デジタル社会形成基本法《本則》

法番号:2021年法律第35号

略称:

附則 >  

1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、デジタル社会の形成が、我が国の国際競争力の強化及び国民の利便性の向上に資するとともに、急速な少子高齢化の進展への対応その他の我が国が直面する課題を解決する上で極めて重要であることに鑑み、デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びにデジタル庁の設置及びデジタル社会の形成に関する重点計画の作成について定めることにより、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 デジタル社会 」とは、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、 官民データ活用推進基本法 2016年法律第103号第2条第2項 《2 この法律において「人工知能関連技術」…》 とは、人工的な方法による学習、推論、判断等の知的な機能の実現及び人工的な方法により実現した当該機能の活用に関する技術をいう。 に規定する人工知能関連技術、同条第3項に規定するインターネット・オブ・シングス活用関連技術、同条第4項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の従来の処理量に比して大量の情報の処理を可能とする先端的な技術をはじめとする 情報通信技術 以下「 情報通信技術 」という。)を用いて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。 第30条 《国民による国及び地方公共団体が保有する情…》 報の活用 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、国及び地方公共団体が保有する情報のうち国民生活に有用なものについて、書面等に記載された情報の電磁的記録としての記録、電磁的記録として記録さ 及び 第34条 《データの品質の確保 デジタル社会の形成…》 に関する施策の策定に当たっては、情報システムで用いられ、又は公的基礎情報データベースを構成するデータ電磁的記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものとして記録された情報をいう。以下この条及 において同じ。)として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用すること(以下「 情報通信技術を用いた情報の活用 」という。)により、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。

2章 基本理念

3条 (全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現)

1項 デジタル社会 の形成は、全ての国民が、高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用するとともに、 情報通信技術 を用いた情報の活用を行うことにより、デジタル社会におけるあらゆる活動に参画し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、行われなければならない。

4条 (経済構造改革の推進及び産業国際競争力の強化)

1項 デジタル社会 の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用により、経済活動の促進、中小企業者その他の事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上、多様な事業の創出並びに多様な就業の機会その他労働者がその有する能力を有効に発揮する機会の増大をもたらし、もって経済構造改革の推進及び産業の国際競争力の強化に寄与するものでなければならない。

5条 (ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現)

1項 デジタル社会 の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用により、国民の立場に立って、国民生活の全般にわたる多様なサービスの価値を高め、及びその新たな価値を生み出すことにより、生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大が図られ、もってゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならない。

6条 (活力ある地域社会の実現等)

1項 デジタル社会 の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用による、地域経済の活性化、地域における魅力ある多様な就業の機会の創出並びに地域内及び地域間の多様な交流の機会の増大による住民生活の充実及び利便性の向上を通じて、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現、地域社会の持続可能性の確保及び地域住民の福祉の向上に寄与するものでなければならない。

7条 (国民が安全で安心して暮らせる社会の実現)

1項 デジタル社会 の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用により、大規模な災害の発生、感染症のまん延その他の国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがある事態に迅速かつ適確に対応することにより、被害の発生の防止又は軽減が図られ、もって国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するものでなければならない。

8条 (利用の機会等の格差の是正)

1項 デジタル社会 の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他の要因に基づく高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用に係る機会又は必要な能力における格差が、デジタル社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることに鑑み、その是正が着実に図られなければならない。

9条 (国及び地方公共団体と民間との役割分担)

1項 デジタル社会 の形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則とし、国及び地方公共団体は、民間の知見を積極的に活用しながら、公正な競争の促進、規制の見直し等デジタル社会の形成を阻害する要因の解消その他の民間の活力が10分に発揮されるための環境整備並びに公共サービス( 公共サービス基本法 2009年法律第40号第2条 《定義 この法律において「公共サービス」…》 とは、次に掲げる行為であって、国民が日常生活及び社会生活を円滑に営むために必要な基本的な需要を満たすものをいう。 1 国独立行政法人独立行政法人通則法1999年法律第103号第1項に規定する独立行政法 に規定する公共サービスをいう。 第29条 《国及び地方公共団体の情報システムの共同化…》 等 デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、公共サービスにおける国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、行政の内外の知見を集約し、及び活用し において同じ。)における国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上並びに公正な給付と負担の確保のための環境整備を中心とした施策を行うものとする。

10条 (個人及び法人の権利利益の保護等)

1項 デジタル社会 の形成に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用により個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにされるとともに、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保が図られなければならない。

11条 (情報通信技術の進展への対応)

1項 デジタル社会 の形成に当たっては、 情報通信技術 の進展について、適確かつ積極的に対応しなければならない。

12条 (社会経済構造の変化に伴う新たな課題への対応)

1項 デジタル社会 の形成に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用により生ずる社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における各般の新たな課題について、適確かつ積極的に対応しなければならない。

3章 国、地方公共団体及び事業者の責務等

13条 (国及び地方公共団体の責務)

1項 国は、前章に定める デジタル社会 の形成についての 基本理念 以下「 基本理念 」という。)にのっとり、デジタル社会の形成に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

14条

1項 地方公共団体は、 基本理念 にのっとり、 デジタル社会 の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

15条

1項 及び地方公共団体は、 デジタル社会 の形成に関する施策が迅速かつ重点的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。

16条 (事業者の責務)

1項 事業者は、 基本理念 にのっとり、その事業活動に関し、自ら積極的に デジタル社会 の形成の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するデジタル社会の形成に関する施策に協力するよう努めるものとする。

17条 (法制上の措置等)

1項 政府は、 デジタル社会 の形成に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

18条 (統計等の作成及び公表)

1項 政府は、 デジタル社会 に関する統計その他のデジタル社会の形成に資する資料を作成し、インターネットの利用その他適切な方法により随時公表しなければならない。

19条 (国民の理解を深めるための措置等)

1項 政府は、広報活動等を通じて デジタル社会 の形成に関する国民の理解を深めるとともに、デジタル社会の形成に関する施策の策定及び実施に当たって広く国民の意見が反映されるよう、必要な措置を講じなければならない。

4章 施策の策定に係る基本方針

20条 (施策の一体的な推進)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの一層の拡充、多様な主体による情報の円滑な流通の確保、多様な主体が利用し得る情報の充実並びに高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用に係る機会の確保及び必要な能力の習得が不可欠であり、かつ、相互に密接な関連を有することに鑑み、これらが一体的に推進されなければならない。

21条 (世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、広く国民が低廉な料金で多様なサービスを利用することができるよう、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成を促進するため、事業者間の公正な競争の促進その他の必要な措置が講じられなければならない。

22条 (多様な主体による情報の円滑な流通の確保)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、情報交換システム(多様な主体が設置する情報システムの相互の連携により迅速かつ安全に情報の授受を行い、情報を共有することができるようにするための情報システムをいう。)の整備、データの標準化( 情報通信技術 を活用した行政の推進等に関する法律(2002年法律第151号)第4条第2項第5号イに規定するデータの標準化をいう。)、外部連携機能(同号ハに規定する外部連携機能をいう。)の整備及び当該外部連携機能に係る仕様に関する情報の提供その他の多様な主体による情報の円滑な流通の確保を図るために必要な措置が講じられなければならない。

23条 (高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用の機会における格差が生じないよう、情報の取得及び利用の機会を確保するための情報通信機器の研究開発の推進及びその導入の促進その他の全ての国民に当該機会の確保が図られるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

24条 (教育及び学習の振興)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用に必要な能力における格差が生じないよう、全ての国民が当該能力を向上させることができるようにするための教育及び学習を振興するために必要な措置が講じられなければならない。

25条 (人材の育成)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用に必要な国民の能力の向上のための教育を担う人材、多様な主体が設置する情報システムの連携を担う人材、情報通信技術を用いた情報の活用に必要な情報の収集及び分析を担う人材その他デジタル社会の発展を担う専門的な知識又は技術を有する創造的な人材を育成するために必要な措置が講じられなければならない。

26条 (経済活動の促進)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、 情報通信技術 の進展の状況並びに個人情報の有用性及び保護の必要性を踏まえた規制の見直し、あらゆる分野における情報通信技術を用いた情報の活用に関する取引の円滑化に必要な環境の整備、知的財産権の適正な保護及び利用その他の高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用による経済活動の促進を図るために必要な措置が講じられなければならない。

27条 (事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、多様な主体が設置する情報システムの連携を通じた情報の共有の促進、情報システムの運用及び管理に関する指針の策定その他の高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用による事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上を図るために必要な措置が講じられなければならない。

28条 (生活の利便性の向上等)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用による国民生活の全般にわたる多様なサービスの開発及び提供の促進、情報通信技術を利用して行う事業場外における勤務に関する援助、消費者の利益の擁護及び増進を図る上で必要な環境の整備その他の生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大を図るために必要な措置が講じられなければならない。

29条 (国及び地方公共団体の情報システムの共同化等)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、公共サービスにおける国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、行政の内外の知見を集約し、及び活用しつつ、国及び地方公共団体の情報システムの共同化又は集約の推進(全ての地方公共団体が 官民データ活用推進基本法 第2条第4項 《4 この法律において「クラウド・コンピュ…》 ーティング・サービス関連技術」とは、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機入出力装置を含む。以下同じ。を他人の情報処理の用に供するサービスに関する技術をいう。 に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術に係るサービスを利用することができるようにするための国による環境の整備を含む。)、個人番号の利用の範囲の拡大その他の国及び地方公共団体における高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用を積極的に推進するために必要な措置が講じられなければならない。

30条 (国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、国及び地方公共団体が保有する情報のうち国民生活に有用なものについて、書面等に記載された情報の電磁的記録としての記録、電磁的記録として記録された情報であって一般の利用に供しているものの公表その他の国及び地方公共団体が保有する情報を国民が容易に活用することができるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

31条 (公的基礎情報データベースの整備等)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、公的基礎情報データベース(国、地方公共団体その他の公共機関及び公共分野の事業者が保有する情報のうち社会生活又は事業活動に伴い必要とされる多数の手続の処理の基礎となるものの集合物であって、多様な主体が当該情報を電子計算機を用いて適切な制御の下で検索することができるように体系的に構成したものをいう。 第34条 《データの品質の確保 デジタル社会の形成…》 に関する施策の策定に当たっては、情報システムで用いられ、又は公的基礎情報データベースを構成するデータ電磁的記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものとして記録された情報をいう。以下この条及 及び 第39条第2項第12号 《2 重点計画は、次に掲げる事項について定…》 めるものとする。 1 デジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針 2 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策 において同じ。)を整備するとともに、その利用を促進するために必要な措置が講じられなければならない。

32条 (公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、国民の利便性の向上を図るため、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用による公共分野におけるサービスの多様化及び質の向上のために必要な措置が講じられなければならない。

33条 (サイバーセキュリティの確保等)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、サイバーセキュリティ( サイバーセキュリティ基本法 2014年法律第104号第2条 《定義 この法律において「サイバーセキュ…》 リティ」とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式以下この条において「電磁的方式」という。により記録され、又は発信され、伝送され、若しくは受信される情報の漏えい、滅 に規定するサイバーセキュリティをいう。 第39条第2項第14号 《2 重点計画は、次に掲げる事項について定…》 めるものとする。 1 デジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針 2 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策 において同じ。)の確保、 情報通信技術 を用いた犯罪の防止、情報通信技術を用いた本人確認の信頼性の確保、情報の改変の防止、高度情報通信ネットワークの災害対策、個人情報の保護その他の国民が安心して高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用を行うことができるようにするために必要な措置が講じられなければならない。

34条 (データの品質の確保)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、情報システムで用いられ、又は公的基礎情報データベースを構成するデータ(電磁的記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものとして記録された情報をいう。以下この条及び 第39条第2項第15号 《2 重点計画は、次に掲げる事項について定…》 めるものとする。 1 デジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針 2 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策 において同じ。)を正確かつ最新の内容に保つことその他のデータの品質を確保するために必要な措置が講じられなければならない。

35条 (国際的な協調及び貢献)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、高度情報通信ネットワークを通じた信頼性のある情報の自由かつ安全な流通を確保することの重要性に鑑み、高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用による社会経済活動に関する、国際的な規格、規範等の整備に向けた主体的な参画、調査及び研究開発の推進のための国際的な連携及び開発途上地域に対する技術協力その他の国際協力を積極的に行うために必要な措置が講じられなければならない。

36条 (研究開発及び実証の推進)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、 情報通信技術 の水準の向上が、我が国におけるデジタル社会の持続的な発展の基盤であるとともに、我が国産業の国際競争力の強化をもたらす源泉であることに鑑み、情報通信技術について、国、地方公共団体、国立研究開発法人( 独立行政法人通則法 1999年法律第103号第2条第3項 《3 この法律において「国立研究開発法人」…》 とは、公共上の事務等のうち、その特性に照らし、一定の自主性及び自律性を発揮しつつ、中長期的な視点に立って執行することが求められる科学技術に関する試験、研究又は開発以下「研究開発」という。に係るものを主 に規定する国立研究開発法人をいう。)、大学、事業者等の相互の密接な連携の下に、創造性のある研究開発及び当該情報通信技術の有効性の実証が推進されるよう必要な措置が講じられなければならない。

37条 (情報通信技術の効果的な活用のための規制の見直し)

1項 デジタル社会 の形成に関する施策の策定に当たっては、最新の 情報通信技術 の活用により国民の利便性の向上及び行政運営の改善を図る観点から、国、地方公共団体及び事業者の業務の処理について、これに関連する規制により情報通信技術の進展の状況を踏まえたその効果的な活用が妨げられないようにするために必要な措置が講じられなければならない。

5章 デジタル庁

38条

1項 基本理念 にのっとり、 デジタル社会 の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けるとともに、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図るため、別に法律で定めるところにより、内閣に、デジタル庁を置く。

6章 デジタル社会の形成に関する重点計画

39条 (デジタル社会の形成に関する重点計画の作成等)

1項 政府は、この章の定めるところにより、 デジタル社会 の形成に関する 重点計画 以下この章において「 重点計画 」という。)を作成しなければならない。

2項 重点計画 は、次に掲げる事項について定めるものとする。

1号 デジタル社会 の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針

2号 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

3号 多様な主体による情報の円滑な流通の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

4号 高度情報通信ネットワークの利用及び 情報通信技術 を用いた情報の活用の機会の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

5号 教育及び学習の振興に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

6号 人材の育成に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

7号 経済活動の促進に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

8号 事業者の経営の効率化、事業の高度化及び生産性の向上に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

9号 生活の利便性の向上等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

10号 及び地方公共団体の情報システムの共同化等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

11号 国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

12号 公的基礎情報データベースの整備等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

13号 特定公共分野(サービスの多様化及び質の向上を図るために特に重点的に取り組むべき公共分野をいう。)におけるサービスの多様化及び質の向上に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

14号 サイバーセキュリティの確保等に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

15号 データの品質の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

16号 情報通信技術 の効果的な活用のための規制の見直しに関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策

17号 前各号に定めるもののほか、 デジタル社会 の形成に関する施策を政府が迅速かつ重点的に推進するために必要な事項

3項 重点計画 に定める施策については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。

4項 内閣総理大臣は、サイバーセキュリティ戦略本部及び個人情報保護委員会の意見を聴いて、 重点計画 の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5項 内閣総理大臣は、 重点計画 の案において、地方自治に重要な影響を及ぼすと考えられる施策について定めようとするときは、当該施策について、都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長又は町村議会の議長の全国的連合組織( 地方自治法 1947年法律第67号第263条の3第1項 《都道府県知事若しくは都道府県の議会の議長…》 、市長若しくは市の議会の議長又は町村長若しくは町村の議会の議長が、その相互間の連絡を緊密にし、並びに共通の問題を協議し、及び処理するためのそれぞれの全国的連合組織を設けた場合においては、当該連合組織の に規定する全国的連合組織で同項の規定による届出をしたものをいう。)の意見を聴かなければならない。

6項 政府は、第1項の規定により 重点計画 を作成したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

7項 政府は、適時に、第3項の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

8項 第4項から第6項までの規定は、 重点計画 の変更について準用する。

40条 (重点計画と国の他の計画との関係)

1項 重点計画 以外の国の計画は、 デジタル社会 の形成に関しては、重点計画を基本とするものとする。

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