小切手法《本則》

法番号:1933年法律第57号

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1章 小切手の振出及方式

1条

1項 小切手には左の事項を記載すベし

1号 証券の文言中に其の証券の作成に用ふる語を以て記載する小切手なることを示す文字

2号 一定の金額を支払ふベき旨の単純なる委託

3号 支払を為すベき者(支払人)の名称

4号 支払を為すベき地の表示

5号 小切手を振出す日及地の表示

6号 小切手を振出す者(振出人)の署名

2条

1項 前条に掲グる事項の何れかを欠く証券は小切手たる効力を有せズ但し次の数項に規定する場合は此の限に在らズ

2項 支払人の名称に附記したる地は特別の表示なき限り之を支払地と看做す支払人の名称に数箇の地の附記あるときは小切手は初頭に記載しある地に於て之を支払ふベきものとす

3項 前項の記載其の他何等の表示なき小切手は振出地に於て之を支払ふベきものとす

4項 振出地の記載なき小切手は振出人の名称に附記したる地に於て之を振出したるものと看做す

3条

1項 小切手は其の呈示の時に於て振出人の処分し得る資金ある銀行に宛て且振出人をして資金を小切手に依り処分することを得しむる明示又は黙示の契約に従ひ之を振出すベきものとす但し此の規定に従はザるときといえども証券の小切手たる効力を妨ゲズ

4条

1項 小切手は引受を為すことを得ズ小切手に為したる引受の記載は之を為さザるものと看做す

5条

1項 小切手は左の何れかとして之を振出すことを得

1号 記名式又は指図式

2号 記名式にして「指図禁止」の文字又は之と同一の意義を有する文言を記載するもの

3号 持参人払式

2項 記名の小切手にして「又は持参人に」の文字又は之と同一の意義を有する文言を記載したるものは之を持参人払式小切手と看做す

3項 受取人の記載なき小切手は之を持参人払式小切手と看做す

6条

1項 小切手は振出人の自己指図にて之を振出すことを得

2項 小切手は第三者の計算に於て之を振出すことを得

3項 小切手は振出人の自己宛にて之を振出すことを得

7条

1項 小切手に記載したる利息の約定は之を為さザるものと看做す

8条

1項 小切手は支払人の住所地に在ると又は其の他の地に在るとを問はズ第三者の住所に於て支払ふベきものと為すことを得但し其の第三者は銀行たることを要す

9条

1項 小切手の金額を文字及数字を以て記載したる場合に於て其の金額に差異あるときは文字を以て記載したる金額を小切手金額とす

2項 小切手の金額を文字を以て又は数字を以て重複して記載したる場合に於て其の金額に差異あるときは最小金額を小切手金額とす

10条

1項 小切手に小切手債務の負担に付き行為能力なき者の署名、偽造の署名、仮設人の署名又は其の他の事由に因り小切手の署名者若は其の本人に義務を負はしむること能はザる署名ある場合といえども他の署名者の債務は之ガ為其の効力を妨ゲらるることなし

11条

1項 代理権を有せザる者ガ代理人として小切手に署名したるときは自ら其の小切手に因り義務を負ふ其の者ガ支払を為したるときは本人と同一の権利を有す権限を超えたる代理人に付また同ジ

12条

1項 振出人は支払を担保す振出人ガ之を担保せザる旨の一切の文言は之を記載せザるものと看做す

13条

1項 未完成にて振出したる小切手に予め為したる合意と異る補充を為したる場合に於ては其の違反は之を以て所持人に対抗することを得ズ但し所持人ガ悪意又は重大なる過失に因り小切手を取得したるときは此の限に在らズ

2章 譲渡

14条

1項 記名式又は指図式の小切手は裏書に依りて之を譲渡すことを得

2項 記名式小切手にして「指図禁止」の文字又は之と同一の意義を有する文言を記載したるものは 民法 1896年法律第89号)第3編第1章第4節の規定に依る債権の譲渡に関する方式に従ひ且其の効力を以てのみ之を譲渡すことを得

3項 裏書は振出人其の他の債務者に対しても之を為すことを得此等の者は更に小切手を裏書することを得

15条

1項 裏書は単純なることを要す裏書に附したる条件は之を記載せザるものと看做す

2項 一部の裏書は之を無効とす

3項 支払人の裏書もまた之を無効とす

4項 持参人払の裏書は白地式裏書と同一の効力を有す

5項 支払人に対して為したる裏書は受取証書たる効力のみを有す但し支払人ガ数箇の営業所を有する場合に於て小切手の振宛てられたる営業所以外の営業所に対して為したる裏書は此の限に在らズ

16条

1項 裏書は小切手又は之と結合したる紙片(補箋)に之を記載し裏書人署名することを要す

2項 裏書は被裏書人を指定せズして之を為し又は単に裏書人の署名のみを以て之を為すことを得(白地式裏書)此の後の場合に於ては裏書は小切手の裏面又は補箋に之を為すに非ザれバ其の効力を有せズ

17条

1項 裏書は小切手より生ズる一切の権利を移転す

2項 裏書ガ白地式なるときは所持人は

1号 自己の名称又は他人の名称を以て白地を補充することを得

2号 白地式に依り又は他人を表示して更に小切手を裏書することを得

3号 白地を補充せズ且裏書を為さズして小切手を第三者に譲渡すことを得

18条

1項 裏書人は反対の文言なき限り支払を担保す

2項 裏書人は新なる裏書を禁ズることを得此の場合に於ては其の裏書人は小切手の爾後の被裏書人に対し担保の責を負ふことなし

19条

1項 裏書し得ベき小切手の占有者ガ裏書の連続に依り其の権利を証明するときは之を適法の所持人と看做す最後の裏書ガ白地式なる場合といえどもまた同ジ抹消したる裏書は此の関係に於ては之を記載せザるものと看做す白地式裏書に次デ他の裏書あるときは其の裏書を為したる者は白地式裏書に因りて小切手を取得したるものと看做す

20条

1項 持参人払式小切手に裏書を為したるときは裏書人は遡求に関する規定に従ひ責任を負ふ但し之ガ為証券は指図式小切手に変ズることなし

21条

1項 事由の何たるを問はズ小切手の占有を失ひたる者ある場合に於て其の小切手を取得したる所持人は小切手ガ持参人払式のものなるとき又は裏書し得ベきものにして其の所持人ガ 第19条 《 裏書し得ベき小切手の占有者ガ裏書の連続…》 に依り其の権利を証明するときは之を適法の所持人と看做す最後の裏書ガ白地式なる場合といえどもまた同ジ抹消したる裏書は此の関係に於ては之を記載せザるものと看做す白地式裏書に次デ他の裏書あるときは其の裏書を の規定に依り権利を証明するときは之を返還する義務を負ふことなし但し悪意又は重大なる過失に因り之を取得したるときは此の限に在らズ

22条

1項 小切手に依り請求を受けたる者は振出人其の他所持人の前者に対する人的関係に基く抗弁を以て所持人に対抗することを得ズ但し所持人ガ其の債務者を害することを知りて小切手を取得したるときは此の限に在らズ

23条

1項 裏書に「回収の為」、「取立の為」、「代理の為」其の他単なる委任を示す文言あるときは所持人は小切手より生ズる一切の権利を行使することを得但し所持人は代理の為の裏書のみを為すことを得

2項 前項の場合に於ては債務者ガ所持人に対抗することを得る抗弁は裏書人に対抗することを得ベかりしものに限る

3項 代理の為の裏書に依る委任は委任者の死亡又は其の者ガ行為能力の制限を受けたることに因り終了せズ

24条

1項 拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成後の裏書又は呈示期間経過後の裏書は 民法 第3編第1章第4節の規定に依る債権の譲渡の効力のみを有す

2項 日附の記載なき裏書は拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成前又は呈示期間経過前に之を為したるものと推定す

3章 保証

25条

1項 小切手の支払は其の金額の全部又は一部に付保証に依り之を担保することを得

2項 支払人を除くの外第三者は前項の保証を為すことを得小切手に署名したる者といえどもまた同ジ

26条

1項 保証は小切手又は補箋に之を為すベし

2項 保証は「保証」其の他之と同一の意義を有する文字を以て表示し保証人署名すベし

3項 小切手の表面に為したる単なる署名は之を保証と看做す但し振出人の署名は此の限に在らズ

4項 保証には何人の為に之を為すかを表示することを要す其の表示なきときは振出人の為に之を為したるものと看做す

27条

1項 保証人は保証せられたる者と同一の責任を負ふ

2項 保証は其の担保したる債務ガ方式の瑕疵を除き他の如何なる事由に因りて無効なるときといえども之を有効とす

3項 保証人ガ小切手の支払を為したるときは保証せられたる者及其の者の小切手上の債務者に対し小切手より生ズる権利を取得す

4章 呈示及支払

28条

1項 小切手は一覧払のものとす之に反する一切の記載は之を為さザるものと看做す

2項 振出の日附として記載したる日より前に支払の為呈示したる小切手は呈示の日に於て之を支払ふベきものとす

29条

1項 国内に於て振出し且支払ふベき小切手は10日内に支払の為之を呈示することを要す

2項 支払を為すベき国と異る国に於て振出したる小切手は振出地及支払地ガ同一洲に存するときは20日内又異る洲に存するときは70日内に之を呈示することを要す

3項 前項に関しては欧羅巴洲の一国に於て振出し地中海沿岸の一国に於て支払ふベき小切手又は地中海沿岸の一国に於て振出し欧羅巴洲の一国に於て支払ふベき小切手は同一洲内に於て振出し且支払ふベきものと看做す

4項 本条に掲グる期間の起算日は小切手に振出の日附として記載したる日とす

30条

1項 小切手ガ暦を異にする二地の間に振出したるものなるときは振出の日を支払地の暦の応当日に換ふ

31条

1項 手形交換所に於ける小切手の呈示は支払の為の呈示たる効力を有す

32条

1項 小切手の支払委託の取消は呈示期間経過後に於てのみ其の効力を生ズ

2項 支払委託の取消なきときは支払人は期間経過後といえども支払を為すことを得

33条

1項 振出の後振出人ガ死亡し意思能力を喪失し又は行為能力の制限を受くるも小切手の効力に影響を及ボすことなし

34条

1項 小切手の支払人は支払を為すに当り所持人に対し小切手に受取を証する記載を為して之を交付すベきことを請求することを得

2項 所持人は一部支払を拒むことを得ズ

3項 一部支払の場合に於ては支払人は其の支払ありたる旨の小切手上の記載及受取証書の交付を請求することを得

35条

1項 裏書し得ベき小切手の支払を為す支払人は裏書の連続の整否を調査する義務あるも裏書人の署名を調査する義務なし

36条

1項 支払地の通貨に非ザる通貨を以て支払ふベき旨を記載したる小切手に付ては其の呈示期間内は支払の日に於ける価格に依り其の国の通貨を以て支払を為すことを得呈示を為すも支払なかりしときは所持人は其の選択に依り呈示の日又は支払の日の相場に従ひ其の国の通貨を以て小切手の金額を支払ふベきことを請求することを得

2項 外国通貨の価格は支払地の慣習に依り之を定む但し振出人は小切手に定めたる換算率に依り支払金額を計算すベき旨を記載することを得

3項 前2項の規定は振出人ガ特種の通貨を以て支払ふベき旨(外国通貨現実支払文句)を記載したる場合には之を適用せズ

4項 振出国と支払国とに於て同名異価を有する通貨に依り小切手の金額を定めたるときは支払地の通貨に依りて之を定めたるものと推定す

5章 線引小切手

37条

1項 小切手の振出人又は所持人は小切手に線引を為すことを得線引は次条に定むる効力を有す

2項 線引は小切手の表面に2条の平行線を引きて之を為すベし線引は一般又は特定たることを得

3項 2条の線内に何等の指定を為さザるか又は「銀行」若は之と同一の意義を有する文字を記載したるときは線引は之を一般とす2条の線内に銀行の名称を記載したるときは線引は之を特定とす

4項 一般線引は之を特定線引に変更することを得るも特定線引は之を一般線引に変更することを得ズ

5項 線引又は被指定銀行の名称の抹消は之を為さザるものと看做す

38条

1項 一般線引小切手は支払人に於て銀行に対し又は支払人の取引先に対してのみ之を支払ふことを得

2項 特定線引小切手は支払人に於て被指定銀行に対してのみ又被指定銀行ガ支払人なるときは自己の取引先に対してのみ之を支払ふことを得但し被指定銀行は他の銀行をして小切手の取立を為さしむることを得

3項 銀行は自己の取引先又は他の銀行よりのみ線引小切手を取得することを得銀行は此等の者以外の者の為に線引小切手の取立を為すことを得ズ

4項 数箇の特定線引ある小切手は支払人に於て之を支払ふことを得ズ但し2箇の線引ある場合に於て其の一ガ手形交換所に於ける取立の為に為されたるものなるときは此の限に在らズ

5項 前4項の規定を遵守せザる支払人又は銀行は之ガ為に生ジたる損害に付小切手の金額に達する迄賠償の責に任ズ

6章 支払拒絶に因る遡求

39条

1項 適法の時期に呈示したる小切手の支払なき場合に於て左の何れかに依り支払拒絶を証明するときは所持人は裏書人、振出人其の他の債務者に対し其の遡求権を行ふことを得

1号 公正証書(拒絶証書

2号 小切手に呈示の日を表示して記載し且日附を附したる支払人の宣言

3号 適法の時期に小切手を呈示したるも其の支払なかりし旨を証明し且日附を附したる手形交換所の宣言

40条

1項 拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言は呈示期間経過前に之を作らしむることを要す

2項 期間の末日に呈示ありたるときは拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言は之に次グ第一の取引日に之を作らしむることを得

41条

1項 所持人は拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言の作成の日に次グ又は無費用償還文句ある場合に於ては呈示の日に次グ四取引日内に自己の裏書人及振出人に対し支払拒絶ありたることを通知することを要す各裏書人は通知を受けたる日に次グ二取引日内に前の通知者全員の名称及宛所を示して自己の受けたる通知を自己の裏書人に通知し順次振出人に及ブものとす此の期間は各其の通知を受けたる時より進行す

2項 前項の規定に従ひ小切手の署名者に通知を為すときは同一期間内に其の保証人に同一の通知を為すことを要す

3項 裏書人ガ其の宛所を記載せズ又は其の記載ガ読み難き場合に於ては其の裏書人の直接の前者に通知するを以て足る

4項 通知を為すベき者は如何なる方法に依りても之を為すことを得単に小切手を返付するに依りてもまた之を為すことを得

5項 通知を為すベき者は適法の期間内に通知を為したることを証明することを要す此の期間内に通知を為す書面を郵便に付し又は 民間事業者による信書の送達に関する法律 2002年法律第99号第2条第6項 《6 この法律において「一般信書便事業者」…》 とは、一般信書便事業を営むことについて第6条の許可を受けた者をいう。 に規定する一般信書便事業者若は同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務を利用して発送したる場合に於ては其の期間を遵守したるものと看做す

6項 前項の期間内に通知を為さザる者は其の権利を失ふことなし但し過失に因りて生ジたる損害あるときは小切手の金額を超えザる範囲内に於て其の賠償の責に任ズ

42条

1項 振出人、裏書人又は保証人は証券に記載し且署名したる「無費用償還」、「拒絶証書不要」の文句其の他之と同一の意義を有する文言に依り所持人に対し其の遡求権を行ふ為の拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言の作成を免除することを得

2項 前項の文言は所持人に対し法定期間内に於ける小切手の呈示及通知の義務を免除することなし期間の不遵守は所持人に対し之を援用する者に於て其の証明を為すことを要す

3項 振出人ガ第1項の文言を記載したるときは一切の署名者に対し其の効力を生ズ裏書人又は保証人ガ之を記載したるときは其の裏書人又は保証人に対してのみ其の効力を生ズ振出人ガ此の文言を記載したるに拘らズ所持人ガ拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言を作らしめたるときは其の費用は所持人之を負担す裏書人又は保証人ガ此の文言を記載したる場合に於て拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言の作成ありたるときは一切の署名者をして其の費用を償還せしむることを得

43条

1項 小切手上の各債務者は所持人に対し合同して其の責に任ズ

2項 所持人は前項の債務者に対し其の債務を負ひたる順序に拘らズ各別又は共同に請求を為すことを得

3項 小切手の署名者にして之を受戻したるものも同一の権利を有す

4項 債務者の1人に対する請求は他の債務者に対する請求を妨ゲズ既に請求を受けたる者の後者に対してもまた同ジ

44条

1項 所持人は遡求を受くる者に対し左の金額を請求することを得

1号 支払あらザりし小切手の金額

2号 法定利率(国内に於て振出し且支払ふベき小切手以外の小切手に在りては年6分の率次条第2号に於て同ジ)に依る呈示の日以後の利息

3号 拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言の費用、通知の費用及其の他の費用

45条

1項 小切手を受戻したる者は其の前者に対し左の金額を請求することを得

1号 其の支払ひたる総金額

2号 前号の金額に対し法定利率に依り計算したる支払の日以後の利息

3号 其の支出したる費用

46条

1項 遡求を受けたる又は受くベき債務者は支払と引換に拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言、受取を証する記載を為したる計算書及小切手の交付を請求することを得

2項 小切手を受戻したる裏書人は自己及後者の裏書を抹消することを得

47条

1項 法定の期間内に於ける小切手の呈示又は拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成ガ避くベからザる障碍(国の法令に依る禁制其の他の不可抗力)に因りて妨ゲられたるときは其の期間を伸長す

2項 所持人は自己の裏書人に対し遅滞なく其の不可抗力を通知し且小切手又は補箋に其の通知を記載し日附を附して之に署名することを要す其の他に付ては 第41条 《 所持人は拒絶証書又は之と同一の効力を有…》 する宣言の作成の日に次グ又は無費用償還文句ある場合に於ては呈示の日に次グ四取引日内に自己の裏書人及振出人に対し支払拒絶ありたることを通知することを要す各裏書人は通知を受けたる日に次グ二取引日内に前の通 の規定を準用す

3項 不可抗力ガ止みたるときは所持人は遅滞なく支払の為小切手を呈示し且必要あるときは拒絶証書又は之と同一の効力を有する宣言を作らしむることを要す

4項 不可抗力ガ所持人に於て其の裏書人に不可抗力の通知を為したる日より15日を超えて継続するときは呈示期間経過前に其の通知を為したる場合といえども呈示又は拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言を要せズして遡求権を行ふことを得

5項 所持人又は所持人ガ小切手の呈示又は拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成を委任したる者に付ての単純なる人的事由は不可抗力を構成するものと認めズ

7章 複本

48条

1項 一国に於て振出し他の国に於て若は振出国の海外領土に於て支払ふベき小切手、一国の海外領土に於て振出し其の国に於て支払ふベき小切手、一国の同一海外領土に於て振出し且支払ふベき小切手又は一国の一海外領土に於て振出し其の国の他の海外領土に於て支払ふベき小切手は持参人払のものを除くの外同一内容の数通を以て之を振出すことを得数通を以て小切手を振出したるときは其の証券の文言中に番号を附することを要す之を欠くときは各通は之を各別の小切手と看做す

49条

1項 複本の一通の支払は其の支払ガ他の複本を無効ならしむる旨の記載なきときといえども義務を免れしむ

2項 数人に各別に複本を譲渡したる裏書人及其の後の裏書人は其の署名ある各通にして返還を受けザるものに付責任を負ふ

8章 変造

50条

1項 小切手の文言の変造の場合に於ては其の変造後の署名者は変造したる文言に従ひて責任を負ひ変造前の署名者は原文言に従ひて責任を負ふ

9章 時効

51条

1項 所持人の裏書人、振出人其の他の債務者に対する遡求権は呈示期間経過後6月を以て時効に罹る

2項 小切手の支払を為すベき債務者の他の債務者に対する遡求権は其の債務者ガ小切手の受戻を為したる日又は其の者ガ訴を受けたる日より6月を以て時効に罹る

52条

1項 時効の完成猶予又は更新は其の事由ガ生ジたる者に対してのみ其の効力を生ズ

10章 支払保証

53条

1項 支払人は小切手に支払保証を為すことを得

2項 支払保証は小切手の表面に「支払保証」其の他支払を為す旨の文字を以て表示し日附を附して支払人署名すベし

54条

1項 支払保証は単純なることを要す

2項 支払保証に依り小切手の記載事項に加へたる変更は之を記載せザるものと看做す

55条

1項 支払保証を為したる支払人は呈示期間の経過前に小切手の呈示ありたる場合に於てのみ其の支払を為す義務を負ふ

2項 支払なき場合に於て前項の呈示ありたることは 第39条 《 適法の時期に呈示したる小切手の支払なき…》 場合に於て左の何れかに依り支払拒絶を証明するときは所持人は裏書人、振出人其の他の債務者に対し其の遡求権を行ふことを得 1 公正証書拒絶証書 2 小切手に呈示の日を表示して記載し且日附を附したる支払人の の規定に依り之を証明することを要す

3項 第44条 《 所持人は遡求を受くる者に対し左の金額を…》 請求することを得 1 支払あらザりし小切手の金額 2 法定利率国内に於て振出し且支払ふベき小切手以外の小切手に在りては年6分の率次条第2号に於て同ジに依る呈示の日以後の利息 3 拒絶証書又は之と同一の第45条 《 小切手を受戻したる者は其の前者に対し左…》 の金額を請求することを得 1 其の支払ひたる総金額 2 前号の金額に対し法定利率に依り計算したる支払の日以後の利息 3 其の支出したる費用 の規定は前項の場合に之を準用す

56条

1項 支払保証に因り振出人其の他の小切手上の債務者は其の責を免るることなし

57条

1項 第47条 《 法定の期間内に於ける小切手の呈示又は拒…》 絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成ガ避くベからザる障碍国の法令に依る禁制其の他の不可抗力に因りて妨ゲられたるときは其の期間を伸長す 所持人は自己の裏書人に対し遅滞なく其の不可抗力を通知し且小切 の規定は支払保証を為したる支払人に対する権利の行使に付之を準用す

58条

1項 支払保証を為したる支払人に対する小切手上の請求権は呈示期間経過後1年を以て時効に罹る

11章 通則

59条

1項 本法に於て「銀行」なる文字は法令に依りて銀行と同視せらるる人又は施設を含む

60条

1項 小切手の呈示及拒絶証書の作成は取引日に於てのみ之を為すことを得

2項 小切手に関する行為を為す為殊に呈示又は拒絶証書若は之と同一の効力を有する宣言の作成の為法令に規定したる期間の末日ガ法定の休日に当る場合に於ては期間は其の満了に次グ第一の取引日迄之を伸長す期間中の休日は之を期間に算入す

61条

1項 本法に規定する期間には其の初日を算入せズ

62条

1項 恩恵日は法律上のものたると裁判上のものたるとを問はズ之を認めズ

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