度以上と為すべし

20条

1項 踏切道は軌条間の全部及其の左右各六百十粍に木石其の他適当なる材料を敷き軌条面と道路面と高低なからしむへし

2項 新設軌道の踏切道には通行人の注意を惹くへき警標を設け交通頻繁なる箇所には門扉其の他相当の保安設備を為すべし

7節 保安装置

21条

1項 線路か本線路より分岐し又は本線路か鉄道、軌道と平面交叉を為す箇所には相当の保安装置を為すべし新設軌道の停留場に於て車輛の行違を為すものに付また同し

7節の2 車両の逸出防備

21条の2

1項 車両ガ本線路に逸出する虞ある線路には相当の防止設備を為すベし

21条の3

1項 新設軌道の線路の終端には車止を設くることを要す

7節の3 線路の防備

21条の4

1項 新設軌道に於ては人の線路に踏入る虞ある場所及保安上必要なる場所には堤塘、柵垣又は溝渠を設くることを要す

7節の4 車庫其の他の設備

21条の5

1項 機関車を収容する為相当の設備を為すベし

21条の6

1項 車両を修理する為相当の設備を為すベし但し其の修理を他に委託することを得る場合は此の限に在らズ

3章 車輛 > 1節 装置

22条

1項 車両には制動機を装置すべし

2項 動力車には動力制動機及手用制動機を装置すべし但し機関車以外の動力車は空気制動機及他の動力制動機(非常の際用ひらるる他の空気制動機を含む)を装置し且車両を停止状態に保持し得る場合に限り手用制動機を省略することを得

3項 緩急車には手用制動機を装置すべし

4項 運転室を有する車両又は緩急車にして貫通制動機を有するものは之を作用させ得る装置を備ふることを要す此の場合に於て当該制動機か空気制動機のものに在りては之に圧力計を備ふることを要す

5項 貨車には車側制動機を装置すべし但し手用制動機を装置するときは之を省略することを得

6項 制動機の構造は告示を以て定むる基準に依るへし

23条

1項 車輛には救助器、担弾機、音響器及乗務員間の合図器を装置すべし但し新設軌道のみを運転する車輛に在りては救助器を装置することを要せす

2項 客車には前項に規定するものの外乗降用把手及車窓保護棒を装置すべし二車以上連結する車輛には弾性の緩衝器及聯結器を装置すべし

24条

1項 客車内には点灯の設備を為すべし但し瓦斯灯又は電灯なるときは予備灯の設備を為すべし

2節 車輪

25条

1項 車輪輪鉄の幅は左の寸法に依るへし

1号 軌間一米〇六七及一米四三五のものに在りては百五粍以上百三十粍以下

2号 軌間七百六十二粍のものに在りては八十五粍以上百十五粍以下

3号 主として溝軌条を使用する線路に在りては七十五粍以上百十五粍以下

26条

1項 車輪輪縁の高は輪鉄中央の踏面より測り常に左の寸法を保たしむへし

1号 軌間一米〇六七及一米四三五のものに在りては二十二粍以上三十六粍以下

2号 軌間七百六十二粍のものに在りては十九粍以上三十粍以下

3号 主として溝軌条を使用する線路に在りては十三粍以上二十五粍以下

2項 輪縁の厚は輪鉄中央の踏面より十粍下位に於て測り常に左の寸法を保たしむへし

1号 軌間一米〇六七及一米四三五のものに在りては十六粍以上

2号 軌間七百六十二粍のものに在りては十三粍以上

3号 主として溝軌条を使用する線路に在りては十粍以上

3節 機関車及電車

27条

1項 蒸気機関車には左の装置を為すべし

1号 給水器、験水器、安全弁各2箇を備ふること

2号 可鎔栓、実用最高汽圧を特記したる験圧器各1箇を備ふること

3号 煙室には火粉止を灰箱には灰燼止を備ふること

4号 火室側控に知らせ孔を設くること

28条

1項 電気機関車及電車には左の装置を為すべし

1号 自動遮断器を備ふること

2号 特別の場合を除くの外前後に制御器を備ふること

3号 架空線式の場合に在りては避雷器を備ふること

28条の2

1項 機関車には散砂装置を備ふへし

4節 客車

29条

1項 客車内の面積は乗客定員1人に付平均零平方米二八より小なることを得す但し起立乗客に対する相当の設備ある場合に限り之を零平方米一八迄縮小することを得

30条

1項 客車の乗降踏段の蹴上は三百八十粍以内、有効蹴込は二百十五粍以上たることを要す

31条

1項 客車の出入口の戸は有効開き五百五十粍以上たることを要す乗降台の有効長に付また同し

3章の2 電気施設

32条 (電車線の架設方式)

1項 電車線の架設方式は、次に掲げるところによらなければならない。

1号 普通鉄道の構造に相当する構造を有する軌道にあつては、架空単線式とすること。ただし、地下式構造の軌道、高架式構造の軌道その他人が容易に立ち入ることができない専用敷地内の軌道にあつては、さードれーる式によることができる。

2号 懸垂式鉄道、座式鉄道及び案内軌条式鉄道の構造に相当する構造を有する軌道にあつては、剛体複線式とすること。

32条の2 (電車線の電圧)

1項 電車線の標準電圧は、次に掲げるところによらなければならない。

1号 架空単線式の電車線又は剛体複線式の電車線(案内軌条式鉄道の構造に相当する構造を有する軌道の電車線を除く。)にあつては、直流千五百ボると、直流七百五十ボると又は直流六百ボるととすること。

2号 さードれーる又は剛体複線式の電車線(案内軌条式鉄道の構造に相当する構造を有する軌道の電車線に限る。)にあつては、直流七百五十ボると又は直流六百ボるととすること。

32条の3 (電車線の材質等)

1項 架空単線式の電車線(剛体ちよう架式の電車線を除く。)は、日本産業規格「みぞ付硬銅とろり線」の規格に適合する公称断面積八十五平方みりメートル以上の溝付硬銅線又はこれに準ずるものとしなければならない。ただし、側線の電車線にあつては、この限りでない。

2項 架空単線式の電車線(剛体ちよう架式のものに限る。)、さードれーる及び剛体複線式の電車線は、金属導体として十分な性能を有するものとしなければならない。

32条の4 (架空電車線のちよう架)

1項 架空単線式の電車線のちよう架方式は、次に掲げる場合を除き、はんガ間隔を5メートル以下としたかてなりちよう架式としなければならない。

1号 車両が90きろメートル毎時以下の速度で走行する場所において剛体ちよう架式によりちよう架する場合

2号 車両が50きろメートル毎時(電車線の支持点の間隔を15メートル以下とし、かつ、支持点の間隔を15メートルとしたときの最大のたるみが五十みりメートル以下となるような張力を電車線に与えたときは、65きろメートル毎時)以下の速度で走行する場所において直接ちよう架式によりちよう架する場合

32条の5 (架空電車線の高さ)

1項 架空単線式の電車線の軌条面上の高さは、軌間が1・67メートル又は1・435メートルの軌道にあつては5メートル以上5・4メートル以下とし、軌間が0・762メートルの軌道にあつては5メートル以上5・2メートル以下としなければならない。ただし、とんねる、雪覆い、こ線橋、橋りよう、プらッとほーむの上家ひさしその他これらに類するもののある場所及びこれらに隣接する場所においては、その高さを走行する車両のうち集電装置を折りたたんだ場合の高さが最高であるものの高さに四百みりメートル(変電所のき電側に連絡遮断装置を設け、かつ、いずれの車両内からも変電所又は電力指令所に連絡通報できる通信設備を設けている軌道においては、二百五十みりメートル)を加えた高さまで減ずることができる。

4章 雑則

33条

1項 鉄道に関する技術上の基準を定める省令 2001年国土交通省令第151号以下「鉄道技術基準省令」と謂ふ第23条第3項 《3 リニアモーター推進方式の鉄道における…》 動力発生装置の地上設備並びにその附属品及び締結装置は、列車等の運転に必要な能力を有し、車両の走行に支障を及ぼすおそれのない位置に設置され、かつ、動力の発生に伴う吸引力等に対して安全な構造でなければなら第35条第1項 《駅には、旅客又は貨物の取扱量等に応じ、プ…》 ラットホーム、貨物積卸場その他の旅客又は貨物の取扱いに必要な相当の設備を設けなければならない。第36条 《プラットホーム プラットホームは、次の…》 基準に適合するものでなければならない。 1 プラットホームの有効長は、当該プラットホームに発着する列車の最も前方にある旅客車車掌が旅客車以外の車両に乗務する場合は、当該車両を含む。以下この条において同第2号を除く)、 第41条 《電車線路等の施設等 電車線路及びき電線…》 並びにこれらに附属する機器及び電線並びに防護設備は、施設場所の状況、施設方法及び標準電圧に応じ、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。 2 架空電車線及び架空き電線は、施設場所の状第1項を除く)、 第42条 《架空電車線路等の接近又は交差 架空電車…》 線路の加電圧部分又は架空き電線は、他の電線路、工作物若しくは植物と接近し、又は交差する場合は、他の電線路又は工作物を損傷するおそれがなく、かつ、混触、感電及び火災のおそれのないように施設しなければなら第44条 《こ線橋等における障害防止 電車線路及び…》 き電線路をこ線橋、ホーム上家、橋りょうその他これに類する施設の下に施設する場合であって、人等に危害を及ぼすおそれのあるときは、障害を防止する設備を設けなければならない。第45条第1項 《帰線用レールは、帰線電流に対し十分な電気…》 回路を構成するように、かつ、レールから大地に流れる漏えい電流が少なくなるように施設しなければならない。第47条 《雷害等を防止する装置等 電車線路及びき…》 電線路並びにこれらに附属する機器並びに架空送電線路及び架空配電線路の保安上必要な箇所には、雷害を防止する装置を設けなければならない。 ただし、雷害のおそれの少ない場合は、この限りでない。 2 変圧器に第48条 《誘導作用による障害防止 電車線、き電線…》 、送電線及び配電線第51条の2第1項において「電車線等」という。を施設する場合は、誘導作用による障害を他に及ぼさないように電線相互間の離隔距離を増加し、又は防護設備を設けなければならない。 、第6章第2節、 第50条 《電気機器等設備の施設 電気機器、配電盤…》 その他これに類する設備第51条の2第1項において「電気機器等設備」という。は、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。第51条第1項 《引込線専用敷地外に施設するものを除く。及…》 び配線は、施設場所の状況、施設方法及び電圧に応じ、感電及び火災のおそれ、他の交通の支障となるおそれ並びに工作物を損傷するおそれのないように施設しなければならない。 及第2項、第6章第4節並に第7章第2節の規定は普通鉄道の構造に相当する構造を有する軌道に之を準用す

2項 鉄道技術基準省令第35条第1項、第36条(第2号を除く)、第41条(第1項及第3項を除く)、第42条、第44条、第47条、第48条、第6章第2節、第50条、第51条第1項及第2項、第6章第4節並に第7章第2節の規定は懸垂式鉄道、跨座式鉄道又は案内軌条式鉄道の構造に相当する構造を有する軌道に之を準用す

3項 鉄道技術基準省令第41条第1項、第43条、第45条第2項、第46条、第51条第3項並に第7章第1節及第4節の規定は普通鉄道の構造に相当する構造を有する新設軌道に之を準用す但し第7章第1節及第4節の規定は新設軌道と併用軌道と交互に存する線区に於ける新設軌道にして国土交通大臣の許可を受けたるものに在りては此の限に在らズ

4項 鉄道技術基準省令第41条第3項、第43条、第46条、第51条第3項並に第7章第1節及第4節の規定は懸垂式鉄道、跨座式鉄道又は案内軌条式鉄道の構造に相当する構造を有する新設軌道に之を準用す但し第7章第1節及第4節の規定は新設軌道と併用軌道と交互に存する線区に於ける新設軌道にして国土交通大臣の許可を受けたるものに在りては此の限に在らズ

34条

1項 特別の事由ある場合に於ては国土交通大臣は本令に依らさる設計を命することを得

2項 特別の事由ある場合に於ては国土交通大臣の認可を受け前各条に規定する設計に依らさることを得

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