制定文 商法(1899年法律第48号)、商法中改正法律施行法(1938年法律第73号)、有限会社法(1938年法律第74号)及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(1974年法律第22号)並びに商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等を定める政令(2002年政令第20号)の規定に基づき、 商法施行規則 を次のように定める。
1章 総則
1条 (目的)
1項 この規則は、商法(1899年法律第48号)の委任に基づく事項を定めることを目的とする。
2条 (定義)
1項 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
1号 商人 :商法第4条第1項に規定する 商人 (同条第2項により商人とみなされる者を含み、法人その他の団体を除く。)をいう。
2号 商業帳簿 :商法第19条第2項に規定する 商業帳簿 をいう。
3号 貸借対照表 :商法第19条第2項の規定により 商人 が作成すべき 貸借対照表 をいう。
4号 電磁的記録 :商法第539条第1項第2号に規定する 電磁的記録 をいう。
5号 電磁的方法 :商法第571条第2項に規定する 電磁的方法 をいう。
2章 商人
3条
1項 商法第7条に規定する法務省令で定める財産の価額は、営業の用に供する財産につき最終の営業年度に係る 貸借対照表 (最終の営業年度がない場合にあっては、開業時における貸借対照表)に計上した額とする。
2項 商法第7条に規定する法務省令で定める金額は、510,000円とする。
3章 商業帳簿
4条 (通則)
1項 商法第19条第2項の規定により作成すべき 商業帳簿 については、この章の定めるところによる。
2項 この章の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌しなければならない。
3項 商業帳簿 は、書面又は 電磁的記録 をもって作成及び保存をすることができる。
5条 (会計帳簿)
1項 商人 の会計帳簿に計上すべき資産については、この省令又は商法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、その取得価額を付さなければならない。ただし、取得価額を付すことが適切でない資産については、営業年度の末日(営業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この章において同じ。)における時価又は適正な価格を付すことができる。
2項 償却すべき資産については、営業年度の末日において、相当の償却をしなければならない。
3項 次の各号に掲げる資産については、営業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。
1号 営業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。)営業年度の末日における時価
2号 営業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産その時の取得原価から相当の減額をした額
4項 取立不能のおそれのある債権については、営業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。
5項 商人 の会計帳簿に計上すべき負債については、この省令又は商法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、債務額を付さなければならない。ただし、債務額を付すことが適切でない負債については、時価又は適正な価格を付すことができる。
6項 のれんは、有償で譲り受けた場合に限り、資産又は負債として計上することができる。
6条 (貸借対照表の表示の原則)
1項 貸借対照表 に係る事項の金額は、1円単位、1,000円単位又は1,010,000円単位をもって表示するものとする。
2項 貸借対照表 は、日本語をもって表示するものとする。ただし、その他の言語をもって表示することが不当でない場合は、この限りでない。
7条 (貸借対照表の作成)
1項 商人 は、その開業時における 貸借対照表 を作成しなければならない。この場合においては、開業時の会計帳簿に基づき作成しなければならない。
2項 商人 は、各営業年度に係る 貸借対照表 を作成しなければならない。この場合においては、当該営業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。
3項 各営業年度に係る 貸借対照表 の作成に係る期間は、当該営業年度の前営業年度の末日の翌日(当該営業年度の前営業年度がない場合にあっては、開業の日)から当該営業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、1年(営業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の営業年度については、1年6箇月)を超えることができない。
8条 (貸借対照表の区分)
1項 貸借対照表 は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。
1号 資産
2号 負債
3号 純資産
2項 前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。この場合において、当該各項目については、資産、負債又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。
4章 匿名組合
9条
1項 商法第539条第1項第2号に規定する法務省令で定めるものは、電子計算機に備えられたファイル又は 電磁的記録 媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。以下同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。
2項 商法第539条第1項第2号に規定する法務省令で定める方法は、同号の 電磁的記録 に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。
5章 仲立営業
10条 (結約書等の作成)
1項 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律 (2004年法律第149号。以下「 電子文書法 」という。)
第4条第1項
《民間事業者等は、作成のうち当該作成に関す…》
る他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの当該作成に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で
の主務省令で定める作成( 電子文書法
第2条第6号
《定義 第2条 この法律において、次の各号…》
に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 民間事業者等 法令の規定により書面又は電磁的記録の保存等をしなければならないものとされている民間事業者その他の者をいう。 ただし、次に掲げる者
に規定する作成をいう。以下この章において同じ。)は、商法第546条第1項に規定する結約書の作成及び同法第547条第1項の帳簿の作成とする。
2項 民間事業者等( 電子文書法
第2条第1号
《定義 第2条 この法律において、次の各号…》
に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1 民間事業者等 法令の規定により書面又は電磁的記録の保存等をしなければならないものとされている民間事業者その他の者をいう。 ただし、次に掲げる者
に規定する民間事業者等をいう。以下この章において同じ。)が前項の作成を行う場合は、その使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は 電磁的記録 媒体をもって調製する方法により作成を行わなければならない。
3項 第1項の場合における 電子文書法
第4条第3項
《3 第1項の場合において、民間事業者等は…》
、当該作成に関する他の法令の規定により署名等をしなければならないとされているものについては、当該法令の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって当該署名等に代
に規定する氏名又は名称を明らかにする措置であって法務省令で定めるものは、当該署名等をすべき者による電子署名( 電子署名及び認証業務に関する法律 (2000年法律第102号)
第2条第1項
《この法律において「電子署名」とは、電磁的…》
記録電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。に記録することができる情報について行われ
に規定する電子署名をいう。)とする。
11条 (結約書等の交付等)
1項 電子文書法
第6条第1項
《民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に…》
関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの当該交付等に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務
の主務省令で定める交付等(電子文書法第2条第9号に規定する交付等をいう。以下この章において同じ。)は、商法第546条第1項及び第2項並びに第547条第2項の交付とする。
2項 民間事業者等が、 電子文書法
第6条第1項
《民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に…》
関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの当該交付等に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務
の規定に基づき、前項の交付に代えて当該書面に係る 電磁的記録 の交付等を行う場合は、次に掲げる方法により行わなければならない。
1号 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 民間事業者等の使用に係る電子計算機と交付等の相手方の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された当該交付等に係る事項を電気通信回線を通じて交付等の相手方の閲覧に供し、当該相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法( 電子文書法
第6条第1項
《民間事業者等は、交付等のうち当該交付等に…》
関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの当該交付等に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務
に規定する方法による交付等を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
2号 電磁的記録 媒体をもって調製するファイルに当該交付等に係る事項を記録したものを交付する方法
3項 前項に掲げる方法は、交付等の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならない。
4項 第2項の場合における 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行令 (2005年政令第8号)
第2条第1項
《民間事業者等は、法第6条第1項の規定によ…》
り同項に規定する事項の交付等を行おうとするときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該交付等の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければ
の規定により示すべき方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。
1号 第2項に掲げる方法のうち民間事業者等が使用するもの
2号 ファイルへの記録の方式
6章 運送営業等
12条 (書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承諾等)
1項 次に掲げる規定に規定する事項を 電磁的方法 により提供しようとする者(次項において「 提供者 」という。)は、あらかじめ、当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
1号 商法第571条第2項
2号 商法第770条第3項
2項 前項の規定による承諾を得た 提供者 は、同項の相手方から書面又は 電磁的方法 により電磁的方法による事項の提供を受けない旨の申出があったときは、当該相手方に対し、当該事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該相手方が再び同項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
3項 第1項の規定により示すべき 電磁的方法 の種類及び内容は、次に掲げるものとする。
1号 次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの
イ 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの
(1) 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
(2) 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
ロ 電磁的記録 媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
ハ 送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
2号 前号イ又はロに掲げる方法を使用する場合にあっては、ファイルへの記録の方式
13条 (電磁的方法)
1項 商法第571条第2項に規定する電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。
1号 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
2号 電磁的記録 媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
3号 送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
2項 前項第1号又は第2号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。