国家公務員等の旅費に関する法律《本則》

法番号:1950年法律第114号

略称: 旅費法

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1条 (目的)

1項 この法律は、公務のため旅行する国家公務員等に対し支給する旅費に関し諸般の基準を定め、公務の円滑な運営に資するとともに国費の適正な支出を図ることを目的とする。

2項 国が国家公務員(以下「 職員 」という。及び 職員 以外の者に対し支給する旅費に関しては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

2条 (用語の意義)

1項 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1号 各庁の長 :衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、各省大臣、最高裁判所長官、会計検査院長及び人事院総裁をいう。

2号 内国旅行 :本邦(本州、北海道、四国、九州及び財務省令で定めるその附属の島の存する領域をいう。次号及び次条第2項において同じ。)における旅行をいう。

3号 外国旅行 :本邦と外国(本邦以外の領域(公海を含む。)をいう。以下この号及び次条第2項において同じ。)との間における旅行及び外国における旅行をいう。

4号 出張 職員 が公務のため1時その在勤官署(常時勤務する在勤官署のない場合又は 各庁の長 若しくはその委任を受けた者(以下旅行命令権者という。)が認める場合には、その住所、居所その他旅行命令権者が認める場所)を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため1時その住所又は居所を離れて旅行することをいう。

5号 赴任 :新たに採用された 職員 がその採用に伴う移転のため住所若しくは居所から在勤官署に旅行し、又は転任を命ぜられた職員がその転任に伴う移転のため旧在勤官署から新在勤官署に旅行することをいう。

6号 帰住 職員 が退職し、又は死亡した場合において、その職員又はその遺族が生活の根拠となる地に旅行することをいう。

7号 遺族 職員 の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。次条第2項において同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに職員の死亡当時職員と生計を1にしていた他の親族をいう。

8号 旅行役務提供者 :旅行業者( 旅行業法 1952年法律第239号第6条の4第1項 《旅行業の登録を受けた者以下「旅行業者」と…》 いう。は、第4条第1項第3号の業務の範囲について変更をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、観光庁長官の行う変更登録を受けなければならない。 に規定する旅行業者をいう。)その他の政令で定める者(以下この号において旅行業者等という。)であつて、国と旅行役務提供契約(旅行業者等が国に対して旅行に係る役務その他の政令で定めるものを旅行者に提供することを約し、かつ、国が当該旅行業者等に対して当該旅行に係る旅費に相当する金額を支払うことを約する契約をいう。次条第8項において同じ。)を締結したものをいう。

3条 (旅費の支給)

1項 職員 出張 し、又は 赴任 した場合には、当該職員に対し、旅費を支給する。

2項 職員 、その配偶者若しくは子又はその 遺族 が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に掲げる者に対し、旅費を支給する。

1号 職員 出張 又は 赴任 のための 内国旅行 中に退職、免職(罷免を含む。)、失職又は休職(以下この号及び第4号並びに次項において「退職等」という。)となつた場合(当該退職等に伴う旅行を必要としない場合を除く。)には、当該職員

2号 職員 出張 又は 赴任 のための 内国旅行 中に死亡した場合には、当該職員の 遺族

3号 職員 が死亡した場合において、当該職員の本邦にある 遺族 がその死亡の日の翌日から3月以内にその居住地を出発して 帰住 したときは、当該遺族

4号 職員 が、外国の在勤地において退職等となり、一定の期間内に本邦に 帰住 し、又は 出張 若しくは 赴任 のための 外国旅行 中に退職等となつた場合(当該退職等に伴う旅行を必要としない場合を除く。)には、当該職員

5号 職員 が、外国の在勤地において死亡し、又は 出張 若しくは 赴任 のための 外国旅行 中に死亡した場合には、当該職員の 遺族

6号 外国在勤の 職員 が死亡した場合において、当該職員の外国にある 遺族 配偶者及び子に限る。)がその死亡の日の翌日から3月以内にその居住地を出発して 帰住 したときは、当該遺族

7号 外国在勤の 職員 の配偶者又は子が、当該職員の在勤地において死亡し、又は政令で定める 外国旅行 中に死亡した場合には、当該職員

8号 外務公務員法 1952年法律第41号第23条 《休暇帰国 外務大臣は、在外公館に勤務す…》 る外務公務員のうち一又は二以上の在外公館に引き続き勤務する期間不健康地その他これに類する地域で外務大臣が指定するものにある在外公館にあつては、勤務する期間1月につき1月を加算した期間が3年をこえる者に の規定により休暇帰国を許された者が在勤地と本邦との間を旅行する場合には、当該 職員

3項 職員 が前項第1号又は第4号の規定に該当する場合において、 国家公務員法 1947年法律第120号第38条 《欠格条項 次の各号のいずれかに該当する…》 者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。 1 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者 2 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日 各号若しくは 第82条第1項 《職員が次の各号のいずれかに該当する場合に…》 は、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。 1 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令国家公務員倫理法第5条第3項の規定に基づく訓令及 各号に掲げる事由又はこれらに準ずる事由により退職等となつたときは、前項の規定にかかわらず、同項の規定による旅費は、支給しない。

4項 職員 又は職員以外の者が、国の機関の依頼又は要求に応じ、公務の遂行を補助するため、証人、鑑定人、参考人、通訳等として旅行した場合には、その者に対し、旅費を支給する。

5項 第1項、第2項及び前項の規定に該当する場合を除くほか、他の法律に特別の定めがある場合その他国費を支弁して旅行させる必要がある場合には、旅費を支給する。

6項 第1項、第2項及び前2項の規定により旅費の支給を受けることができる者が、次条第3項の規定により旅行命令等の変更(取消しを含む。同項及び同条第4項並びに 第5条 《人事官 人事官は、人格が高潔で、民主的…》 な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する年齢35年以上の者のうちから、両議院の同意を経て、内閣が任命する。 人事官の任免は、天皇が認証する。 次 において同じ。)を受け、又は死亡した場合その他政令で定める場合には、当該旅行のため既に支出した金額のうちその者の損失となる金額又は支出を要する金額で財務省令で定めるものを旅費として支給することができる。

7項 第1項、第2項、第4項及び第5項の規定により旅費の支給を受けることができる者が、旅行中天災その他政令で定める事情により概算払を受けた旅費額(概算払を受けなかつた場合には、概算払を受けることができた旅費額に相当する金額)の全部又は一部を喪失した場合には、その喪失した旅費額の範囲内で財務省令で定める金額を旅費として支給することができる。

8項 第1項、第2項及び第4項から第6項までに規定する場合において、国が旅行役務提供契約に基づき 旅行役務提供者 に支払うべき金額があるときは、これらの項に規定する者に対する旅費の支給に代えて、当該旅行役務提供者に対し、当該金額を旅費に相当するものとして支払うことができる。

4条 (旅行命令等)

1項 次の各号に掲げる旅行は、当該各号に掲げる区分により、旅行命令権者の発する旅行命令又は旅行依頼(以下この条及び次条において「 旅行命令等 」という。)によつて行われなければならない。

1号 前条第1項の規定に該当する旅行旅行命令

2号 前条第4項の規定に該当する旅行旅行依頼

2項 旅行命令権者は、電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、かつ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り、 旅行命令等 を発することができる。

3項 旅行命令権者は、既に発した 旅行命令等 の変更をする必要があると認める場合で、前項の規定に該当する場合には、自ら又は次条第1項若しくは第2項の規定による旅行者の申請に基づき、その変更をすることができる。

4項 旅行命令権者は、 旅行命令等 を発し、又はその変更をするには、旅行命令簿又は旅行依頼簿(以下この条において「 旅行命令簿等 」という。)に財務省令で定める事項の記載又は記録をし、当該事項を当該旅行者に通知してしなければならない。ただし、 旅行命令簿等 に当該事項の記載又は記録をするいとまがない場合には、この限りでない。

5項 前項ただし書の規定により 旅行命令簿等 に記載又は記録をしなかつた場合には、できるだけ速やかに旅行命令簿等に同項に定める事項の記載又は記録をしなければならない。

5条 (旅行命令等に従わない旅行)

1項 旅行者は、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により 旅行命令等 前条第3項の規定により変更を受けた旅行命令等を含む。以下この条において同じ。)に従つて旅行することができない場合には、あらかじめ旅行命令権者に旅行命令等の変更の申請をしなければならない。

2項 旅行者は、前項の規定による 旅行命令等 の変更の申請をするいとまがない場合には、旅行命令等に従わないで旅行した後、できるだけ速やかに旅行命令権者に旅行命令等の変更の申請をしなければならない。

3項 旅行者が、前2項の規定による 旅行命令等 の変更の申請をせず、又は申請をしたがその変更が認められなかつた場合において、旅行命令等に従わないで旅行したときは、当該旅行者は、旅行命令等に従つた限度の旅行に対する旅費のみの支給を受けることができる。

6条 (旅費の計算)

1項 旅費は、旅行に要する実費を弁償するためのものとして政令で定める種目及び内容に基づき、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合によつて計算する。ただし、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情により最も経済的な通常の経路又は方法により旅行し難い場合には、その現によつた経路及び方法によつて計算する。

7条 (旅費の請求手続)

1項 旅費(概算払に係る旅費を含む。)の支給を受けようとする旅行者及び概算払に係る旅費の支給を受けた旅行者でその精算をしようとするもの並びに旅費に相当する金額の支払を受けようとする 旅行役務提供者 は、所定の請求書(当該請求書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第5項において同じ。)を含む。以下この条において同じ。)に必要な資料を添えて、これを当該旅費若しくは当該金額の支出をする 会計法 1947年法律第35号第24条第4項 《各省各庁の長又は第1項若しくは第2項の規…》 定により委任された職員は、支出官という。 に規定する支出官(同法第46条の3第1項の規定により支出官の事務を代理する 職員 及び同法第48条第1項の規定により支出官の事務を行う都道府県の知事又は知事の指定する職員を含む。又は同法第17条の規定により資金の交付を受ける職員であつて当該旅費若しくは当該金額の支払をする者(以下この条並びに 第10条第1項 《支出官等は、旅行者又は旅行役務提供者がこ…》 の法律又はこれに基づく命令の規定に違反して旅費の支給又は旅費に相当する金額の支払を受けた場合には、当該旅費又は当該金額を返納させなければならない。 及び第2項において「支出官等」という。)に提出しなければならない。この場合において、必要な資料の全部又は一部を提出しなかつた者は、その請求に係る旅費又は旅費に相当する金額のうちその資料を提出しなかつたため、その旅費又は旅費に相当する金額の必要が明らかにされなかつた部分の支給又は支払を受けることができない。

2項 概算払に係る旅費の支給を受けた旅行者は、当該旅行を完了した後所定の期間内に、当該旅行について前項の規定による旅費の精算をしなければならない。

3項 支出官等は、前項の規定による精算の結果過払金があつた場合には、所定の期間内に、当該過払金を返納させなければならない。

4項 支出官等は、その支出し、又は支払つた概算払に係る旅費の支給を受けた旅行者が第2項に規定する期間内に旅費の精算をしなかつた場合又は前項に規定する期間内に過払金を返納しなかつた場合には、当該支出官等がその後においてその者に対し支出し、又は支払う給与又は旅費の額から当該概算払に係る旅費額又は当該過払金に相当する金額を差し引かなければならない。

5項 第1項の請求書又は資料が電磁的記録で作成されているときは、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)をもつて提出することができる。

6項 前項の規定により請求書又は資料の提出が電磁的方法により行われたときは、支出官等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がなされた時に当該請求書又は資料を提出したものとみなす。

7項 第1項に規定する請求書及び必要な資料の種類、記載事項又は記録事項、第2項及び第3項に規定する期間並びに第4項に規定する給与の種類その他の必要な事項は、財務省令で定める。

8条 (旅費の調整)

1項 各庁の長 は、旅行者が国以外の者から旅費の支給を受ける場合その他旅行における特別の事情により又は旅行の性質上この法律又は旅費に関する他の法律の規定による旅費を支給した場合には不当に旅行の実費を超えた旅費又は通常必要としない旅費を支給することとなる場合においては、その実費を超えることとなる部分の旅費又はその必要としない部分の旅費を支給しないことができる。

2項 各庁の長 は、旅行者がこの法律又は旅費に関する他の法律の規定による旅費により旅行することが当該旅行における特別の事情により又は当該旅行の性質上困難である場合には、財務大臣に協議して定める旅費を支給することができる。

9条 (旅費の特例)

1項 各庁の長 は、 職員 について 労働基準法 1947年法律第49号第15条第3項 《前項の場合、就業のために住居を変更した労…》 働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 若しくは 第64条 《帰郷旅費 満十八才に満たない者が解雇の…》 日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 ただし、満十八才に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定 又は 船員法 1947年法律第100号第47条第1項 《船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当す…》 る場合には、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地雇入れのため雇入港に招致した船員及び未成年者の船員にあつては、雇入港若し 若しくは第2項の規定に該当する事由がある場合において、この法律の規定による旅費の支給ができないとき、又はこの法律の規定により支給する旅費が 労働基準法 第15条第3項 《前項の場合、就業のために住居を変更した労…》 働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 若しくは 第64条 《帰郷旅費 満十八才に満たない者が解雇の…》 日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。 ただし、満十八才に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定 又は 船員法 第48条 《送還の費用 船舶所有者の負担すべき船員…》 の送還の費用は、送還中の運送賃、宿泊費及び食費並びに雇入契約の終了の時から遅滞なく出発する時までの宿泊費及び食費とする。 の規定による旅費又は費用に満たないときは、当該職員に対しこれらの規定による旅費若しくは費用に相当する金額又はその満たない部分に相当する金額を旅費として支給するものとする。

2項 各庁の長 は、 職員 について 船員法 第47条第2項 《船舶所有者は、第40条第2号から第4号ま…》 での規定により雇入契約を解除した場合又は同条第5号の規定により雇入契約を解除した場合船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のある場合に限る。において、船員が自己の負担においてその希望 の規定に該当する事由があつた場合において、前項の規定により当該職員に旅費を支給したときは、当該職員に対し、当該支給した旅費の償還を請求するものとする。

10条 (旅費の返納)

1項 支出官等は、旅行者又は 旅行役務提供者 がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反して旅費の支給又は旅費に相当する金額の支払を受けた場合には、当該旅費又は当該金額を返納させなければならない。

2項 旅行者がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反して旅費の支給を受けた場合には、支出官等は、前項に規定する返納に代えて、当該支出官等がその後においてその者に対し支出し、又は支払う給与又は旅費の額から、当該旅費に相当する金額を差し引くことができる。

3項 前項に規定する給与の種類は、財務省令で定める。

11条 (財務大臣の監督)

1項 財務大臣は、この法律の適正な執行を確保するため、 各庁の長 に対して、この法律の執行状況に関する資料若しくは報告を求め、実地監査を行い、又はこの法律の執行について必要な措置を求めることができる。

12条 (財務省令への委任)

1項 この法律に定めるもののほか、この法律の規定による旅費の支給の手続その他この法律の実施のため必要な事項は、財務省令で定める。

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