防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律《本則》

法番号:1974年法律第101号

略称: 環境整備法

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1章 総則

1条 (目的)

1項 この法律は、自衛隊等の行為又は防衛施設の設置若しくは運用により生ずる障害の防止等のため防衛施設周辺地域の生活環境等の整備について必要な措置を講ずるとともに、自衛隊の特定の行為により生ずる損失を補償することにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的とする。

2条 (定義)

1項 この法律において「 自衛隊等 」とは、 自衛隊 法(1954年法律第165号)第2条第1項に規定する自衛隊(以下「 自衛隊 」という。又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。

2項 この法律において「 防衛施設 」とは、 自衛隊 の施設又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定 第2条第1項 《この法律において「自衛隊等」とは、自衛隊…》 法1954年法律第165号に規定する自衛隊以下「自衛隊」という。又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。 の施設及び区域をいう。

2章 防衛施設周辺の生活環境等の整備

3条 (障害防止工事の助成)

1項 国は、地方公共団体その他の者が 自衛隊 等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部又は一部を補助するものとする。

1号 農業用施設、林業用施設又は漁業用施設

2号 道路、河川又は海岸

3号 防風施設、防砂施設その他の防災施設

4号 水道又は下水道

5号 その他政令で定める施設

2項 国は、地方公共団体その他の者が 自衛隊 等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる音響で著しいものを防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部又は一部を補助するものとする。

1号 学校教育法 1947年法律第26号第1条 《 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、…》 中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。 に規定する学校

2号 医療法(1948年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院、同条第2項に規定する診療所又は同法第2条第1項に規定する助産所

3号 前2号の施設に類する施設で政令で定めるもの

4条 (住宅の防音工事の助成)

1項 国は、政令で定めるところにより 自衛隊 等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しいと認めて防衛大臣が指定する 防衛施設 の周辺の区域(以下「 第1種区域 」という。)に当該指定の際現に所在する住宅(人の居住の用に供する建物又は建物の部分をいう。以下同じ。)について、その所有者又は当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者がその障害を防止し、又は軽減するため必要な工事を行うときは、その工事に関し助成の措置を採るものとする。

5条 (移転の補償等)

1項 国は、政令で定めるところにより 第1種区域 のうち航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が特に著しいと認めて防衛大臣が指定する区域(以下「 第2種区域 」という。)に当該指定の際現に所在する建物、立木竹その他土地に定着する物件(以下「 建物等 」という。)の所有者が当該 建物等 第2種区域 以外の区域に移転し、又は除却するときは、当該建物等の所有者及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。

2項 国は、政令で定めるところにより、 第2種区域 に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。

3項 国は、地方公共団体その他の者が 第2種区域 内から住居を移転する者の住宅等の用に供する土地に係る道路、水道、排水施設その他の公共施設を整備するときは、予算の範囲内において、その整備に関し助成の措置を採ることができる。

6条 (緑地帯の整備等)

1項 国は、政令で定めるところにより 第2種区域 のうち航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が新たに発生することを防止し、あわせてその周辺における生活環境の改善に資する必要があると認めて防衛大臣が指定する区域(以下「 第3種区域 」という。)に所在する土地で前条第2項の規定により買い入れたものが緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう必要な措置を採るものとする。

2項 国は、前項の土地以外の 第3種区域 に所在する土地についても、できる限り、緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう適当な措置を採るものとする。

7条 (買い入れた土地の無償使用)

1項 国は、 第5条第2項 《2 国は、政令で定めるところにより、第2…》 種区域に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。 の規定により買い入れた土地を、地方公共団体が広場その他政令で定める施設の用に供するときは、当該地方公共団体に対し、当該土地を無償で使用させることができる。

2項 国有財産法 1948年法律第73号第22条第2項 《2 前項の無償貸付は、公共団体における当…》 該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、行うことができない。 及び第3項の規定は、前項の規定により土地を使用させる場合について準用する。

8条 (民生安定施設の助成)

1項 国は、 防衛施設 の設置又は運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境施設又は事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措置を採るときは、当該地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の一部を補助することができる。

9条 (特定防衛施設周辺整備調整交付金)

1項 防衛大臣は、次に掲げる 防衛施設 のうち、その設置又は運用がその周辺地域における生活環境又はその周辺地域の開発に及ぼす影響の程度及び範囲その他の事情を考慮し、当該周辺地域を管轄する市町村がその区域内において行う公共用の施設の整備又はその他の生活環境の改善若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業について特に配慮する必要があると認められる防衛施設があるときは、当該防衛施設を特定防衛施設として、また、当該市町村を特定防衛施設関連市町村として、それぞれ指定することができる。この場合には、防衛大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。

1号 ターボジェット発動機を有する航空機の離陸又は着陸が実施される飛行場

2号 砲撃又は航空機による射撃若しくは爆撃が実施される演習場

3号 港湾

4号 その他政令で定める施設

2項 国は、特定 防衛施設 関連市町村に対し、政令で定める公共用の施設の整備又はその他の生活環境の改善若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業であつて政令で定めるものを行うための費用に充てさせるため、特定防衛施設の面積、運用の態様等を考慮して政令で定めるところにより、予算の範囲内において、特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付することができる。

10条 (資金の融通等)

1項 国は、 第3条 《障害防止工事の助成 国は、地方公共団体…》 その他の者が自衛隊等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を の工事を行う者又は 第8条 《民生安定施設の助成 国は、防衛施設の設…》 又は運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境施設又は事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措 の措置を採る地方公共団体に対し、必要な資金の融通又はあつせんその他の援助に努めるものとする。

11条 (国の普通財産の譲渡等)

1項 国は、 第3条 《障害防止工事の助成 国は、地方公共団体…》 その他の者が自衛隊等の機甲車両その他重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を の工事、 第8条 《民生安定施設の助成 国は、防衛施設の設…》 又は運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境施設又は事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措 の措置又は 第9条第2項 《2 国は、特定防衛施設関連市町村に対し、…》 政令で定める公共用の施設の整備又はその他の生活環境の改善若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業であつて政令で定めるものを行うための費用に充てさせるため、特定防衛施設の面積、運用の態様等を考慮して政令で の整備に係る事業の用に供するため必要があると認めるときは、地方公共団体その他の者に対し、普通財産を譲渡し、又は貸し付けることができる。

12条 (関係行政機関の協力等)

1項 関係行政機関の長は、その所掌事務の遂行に当たつては、 防衛施設 の周辺における生活環境及び産業基盤の整備について、計画的に推進するよう努めるものとする。

2項 防衛大臣は、関係行政機関の長による前項の整備に係る事務の遂行について、当該関係行政機関の長に対し、意見を述べることができる。

3章 損失の補償

13条 (損失の補償)

1項 自衛隊 の次に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業その他政令で定める事業を営んでいた者がその事業の経営上損失を受けたときは、国がその損失を補償する。

1号 航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施、機甲車両その他重車両のひん繁な使用又は艦船若しくは舟艇のひん繁な使用で政令で定めるもの

2号 射撃、爆撃その他火薬類の使用のひん繁な実施で政令で定めるもの

3号 その他政令で定める行為

2項 前項の規定は、他の法律により国が損害賠償又は損失補償の責めに任ずべき損失については、適用しない。

3項 第1項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。

14条 (損失補償の申請)

1項 前条の規定による損失の補償を受けようとする者は、防衛省令で定めるところにより、その者の住所の所在地を管轄する市町村長(特別区の区長を含む。以下この条において同じ。)を経由して、損失補償申請書を防衛大臣に提出しなければならない。

2項 市町村長は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを防衛大臣に送付しなければならない。

3項 防衛大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを市町村長を経由して当該申請者に通知しなければならない。

15条 (異議の申出)

1項 前条第3項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日の翌日から起算して3月以内に、防衛省令で定める手続に従い、防衛大臣に対して異議を申し出ることができる。

2項 防衛大臣は、前項の規定による申出があつたときは、その申出のあつた日から30日以内に改めて補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。

16条 (補償金の交付)

1項 国は、前条第1項の規定による異議の申出がないときは、同項の期間の満了の日から30日以内に、同項の規定による異議の申出があつた場合において同条第2項の規定による決定があつたときは、同項の通知の日から30日以内に、補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付する。

17条 (増額請求の訴え)

1項 第14条第3項 《3 防衛大臣は、前項の書類を受理したとき…》 は、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを市町村長を経由して当該申請者に通知しなければならない。 又は 第15条第2項 《2 防衛大臣は、前項の規定による申出があ…》 つたときは、その申出のあつた日から30日以内に改めて補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。 の規定による決定に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から6月以内に、訴えをもつてその増額を請求することができる。

2項 前項の訴えにおいては、国を被告とする。

18条 (争訟の方式)

1項 第14条第3項 《3 防衛大臣は、前項の書類を受理したとき…》 は、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを市町村長を経由して当該申請者に通知しなければならない。 の規定による決定に不服がある者は、 第15条第1項 《前条第3項の規定による決定に不服がある者…》 は、同項の通知を受けた日の翌日から起算して3月以内に、防衛省令で定める手続に従い、防衛大臣に対して異議を申し出ることができる。 及び前条第1項の規定によることによつてのみ争うことができる。

4章 雑則

19条 (自衛隊等の航空機以外の航空機の離着陸に対する適用)

1項 第3条第2項 《2 国は、地方公共団体その他の者が自衛隊…》 等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施その他政令で定める行為により生ずる音響で著しいものを防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより 及び 第4条 《住宅の防音工事の助成 国は、政令で定め…》 るところにより自衛隊等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しいと認めて防衛大臣が指定する防衛施設の周辺の区域以下「第1種区域」という。に当該指定の際現に所在する住宅人 の規定の適用については、 自衛隊 等の航空機以外の航空機の離陸及び着陸で 防衛施設 たる飛行場を使用して行われるものは、自衛隊等の航空機の離陸及び着陸とみなし、 第13条第1項 《自衛隊の次に掲げる行為により、従来適法に…》 農業、林業、漁業その他政令で定める事業を営んでいた者がその事業の経営上損失を受けたときは、国がその損失を補償する。 1 航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施、機甲車両その他重車両のひん繁な使用又は艦船若 の規定の適用については、自衛隊等の航空機以外の航空機の離陸及び着陸で自衛隊の設置する飛行場を使用して行われるものは、自衛隊の航空機の離陸及び着陸とみなす。

20条 (事務の区分)

1項 第14条 《損失補償の申請 前条の規定による損失の…》 補償を受けようとする者は、防衛省令で定めるところにより、その者の住所の所在地を管轄する市町村長特別区の区長を含む。以下この条において同じ。を経由して、損失補償申請書を防衛大臣に提出しなければならない。 の規定により市町村(特別区を含む。)が処理することとされている事務(同条第2項の規定による申請書に意見を記載した書面を添える事務を除く。)は、 地方自治法 1947年法律第67号第2条第9項第1号 《この法律において「法定受託事務」とは、次…》 に掲げる事務をいう。 1 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要 に規定する第1号法定受託事務とする。

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